30秒でわかるまとめ
- 栄養士が辞めたいとき、法律は4つ用意しています辞める手続、条件が違ったときの解除、退職時の証明、金品の返還です。どれも条文にあります。
- 申し入れから2週間で終わる仕組みです期間の定めのない雇用なら、いつでも解約を申し入れられます。民法にそう書かれています。
- 条件が違っていたら、その場で解除できます示された労働条件が事実と違う場合、労働者は即時に契約を解除できると定められています。
- 辞めたあとに請求できるものもあります退職の証明書は遅滞なく交付し、賃金や積立金は7日以内に返すことと決められています。
※給与の位置を確かめたい場合は栄養士の年収、委託給食の人数の話は給食委託がきついと感じるとき、独立を考える場合は栄養士の開業で失敗するときで扱っています。

先に置いておきます:辞めるかどうかを決める記事ではありません
この記事は、辞めることをすすめるものでも、思いとどまらせるものでもありません。
いま確かめられる事実だけを並べます。法律が何を用意しているかが分かると、選べる範囲がはっきりします。
数字は出しません。栄養士の離職を職種別に測った国の統計を、本記事では確認できませんでした。だから代わりに、誰にでも同じように効く条文を読みます。

1つめ:申し入れから2週間で終わります
民法(明治29年法律第89号)第627条第1項は、こう定めています。
「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。」
| 条文が書いていること | 意味するところ |
|---|---|
| 雇用の期間を定めなかったとき | 期間の定めのない雇用(いわゆる正職員など)が対象 |
| 各当事者は、いつでも | 時期の制限がない |
| 解約の申入れをすることができる | 申し入れる側に理由の説明を求めていない |
| 申入れの日から二週間を経過することによって終了する | 相手の同意ではなく、期間の経過で終わる |
出典:民法 第627条第1項(e-Gov法令API 法令ID 129AC0000000089)。右欄は条文の文言を編集部が分解したもの
「承諾を得なければ辞められない」とは書かれていません。条文の作りは、期間の経過で終了するというものです。
ただし期間の定めのある雇用(契約社員など)には、この条文は当てはまりません。また就業規則が別の予告期間を定めていることもあります。自分の契約がどちらかを先に確かめてください。

2つめ:条件が違っていたら、即時に解除できます
労働基準法(昭和22年法律第49号)第15条は、労働条件の明示について定めた条です。その第2項に、こうあります。
「前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。」
「即時に」です。2週間を待つ必要がありません。
さらに第3項が続きます。
「前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。」
| 項 | 内容 |
|---|---|
| 第15条第1項 | 使用者は、労働契約の締結に際し、賃金・労働時間その他の労働条件を明示しなければならない |
| 第15条第2項 | 明示された条件が事実と相違する場合、労働者は即時に労働契約を解除できる |
| 第15条第3項 | 就業のために住居を変更していた場合、解除の日から14日以内に帰郷するときは使用者が旅費を負担 |
出典:労働基準法 第15条第1項〜第3項
引っ越して就職した人のことまで、条文に書かれています。
3つめ:辞めるときに証明書を請求できます
労働基準法 第22条第1項は、退職の場合の証明書について定めています。
請求できる事項は5つです。
| # | 証明書に書いてもらえる事項 |
|---|---|
| 1 | 使用期間 |
| 2 | 業務の種類 |
| 3 | その事業における地位 |
| 4 | 賃金 |
| 5 | 退職の事由(解雇の場合はその理由を含む) |
出典:労働基準法 第22条第1項。番号は編集部が計数
請求があったときは「遅滞なくこれを交付しなければならない」とされています。
そして第3項に、働く側を守る定めがあります。
「前二項の証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない。」
請求していないことを書き足されない、という規定です。5つのうち必要なものだけを請求できます。
4つめ:金品は7日以内に返されます
労働基準法 第23条第1項は、こう定めています。
「使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があつた場合においては、七日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。」
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 第23条第1項 | 請求があれば7日以内に賃金を支払い、積立金・保証金・貯蓄金その他の金品を返還する |
| 第23条第2項 | 金額に争いがある場合でも、異議のない部分は同じ期間中に支払う又は返還する |
出典:労働基準法 第23条第1項・第2項
「次の給与日まで待つ」ではありません。請求があれば7日以内と条文に書かれています。争いがある部分があっても、揉めていない部分は先に返すことになっています。
4つを並べると、こうなります
| 場面 | 法律が用意しているもの | 根拠 |
|---|---|---|
| 辞めると決めたとき | いつでも申し入れられ、2週間で終了する | 民法 第627条第1項 |
| 聞いていた条件と違ったとき | 即時に解除できる(引っ越していれば旅費の負担も) | 労働基準法 第15条第2項・第3項 |
| 辞めるとき | 5つの事項について証明書を請求できる | 労働基準法 第22条第1項・第3項 |
| 辞めたあと | 請求すれば7日以内に賃金と金品が返される | 労働基準法 第23条第1項・第2項 |
出典:本文中に挙げた各条文
どれも、辞めるかどうかを決める前に知っておける事実です。
栄養士の免許そのものは、辞めても手元に残ります
栄養士法(昭和22年法律第245号)第1条第1項は、栄養士を「都道府県知事の免許を受けて、栄養士の名称を用いて栄養の指導に従事することを業とする者」と定めています。
免許は都道府県知事が与えるもので(第2条第1項)、勤務先が与えるものではありません。
職場を離れることと、免許を失うことは別です。免許の取消しや名称の使用停止は、法律が定めた事由に当たる場合の処分として第5条に置かれています。
いま確かめられること
1. 自分の契約に期間の定めがあるかを見る
民法 第627条第1項は期間の定めのない雇用についての条文です。契約書のいちばん上に書かれていることが多い箇所です。
2. 入職時にもらった書面と、いまの条件を並べる
第15条第2項が効くのは「明示された労働条件が事実と相違する場合」です。比べる材料は、入職時の労働条件通知書です。
3. 就業規則の退職の章を読む
予告期間が就業規則に定められていることがあります。民法の2週間との関係が気になる場合は、次の窓口で相談できます。
4. 請求できるものを書き出しておく
証明書の5事項と、7日以内に返される金品。辞めると決める前に一覧にしておくと、手続きの見通しが立ちます。
一人で決めなくていい場所があります
ここまでの条文は、どれも解釈が必要になる場面があります。職場に聞きにくいことは、外の窓口で聞けます。
| 窓口 | 扱っていること |
|---|---|
| 総合労働相談コーナー(厚生労働省) | 退職・労働条件をはじめ、あらゆる分野の労働問題の相談。予約不要・無料 |
| こころの耳(厚生労働省) | 働く人のメンタルヘルスに関する情報と相談窓口の案内 |
出典:厚生労働省の各案内ページ
体調のことが先に立っているときは、相談より先に受診してください。
よくある質問
Q. 退職を申し出たら「後任が決まるまで」と言われました。
A. 民法 第627条第1項は、期間の定めのない雇用について、申入れの日から2週間を経過することによって終了すると定めています。個別の事情については総合労働相談コーナーで相談できます。
Q. 契約社員でも2週間で辞められますか。
A. 第627条第1項は「雇用の期間を定めなかったとき」の規定です。期間の定めがある場合は当てはまりません。契約書をご確認ください。
Q. 聞いていた勤務時間と実際が違います。
A. 労働基準法 第15条第2項は、明示された労働条件が事実と相違する場合に、労働者が即時に労働契約を解除できると定めています。判断は個別の事情によるため、窓口にご相談ください。
Q. 退職金や積立金がなかなか返ってきません。
A. 第23条第1項は、請求があった場合に7日以内に賃金を支払い、金品を返還することを求めています。
Q. 辞めると栄養士の免許はどうなりますか。
A. 免許は都道府県知事が与えるもので、勤務先とは切り離されています。職場を離れることで免許が失われる仕組みにはなっていません。
Q. 給与が低いのが理由です。ほかの職場なら上がりますか。
A. 本記事は給与を扱っていません。統計上の位置は栄養士の年収で扱っています。
迷ったらここ
辞めると決める前に、手元の書面を2つ見る
労働条件通知書と就業規則です。聞いていた条件と違う場合は即時に解除できると労働基準法に書かれており、比べる材料はこの2つになります。
- 契約に期間の定めがあるか(民法の2週間はここで変わる)
- 入職時の労働条件通知書と、いまの条件が一致しているか
- 就業規則の退職の章が、周知されているか
まとめ
栄養士の離職を測った統計は見つかりませんでした。代わりに、誰にでも同じように効く条文が4つあります。
辞めると決めたら、期間の定めのない雇用なら、いつでも申し入れられて2週間で終わります(民法 第627条第1項)。
聞いていた条件と違ったら、即時に解除できます。引っ越していれば旅費の負担も定められています(労働基準法 第15条第2項・第3項)。
辞めるときは、使用期間・業務の種類・地位・賃金・退職の事由について証明書を請求できます。請求していないことは書かれません(同 第22条)。
辞めたあとは、請求すれば7日以内に賃金と金品が返されます(同 第23条)。
そして免許は手元に残ります。職場を離れることと、資格を手放すことは別のことです。

