訪問介護の記録の書き方|国の通知は「提供日・具体的なサービスの内容・心身の状況」を挙げています

目次

30秒でわかるまとめ

  • 訪問介護員が関わる記録は、省令第19条が2つの項で定めます第1項は居宅サービス計画を記載した書面等への記載、第2項は提供した具体的なサービスの内容等の記録です。
  • 第2項の「内容等」の中身を示すのは、解釈通知です提供日、提供した具体的なサービスの内容、利用者の心身の状況その他必要な事項を記録する、としています。
  • 利用者から申出があれば、記録の情報を提供します方法は文書の交付その他適切な方法です。通知は、利用者の用意する手帳等に記載する方法を例に挙げています。
  • 記録の様式は、第19条にも通知の該当部分にもありません本記事の記入の型と記入イメージは、通知の文言に沿って編集部が作ったものです。様式は事業所で確認します。

※記録の保存については介護事務の仕事内容、訪問介護計画をつくる側の仕事はサービス提供責任者の仕事内容で扱っています。

食事支援(訪問介護)

まず条文:第19条は2つの項に分かれています

訪問介護の記録を定めているのは、「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第37号)の第19条です。見出しは「サービスの提供の記録」です。

「指定訪問介護事業者は、指定訪問介護を提供した際には、当該指定訪問介護の提供日及び内容、当該指定訪問介護について法第四十一条第六項の規定により利用者に代わって支払を受ける居宅介護サービス費の額その他必要な事項を、利用者の居宅サービス計画を記載した書面又はこれに準ずる書面に記載しなければならない。」

出典:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(e-Gov法令API 法令ID 411M50000100037)第19条第1項(原文どおり)

「指定訪問介護事業者は、指定訪問介護を提供した際には、提供した具体的なサービスの内容等を記録するとともに、利用者からの申出があった場合には、文書の交付その他適切な方法により、その情報を利用者に対して提供しなければならない。」

出典:同 第19条第2項(原文どおり)

どちらの項も、主語は指定訪問介護事業者です。事業所の中で誰が記録を書くかは、条文には書かれていません。

打ち合わせタブレット

第1項と第2項は、書く場所が違います

第1項第2項
どこに利用者の居宅サービス計画を記載した書面又はこれに準ずる書面に記載する事業者が記録する
何を提供日及び内容、利用者に代わって支払を受ける居宅介護サービス費の額その他必要な事項提供した具体的なサービスの内容等
利用者への提供定めなし利用者からの申出があった場合には、文書の交付その他適切な方法により、その情報を提供する

出典:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 第19条第1項・第2項

第1項は、利用者の居宅サービス計画の書面に書き込む話です。第2項は、事業者が自分の側に記録を残す話です。

第2項は「指定訪問介護を提供した際には」記録する、という書き方です。訪問のあとに残す日々の記録は、こちらに当たります。

ただし、第2項の条文が書いているのは「提供した具体的なサービスの内容等」までです。「等」に何が入るかは、条文だけでは分かりません。そこを示しているのが、次の解釈通知です。

書類にサイン

ここが本題:解釈通知が挙げる、記録する事項

厚生労働省は、この省令の読み方を「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について」(平成11年9月17日 老企第25号)という通知で示しています。第19条に当たるのは、第3の一の3の(10)「サービスの提供の記録」です。

「居宅基準第19条第1項は、利用者及びサービス事業者が、その時点での支給限度額の残額やサービスの利用状況を把握できるようにするために、指定訪問介護事業者は、指定訪問介護を提供した際には、当該指定訪問介護の提供日、内容(例えば、身体介護、生活援助、通院等のための乗車又は降車の介助の別)、保険給付の額その他必要な事項を、利用者の居宅サービス計画の書面又はサービス利用票等に記載しなければならないこととしたものである。」

出典:指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について(平成11年9月17日 老企第25号)第3の一の3の(10)①(原文どおり)

「同条第2項は、当該指定訪問介護の提供日、提供した具体的なサービスの内容、利用者の心身の状況その他必要な事項を記録するとともに、サービス事業者間の密接な連携等を図るため、利用者からの申出があった場合には、文書の交付その他適切な方法により、その情報を利用者に対して提供しなければならないこととしたものである。また、「その他適切な方法」とは、例えば、利用者の用意する手帳等に記載するなどの方法である。」

出典:同 第3の一の3の(10)②(原文どおり。このあとに続く記録の保存についての1文は省略)

第2項の記録について、通知が挙げている事項は次のとおりです。

  • 提供日
  • 提供した具体的なサービスの内容
  • 利用者の心身の状況
  • その他必要な事項

「利用者の心身の状況」は、第19条の条文には出てこない言葉です。記録に心身の状況を書く、という中身は、通知の側に書かれています。

記録の保存は同じ省令の第39条が定めており、介護事務の仕事内容で扱っています。

この通知の版について

老企第25号は、介護報酬改定にあわせて改正されてきました。本記事は、厚生労働省の各年度の介護報酬改定のページに載っている新旧対照表をたどりました。上の2つの引用は、平成27年度改定の新旧対照表の改正後の欄の文言です。

平成30年度・令和3年度・令和6年度の新旧対照表では、この部分はいずれも「(略)」で、文言の改正はありません。令和3年度の改正で番号が(9)から(10)に繰り下がっています。令和8年度介護報酬改定のページには、この通知の改正は載っていませんでした。本記事は、令和6年度改正の時点の文言として引用しています。

出典:厚生労働省「平成27年度介護報酬改定について」「平成30年度介護報酬改定について」「令和3年度介護報酬改定について」「令和6年度介護報酬改定について」の各ページに掲載された老企第25号の新旧対照表

第1項の「内容」と、第2項の「具体的なサービスの内容」

2つの項を並べると、同じ「内容」でも、求められている細かさが違うことが見えてきます。

通知の書き方
第1項(居宅サービス計画の書面等)内容(例えば、身体介護、生活援助、通院等のための乗車又は降車の介助の別)
第2項(記録)提供した具体的なサービスの内容

出典:老企第25号 第3の一の3の(10)①・②

第1項の「内容」は、通知が区分の別を例に挙げています。第2項は「具体的な」サービスの内容です。記録のほうは、区分の名前だけで終わらせない書き方が想定されている、と読むことができます。

どの行為がどの区分に当たるかは、別の通知が扱っています。区分の話は訪問介護でできないことで触れています。

記入の型:通知の文言を、そのまま欄にします

通知が挙げた事項を、そのまま記録の欄に置くと、次の型になります。欄の順番は、通知が並べている順です。

欄通知の文言書くときの考え方(編集部)
提供日当該指定訪問介護の提供日訪問した日です。第1項の書面にも「提供日」を記載することになっています。
サービスの内容提供した具体的なサービスの内容区分の名前だけでなく、その日に行ったことを書きます。「具体的な」は通知の言葉です。
心身の状況利用者の心身の状況通知は、何を観察するかまでは挙げていません。本人が話したことと、書く人が見たことを分けておくと、読む人が区別できます。
その他必要な事項その他必要な事項中身は通知に列挙されていません。事業所の様式に欄があるかを確認します。

出典:老企第25号 第3の一の3の(10)②の文言をもとに編集部が作成。国が示した様式ではありません。

「書くときの考え方」の列は、通知の文言から編集部が考えたものです。国がこう書くよう定めているものではありません。本記事が確かめた第19条と通知の該当部分には、記録の様式は示されていませんでした。

架空の記入イメージ(省令・通知の項目に沿ったもの)

上の型に沿って、編集部が作った架空の記入イメージです。実在の利用者や事業所の記録ではありません。日付は「○」で伏せ、時刻や数値は入れていません。

欄記入イメージ(架空)
提供日○月○日
サービスの内容入浴の介助。浴槽への出入りのとき、本人に手すりを持ってもらい、脇から体を支えた。洗髪は本人の希望で行わなかった。
心身の状況本人の話「ゆうべはあまり眠れなかった」。表情はいつもより硬く、口数が少なかった。入浴のあとは「さっぱりした」と話した。
その他必要な事項眠れなかったという本人の話を、事業所に報告した。

サービスの内容の欄は、区分の名前で終わらせず、その日に行ったことを書いています。心身の状況の欄は、本人の言葉と書く人が見たことを分けています。

どちらも、通知の文言から編集部が考えた書き方の一例です。欄の名前や書く量は、事業所の様式に合わせてください。

国の運営指導で見る項目も、2つの項に対応しています

厚生労働省は、自治体が事業所に行う運営指導の参考として「介護保険施設等運営指導マニュアル」を示しています。その別添「確認項目及び確認文書」は、訪問介護の第19条について、確認項目を次の2つとしています。

「居宅サービス計画等にサービス提供日及び内容、介護保険法第41条第6項の規定により利用者に代わって支払いを受ける費用の額等が記載されているか」

「サービス提供記録に提供した具体的サービス内容等が記録されているか」

出典:介護保険施設等運営指導マニュアルについて(令和4年3月31日 老発0331第7号、最終改正 令和6年7月4日 老発0704第7号)別添「確認項目及び確認文書」訪問介護・サービスの提供の記録(第19条)(原文どおり)

確認文書として挙がっているのは、居宅サービス計画とサービス提供記録です。1つ目の確認項目が第1項に、2つ目が第2項に対応しています。

通知の前書きは、このマニュアルを、国と自治体が行う指導監督の標準的な実施方法を示したものとしています。実際にどう確認するかは、自治体ごとの運営指導によります。

申出があったときの情報提供は、事業者間の連携のためでもあります

第2項の後半は、利用者からの申出があった場合の情報提供です。通知は、その目的を「サービス事業者間の密接な連携等を図るため」と書いています。

方法は「文書の交付その他適切な方法」です。通知は「その他適切な方法」の例として、利用者の用意する手帳等に記載するなどの方法を挙げています。

条文の書き方は「利用者からの申出があった場合には」です。申出がなくても毎回渡す、とは書かれていません。申出があったときの渡し方を事業所がどう決めているかは、職場で確認できます。

この記事が扱っていないこと

  • 記録の保存と、保存が求められる記録の種類。第39条の領域で、介護事務の仕事内容で扱っています。
  • 記録の様式。第19条と通知の該当部分には示されていません。自治体や事業所が独自に作っている様式は取得していません。
  • 訪問介護計画の作り方。サービス提供責任者の業務で、サービス提供責任者の仕事内容で扱っています。
  • どの行為がどの区分に当たるかの一覧。別の通知の領域で、本記事では扱っていません。
  • 訪問介護以外のサービスの記録。本記事は訪問介護(第19条)に限っています。
  • 老企第25号の、改正を反映した全文。厚生労働省のサイトで見つけられず、新旧対照表をたどって文言を確かめました。本記事が取得していない年度の改正がないことまでは、確かめきれていません。

訪問介護の職場で確認できること

  • 記録の様式に、どんな欄があるか。提供日、サービスの内容、心身の状況を書く欄があるかを見ます。
  • 内容の欄は、区分を選ぶだけか。その日に行ったことを書く欄があるかを確認できます。
  • 利用者から申出があったときの渡し方。文書で渡すのか、利用者の手帳等に書くのかを確認できます。
  • 第1項の記載を誰が行うか。居宅サービス計画を記載した書面等への記載の担当を確認できます。
  • 記録は紙か、電子か。書く道具によって、欄の作りも変わります。

よくある質問

Q. 訪問介護の記録には、何を書くよう決まっていますか。
A. 省令第19条第2項は「提供した具体的なサービスの内容等」を記録するとしています。解釈通知(老企第25号)は、提供日、提供した具体的なサービスの内容、利用者の心身の状況その他必要な事項を記録する、としています。

Q. 記録の様式は国が決めていますか。
A. 本記事が確かめた第19条と通知の該当部分には、様式は示されていませんでした。書く欄や量は、事業所の様式を確認してください。

Q. 「身体介護」「生活援助」と区分だけ書けばよいですか。
A. 通知は、第1項で居宅サービス計画の書面等に書く「内容」の例として区分の別を挙げ、第2項の記録では「提供した具体的なサービスの内容」としています。記録のほうは、区分の名前だけで終わらせない書き方が想定されている、と読めます。

Q. 利用者や家族に記録を渡す決まりはありますか。
A. 第19条第2項は、利用者からの申出があった場合には、文書の交付その他適切な方法により、その情報を提供するとしています。通知は、利用者の用意する手帳等に記載する方法を例に挙げています。

Q. 記録を書くのは訪問介護員ですか。
A. 第19条の主語は指定訪問介護事業者です。事業所の中で誰が書くかは条文に書かれていないため、職場の決まりを確認してください。

迷ったらここ

記録の様式と渡し方を確かめる

省令第19条第2項は「提供した具体的なサービスの内容等」を記録するとし、解釈通知は提供日、提供した具体的なサービスの内容、利用者の心身の状況その他必要な事項を記録する、としています。記録の様式はどちらにも示されていません。

  • 記録の様式に、提供日・サービスの内容・心身の状況を書く欄があるか
  • 内容の欄は区分を選ぶだけか、その日に行ったことを書く欄があるか
  • 利用者から申出があったとき、記録の情報を文書で渡すか手帳等に書くか
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まとめ

訪問介護の記録は、省令第19条が定めています。第1項は居宅サービス計画を記載した書面等への記載、第2項は提供した具体的なサービスの内容等の記録で、書く場所が違います。

第2項の「内容等」の中身は、解釈通知(老企第25号)が提供日、提供した具体的なサービスの内容、利用者の心身の状況その他必要な事項と示しています。記入の型は、この4つを欄にすると組み立てられます。

利用者からの申出があった場合は、文書の交付その他適切な方法で情報を提供します。記録の様式は第19条と通知の該当部分に示されていないため、書き方の細部は事業所の様式で確認します。

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この記事を書いた人

医療・福祉・保育の人材紹介の現場で求職者の相談を受けてきた編集者が担当しています。キャリアアドバイザー歴8年、転職相談・紹介の対応実績1,500人以上(自社実績/2026年8月時点)。介護・看護師・保育士・栄養士の4分野を担当。記事の数値には必ず出典と公表時点を添えています。

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