保育所の業務継続計画、2027年度中に義務化案 訓練は年1回以上

保育所の業務継続計画 2027年度中に義務化案

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目次

30秒でわかるまとめ

  • 保育士が働く保育所に、業務継続計画を義務づける案ですこども家庭庁が10月26日の分科会に示しました。いまは努力義務で、2027年度中の義務化を提案しています。
  • 研修と訓練は年1回以上、計画の見直しも求めます計画には災害と感染症の備えを書きます。訓練では、職員の役割分担や優先して続ける業務を確かめます。
  • 自然災害の計画を作った園は、策定中も含め約7割です保育所と認定こども園の数字です。自然災害以外の場面の計画は約5割程度にとどまっています。
  • 熊本地震では、被災した保育士のシフトに影響が出ました被災地の自治体や保育所から寄せられた声です。職員が少ない状況でも保育を続ける準備が要る、と国はまとめています。

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こども家庭庁は10月26日、持ち回りで開いた子ども・子育て支援等分科会(第16回)に、保育所などの業務継続計画(BCP)の策定を義務にする案を示した。災害や感染症が起きても保育を続けたり、早く再開したりするための計画で、いまは努力義務にとどまる。案では2027年度中に義務化し、職員への研修と訓練を年1回以上求める。保育士の働き方にどう関わるかを整理する。

2027年度中に義務化する案が示された

資料は「保育所等における業務継続計画(BCP)の策定等について」。いまは努力義務になっている次の3つについて、「令和9年度中に、保育所等(※)に対し、その実施を義務化してはどうか」と提案している。

  • 業務継続計画を作ること
  • 計画を職員に周知し、研修と訓練を定期的に行うこと
  • 計画を定期的に見直すこと

義務化に当たっては、園の準備期間として一定の経過措置期間を設ける案もあわせて示した。経過措置の長さは資料に書かれていない。今回は持ち回り開催で、案はまだ決まったものではない。

ちはる

計画を作るのは園長や本部の仕事で、保育士には関係ないと思っていました。

熊先生

案では、作るだけでなく、職員への周知と研修、訓練も義務の中に入っているんだ。

ちはる

現場の保育士も、訓練に参加する側になるんですね。

いまは努力義務、自然災害の計画は約7割

保育所などの児童福祉施設は、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の第9条の3で、業務継続計画を作ること、職員への周知・研修・訓練、定期的な見直しに「努めなければならない」とされている。幼保連携型認定こども園にも、同じ規定が準用されている。

資料は、保育所などが計画を求められる理由を、サービスの提供が難しくなると「利用児童の生活や安全に深刻な影響を及ぼしかねず」、災害時や感染症の発生時にも支援を安定して続けることが求められる施設だから、と説明している。

策定はどこまで進んでいるか。2025年度の国の調査研究(子ども・子育て支援等推進調査研究事業)によると、保育所と認定こども園で、自然災害が起きたときの業務継続計画の策定率は、策定中の場合も含めて約7割程度だった。それ以外の業務継続計画の策定率は約5割程度にとどまる。

国は2021年度の調査研究で、策定の手引きになる業務継続ガイドラインとひな形、研修動画を作り、公表している。手引きはあっても、計画を持たない園がまだ一定数あることになる。

義務になる3つ、研修と訓練は年1回以上

資料は、義務化した場合の要件のイメージを3つに分けて示している。

義務の中身要件のイメージ
計画を作る災害と感染症の事前の対策(備蓄品の確保、人員の確保、関係先との連携・情報収集など)と、発災時・感染症の発生時の初動対応、時間の経過や発生の段階に応じた対応を書く
研修と訓練研修では計画の中身を職員で共有する。訓練では職員の役割分担を確かめ、災害や感染症のときに優先して行う業務を演習する。年に1回以上行う
見直し訓練などで見えてきた課題を踏まえて、計画を見直す

出典:こども家庭庁「保育所等における業務継続計画(BCP)の策定等について」(第16回子ども・子育て支援等分科会 資料2)をもとに編集部作成

研修と訓練は、職員教育を組織的に浸透させるために「定期的(年に1回以上)に実施する」とされている。計画を書いて終わりではなく、職員が中身を知り、実際に動けるかを毎年確かめる形だ。

いまの計画で書くよう求めている項目として、資料は3つを挙げている。どの備蓄品をどこに、どれだけ置き、どこから調達するか。職員をどう確保するか(参集ルール、夜間の対応、外からの応援の受け入れ方針など)。関係先とどう連携し、情報を集めるか(連絡先や情報収集先の一覧づくりなど)。

職員の確保の項目には、参集ルールや夜間の対応が例として入っている。勤務時間の外で災害が起きたとき、職員がどう動くかは、この決まりの中身で変わる。

対象は保育所と2種類の認定こども園

義務化の対象は「保育所及び認定こども園(幼保連携型・保育所型)」とされている。認定こども園のうち幼稚園型と地方裁量型は、資料の対象施設には挙がっていない。

国は義務化にあわせて、業務継続ガイドラインとひな形を改訂し、計画づくりの解説動画も作る(2026年度中を目途)。感染症が集団で発生したときに保育をどう続けるかは、「保育所における感染症対策ガイドライン」に新たに書き加える予定だ(2026年12月頃を目途)。

市町村に向けては、災害時の自治体と園の連携体制や、ハザードマップなどに応じた各保育所の再開の進め方について、基本的な考え方を整理して周知する(2026年度中を目途)。保育の実施主体である市町村を中心に、地域単位で備える考え方だ。

熊本地震の被災地で保育士の確保が課題に

資料は、2026年の熊本地震(令和8年熊本地震)で自治体や保育所から寄せられた意見を並べている。職員の確保については、「保育士が被災し、勤務できる状況では無い」「保育士が被災し、シフトに影響が出ている」という声が載っている。自宅が被災した職員や、避難所で生活している職員もおり、メンタルケアが課題だという。

備えについては、電波時計・体温計・段ボールの必要性を感じた、給食の再開まで時間がかかり紙皿などの調達も課題になった、という声があった。発災の週にたまたま地震の避難訓練をしていたため、園児が机の下への避難などを落ち着いてできた、という園もある。

自治体との関係では、開所の扱いが自治体ごとに違う、固定電話だけを行政に伝えていて連絡が取れないケースがある、といった課題も挙がった。資料はこれらを踏まえ、災害でライフラインが限られ、平時より職員が少ない状況でもできる限り業務を続けられるよう、事前の準備が必要だとまとめている。

ちはる

災害のときは、保育士も被災者になるんですね。

熊先生

被災地からは、保育士が被災してシフトに影響が出ているという声が届いていたね。

熊先生

その週に避難訓練をしていて、園児が落ち着いて動けた園もあったよ。

ちはる

計画は、人が足りないときにどう回すかまで決めておくものなんですね。

委員からは一律の義務化に慎重な意見も

8月19日の第15回分科会では、委員から次のような意見が出ていた(こども家庭庁が資料にまとめたもの)。

  • 「介護分野ではBCPの策定は義務となっており、策定がされていないと公定価格上の減算がされる仕組みもある」として、取り組みを加速すべきだという意見
  • 「BCPが努力義務でいいのか今後検討いただきたい」という意見
  • 「一律で義務づけということにはならないのではないか」として、園の人数や立地条件に応じた柔軟な基準や、分かりやすいひな形を求める意見
  • 各施設単位での備えや計画では無理があるとして、市町村が平時から施設との連携体制をつくっておくべきだという意見

今回の案は、義務化そのものに加えて、経過措置、ガイドラインとひな形の改訂、市町村を中心にした地域単位の取り組みを組み合わせている。義務にするかどうかと、小さな園でも作れるかどうかの両方に応えようとする形だ。

ちはる

義務になるまでは、園ごとに備えの進み方が違いそうですね。

熊先生

計画があるか、訓練をいつしたかは、見学や面接でも聞ける話だよ。

迷ったらここ

防災の備えを園に聞く

業務継続計画は、まだ努力義務です。応募先では次の点を聞いておくと、災害や感染症のときの働き方が見えてきます。

  • 災害や感染症のときの業務継続計画があるか
  • 避難訓練や計画の訓練を、年に何回しているか
  • 勤務時間の外で災害が起きたときの集まり方の決まり
  • 備蓄品や連絡網を、誰が管理しているか
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編集部の見方:訓練は保育士の仕事になる

ここからは編集部の見方である。案が通れば、業務継続計画は園の書類から、職員が年1回以上の研修と訓練で中身を確かめるものに変わる。熊本地震の被災地の声が示すように、災害時は保育士自身も被災者になりうる。計画で決めておくのは、少ない人数でどの業務を優先し、誰がどう集まるかだ。

一方で、自然災害の計画を作った園は策定中を含めて約7割、それ以外の計画は約5割程度にとどまる。義務化と経過措置が終わるまでは、園によって備えに差が残る。転職先を選ぶときは、計画があるかに加えて、訓練をいつ、どんな内容でしたかを聞くと、その園の備えが具体的に見えてくる。同じ分科会で議論が続く公定価格の地域区分は地域区分の記事で整理している。

出典

一次資料

  • こども家庭庁「第16回 子ども・子育て支援等分科会」(2026年10月26日持ち回り開催、2026年10月27日参照)。議事次第、資料2「保育所等における業務継続計画(BCP)の策定等について」

編集部メモ

  • 義務化は分科会に示された案で、決まったものではありません。経過措置の長さや、2027年度中のいつから義務になるかは、資料に書かれていません。
  • 策定率の約7割・約5割は、資料に書かれた概数です。元になった2025年度の調査研究の報告書は確認していないため、調べた園の数や、「それ以外の業務継続計画」が何を指すかは分かりません。
  • 熊本地震の被災地から寄せられた声と、第15回分科会の委員の意見は、こども家庭庁が資料にまとめたものを使っています。
  • 介護分野の業務継続計画の扱いは、委員の意見として紹介したもので、この記事では介護の制度そのものは確かめていません。
  • 報道各社の記事は参照していません。数値も記述も、すべて原典から取っています。
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この記事を書いた人

医療・福祉・保育の人材紹介の現場で求職者の相談を受けてきた編集者が担当しています。キャリアアドバイザー歴8年、転職相談・紹介の対応実績1,500人以上(自社実績/2026年8月時点)。介護・看護師・保育士・栄養士の4分野を担当。記事の数値には必ず出典と公表時点を添えています。

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