30秒でわかるまとめ
- 介護福祉士試験の科目は、省令にありません法律は「必要な知識及び技能について行う」、省令は「筆記の方法により行う」とだけ書いています。
- 同じ省令の社会福祉士試験には19科目あります社会福祉士試験の科目は第5条に列挙されています。同じ法律の中で扱いが分かれています。
- だから範囲は、法令からは特定できません決まっているのは筆記であることと、必要な知識及び技能という基準の言い方だけです。
- 受験資格の細かい部分は省令が受けています高等学校のルートや、3年の実務に研修を足すルートが施行規則に置かれています。
※資格の取り方と直近の実施状況は介護福祉士になるには、ケアマネとの比較は介護福祉士とケアマネの違いで扱っています。この記事は試験そのものの決まり方だけを読みます。

先に断ります:この記事は合格率を使いません
「難易度」を調べると、まず出てくるのは合格率です。ただしそれは、その年の受験者の顔ぶれで動く数字です。
直近の実施状況と受験者の内訳は介護福祉士になるにはで扱っているので、本記事では繰り返しません。
代わりに見るのは試験の決まり方です。法令は、この試験について何を決めていて、何を決めていないのか。

法律が書いているのは一文です
社会福祉士及び介護福祉士法(昭和62年法律第30号)第40条第1項は、こう定めています。
「介護福祉士試験は、介護福祉士として必要な知識及び技能について行う。」
これで全文です。科目の名前は1つも出てきません。
では省令はどうか。社会福祉士及び介護福祉士法施行規則 第22条を見ます。
「介護福祉士試験は、筆記の方法により行う。」
こちらも一文です。決まっているのは「筆記であること」だけです。
| 条文 | 書いていること | 字数 |
|---|---|---|
| 法 第40条第1項 | 介護福祉士として必要な知識及び技能について行う | 一文 |
| 施行規則 第22条 | 筆記の方法により行う | 一文 |
出典:社会福祉士及び介護福祉士法 第40条第1項(e-Gov法令API 法令ID 362AC0000000030)、社会福祉士及び介護福祉士法施行規則 第22条(同 362M50000100049)

ここが本題:社会福祉士試験には科目が書いてあります
同じ法律、同じ省令の中で、社会福祉士のほうは扱いが違います。
施行規則 第5条は「社会福祉士試験の科目」という見出しを持ち、科目を列挙しています。編集部が数えたところ19です。
| # | 科目 | # | 科目 |
|---|---|---|---|
| 1 | 医学概論 | 11 | 貧困に対する支援 |
| 2 | 心理学と心理的支援 | 12 | 保健医療と福祉 |
| 3 | 社会学と社会システム | 13 | 刑事司法と福祉 |
| 4 | 社会福祉の原理と政策 | 14 | ソーシャルワークの基盤と専門職 |
| 5 | 社会保障 | 15 | ソーシャルワークの基盤と専門職(専門) |
| 6 | 権利擁護を支える法制度 | 16 | ソーシャルワークの理論と方法 |
| 7 | 地域福祉と包括的支援体制 | 17 | ソーシャルワークの理論と方法(専門) |
| 8 | 高齢者福祉 | 18 | 社会福祉調査の基礎 |
| 9 | 障害者福祉 | 19 | 福祉サービスの組織と経営 |
| 10 | 児童・家庭福祉 |
出典:社会福祉士及び介護福祉士法施行規則 第5条第1号〜第19号。番号は条文どおり
介護福祉士のほうには、これに当たる条がありません。編集部が同じ省令の全文を機械的に検索して確認しています。
2つの資格は同じ法律に置かれ、同じ省令で手続が定められています。それでも試験の科目については、片方だけが条文に書かれています。
社会福祉士試験を受けられる人の範囲は、同じ法律の第7条が12の号で定めています。介護福祉士との違いとあわせて社会福祉士と介護福祉士の違い|受験資格は12通り、どの号も学校か養成施設を通りますで扱っています。
だから「範囲」は法令では決まりません
この違いは、受験する人にとって具体的な意味を持ちます。
| 介護福祉士試験 | 社会福祉士試験 | |
|---|---|---|
| 試験の方法 | 筆記(施行規則 第22条) | 省令に方法の定めあり |
| 科目の列挙 | 無い | 19科目(施行規則 第5条) |
| 範囲の手がかり | 「必要な知識及び技能」という法律の言い方 | 科目名そのもの |
出典:本文中に挙げた各条文。整理は編集部
介護福祉士試験の出題範囲を条文から特定することはできません。実際の範囲は、試験を実施する機関が公表する資料で確認することになります。
本記事はその資料を確認していないため、科目名や出題数は書きません。
受験資格は、法律と省令で分担しています
試験の中身と違い、受験資格のほうは細かく決まっています。
法 第40条第2項が6つの号を置き、その第6号が「前各号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認められる者であつて、厚生労働省令で定めるもの」として省令に投げています。
その受け皿が施行規則 第21条です。3つの号が置かれています。
| 号 | 省令が定めるもの |
|---|---|
| 1 | 文部科学大臣及び厚生労働大臣の指定した高等学校又は中等教育学校で、社会福祉士介護福祉士学校指定規則 別表第五の教科目及び単位数を修め、大学への入学を認められた者 |
| 2 | インドネシア・フィリピン・ベトナムの介護福祉士候補者であって、3年以上介護等の業務に従事した者 |
| 3 | 3年以上介護等の業務に従事した者で、喀痰吸引等研修・介護職員初任者研修課程などの課程を修了した後、指定を受けた学校又は養成施設で1月以上修得した者 |
出典:社会福祉士及び介護福祉士法施行規則 第21条第1号〜第3号。要約は編集部
「入口」は条文で細かく決まり、「中身」は条文に書かれていない。これがこの試験の形です。
実務経験ルートで必要になる実務者研修の科目と時間数(原則450時間)、受講の費用を左右する仕組みは介護福祉士の実務者研修の費用|受講料は施設が決め、国が定めているのは450時間と免除の範囲ですで扱っています。
試験の実施そのものも、条文で決まっています
受け方の手続は施行規則に置かれています。
| 条 | 内容 |
|---|---|
| 第22条 | 介護福祉士試験は、筆記の方法により行う |
| 第24条第1項 | 受けようとする者は、様式第五による受験申込書を提出しなければならない |
| 第24条第2項 | 申込書には、法第40条第2項各号のいずれかに該当する者であることを証する書面を添付しなければならない |
| 第25条 | 社会福祉士試験についての第3条・第7条・第8条の規定を準用する |
出典:社会福祉士及び介護福祉士法施行規則 第22条、第24条、第25条
受験資格を証明する書面の添付が条文で求められています。申込みの段階で、どのルートに当たるかを示す必要があります。
合格したあとにも条文があります
施行規則 第24条の2は、介護福祉士の登録に載せる事項を4つ定めています。
| 号 | 登録事項 |
|---|---|
| 1 | 登録番号及び登録年月日 |
| 2 | 本籍地都道府県名(日本国籍を有しない者については、その国籍等) |
| 3 | 介護福祉士試験に合格した年月 |
| 4 | 第1条各号に掲げる行為のうち実地研修を修了したもの |
出典:社会福祉士及び介護福祉士法施行規則 第24条の2第1号〜第4号
4号に喀痰吸引等の実地研修が入っています。試験に合格したかどうかとは別に、どの行為の研修を修了したかが登録に記録される仕組みです。
受験を考えるときに確認できること
1. 出題範囲は、実施機関の公表資料で確認する
条文に科目の列挙がありません。範囲を知りたい場合は、試験を実施する機関が出している資料を見るのが確実です。
2. 自分がどの号に当たるかを先に確かめる
法 第40条第2項の6号と、施行規則 第21条の3号。申込みには「該当する者であることを証する書面」が要ります(施行規則 第24条第2項)。集めるのに時間がかかることがあります。
3. 高等学校ルートは別表第五で決まっている
施行規則 第21条第1号は、社会福祉士介護福祉士学校指定規則 別表第五の教科目と単位数を修めることを求めています。在学中なら学校に確認できます。
4. 実務経験のルートは、研修とセットで書かれている
第21条第3号は「3年以上介護等の業務に従事した者」に加えて、研修の課程の修了と、学校または養成施設での1月以上の修得を求めています。年数だけでは条件が揃いません。
5. 「筆記だけ」であることを前提に準備する
施行規則 第22条は筆記の方法によると定めています。条文の上では、実技の定めは置かれていません。
よくある質問
Q. 介護福祉士試験の科目は何ですか。
A. 法令には列挙がありません。法律は「必要な知識及び技能について行う」、省令は「筆記の方法により行う」とだけ定めています。範囲は試験を実施する機関の公表資料でご確認ください。
Q. 社会福祉士試験には科目があるのですか。
A. あります。同じ省令の第5条に19科目が列挙されています。同じ法律の中で扱いが分かれています。
Q. 何割くらいが受かりますか。
A. 本記事はその数字を扱っていません。介護福祉士になるにはで扱っています。
Q. 実技試験はありますか。
A. 施行規則 第22条は「筆記の方法により行う」と定めています。本記事は条文に書かれていることだけを扱っており、それ以外は確認していません。
Q. 受験資格は何年の実務経験が要りますか。
A. ルートによります。施行規則 第21条第3号のルートでは3年以上の従事に加えて研修の修了などが求められます。ルート全体は介護福祉士になるにはで扱っています。
Q. ケアマネの試験とは何が違いますか。
A. 根拠になる法律が別です。ケアマネの受験資格はケアマネの受験資格で扱っています。
迷ったらここ
受験資格のルートを、先に確かめる
省令が科目を定めていない一方で、受験資格は法と省令が細かく決めています。自分がどのルートに当たるかは、試験の中身より先に確定できます。
- 自分が法第40条第2項の第何号に当たるか
- 実務のルートなら、3年以上の従事に加えて研修の課程を修了しているか
- 勤務先が研修の受講に配慮する仕組みを持っているか
まとめ
介護福祉士試験について、法令が決めているのは2つの一文だけです。
法 第40条第1項の「必要な知識及び技能について行う」と、施行規則 第22条の「筆記の方法により行う」。
同じ省令の第5条には、社会福祉士試験の19科目が列挙されています。同じ法律に置かれた2つの資格で、試験の科目についての扱いが分かれています。
その一方で、受験資格は法律6号+省令3号で細かく決まり、申込みには該当を証する書面の添付まで求められます。
入口は条文で厳密に、中身は条文の外に。「難易度」を測るなら、まずこの構造を知っておくと、どこを見ればよいかが分かります。

