30秒でわかるまとめ
- 介護福祉士になる道は、4つのルートがあります厚生労働省は取得方法を、養成施設・実務経験・福祉系高校・EPAの4ルートに整理しています
- 合格率70.1%は、実態より低く出ている数字です受験者の13.3%を占める特定技能1号の合格率は33.0%で、除いて計算すると76.0%になります
- 合格率は3年連続で下がり続けています第35回の84.3%から第38回の70.1%まで14.2ポイント低下。受験者数は逆に2年連続で増えています
- 養成施設卒業者の経過措置には、期限が2つあります卒業後5年の猶予は令和14年3月31日まで。働き続けて資格を維持できる特例は令和9年3月31日までが対象です
※介護福祉士とケアマネジャーの資格の違いや年収差は介護福祉士とケアマネの違いは「名称独占」と「必置資格」で扱っています。この記事は資格を取るまでの制度だけを扱います。

まず定義:介護福祉士は「名称独占」の国家資格です
法律の定義はこうです。
社会福祉士及び介護福祉士法 第2条第2項「この法律において『介護福祉士』とは、第42条第1項の登録を受け、介護福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護(喀痰吸引その他のその者が日常生活を営むのに必要な行為であつて、医師の指示の下に行われるもの(厚生労働省令で定めるものに限る。)を含む。)を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うことを業とする者をいう。」
押さえるべき点が2つあります。
1つ目。喀痰吸引等が業務に含まれています。ただし条文は「医師の指示の下に行われるもの」と限定しており、範囲は厚生労働省令で定められています。無条件にできるわけではありません。
2つ目。名称独占です。「介護福祉士でない者は、介護福祉士という名称を使用してはならない」(第48条第2項)。逆にいえば業務独占ではありません。介護の仕事そのものは資格がなくてもできます。禁じられているのは名称の使用です。

同じ法律の第2条第1項には社会福祉士の定義があり、相談援助を業とする資格として書き分けられています。2つの資格の違いは社会福祉士と介護福祉士の違い|受験資格は12通り、どの号も学校か養成施設を通りますで扱っています。
資格を取る道は4ルート。条文と対応させます
厚生労働省は4つのルートに整理しています。法律の条文と並べると次のようになります。
| ルート | 内容 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| 養成施設ルート | 介護福祉士養成施設等で必要な知識・技能を修得 | 法 第40条第2項第1号〜第3号 |
| 実務経験ルート | 3年以上の実務経験+実務者研修等 | 法 第40条第2項第5号 |
| 福祉系高校ルート | 指定された高校で必要な知識・技能を修得 | 法 第40条第2項第4号 |
| EPAルート | EPA介護福祉士候補者が3年以上の実務経験を経る | 規則 第21条第2号 |
出典:厚生労働省社会・援護局「介護福祉士国家試験に関する参考資料」、社会福祉士及び介護福祉士法、同法施行規則
どのルートでも、最後は国家試験に合格する必要があります。法第39条は「介護福祉士試験に合格した者は、介護福祉士となる資格を有する」と定めており、試験を経ない取得方法はありません(養成施設ルートには後述の経過措置があります)。
条文を号ごとに見ると、養成施設に通う期間が条件によって変わることが分かります。
| 号 | 条件 | 養成施設等での期間 |
|---|---|---|
| 第1号 | 大学に入学できる者 | 2年以上 |
| 第2号 | 大学で社会福祉に関する科目を修めて卒業した者 等 | 1年以上 |
| 第3号 | 省令で定める学校・養成所を卒業した者 | 1年以上 |
| 第4号 | 指定された高等学校・中等教育学校 | 3年以上(専攻科で修得する場合は2年以上) |
| 第5号 | 3年以上介護等の業務に従事した者 | 6月以上 |
| 第6号 | 前各号と同等以上と認められる者(省令で定める) | — |
出典:社会福祉士及び介護福祉士法 第40条第2項

実務者研修と介護福祉士の平均給与額の違い(月給・常勤で22,790円)と、その読み方は介護福祉士の年収を月額で読む|平均給与額は350,050円、職場の種類で68,380円開きますで扱っています。
いちばん多い実務経験ルートは「3年+6月」です
働きながら取る場合に使うのが第5号です。条文はこうなっています。
「三年以上介護等の業務に従事した者であつて、文部科学大臣及び厚生労働大臣の指定した学校又は都道府県知事の指定した養成施設において六月以上介護福祉士として必要な知識及び技能を修得したもの」
厚生労働省の整理では、この「6月以上」の課程が実務者研修にあたります。
順序に注意してください。条文は「3年以上介護等の業務に従事した者であつて」と書いていますが、実務経験と研修の順序そのものは条文に明記されていません。受験申込の時点で両方の要件を満たしている必要があるかどうかは、本記事では確認していないため書いていません。受験を予定している方は、試験を実施する公益財団法人社会福祉振興・試験センターの受験の手引きで確認してください。
数字の手前に、そもそも試験の中身を法令がどこまで書いているかという話があります。科目を定めた条が無いことと、同じ省令の社会福祉士試験には19科目が並んでいることは介護福祉士国家試験の難易度|省令に試験科目は書かれていませんで扱っています。
合格率70.1%。ただし受験者の13.3%を分けて見る必要があります
| 項目 | 第38回介護福祉士国家試験 |
|---|---|
| 試験日 | 令和8年1月25日(日) |
| 試験地 | 35都道府県 |
| 合格発表 | 令和8年3月16日(月)14時 |
| 受験者数 | 78,469人 |
| 合格者数 | 54,987人 |
| 合格率 | 70.1% |
出典:厚生労働省「第38回介護福祉士国家試験合格発表について」(令和8年3月16日)
この70.1%は、性質の違う受験者を混ぜた数字です。同じ厚生労働省の資料には、在留資格別の内訳が載っています。
| 区分 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 特定技能1号 | 10,406人 | 3,435人 | 33.0% |
| 技能実習 | 517人 | 227人 | 43.9% |
| 上記を除いた受験者(編集部算出) | 67,546人 | 51,325人 | 76.0% |
| 全体 | 78,469人 | 54,987人 | 70.1% |
出典:厚生労働省「第38回介護福祉士国家試験の受験者・合格者の推移」より編集部が集計。「上記を除いた受験者」は全体から特定技能1号と技能実習を差し引いた編集部の算出値
特定技能1号だけで受験者の13.3%を占めます。そしてその合格率は33.0%で、全体より37.1ポイント低い。これらを除いて計算すると76.0%になり、公表されている70.1%より5.9ポイント高くなります。
特定技能1号の受験者は急増しています。
| 回 | 特定技能1号 受験者 | 合格者 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 第36回 | 1,950人 | 751人 | 38.5% |
| 第37回 | 4,932人 | 1,643人 | 33.3% |
| 第38回 | 10,406人 | 3,435人 | 33.0% |
出典:同資料。第36回から第38回で受験者は5.3倍(編集部算出)
ここは慎重に書きます。全体の合格率が下がった原因を、この資料だけで特定することはできません。合格率の低い区分の受験者が増えていることは事実ですが、それ以外の要因(出題内容、受験者層の変化など)については資料が示していないため、本記事では書いていません。
日本国内の養成施設や実務経験ルートから受験する人にとっては、公表値の70.1%より、76.0%のほうが実感に近い数字である可能性があります。
合格率は3年連続で下がっています
| 回 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 第34回 | 83,082人 | 60,099人 | 72.3% |
| 第35回 | 79,151人 | 66,711人 | 84.3% |
| 第36回 | 74,595人 | 61,747人 | 82.8% |
| 第37回 | 75,387人 | 58,992人 | 78.3% |
| 第38回 | 78,469人 | 54,987人 | 70.1% |
出典:厚生労働省「第38回介護福祉士国家試験合格発表について」参考資料
第35回の84.3%をピークに、3年連続で下がり続けて14.2ポイント低下しました。その一方で受験者数は第36回の74,595人を底に2年連続で増えています。受験する人は増えているのに、受かる割合は下がっている、という形です。
もうひとつ、第38回から目立つようになった仕組みがあります。パート別合格(合格パートの受験免除)です。全パートの総得点で合格基準に届かなかった人でも、各パートの合格基準点以上を取り、そのパートを構成する試験科目群すべてで得点があれば、そのパートは合格として扱われます。
| パート | パート別合格者数 |
|---|---|
| Aパート | 3,935人 |
| Bパート | 1,509人 |
| Cパート | 6,181人 |
出典:同発表。パート別合格者数は一部重複しています。パート合格は翌年・翌々年まで有効で、その期間に再受験する場合は全パートを受けるか不合格パートのみを受けるかを選べます
つまり不合格でも、次回に持ち越せる部分があります。この仕組みは合格者数には含まれないため、上の合格率には反映されていません。
養成施設ルートには、2つの期限があります
ここが制度としてもっとも複雑で、かつ期限が迫っている部分です。
養成施設の卒業者にも国家試験の合格が必要になりましたが、経過措置が置かれています。根拠は平成19年改正法(平成19年法律第125号)の附則です。
附則第6条の2は、この法律の施行の日から令和14年3月31日までの間に法第40条第2項第1号から第3号(=養成施設ルート)のいずれかに該当するに至った者は、要件に該当した日の属する年度の翌年度の4月1日から起算して5年を経過する日までの間、介護福祉士となる資格を有する、と定めています。
そして同条第2項が重要です。この5年経過日までに介護福祉士試験に合格しなかったときは、受けていた登録は「五年経過日にその効力を失う」とされています。
附則第6条の3には、もうひとつの道が用意されています。この法律の施行の日から令和9年3月31日までの間に第1号から第3号に該当するに至った者で、5年経過日までに登録を受け、かつその5年間継続して介護等の業務に従事した場合には、5年経過日の翌日以後も介護福祉士となる資格を有する、というものです。
| 附則第6条の2 | 附則第6条の3 | |
|---|---|---|
| 内容 | 卒業後5年間は資格を有する(試験合格がなくても) | 5年間継続して介護等の業務に従事すれば、その後も資格を維持できる |
| 該当できる期限 | 令和14年3月31日 | 令和9年3月31日 |
| 満たさない場合 | 5年経過日に登録が失効 | — |
出典:社会福祉士及び介護福祉士法の一部を改正する法律(平成19年法律第125号)附則 第6条の2・第6条の3
2つの期限が5年ずれている点に注意してください。令和9年4月1日以降に養成施設ルートの要件に該当した人は、附則第6条の2の5年間の猶予は使えても、「働き続けることで資格を維持する」ほうの道は使えません。その場合、5年以内に国家試験に合格しなければ登録は失効します。
ただし本記事は条文の定めを整理したもので、個別の該当可否を判断するものではありません。卒業年度や登録の時期によって扱いが変わるため、該当しそうな方は必ず試験センターまたは都道府県に確認してください。
資格を取っても、手当が付くかどうかはこの法律の外の話になります。同法に賃金の定めが無いことと、代わりに労働基準法が置いている明示・記載・周知の義務は介護福祉士に資格手当が無いとき|法律にあるのは別の義務ですで扱っています。
介護の現場には、資格の名前ではなく配置の枠として置かれている職もあります。機能訓練指導員に省令が資格を書いていないことと、兼務が認められていることは機能訓練指導員の仕事内容|省令は資格を1つも書いていませんで扱っています。
資格を取ったあとに課される義務
法律は、介護福祉士に4つの義務・責務を課しています。
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 第44条の2(誠実義務) | 担当する者が個人の尊厳を保持し自立した日常生活を営めるよう、常にその者の立場に立つて誠実に業務を行う |
| 第45条(信用失墜行為の禁止) | 介護福祉士の信用を傷つけるような行為をしてはならない |
| 第46条(秘密保持義務) | 正当な理由がなく業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。介護福祉士でなくなった後も同様 |
| 第47条の2(資質向上の責務) | 業務内容の変化に適応するため、知識及び技能の向上に努める |
出典:社会福祉士及び介護福祉士法
第46条は資格を返上したあとも続きます。「介護福祉士でなくなつた後においても、同様とする」と条文に明記されています。
よくある質問
Q. 働きながら介護福祉士になれますか。
実務経験ルートがあります。法第40条第2項第5号は「3年以上介護等の業務に従事した者」であって、指定された学校・養成施設で「6月以上」必要な知識及び技能を修得した者に受験資格を認めています。厚生労働省の整理では、この6月以上の課程が実務者研修にあたります。
Q. 合格率70.1%は難しいほうですか。
数字の中身を見る必要があります。受験者78,469人のうち10,406人(13.3%)が特定技能1号で、その合格率は33.0%です。特定技能1号と技能実習を除いて計算すると76.0%になります。また第35回の84.3%から3年連続で下がっており、近年でいちばん低い水準です。なお第38回から、不合格でもパート単位で合格を翌年・翌々年に持ち越せる仕組みが公表されています。
Q. 養成施設を卒業すれば試験を受けなくても介護福祉士になれますか。
経過措置の期間中は、卒業後5年間は介護福祉士となる資格を有します(平成19年改正法 附則第6条の2)。ただしその5年のうちに国家試験に合格しないと、登録は5年経過日に効力を失います。5年間継続して介護等の業務に従事することで資格を維持できる特例(同 附則第6条の3)もありますが、こちらは令和9年3月31日までに要件に該当した人が対象です。個別の該当可否は試験センターまたは都道府県に確認してください。
迷ったらここ
受験するルートを先に決めてから、合格率を見る
第38回の全体は70.1%ですが、受験者の13.3%を占める特定技能1号の合格率は33.0%で、これらを除いて計算すると76.0%になります(編集部算出)。どの区分で受けるかで、目安にする数字が変わります。
- 自分がどのルートか(養成施設=法第40条第2項第1〜3号/実務経験=第5号/福祉系高校=第4号)
- 実務経験ルートなら、介護等の業務3年以上と6月以上の課程の両方を満たすのはいつか
- 養成施設の卒業者なら、5年経過日がいつか(附則の期限は令和9年3月31日と令和14年3月31日の2つ)
まとめ
- 介護福祉士は名称独占の国家資格。業務独占ではない(法第48条第2項)
- 資格取得は4ルート。養成施設=第40条第2項第1〜3号/実務経験=第5号/福祉系高校=第4号/EPA=規則第21条第2号
- 実務経験ルートは「3年以上の実務+6月以上の課程」
- 第38回の合格率は70.1%。ただし特定技能1号(受験者の13.3%・合格率33.0%)と技能実習を除くと76.0%
- 合格率は第35回84.3%から3年連続低下で14.2ポイント減。受験者数は逆に2年連続増
- 養成施設ルートの経過措置は令和14年3月31日まで。ただし「働き続けて資格を維持する」ほうは令和9年3月31日まで
「介護福祉士になるには」を調べるとき、まず決めるのはルートです。そして公表されている合格率をそのまま自分の目安にしないでください。あなたがどの区分で受けるのかによって、見るべき数字は変わります。

