助産師の病院とクリニックの違い|生まれる場所の44.8%は診療所、助産師は22.4%

目次

30秒でわかるまとめ

  • 助産師が働く場所は、病院が59.5%を占めます就業助産師38,721人のうち、病院は23,054人、診療所は8,672人で22.4%でした。
  • 生まれた場所は、診療所が44.8%でした2025年の出生671,270人のうち、病院は366,737人で54.6%、診療所は300,703人です。
  • 担当助産師は1施設あたり病院20.2人、診療所6.5人です担当助産師(常勤換算)を分娩を取り扱う施設の数で割った編集部試算です。施設数は909と949です。
  • 帝王切開の割合は、病院が29.1%と高くなっています2023年9月中の分娩件数に占める割合で、診療所は15.3%です。どちらがよいかは、この数字からは言えません。

※助産師の業務の中身は助産師の仕事内容と1日、収入は助産師の年収で扱っています。

母子の健康を支える(助産師)

まず言葉:「クリニック」は、法律では診療所です

病院と診療所の違いは、医療法 第1条の5が定めています。

「この法律において、「病院」とは、医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であつて、二十人以上の患者を入院させるための施設を有するものをいう。」

出典:医療法(e-Gov法令API 法令ID 323AC0000000205)第1条の5第1項第1文(原文どおり。第2文は省略)

「この法律において、「診療所」とは、医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であつて、患者を入院させるための施設を有しないもの(オンライン診療受診施設であるものを除く。)又は十九人以下の患者を入院させるための施設を有するものをいう。」

出典:医療法 第1条の5第2項(原文どおり)

入院させるための施設が20人以上なら病院、ないか19人以下なら診療所です。医療法に「クリニック」という区分はありません。病院か診療所かは、名前ではなく入院させるための施設の規模で決まります。本記事が使う統計も病院・診療所で分けているため、「クリニック」を診療所として読みます。第2項のかっこ書きの施設は、本記事では扱いません。

なお助産所は、医療法 第2条が病院・診療所とは別に定めている場所です。開設の条件は助産師になるにはで扱っています。

受付案内する看護師

生まれた場所:2025年は病院54.6%、診療所44.8%

人口動態統計(令和7年・確定数)の、出生の場所別の出生数です。

出生の場所出生数割合
総数671,270人100.0%
病院366,737人54.6%
診療所300,703人44.8%
助産所2,827人0.4%
自宅・その他1,003人0.1%

出典:厚生労働省「人口動態統計(令和7年・確定数)」上巻 出生 第4.7表・第4.8表(e-Stat)

割合は第4.8表の百分率で、たとえば診療所は 300,703 ÷ 671,270 × 100 = 44.8 と計算しても同じになります。病院・診療所・助産所を足すと施設内の670,267人、これに自宅・その他を足すと総数に一致します。自宅・その他の内訳は、自宅823人、その他180人です(第4.9表)。

生まれる子のうち、半分近くが診療所で生まれています。この割合は一時的なものではなく、2010年以降の診療所の割合は44.3%〜47.1%の間で動いています(第4.8表)。

在宅医療の聴診器

ここが本題:助産師が働く場所は、病院が59.5%です

次に、助産師がどこで働いているかです。衛生行政報告例(就業医療関係者)の令和6年末の数字です。

就業場所実人員構成割合常勤換算数
総数38,721人100.0%35,016.5人
病院23,054人59.5%22,002.1人
診療所8,672人22.4%7,565.3人
助産所2,905人7.5%2,398.4人
市区町村1,689人4.4%1,013.6人
看護師等学校養成所又は研究機関1,534人4.0%1,477.2人
上記以外(訪問看護ステーション・社会福祉施設・保健所・都道府県・事業所・その他)867人2.2%559.9人

出典:厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」表2。「上記以外」の行は6区分を編集部で合算し、割合は 867 ÷ 38,721 × 100 で計算

表の内訳を足すと38,721人になり、総数と一致します(編集部で検算)。なお原本の注には「「助産師」は、「介護保険施設等」について調査していない。」とあります。

助産師の6割近くが病院で働き、診療所は2割余りです。

並べると:診療所は、出生の4割台・助産師の2割台です

年をそろえるため、出生は助産師の数と同じ2024年で並べます。2024年の出生は686,173人で、病院375,336人、診療所306,791人、助産所3,037人でした(第4.7表)。

区分病院診療所助産所
出生の場所(2024年)54.7%44.7%0.4%
就業助産師(2024年末)59.5%22.4%7.5%

出典:人口動態統計(令和7年・確定数)第4.8表、令和6年衛生行政報告例 表2

別の統計でも同じ向きです。医療施設調査(令和5年・静態)では、一般病院と一般診療所を合わせた2023年9月中の分娩件数のうち、一般診療所は 26,335 ÷(32,691+26,335)× 100 = 44.6%。一方、分娩を担当する助産師(常勤換算)のうち一般診療所は 6,185.1 ÷(18,377.6+6,185.1)× 100 = 25.2%でした(編集部試算)。

生まれる場所としての診療所と、助産師が働く場所としての診療所には、はっきりした差があります。出生数に対する助産師の数は、診療所のほうが少ないということです。

ただし、出生数と分娩件数は別の数え方で、統計ごとに基準の日も違います。病院で働く助産師が全員分娩に関わっているとも限りません。この差から「診療所の助産師は忙しい」とまでは言えません。

分娩を扱う施設は、病院886・診療所880でほぼ同じ数です

では、分娩を扱う施設の数はどうか。医療施設調査(静態)の、9月中に分娩を実施した施設数です。

年(9月中)総数一般病院一般診療所
2011年2,3781,0511,327
2023年1,766886(50.2%)880(49.8%)

出典:厚生労働省「令和5(2023)年医療施設(静態・動態)調査」表13。2011年は宮城県の石巻医療圏・気仙沼医療圏と福島県の全域を除いた数値

2023年10月1日時点で「分娩取扱あり」(9月中の分娩の有無にかかわらず、分娩を取り扱っている施設)は、一般病院が7,065施設のうち909(12.9%)、一般診療所が104,894施設のうち949(0.9%)です。

そのうち院内助産所があるのは、一般病院154(16.9%)、一般診療所40(4.2%)でした。

出典:同調査 表15

分娩を扱う施設の数では、病院と診療所はほぼ半々です。一方、診療所全体のうち分娩を扱うのは0.9%です。「クリニック」の求人では、分娩を扱うかどうかを個別に確かめる必要があります。

1施設あたりの担当助産師は、病院20.2人・診療所6.5人

表15には、分娩を担当する医師と助産師の数(常勤換算)が出ています。分娩を取り扱う施設の数で割ると、1施設あたりの平均になります。

区分分娩取扱あり担当助産師(常勤換算)1施設あたり担当医師(常勤換算)1施設あたり
一般病院909施設18,377.6人20.2人6,880.8人7.6人
一般診療所949施設6,185.1人6.5人1,961.2人2.1人

出典:医療施設調査(令和5年・静態)表15。1施設あたりは編集部試算(18,377.6 ÷ 909、6,185.1 ÷ 949、6,880.8 ÷ 909、1,961.2 ÷ 949)

平均で見ると、診療所の分娩は、病院よりかなり少ない人数のチームで扱われています。働く側から見ると、同じ職場で分娩に関わる助産師の数が、病院と診療所で大きく違うということです。

これは平均で、施設ごとの差や夜勤の組み方は、この表からはわかりません。

帝王切開の割合は、病院29.1%、診療所15.3%

扱う分娩の中身も、病院と診療所で並びが違います。

2023年9月中一般病院一般診療所
分娩件数32,691件26,335件
帝王切開娩出術(再掲)9,523件(29.1%)4,028件(15.3%)
帝王切開を除く無痛分娩(再掲)4,306件(13.2%)3,834件(14.6%)

出典:医療施設調査(令和5年・静態)表14。割合は原本の「分娩に占める割合」

帝王切開の割合は病院が高く、帝王切開を除く無痛分娩の割合は診療所がやや高くなっています。関わる分娩の種類の比率が違います。理由は表に書かれていないため、推測しません。

常勤換算で見ると、診療所は1人あたり0.87です

表2には実人員と常勤換算数が並んでいます。常勤換算数は、原本の注で次のように説明されています。

「常勤換算数とは、各就業者に常勤換算率を掛けた数値を足し上げたものである。」

出典:令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況 表2 注1(原文どおり)

常勤換算数を実人員で割ると、1人あたりの平均がわかります(編集部試算)。

  • 病院:22,002.1 ÷ 23,054 = 0.95
  • 診療所:7,565.3 ÷ 8,672 = 0.87
  • 助産所:2,398.4 ÷ 2,905 = 0.83

診療所で働く助産師のほうが、常勤1人分に満たない働き方の比重が大きい、という平均の形です。ただし就業場所別の雇用形態(正規雇用・非正規雇用など)の内訳は、本記事は取得していません。

この記事が扱っていないこと

  • 給与・年収の違い。本記事は扱っていません。収入は助産師の年収で扱っています。
  • 忙しさ、夜勤の回数、人間関係。統計に数字がないため書いていません。
  • 助産師1人あたりの分娩件数。分娩件数(9月中)と担当助産師数(10月1日)は基準の日が違い、医師も分娩を担当するため、本記事は計算していません。
  • 有床・無床の診療所ごとの助産師数と、就業場所別の雇用形態。本記事は取得していません。
  • 都道府県ごとの違い。本記事は全国の数字だけを使っています。

助産師が職場を選ぶときに確認できること

  • 分娩を扱っているか。一般診療所のうち分娩取扱ありは0.9%です。
  • 分娩を担当する助産師と医師の人数。平均は病院20.2人・診療所6.5人です。入る職場の人数を聞けます。
  • 帝王切開や無痛分娩の扱い。割合は病院と診療所で違います。月の分娩件数とあわせて確認できます。
  • 院内助産所の有無。一般病院では16.9%、一般診療所では4.2%にあります。
  • 常勤・非常勤の構成。1人あたりの常勤換算は、診療所0.87、病院0.95です。

よくある質問

Q. クリニックと病院は、法律ではどう違いますか。
A. 医療法 第1条の5で、患者を入院させるための施設が20人以上なら病院、ない場合か19人以下なら診療所です。「クリニック」という区分は医療法にはありません。

Q. 助産師は病院とクリニックのどちらで多く働いていますか。
A. 令和6年末の就業助産師38,721人のうち、病院が23,054人(59.5%)、診療所が8,672人(22.4%)です。

Q. 赤ちゃんはどこで生まれることが多いですか。
A. 2025年の出生671,270人のうち、病院が366,737人(54.6%)、診療所が300,703人(44.8%)、助産所が2,827人(0.4%)です。

Q. 病院とクリニックで、助産師の働き方はどう違いますか。
A. 分娩を扱う1施設あたりの担当助産師(常勤換算)は病院20.2人・診療所6.5人、帝王切開の割合は病院29.1%・診療所15.3%です(編集部試算を含む)。忙しさや人間関係は統計からは言えません。

Q. 病院とクリニック、どちらが助産師に向いていますか。
A. 本記事は判断していません。分娩の有無、担当する人数、扱う分娩の種類など、職場ごとに確認できる点を上に挙げています。

迷ったらここ

助産師の病院と診療所の違いを数字で見る

2025年の出生のうち診療所は44.8%ですが、就業助産師のうち診療所は22.4%です。分娩を扱う1施設あたりの担当助産師は、病院20.2人・診療所6.5人です(編集部試算)。

  • 分娩を扱っている職場か(一般診療所で分娩取扱ありは0.9%)
  • 分娩を担当する助産師と医師の人数
  • 帝王切開・無痛分娩の扱いと、院内助産所の有無
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まとめ

「クリニック」は医療法では診療所で、病院との違いは入院させるための施設が20人以上か、19人以下(またはなし)かです(第1条の5)。

2025年の出生のうち診療所は44.8%なのに対し、令和6年末の就業助産師のうち診療所は22.4%、病院は59.5%です。生まれる場所の半分近くを占める診療所に、助産師は2割余りしかいません。

その差は、1施設あたりの担当助産師(病院20.2人・診療所6.5人)、帝王切開の割合(病院29.1%・診療所15.3%)、1人あたりの常勤換算(病院0.95・診療所0.87)の違いとして数字に出ています。どちらがよいかは、この数字からは決まりません。

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この記事を書いた人

医療・福祉・保育の人材紹介の現場で求職者の相談を受けてきた編集者が担当しています。キャリアアドバイザー歴8年、転職相談・紹介の対応実績1,500人以上(自社実績/2026年8月時点)。介護・看護師・保育士・栄養士の4分野を担当。記事の数値には必ず出典と公表時点を添えています。

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