30秒でわかるまとめ
- 幼稚園教諭の免許は4つのルートで取れます大学・短大の教職課程、大学院、教員資格認定試験、保育士資格からの特例という4つです
- 免許の種類が違っても、担当できる仕事は変わりません専修・一種・二種の違いは基礎資格の程度だけで、二種の免許でも同じように教壇に立てます
- 保育士からなら、一種免許まで8単位が近道です通常必要な59単位以上に対し、学士と3年かつ4,320時間の実務経験があれば8単位で足ります
- 特例の期限は2030年3月31日で、古い情報も出回っています令和6年法律第53号で5年延長された期限のため、「令和6年度末で終わる」という記述は古いままです

なお法律が最初に置いている区分は、普通免許状・特別免許状・臨時免許状の3つです。専修・一種・二種がそのどこに位置するのかと、幼稚園に特別免許状が無いことは幼稚園教諭の免許状の種類|幼稚園に特別免許状はありませんで扱っています。
免許は3種類。二種でも「幼稚園教諭」として働けます
まず前提の確認です。教育職員免許法により、幼稚園の教員は幼稚園教諭免許状を持っていなければなりません(免許法第3条第1項の相当免許状主義)。保育士資格だけでは幼稚園教諭として働けません。
その幼稚園教諭免許状は3種類あります。
| 免許状の種類 | 基礎資格(程度) | 主な取得先 |
|---|---|---|
| 専修免許状 | 修士課程修了程度 | 大学院 |
| 一種免許状 | 大学卒業程度 | 4年制大学 |
| 二種免許状 | 短期大学卒業程度 | 短期大学・専門学校(教職課程のあるもの) |
出典:文部科学省「普通免許状の種類について」
ここで誤解されがちな点をはっきりさせておきます。3種類の違いは基礎資格(どの学歴段階で取ったか)であって、免許の種類によって担当できる仕事が変わるわけではありません。二種免許状でも幼稚園教諭として教壇に立てます。
なお一種免許状を教職課程で取る場合、幼稚園では59単位以上の修得が必要になるのが一般的です(教科及び教職に関する科目と、教育職員免許法施行規則第66条の6に定める科目の合計)。

取り方は4つのルート
| ルート | 取れる免許 | 向いている人 |
|---|---|---|
| ① 大学・短期大学の教職課程 | 一種(大学)/二種(短大) | これから進学する人。最も一般的なルート |
| ② 大学院の教職課程 | 専修 | すでに一種を持ち、上位免許を目指す人 |
| ③ 教員資格認定試験 | 二種のみ | 大学等に通わずに取りたい人 |
| ④ 保育士資格からの特例 | 一種(※後述) | すでに保育士として働いている人 |
①②は説明の必要が薄いので、③と④を詳しく見ます。
③ 教員資格認定試験は、いまも実施されています
大学の教職課程を経ずに免許を取る道として、文部科学省の教員資格認定試験があります。幼稚園については二種免許状に限って実施されており、合格後に都道府県教育委員会へ授与申請することで免許状を取得できます。
実施は独立行政法人教職員支援機構(NITS)。令和7年度も実施されており、試験は令和7年5月11日、最終合格発表は令和7年7月23日でした。「昔あった制度」ではなく、現行の選択肢です。
受験資格や試験科目は年度ごとの受験案内で確認してください。本記事では、年度によって変わりうる要件の詳細までは記載しません。

保育士から取るなら8単位。ただし2030年3月31日で終わります
すでに保育士として働いている人にとって、いちばん現実的なのがこの特例です。幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例といいます。
| 項目 | 内容(一種免許状の場合) |
|---|---|
| 必要な学位 | 学士の学位 |
| 必要な資格 | 保育士となる資格 |
| 必要な実務経験 | 3年かつ4,320時間以上 |
| 修得する単位数 | 8単位 |
| 単位数の短縮 | 幼保連携型認定こども園での保育教諭等として2年かつ2,880時間以上の実務経験がある場合は6単位 |
| 適用期限 | 令和12年(2030年)3月31日まで |
出典:文部科学省「幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例」。根拠法令は認定こども園法一部改正法(平成24年法律第66号)、期限延長は令和6年法律第53号
通常なら59単位以上が必要なところ、8単位で済みます。差は歴然です。
期限は一度延長されています。次があるとは限りません
この特例の期限は、令和6年法律第53号によってさらに5年延長され、令和12年3月31日までとなりました。令和12年4月1日以降は、この特例を適用して幼稚園教諭免許状を取得することはできません。
ここは注意してください。「令和6年度末で終わる」と書いてある記事は、延長前の情報です。逆に、一度延長されたからといって再延長されるとは限りません。制度の期限は、あくまで現時点で公表されている令和12年3月31日で考えるのが安全です。
実務経験として数えられるもの
対象となる施設は次の通りです。
- 幼稚園において、専ら幼児の保育に従事する職員
- 幼保連携型認定こども園において園児の教育及び保育に従事する職員
- 児童福祉法第39条第1項に規定する保育所の保育士
- 認可外保育施設のうち、認可外保育施設指導監督基準を満たす施設
数え方についても文部科学省のQ&Aに記載があります。「勤務時間」とは実労働時間を指し、通常の勤務実態があれば「良好な成績」に該当するとされています。また複数の施設での勤務経験は通算できます。転職を挟んでいても、合算して4,320時間に届けば要件を満たします。
修得する科目
特例で修得することになるのは、次の5つの領域です。
- 保育内容の指導法
- 教職の意義及び教員の役割
- 教育に関する社会的、制度的又は経営的事項
- 教育課程の意義及び編成の方法
- 幼児理解の理論及び方法
二種免許状も特例の対象ですが、文部科学省の当該ページの表には二種の実務経験・単位数の記載がありません。本記事では確認できない要件を推測で書くことはしません。二種での取得を検討している場合は、申請先となる都道府県教育委員会に直接確認してください。
もう一方の保育士資格は、試験に合格する道でも取れます。受験資格と筆記8科目、合格した科目が残る期間は保育士試験の仕組み|筆記8科目と、科目ごとの合格が残る3年度で扱っています。
認定こども園で働くなら、幼稚園教諭免許だけでは足りません
そもそもなぜこの特例があるのか。背景を知っておくと判断しやすくなります。
幼保連携型認定こども園で働く「保育教諭」は、原則として幼稚園教諭免許状と保育士資格の両方が必要です。認定こども園の制度ができたとき、片方しか持っていない人が大勢いました。その併有を進めるために設けられた時限措置が、この特例です。
つまり——
- 保育士資格だけ持っている人 → 特例で幼稚園教諭免許状を取る
- 幼稚園教諭免許状だけ持っている人 → 保育士資格側の特例を使う(本記事の対象外)
という関係になっています。「幼稚園で働きたい」だけでなく「認定こども園も視野に入れたい」なら、両方を揃える必要があると考えておいてください。
園長になる場合も同じで、幼保連携型認定こども園の園長の資格には、教諭の専修免許状又は一種免許状と保育士登録、決められた職での5年以上の経験が並んでいます。その要件は保育園の園長になるには|保育所の省令に園長の資格の条はなく、こども園は免許・登録と5年以上ですで扱っています。
免許更新制は2022年に廃止されました
過去に免許を取ったまま使っていない人にとって、重要な変更があります。
令和4年5月11日に「教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律」が成立し、令和4年(2022年)7月1日から教員免許更新制は発展的に解消されました。
ポイントは次の点です。
- 施行日(令和4年7月1日)時点で有効な教員免許状は、休眠状態のものを含めて、手続きなく有効期限のない免許状になりました。
- 同日以降に修了確認期限や有効期間の満了日を迎える人は、更新講習の受講も更新手続きも不要になりました。
「昔取ったけれど更新していないから失効しているはず」と思い込んでいる人がいますが、制度が変わっています。手元の免許状の状態は、授与を受けた都道府県教育委員会で確認できます。取り直す前に、まずここを確認してください。
免許を取ったあとの1日の形は、教育課程に係る教育時間が4時間を標準とすること、その終了後にもう一層あることで決まります。その構造は幼稚園教諭の仕事内容と1日|教育課程は4時間、その後にもう一層ありますで扱っています。
動き出す前に確認しておきたいこと
1. 手元の免許・資格の状態を確認する
更新制廃止により、休眠免許が有効なままの可能性があります。授与元の都道府県教育委員会に照会してください。
2. 実務経験の時間数を先に計算する
特例のカギは「3年かつ4,320時間以上」です。年数だけでなく時間数の要件がある点に注意してください。実労働時間で数え、複数施設は通算できます。短時間勤務が長い場合は、年数を満たしていても時間数が届かないことがあります。
3. 期限から逆算する
特例の期限は令和12年3月31日です。8単位の修得と授与申請までを、この日までに終える必要があります。単位修得には期間がかかるため、期限ぎりぎりからの着手では間に合わない可能性があります。
4. 単位を修得できる大学を探す
特例による単位は、教職課程の認定を受けた大学等で修得します。文部科学省が「教員免許状を取得できる大学」の一覧を公表しています。通信制を扱う大学もあります。
5. 申請先は都道府県教育委員会
免許状の授与申請先は都道府県教育委員会です。必要書類や運用の細部は自治体によって異なります。制度の一般論ではなく、申請先の案内で確認してください。
免許の種類別ではありませんが、幼稚園教諭全体の給与水準なら公的統計から見ることができます。この統計の職種区分が「幼稚園教員,保育教諭」で合算されている点も含めて、幼稚園教諭の年収442.6万円|男女差125.5万円は保育士の5.3倍ありますで扱っています。
よくある質問
Q. 保育士資格があれば、幼稚園でも働けますか?
A. 働けません。教育職員免許法第3条第1項により、幼稚園の教員には幼稚園教諭免許状が必要です(相当免許状主義)。ただし幼保連携型認定こども園の保育教諭については、前述の特例期間中の経過措置があります。詳細は勤務先または都道府県に確認してください。
Q. 二種免許状だと、給料や仕事内容が変わりますか?
A. 制度上、免許の種類によって担当できる職務が変わることはありません。ただし給与は各園・各自治体の給与規程によって決まるもので、免許種別を処遇に反映しているかどうかは職場ごとに異なります。免許の種類と給与の関係を示す全国的な公的統計はありません。求人票や給与規程で個別に確認してください。
Q. 大学に通わずに取る方法はありますか?
A. 2つあります。ひとつは教員資格認定試験(幼稚園は二種免許状のみ、令和7年度も実施)。もうひとつは保育士としての実務経験がある場合の特例ですが、こちらは大学等で8単位(条件により6単位)を修得する必要があるため、「まったく通わない」わけではありません。通信制で修得できる場合もあります。
迷ったらここ
保育士資格があるなら、特例の期限から逆算して動く順番を決める
保育士資格からの特例は8単位で一種免許状まで届きますが、令和12年(2030年)3月31日で終了します。3年かつ4,320時間の実務経験が要件なので、逆算しないと間に合いません。
- 実務経験は3年かつ4,320時間に届いているか(足りないなら、あと何年か)
- 8単位を修得できる養成校・通信課程を調べたか
- 応募先が幼稚園教諭免許と保育士資格の両方を求めていないか
まとめ
- 幼稚園教諭免許状は専修・一種・二種の3種類。違いは基礎資格であり、どれでも幼稚園教諭として働ける
- 取り方は4ルート。①大学・短大の教職課程 ②大学院 ③教員資格認定試験(二種のみ・令和7年度も実施) ④保育士からの特例
- 保育士からの特例は、学士+保育士資格+3年かつ4,320時間以上の実務経験で8単位(条件により6単位)。通常の59単位以上と比べて大幅に短い
- 特例の期限は令和12年(2030年)3月31日。令和6年法律第53号で5年延長された結果であり、再延長の保証はない
- 実務経験は実労働時間で数え、複数施設の通算が可能
- 教員免許更新制は令和4年(2022年)7月1日に廃止。施行日時点で有効な免許は休眠分も含め、手続きなく有効期限のない免許になった
すでに保育士として現場にいる人にとって、いま動く理由がはっきりある制度です。期限のある特例なので、まず自分の実務時間数を数えるところから始めてください。

