30秒でわかるまとめ
- 医療・福祉の8月の給料は4.1%増えました月28万5,682円でした。働く人全体は3.8%増で、7月とは逆に医療・福祉のほうが上回りました。
- 上回った理由は、賞与などの特別給与の伸びです毎月決まって支給する給与は3.5%増で、全体の3.9%増に届いていません。
- フルタイムで働く人の給料は4.9%増でした全産業のフルタイムの3.7%増を上回りました。フルタイムの人数も前年より0.4%増えています。
- 同じ事業所どうしで比べても、医療・福祉が上です前年と同じ事業所だけで比べると、医療・福祉は3.3%増、全産業は2.8%増でした。
厚生労働省は10月7日、毎月勤労統計調査の2026年8月分結果速報を公表した。働く人全体の現金給与総額は前年同月比3.8%増だった。看護・介護・保育・栄養の職場が入る「医療,福祉」は4.1%増で、全体の伸びを上回った。7月分では医療・福祉が3.3%増、全体が4.7%増で、医療・福祉が1.4ポイント届いていなかった。8月は順番が入れ替わった。ここでは原典の統計表を読み、何が伸びたのかを整理する。
8月の給料は全体で3.8%増
働く人1人あたりの現金給与総額は31万1,364円で、前年同月比3.8%増だった。物価を差し引いた実質賃金(持家の帰属家賃を除く総合で実質化)は1.5%増で、8か月続けてプラスになった。同じ月の消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)は2.2%上昇している。
7月は、医療・福祉が全体に届いていませんでしたよね。
7月は3.3%増で、全体の4.7%増に1.4ポイント届かなかったね。
月によって順番が入れ替わるなら、中身を見ないと分かりませんね。
医療・福祉は4.1%増で全体を上回る
「医療,福祉」の現金給与総額は28万5,682円で、前年同月比4.1%増だった。給与の項目ごとに全体と並べると次のとおり。
| 2026年8月 | 全産業 | 医療,福祉 |
|---|---|---|
| 現金給与総額 | 311,364円 (3.8%増) | 285,682円 (4.1%増) |
| きまって支給する給与 | 298,358円 (3.9%増) | 276,857円 (3.5%増) |
| うち所定内給与 | 277,861円 (3.8%増) | 262,428円 (3.4%増) |
| 特別に支払われた給与 | 13,006円 (同水準) | 8,825円 (30.1%増) |
出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査 2026年8月分結果速報」第1表(事業所規模5人以上、就業形態計。括弧内は前年同月比)
16の産業のなかで、医療・福祉の現金給与総額は低いほうから5番目だった。これより低いのは、飲食サービス業等、生活関連サービス等、その他のサービス業、卸売業,小売業の4つである。
上回ったのは特別給与の伸び
項目ごとに見ると、医療・福祉が全体を上回ったのは特別に支払われた給与の伸びによる。この項目は賞与や期末手当などを含み、医療・福祉は30.1%増だった。一方、毎月決まって支給する給与は3.5%増、基本給にあたる所定内給与は3.4%増で、どちらも全体の伸び(3.9%増、3.8%増)に届いていない。
8月の特別給与は医療・福祉で8,825円と額が小さく、少しの変化でも伸び率が大きく動く。前年比は指数から計算されており、実数から計算した値とは一致しないことがある。
フルタイムは4.9%増
働き方別に見ると、医療・福祉のフルタイム(一般労働者)の現金給与総額は36万2,236円で4.9%増だった。全産業のフルタイム(39万9,849円、3.7%増)を伸びで上回った。パートタイム労働者は13万5,490円で4.1%増と、全産業のパート(11万5,905円、4.1%増)と同じ伸びだった。
統計でいう「一般労働者」はパート以外の常用労働者で、正社員だけを指すものではない。
毎月の給料のほうは、まだ全体に届いていないんですね。
きまって支給する給与は3.5%増で、全体は3.9%増だったね。
フルタイムだけで見ると、4.9%増だったよ。
どの数字を見るかで、印象がかなり変わりますね。
同じ事業所で比べても3.3%増
この調査は、前年も今年も続けて調べた同じ事業所だけを取り出した前年同月比も、参考として公表している。調査対象の入れ替えによる段差の影響を受けない見方である。
| 現金給与総額の前年同月比 | 全産業 | 医療,福祉 |
|---|---|---|
| 公表ベース | 3.8% | 4.1% |
| 同じ事業所どうし | 2.8% | 3.3% |
出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査」共通事業所による前年同月比の参考提供(2026年8月分速報)
同じ事業所どうしでも、医療・福祉の3.3%増は全産業の2.8%増を上回った。医療・福祉のきまって支給する給与は3.2%増、所定内給与は3.1%増だった。
フルタイムの人数も増加に
医療・福祉で働く人は856万2,000人で、前年より1.5%増えた。フルタイムは566万9,000人で0.4%増、パートは289万3,000人で4.1%増だった。7月分ではフルタイムが前年より0.7%減っていたが、8月は増加に転じた。パート比率は33.79%で、前年より0.82ポイント上がった。
同じ事業所で比べても、医療・福祉の伸びは悪くないんですね。
月ごとの上下より、毎月の給料の伸びを続けて見ていきたいです。
迷ったらここ
毎月の給料の伸びを聞く
統計の伸び率は業界の平均で、自分の職場の賃上げは勤め先の処遇改善の取り方と配り方で決まります。応募先や今の職場では次の点を確かめておくと比べやすくなります。
- 今年の基本給の引き上げ額(ベースアップの額)
- 処遇改善の手当が毎月払いか、賞与などでまとめて払いか
- 賞与の月数と、ここ数年の実績
- フルタイムとパートで、昇給の扱いがどう違うか
編集部の見方:1か月の逆転は追い風の印
ここからは編集部の見方である。8月分で医療・福祉が全体の伸びを上回ったのは明るい材料だが、その中身は額の小さい特別給与の伸びが押し上げたものだ。毎月決まって支給する給与と所定内給与は、まだ全体の伸びに届いていない。1か月の逆転だけで、賃金の差が縮まり始めたとは言えない。
一方で、同じ事業所どうしの比較では7月、8月と続けて医療・福祉が全体を上回り、8月はフルタイムの人数も増えに転じた。処遇改善の取り組みが少しずつ給料に表れている可能性はある。7月分の詳しい分析は7月分の記事で、介護の業界団体がまとめた今年の賃上げ率は介護の賃上げ率の記事で整理している。
出典
一次資料
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2026(令和8)年8月分結果速報」(2026年10月7日公表、2026年10月16日参照)。報道発表資料、第1表〜第3表、付表、共通事業所による前年同月比の参考提供
- 同「毎月勤労統計調査 2026(令和8)年7月分結果速報」(2026年9月8日公表、2026年10月16日参照)。7月分との比較に使用
編集部メモ
- 速報値です。確報で改訂されることがあります。
- 前年同月比は、統計表の数字をそのまま使っています。資料の注意書きにあるとおり、前年比は指数から計算されており、実数から計算した値とは一致しない場合があります。
- 事業所規模5人以上の数字です。「医療,福祉」は看護・介護・保育・栄養の職場を含む産業の分類で、職種ごとの数字ではありません。
- 7月分の数字(医療・福祉3.3%増、全体4.7%増、フルタイムの人数0.7%減、同じ事業所どうしの比較)は、7月分結果速報の統計表から取りました。
- 2026年1月に調査対象事業所の部分入替えが行われており、公表ベースの数字には入替えによる段差が含まれます。同じ事業所どうしの比較は、その影響を受けない参考値です。

