30秒でわかるまとめ
- 訪問看護の常勤看護師は、1人当たり月470,844円です介護保険の訪問看護事業所を対象にした国の数字です。年収ではなく、月額で出ています。
- 同じ事業所の准看護師とは、月76,042円の差があります常勤の准看護師は394,802円、理学療法士は449,606円で、看護師がいちばん高い欄です。
- 介護保険サービスの中では、上から3番目の水準です老健の493,627円、介護医療院の484,507円に次ぎ、通所介護の377,597円を上回ります。
- 賞与を含むかどうかは、結果に書かれていません調査票では、職種別に書くのは4月分の給料で、賞与と法定福利費は事業所全体で書く形です。
※訪問看護の1日の流れと根拠の省令は訪問看護の仕事内容と1日、病院・クリニックとの比べ方はクリニック看護師の年収で扱っています。

先に断ります:「訪問看護師の平均年収」という公的統計はありません
看護師の給与でよく使われる賃金構造基本統計調査の職種(小分類)には、「看護師」「准看護師」の区分はありますが、訪問看護で働く人だけを切り出した区分はありません。
訪問看護の事業所で働く看護師の給与を、職種別に出している国の資料は別にあります。厚生労働省の介護事業経営概況調査です。この記事は、その数字だけを読みます。
- 最新は令和7年度介護事業経営概況調査です(令和7年5月に実施)。
- 同じ系列の介護事業経営実態調査は、令和5年度の結果が最新です。令和8年度の実態調査は、この記事の執筆時点で結果が公表されていません。
- 調査の対象は介護保険サービスの施設・事業所です。訪問看護は調査客体数522、有効回答数254(有効回答率48.7%)でした。
出典:厚生労働省「令和7年度介護事業経営概況調査結果」(回収状況)

まず数字:常勤の看護師は月470,844円です
訪問看護の表(第6表)には、職種別の常勤換算1人当たり給与費が載っています。単位は円/月です。
| 職種 | 常勤 | 非常勤 |
|---|---|---|
| 看護師 | 470,844円 | 373,205円 |
| 准看護師 | 394,802円 | 340,776円 |
| 理学療法士 | 449,606円 | 341,443円 |
| 作業療法士 | 421,709円 | 354,793円 |
出典:厚生労働省「令和7年度介護事業経営概況調査結果」第6表 訪問看護(令和7年度概況調査の欄)
同じ表には、職種をまとめた数字もあります。看護職員(常勤換算)1人当たり給与費は443,065円、常勤換算職員1人当たり給与費は438,027円です。
470,844円は月額です。年収ではありません。
前の調査の数字も同じ表に並んでいます。常勤の看護師は、令和4年度概況調査で452,951円、令和5年度実態調査で463,927円でした。今回との差は6,917円です(編集部算出)。ただし、調査ごとに回答した事業所が違うため、同じ人の昇給の幅ではありません。

この「給与費」は、何を数えたものか
金額を読む前に、調査票が何を書かせているかを確認します。訪問看護の事業所が答える調査票(居宅サービス・地域密着型サービス(医療関係))の問3です。
「令和7年4月分として給与を支払った職員数と給与・賞与等について、記入してください。」
出典:厚生労働省「令和7年度介護事業経営概況調査 調査票(居宅サービス・地域密着型サービス(医療関係))」問3(原文どおり)
調査票の作りを整理すると、こうなります。
| 項目 | 書き方 |
|---|---|
| 給料 | 職種ごと・常勤と非常勤に分けて、令和7年4月分を記入 |
| 通勤手当 | 令和7年4月分を再掲で記入 |
| 賞与または賞与引当金繰入 | 職種を分けず、令和6年度実績の1/12の金額を記入 |
| 法定福利費 | 職種を分けず、事業主負担の令和6年度実績の1/12の金額を記入 |
| 派遣社員 | その職員数及び給料は含めない |
出典:同調査票 問3
職種別に書かせているのは「給料」で、賞与と法定福利費は事業所全体の額です。結果の表で、この給料に賞与や法定福利費をどう配分して「給与費」にしたのかは、公表された結果の資料に書かれていません。
そのため本記事は、470,844円を「賞与込み」とも「賞与抜き」とも書きません。また、法定福利費の事業主負担は働く人の受け取る額ではない点にも注意が要ります。
「常勤換算」は、職員の1週間の勤務時間を、施設が定めている1週間の勤務時間で割って人数に置き換える計算です(同調査票の換算人員の計算方法)。非常勤の欄は、見出しどおりなら常勤1人分の勤務時間に置き換えたときの額で、時給でも、パート1人が実際に受け取る月額でもありません。
12を掛けると5,650,128円(470,844円×12、編集部試算)になります。ただしこれは月額を12倍しただけの数字です。賞与がどう入っているかがわからない以上、本記事ではこの額を訪問看護師の平均年収として扱いません。
職種で比べる:准看護師とは月76,042円の差です
同じ第6表の常勤の欄を、看護師から引き算します(編集部算出)。
| 比較 | 差(月額) |
|---|---|
| 看護師 - 准看護師 | 76,042円 |
| 看護師 - 理学療法士 | 21,238円 |
| 看護師 - 作業療法士 | 49,135円 |
出典:同調査結果 第6表より編集部が算出
常勤の4職種では、看護師がいちばん高い欄です。訪問看護の事業所には理学療法士や作業療法士もいますが、同じ事業所の中でも職種で月額が分かれています。
准看護師との差がどこから来るのか(経験年数、役職、担当する訪問の内容など)は、この表からはわかりません。本記事では理由を推測しません。
常勤と非常勤:同じ看護師で月97,639円違います
看護師の常勤470,844円と、非常勤373,205円の差は97,639円です(編集部算出)。
非常勤の欄も、見出しは常勤換算1人当たりの額です。見出しどおりに読めば、常勤1人分に置き換えてもなお差がある、ということになります。前の節のとおり、職種別の給料は4月分で、賞与は事業所全体で書く作りなので、この差に賞与がどれだけ関わっているかは読み取れません。
同じ事業所の人数の構成も表にあります。
| 項目 | 令和7年度概況調査 |
|---|---|
| 常勤換算職員数(常勤率) | 8.6人(79.6%) |
| 看護職員常勤換算数(常勤率) | 5.4人(76.0%) |
| 看護職員(常勤換算)1人当たり訪問回数 | 77.9回/月 |
出典:同調査結果 第6表
1事業所当たり、看護職員は常勤換算で5.4人です。小さな事業所の中で、常勤と非常勤が組み合わさって働いている形が数字に出ています。
サービスで比べる:介護保険の中では上から3番目です
概況調査は、看護師がいる介護保険サービスごとに同じ形の表を出しています。常勤の看護師の常勤換算1人当たり給与費を並べます。
| サービス | 常勤の看護師(円/月) |
|---|---|
| 介護老人保健施設 | 493,627円 |
| 介護医療院 | 484,507円 |
| 訪問看護 | 470,844円 |
| 特定施設入居者生活介護 | 461,335円 |
| 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | 461,297円 |
| 介護老人福祉施設 | 449,818円 |
| 看護小規模多機能型居宅介護 | 440,132円 |
| 通所介護 | 377,597円 |
| 地域密着型通所介護 | 332,411円 |
出典:同調査結果 第1表〜第22表(令和7年度概況調査の欄)から編集部が抜粋
常勤の看護師の欄がある18のサービスのうち、訪問看護は上から3番目でした(編集部が18表を比べた結果)。上は介護老人保健施設と介護医療院の2つです。
- 介護老人保健施設 - 訪問看護 = 22,783円
- 訪問看護 - 通所介護 = 93,247円
ここで比べているのは介護保険サービスの中の看護師どうしです。病院の看護師とは調査が違うため、この記事では並べていません。
事業所の側から見た数字:収入の70.1%が給与費です
同じ第6表は、1事業所当たりの収支も出しています(決算額を12で除した月の値)。
| 項目 | 令和5年度決算 | 令和6年度決算 |
|---|---|---|
| 介護事業収益 小計 | 3,318千円 | 3,476千円 |
| 給与費 | 2,279千円 | 2,437千円 |
| 収入に対する給与費の割合 | 68.7% | 70.1% |
出典:同調査結果 第6表
「各項目の数値は、決算額を12で除した値を掲載している。」
出典:同調査結果 第6表の注1(原文どおり)
訪問看護は、収入のおよそ7割が給与費に回る事業です。こちらは決算の数字で、1人当たりの額とは集計のしかたが違います。そのため、この表の給与費を人数で割っても、前の節の1人当たりの額にはなりません。両者を混ぜて計算しないでください。
この記事が扱っていないこと
- 訪問看護師の「平均年収」。賃金構造基本統計調査に訪問看護の区分がなく、本記事が使った調査も月額の給与費だけを出しています。
- 職種別の給与費に賞与・法定福利費がどう配分されているか。公表された結果の資料に説明がなく、記入要領は取得していません。
- オンコール手当・夜間の緊急訪問の手当の相場。一次資料を取得していないため、金額は書いていません。
- 医療保険の訪問看護だけに関わる数字。本記事の調査は介護保険サービスの事業所を対象にしたものです。
- 地域別・経営主体別・規模別の給与。同じ結果に地域区分別・経営主体別などの表はありますが、本記事は総括表の第6表だけを使いました。
- 病院の看護師との比較。調査が違うため、並べていません。
訪問看護の求人を見るときに確認できること
- 提示額は月給か年収か。本記事の470,844円は月額で、年収と並べて比べることはできません。
- 月給に賞与の按分が入っているか。統計の1人当たり給与費でも、賞与の扱いは結果の資料に書かれていません。求人側の数字は内訳を聞けます。
- 常勤か非常勤か。同じ看護師でも常勤換算1人当たりで月97,639円の差がありました。
- オンコールの有無と手当の決め方。本記事は相場を書いていません。回数と金額を数字で確認してください。
- 事業所の看護職員が何人か。1事業所当たりの看護職員は常勤換算5.4人でした。応募先の人数と比べられます。
オンコールの体制は、報酬の側では24時間対応体制加算として評価され、看護業務の負担軽減の取組を行っているかで6,800円と6,520円に分かれます。求人の読み方は訪問看護のオンコール手当|国に相場はなく、報酬は「負担軽減の取組」の有無で2区分ですで扱っています。
よくある質問
Q. 結局、訪問看護師の年収はいくらですか。
A. 公的統計に「訪問看護師の平均年収」はありません。国の数字は、介護事業経営概況調査の常勤の看護師の常勤換算1人当たり給与費、月470,844円です。12を掛けると5,650,128円になりますが、月額を12倍しただけの編集部試算で、賞与の扱いもわからないため、平均年収としては扱っていません。
Q. この金額に賞与は入っていますか。
A. わかりません。調査票は、職種別の給料を令和7年4月分で、賞与または賞与引当金繰入を事業所全体の令和6年度実績の1/12で書かせています。結果の表がこれをどう組み合わせたかは、公表された資料に書かれていません。
Q. 准看護師だといくらですか。
A. 同じ表で、常勤の准看護師は月394,802円、非常勤は月340,776円(いずれも常勤換算1人当たり給与費)です。常勤の看護師との差は76,042円でした。
Q. 介護施設の看護師と比べて高いですか。
A. 常勤の看護師の欄で比べると、訪問看護の470,844円は介護老人福祉施設の449,818円より高く、介護老人保健施設の493,627円より低い位置です。常勤の看護師の欄がある18サービスのうち、上から3番目でした。
Q. 非常勤で働くと月373,205円もらえるのですか。
A. いいえ。373,205円は常勤換算1人当たり、つまり常勤1人分の勤務時間に置き換えた額です。実際の月額は勤務時間によって変わります。
迷ったらここ
求人の月給は常勤か非常勤かで分けて見る
訪問看護の常勤看護師の1人当たり給与費は月470,844円で、年収ではなく月額です。同じ看護師でも非常勤の欄とは月97,639円の差があります。
- 提示額は月給か年収か(統計の470,844円は月額)
- 月給に賞与の按分が入っているか(統計でも賞与の扱いは書かれていない)
- オンコールの有無と手当の決め方(回数と金額を数字で確認)
まとめ
訪問看護師だけの年収の公的統計はありません。国の数字としては、令和7年度介護事業経営概況調査の常勤の看護師の常勤換算1人当たり給与費、月470,844円があります。これは月額で、年収ではありません。
同じ表で、常勤の准看護師とは76,042円、非常勤の看護師とは97,639円の差があります。介護保険サービスの中では、常勤の看護師の欄がある18サービスのうち上から3番目です。
調査票では、職種別に書くのは4月分の給料で、賞与と法定福利費は事業所全体の額です。求人と比べるときは、提示額が月給か年収か、賞与をどう扱っているかを先に分けてください。

