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30秒でわかるまとめ
- 看護師が働く看多機で、入浴の報酬を見直す案が出ました厚生労働省が10月9日の分科会で示しました。機械浴に対応していない事業所の負担を、報酬で調整する案です。
- 外部の訪問入浴の費用は、1回平均1万1,376.7円ですいまのルールでは費用を別に算定できず、事業所が支払っています。金額を答えた事業所は7か所でした。
- 看多機の利用者の平均要介護度は3.2と重めです小規模多機能型居宅介護の2.4より重い人を受け入れています。服薬の指導・管理は利用者の64.7%に行っています。
- 看護師の給与は、病院より訪問看護や介護施設が低めでした介護関係の団体の資料では、病院40.9万円、訪問看護ステーション38.3万円、介護施設37.4万円でした。
厚生労働省は10月9日、社会保障審議会の介護給付費分科会で、2027年度の介護報酬改定に向けて看護小規模多機能型居宅介護(看多機)の論点と対応案を示した。看多機は、通い・泊まり・訪問介護に訪問看護を組み合わせ、医療的なケアが必要な人の在宅生活を24時間支えるサービスで、看護師が中心的な役割を担う。案は、機械浴に対応していない事業所の入浴の費用負担を報酬で調整するとした。在宅の看護に関心のある看護師に向けて、案の中身と背景を整理する。
看多機は看護と介護を一体で提供
資料によると、看多機は小規模多機能型居宅介護と訪問看護を組み合わせ、退院直後の在宅生活への移行支援、がん末期などの看取り期の支援、家族へのレスパイトなどに対応する。登録定員は29人以下で、職員は看護師、介護士、ケアマネジャーなどで構成される。日中の訪問サービスの従業者は常勤換算で2人以上とされ、そのうち1人以上は保健師、看護師または准看護師でなければならない。
利用者は重い人が多い。介護給付費等実態統計(2024年5月審査分〜2025年4月審査分)による平均要介護度は、看多機が3.2で、小規模多機能型居宅介護の2.4を上回る。
看多機は、看護と介護の両方を1つの事業所で受けられるんですね。
平均要介護度は3.2で、小規模多機能の2.4より重かったね。
重い人を家で支える分、看護師の役割が大きい職場ですね。
機械浴に対応しない事業所は11.0%
看取り期などで通うことが難しくなった利用者は、自宅で入浴することも難しい。資料が引いた調査(182事業所)では、自事業所でストレッチャー浴が可能な事業所が48.9%、ストレッチャー浴以外の機械浴が可能な事業所が34.1%で、機械浴に対応していない事業所は11.0%だった。
機械浴に対応していない事業所では、利用者の入浴の機会を確保するため、外部の訪問入浴介護サービスを使うことがある。同じ調査で、外部の訪問入浴介護を利用したことがある事業所は3.8%だった。
外部の入浴は1回平均1万1,376.7円
いまの報酬のルールでは、看多機の利用者が外部の訪問入浴介護を使っても、その費用を別に算定できない。そのため事業所は、国のQ&Aの考え方にもとづいて、訪問入浴介護の事業所に費用を支払っている。外部の訪問入浴介護を使った事業所が支払った金額は1回平均1万1,376.7円(中央値1万2,630円)で、「1万円以上1万5,000円未満」が57.1%で最も多かった。
| 外部の訪問入浴介護の利用金額 | 割合 |
|---|---|
| 5,000円未満 | 14.3% |
| 5,000円以上1万円未満 | 0.0% |
| 1万円以上1万5,000円未満 | 57.1% |
| 1万5,000円以上2万円未満 | 0.0% |
| 2万円以上 | 14.3% |
| 無回答 | 14.3% |
出典:厚生労働省 第269回社会保障審議会介護給付費分科会 資料3(令和7年度老人保健健康増進等事業「看護小規模多機能型居宅介護の役割と設置促進に関する調査研究事業」、2025年4〜9月の利用状況、7件)
金額の数字は、外部の訪問入浴を使った7件の回答から出たもので、全国の平均を表すものではない。
対応案は利用者の状態に応じた報酬調整
対応案は、機械浴による入浴サービスを提供できない事業所について、サービスの提供量、利用者の納得感、事業所の負担感のバランスから、併せて算定できるサービスを見直すとした。そのうえで、費用のすべてを事業所の負担とするのではなく、療養通所介護などの減算の方法を参考に、利用者の状態像に応じて報酬を調整することを提案した。
看多機ではこのほか、訪問看護の提供体制の強化として、専門性の高い看護師が認知症の利用者への支援などで地域の相談支援を担っていることの評価や、利用者宅での残薬の確認と服薬管理の方策も論点に挙がった。これらは、訪問看護についての分科会で議論する予定とされている。
入浴の費用を、事業所が全部持つ形を改める案なんですね。
利用者の状態像に応じて報酬を調整する、という案だったね。
残薬の確認と服薬管理も、論点に入っていたよ。
看護師の仕事の評価も、これから議論が続くということですね。
清潔保持と服薬管理が中心のケア
資料が引いた調査(利用者85人)で、看多機の利用者に提供したケアは、身体の清潔保持の管理・援助が71.8%、服薬指導・管理と家族等への指導・支援がそれぞれ64.7%、排泄の援助が60.0%だった。利用者の主な傷病は、認知症(22.4%)と脳卒中(18.8%)が多かった。
看護職員の確保と賃金の差が課題
分科会の委員からは、医療的ケアに加え夜間・緊急時・看取りの対応もあるのに、職員の負担に見合った報酬の評価が十分ではなく、看護職員の人材確保が課題になっているとの意見が出ていた。関係団体の意見交換会では、日本訪問看護財団と全国訪問看護事業協会が、病院で働く看護職員との賃金格差が広がっていると訴えている。
介護関係の17団体が10月6日に公表した要望書の添付資料は、日本看護協会の「2024年度看護職員の賃金に関する実態調査」から、勤務先による看護師の給与を比べている。病院40.9万円、訪問看護ステーション38.3万円、介護施設37.4万円で、病院との差は訪問看護ステーションで2.6万円、介護施設で3.5万円だった。
在宅の看護は、病院より給与が低い傾向があるんですね。
看多機を選ぶなら、仕事の中身と給与の両方を確かめたいです。
迷ったらここ
看多機の働き方を確かめる
看多機は、通い・泊まり・訪問をまたいで重い利用者を支える職場です。応募先では次の点を聞いておくと比べやすくなります。
- 看護職員の人数と、訪問・通い・泊まりの分担
- 夜間の泊まりの体制とオンコールの回数・手当
- 機械浴などの設備があるか
- 給与と、病院勤務のときとの差
編集部の見方:設備の差が負担の差になる
ここからは編集部の見方である。今回の入浴の論点は、対象となる事業所の数こそ限られるが、看多機の設備の差が、そのまま事業所の負担の差になっていることを示している。機械浴がない事業所では、看取り期の利用者の入浴を外部に頼り、その費用を事業所が持っている。報酬で調整されれば、その負担は軽くなりうる。
看護師にとって看多機は、病院では見えにくい在宅の看取りや家族の支援にかかわれる職場である一方、給与は病院より低い傾向がある。訪問看護の団体が賃金格差を訴えているいま、設備、看護職員の人数、オンコールの体制、給与を事業所ごとに比べることが大切になる。介護保険の訪問看護の利用者が増えていることは訪問看護の利用者の記事で、オンコール手当の決まり方はオンコール手当の記事で整理している。
出典
一次資料
- 厚生労働省「第269回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料」(2026年10月9日、2026年10月16日参照)。資料3「看護小規模多機能型居宅介護」
- 公益社団法人全国老人保健施設協会ほか介護関係17団体「令和9年度介護報酬改定に向けた要望書」(PDF、2026年10月6日、2026年10月16日参照)。添付資料「勤務先による看護師の給与比較」(出典:日本看護協会「2024年度看護職員の賃金に関する実態調査」)
編集部メモ
- 今回の資料は「対応案」で、分科会での議論を経て変わることがあります。報酬をどれだけ調整するかは示されていません。
- 入浴の金額(平均1万1,376.7円)は、外部の訪問入浴介護を使った事業所のうち回答した7件の数字です。機械浴の対応状況は182事業所、提供したケアは利用者85人の調査結果です。いずれも資料が引いている令和7年度老人保健健康増進等事業の数字です。
- 平均要介護度は、介護給付費等実態統計(2024年5月審査分〜2025年4月審査分)から資料が算出した値です。
- 看護師の給与は、17団体の資料が日本看護協会の調査から示した額です。給与の定義(賞与を含むかなど)は資料に書かれていないため、本文では書いていません。
- 委員の意見と関係団体の意見は、資料が事務局の責任で整理したものです。

