30秒でわかるまとめ
- 栄養士が使う衛生マニュアルの最終改正は平成29年です平成9年の通知の別添として示され、最終改正は平成29年6月16日です。
- 対象は同一メニュー1回300食以上か、1日750食以上です中小規模の調理施設にも、趣旨を踏まえた衛生管理の徹底を求める文が添えられています。
- 加熱は中心部75℃で1分間以上と、温度で書かれています二枚貝などノロウイルス汚染のおそれのある食品は、85〜90℃で90秒間以上です。
- 調理従事者は毎日、健康状態を衛生管理者に報告します月に1回以上の検便を受け、10月から3月はノロウイルスの検便検査に努めるとあります。
※学校給食には別の基準(文部科学省告示)があり、学校給食の衛生管理基準で扱っています。委託先で働く栄養士の立場は給食委託の栄養士の仕事内容で扱っています。

先に位置づけ:法令ではなく、国の通知の別添です
このマニュアルは、厚生労働省の通知「大規模食中毒対策等について」(平成9年3月24日付け衛食第85号)の別添として示されています。最新の改正は、平成29年6月16日付け生食発0616第1号です。
出典:厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」(平成9年3月24日付け衛食第85号別添、最終改正:平成29年6月16日付け生食発0616第1号)
改正の通知は、都道府県知事・保健所設置市長・特別区長にあてて、関係施設への監視指導及び周知を依頼する形で出されています。法律や省令の条文ではなく、保健所が指導に使う国の基準、という位置づけです。

対象は「同一メニューを1回300食以上又は1日750食以上」
マニュアルの「Ⅰ 趣旨」の末尾です。
「なお、本マニュアルは同一メニューを1回300食以上又は1日750食以上を提供する調理施設に適用する。」
出典:同マニュアル Ⅰ 趣旨(原文どおり)
- 数えるのは「同一メニュー」の食数です。
- 1回300食以上か、1日750食以上のどちらかに当たれば対象です。
一方、平成29年の改正通知の本文は、「大量調理施設のみならず、中小規模調理施設等においても、本マニュアルの趣旨を踏まえた衛生管理の徹底を図るようお願いします」と書いています。
適用の線は300食・750食で引かれていますが、それより小さい施設にも趣旨が向けられています。病院・高齢者施設・保育所などの給食で、このマニュアルが参照される理由です。

考え方の柱は、4つの重要管理事項です
趣旨は、HACCPの概念に基づき、調理過程における重要管理事項として次の4つを示したものだとしています。
| # | 重要管理事項 |
|---|---|
| ① | 原材料受入れ及び下処理段階における管理を徹底すること |
| ② | 加熱調理食品については、中心部まで十分加熱し、食中毒菌等(ウイルスを含む)を死滅させること |
| ③ | 加熱調理後の食品及び非加熱調理食品の二次汚染防止を徹底すること |
| ④ | 食中毒菌が付着した場合に菌の増殖を防ぐため、原材料及び調理後の食品の温度管理を徹底すること |
出典:同マニュアル Ⅰ 趣旨
ここが本題:数字で書かれていること
このマニュアルの特徴は、温度・時間・量・頻度が数字で書かれていることです。主なものを並べます。
| 場面 | マニュアルの定め | 項目 |
|---|---|---|
| 原材料の記録 | 品名、仕入元、生産者、ロットが確認可能な情報、仕入れ年月日を記録し、1年間保管 | Ⅱ1(1) |
| 加熱 | 中心部が75℃で1分間以上(二枚貝等ノロウイルス汚染のおそれのある食品は85〜90℃で90秒間以上)。温度と時間を記録 | Ⅱ2 |
| 手洗い | 作業開始前・用便後などは、流水・石けんにより2回(その他の時は丁寧に1回) | Ⅱ3(1) |
| 器具の殺菌 | 80℃、5分間以上の加熱又はこれと同等の効果を有する方法 | Ⅱ3(5) |
| 作業の高さ | 床面から60cm以上の場所で行う(食缶等なら30cm以上の台) | Ⅱ3(9) |
| 保存温度 | 調理後直ちに提供される食品以外は10℃以下又は65℃以上で管理 | Ⅱ4(3) |
| 冷却 | 30分以内に中心温度を20℃付近(又は60分以内に10℃付近)まで下げるよう工夫 | Ⅱ4(3)① |
| 喫食 | 調理終了後から2時間以内に喫食することが望ましい | Ⅱ4(4) |
| 検食 | 原材料及び調理済み食品を食品ごとに50g程度ずつ密封し、-20℃以下で2週間以上保存 | Ⅱ5(3) |
出典:同マニュアル Ⅱ 重要管理事項。表現は編集部が要約した
「望ましい」と書かれている項目と、「こと」で結ばれている項目が混ざっています。2時間以内の喫食は「望ましい」、75℃で1分間以上の確認と記録は「こと」です。
調理従事者の健康管理:毎日の報告と、月1回以上の検便
平成29年の改正で加わったのが、毎日の健康状態の確認と記録です。
| # | 定め |
|---|---|
| ② | 調理従事者等は、毎日作業開始前に、自らの健康状態を衛生管理者に報告し、衛生管理者はその結果を記録すること |
| ③ | 臨時職員も含め、定期的な健康診断及び月に1回以上の検便を受けること。検便検査には腸管出血性大腸菌の検査を含め、10月から3月までの間には月に1回以上又は必要に応じてノロウイルスの検便検査に努めること |
| ⑤ | 下痢、嘔吐、発熱などの症状があった時、手指等に化膿創があった時は調理作業に従事しないこと |
出典:同マニュアル Ⅱ5(4)調理従事者等の衛生管理②③⑤
改正の通知は、その理由を「食中毒の発生原因の多くは、一般衛生管理の実施の不備によるもの」とし、毎日の調理従事者の健康状態の確認及び記録の実施等について改正したと書いています。
「臨時職員も含め」と書かれています。パートや短時間の調理員も、検便の対象から外れない書き方です。
誰が責任を持つか:責任者と衛生管理者
「Ⅲ 衛生管理体制」は、役割を2段に分けています。
- 責任者=調理施設の経営者又は学校長等施設の運営管理責任者。
- 衛生管理者=施設の衛生管理に関する責任者。責任者が指名します。
責任者は、衛生管理者に別紙の点検表に基づく点検作業を行わせることとされ、マニュアルの後半には、調理施設・従事者等・原材料・調理器具・加熱加工などの点検表と記録簿の様式が付いています。
出典:同マニュアル Ⅲ1(1)〜(3)、別紙
給食施設で栄養士が「衛生管理者」に指名されることがあります。その場合、毎日の健康状態の記録や点検表の点検が、指名された人の仕事になります。
学校給食の基準とは、別の文書です
学校給食には、学校給食法に基づく文部科学省告示「学校給食衛生管理基準」があります。所管も根拠も別の文書で、数字が同じ部分と違う部分があります。学校で働く場合の基準は学校給食の衛生管理基準で扱っています。
この記事が扱っていないこと
- 別添の原材料ごとの保存温度の一覧と、標準作業書の全文。マニュアル本体で確認できます。
- 食品衛生法によるHACCPに沿った衛生管理の制度化。法令の領域で、本記事は取得していません。
- 学校給食衛生管理基準との数値の比較。文書が別のため、並べて比べることはしていません。
- 保健所の監視指導の頻度。本記事は取得していません。
働く場所を選ぶときに確認できること
- その施設が1回300食以上又は1日750食以上か。マニュアルの適用の線です。下回っても趣旨を踏まえた管理が求められています。
- 衛生管理者に誰が指名されているか。栄養士が指名されていれば、毎日の記録と点検が仕事に入ります。
- 検便の頻度と費用の扱い。月1回以上で、10月〜3月はノロウイルスの検便検査に努めるとされています。
- 点検表と記録簿の運用。マニュアルには様式が付いています。紙か電子か、誰が確認するかを聞けます。
- 学校か、それ以外か。学校給食は別の基準です。
よくある質問
Q. 大量調理施設衛生管理マニュアルは法律ですか。
A. 厚生労働省の通知(平成9年3月24日付け衛食第85号)の別添です。最終改正は平成29年6月16日付け生食発0616第1号で、改正通知は都道府県等に関係施設への監視指導及び周知を依頼しています。
Q. どんな施設が対象ですか。
A. 同一メニューを1回300食以上又は1日750食以上を提供する調理施設に適用するとされています。中小規模調理施設等にも、趣旨を踏まえた衛生管理の徹底が求められています。
Q. 加熱は何度で何分ですか。
A. 中心部が75℃で1分間以上(二枚貝等ノロウイルス汚染のおそれのある食品は85〜90℃で90秒間以上)又はこれと同等以上です。温度と時間を記録するとされています。
Q. 検食はどれくらい保存しますか。
A. 原材料及び調理済み食品を食品ごとに50g程度ずつ密封し、-20℃以下で2週間以上保存するとされています。
Q. 検便は誰が受けますか。
A. 調理従事者等は臨時職員も含め、月に1回以上の検便を受けるとされています。調理従事者等には、食品の盛付け・配膳等、食品に接触する可能性のある者も含まれます。
迷ったらここ
衛生管理者が誰かを、先に聞く
大量調理施設衛生管理マニュアルは、毎日の健康状態の報告と記録を衛生管理者の仕事にしています。指名されるのが誰かで、日々の仕事が変わります。
- 衛生管理者に誰が指名されているか
- 1回300食以上又は1日750食以上の施設か
- 検便の頻度と費用の扱い
まとめ
大量調理施設衛生管理マニュアルは、厚生労働省の通知の別添で、最終改正は平成29年6月16日です。適用は同一メニューを1回300食以上又は1日750食以上の施設ですが、中小規模の施設にも趣旨を踏まえた衛生管理が求められています。
中身は温度・時間・量で書かれていて、加熱は中心部75℃で1分間以上(二枚貝等は85〜90℃で90秒間以上)、保存は10℃以下又は65℃以上、検食は50g程度を-20℃以下で2週間以上です。
平成29年の改正で、調理従事者等は毎日作業開始前に健康状態を衛生管理者に報告し、衛生管理者が記録することになりました。検便は臨時職員も含め月に1回以上です。

