産業看護師のやりがい|指針が期待する役割は書いてあります

目次

30秒でわかるまとめ

  • 産業看護師のやりがいを測った統計はありません代わりに、国の指針が産業保健スタッフに何を期待しているかを具体的に書いています。
  • 指針には「事業場内の保健師等」と名前が出ます産業医等・衛生管理者等と並んで、事業場内産業保健スタッフの一員として定義されています。
  • 事業者が講じる措置は、あくまで努力義務です法律は健康教育や健康相談を継続的かつ計画的に講ずるよう努めることを求めています。
  • できるところから始めてよい、とも書いてありますすべての措置が難しい場合は可能なものから実施すると、指針そのものが定めています。

※条文の上で看護師がどこに出てくるかは産業看護師の仕事内容、行政で働く場合は保健師の仕事内容で扱っています。この記事は仕事内容そのものを繰り返しません。指針が何を期待しているかだけを読みます。

作業着の男性と白衣の女性(産業看護師)

先に断ります:やりがいの統計はありません

「やりがい」を職種別に測った国の調査を、本記事では確認できませんでした。数字で示せるものがないので、この記事は数字を出しません。

代わりに読めるものがあります。国が「事業場で何をしてほしいか」を書いた指針です。

そこには産業保健スタッフの役割が具体的に並んでいます。期待されている中身が分かれば、自分が何を担うことになるのかは見えます。

受付案内する看護師

まず根拠:法律は指針を公表することまで決めています

労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)には、健康の保持増進についての条が2つ並んでいます。

条誰に何を
第69条第1項事業者労働者に対する健康教育及び健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置を、継続的かつ計画的に講ずるように努めなければならない
第69条第2項労働者事業者が講ずる措置を利用して、その健康の保持増進に努めるものとする
第70条の2第1項厚生労働大臣第69条第1項の措置に関して、適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする

出典:労働安全衛生法 第69条、第70条の2(e-Gov法令API 法令ID 347AC0000000057)

第69条は事業者にも労働者にも努力義務です。義務ではありません。

ただし第70条の2第1項が、その努力義務の中身を国が示すと定めています。そして実際に公表されているのが、次の指針です。

在宅医療の聴診器

ここが本題:指針は保健師を名指ししています

事業場における労働者の健康保持増進のための指針(昭和63年9月1日 健康保持増進のための指針公示第1号)は、第70条の2第1項に基づいて公表されたものです。

この指針は、用語を定義する箇所で職種を並べています。

用語指針の定義
産業医等産業医その他労働者の健康保持増進等を行うのに必要な知識を有する医師
衛生管理者等衛生管理者、衛生推進者及び安全衛生推進者
事業場内産業保健スタッフ産業医等、衛生管理者等及び事業場内の保健師等
事業場外資源事業場外で健康保持増進に関する支援を行う外部機関や地域資源及び専門家
健康保持増進措置労働安全衛生法第69条第1項の規定に基づく、事業者が講ずるよう努めるべき措置

出典:事業場における労働者の健康保持増進のための指針(健康保持増進のための指針公示第1号)の用語の定義

「事業場内の保健師等」として、指針の中に名前が置かれています。産業医と衛生管理者と並ぶ位置づけです。

指針はさらに、推進体制についてこう書いています。

「事業場の実情に応じて、事業者が、労働衛生等の知識を有している産業医等、衛生管理者等、事業場内の保健師等の事業場内産業保健スタッフ及び人事労務管理スタッフ等を活用し、各担当における役割を定めたうえで、事業場内における体制を構築する。」

「各担当における役割を定めたうえで」という条件が付いています。役割が決められることを前提にした書き方です。

専門スタッフの養成も、指針に書かれています

同じ箇所に、こう続きます。

「例えば労働者に対して運動プログラムを作成し、運動実践を行うに当たっての指導を行うことができる者、労働者に対してメンタルヘルスケアを行うことができる者等の専門スタッフを養成し、活用することも有効である。」

指針が例として挙げる専門スタッフ
労働者に対して運動プログラムを作成し、運動実践を行うに当たっての指導を行うことができる者
労働者に対してメンタルヘルスケアを行うことができる者

出典:同指針

「養成し、活用することも有効である」という書き方です。義務ではありませんが、事業場の中で担い手を育てる想定が置かれています。

外の資源を使うことも、指針が求めています

指針は、事業場の中だけで完結させることを想定していません。

「事業場内の産業保健スタッフ等に加えて、積極的に労働衛生機関、中央労働災害防止協会、スポーツクラブ、医療保険者、地域の医師会や歯科医師会、地方公共団体又は産業保健総合支援センター等の事業場外資源を活用することで、効果的な取組を行うものとする。」

#指針が挙げる事業場外資源
1労働衛生機関
2中央労働災害防止協会
3スポーツクラブ
4医療保険者
5地域の医師会や歯科医師会
6地方公共団体
7産業保健総合支援センター

出典:同指針。番号は編集部が計数

スポーツクラブと医療保険者が入っているのが特徴です。医療の外側にある相手と組むことが、指針の側から想定されています。

「できるところから」と書いてある

指針にはもうひとつ、現場に効く一文があります。

「全ての措置の実施が困難な場合には、可能なものから実施する等、各事業場の実態に即した形で取り組むことが望ましい。」

完璧にできないことを、指針そのものが想定しています。

努力義務の制度なので、事業場によって取組の幅は大きく変わります。入る前に「いまどこまでやっているのか」を聞くことに意味があるのは、このためです。

整理すると、期待されているのはこうです

指針が書いていること働く側から見ると
事業場内産業保健スタッフの一員として名前が挙がる産業医・衛生管理者と並ぶ立場として想定されている
各担当における役割を定めたうえで体制を構築する自分の役割が定義されることが前提になっている
専門スタッフを養成し、活用することも有効運動やメンタルヘルスの担い手を育てる余地がある
事業場外資源を積極的に活用する外部機関との調整が仕事に入りうる
可能なものから実施する取組の範囲は事業場ごとに大きく違う

出典:同指針。右欄は編集部の整理

求人を見るときに確認できること

1. 自分の役割が定義されているかを聞く

指針は「各担当における役割を定めたうえで」と書いています。役割が決まっていない状態は、指針が想定している形ではありません。

2. いまどこまで取り組んでいるかを聞く

努力義務なので、事業場ごとに差があります。「可能なものから実施する」と指針が書いている以上、どこまで進んでいるかは事業場に聞くしかありません。

3. 外部機関との関わりがあるかを見る

指針は7つの事業場外資源を挙げています。どこと組んでいるかで、仕事の広がりが変わります。

4. 産業医・衛生管理者との関係を確認する

指針は3者をまとめて「事業場内産業保健スタッフ」としています。誰と、どういう分担で動くのかは体制の話です。

5. 「産業看護師」という職名の中身を聞く

指針が名前を挙げているのは「保健師等」です。その事業場で何を担うのかは、募集の段階で言葉にしてもらうほうが確実です。

よくある質問

Q. 産業看護師のやりがいは何ですか。
A. やりがいを測った統計を本記事では確認できていないため、断定できません。指針が期待している役割は本文のとおりです。

Q. 指針は守らなければいけませんか。
A. 根拠となる労働安全衛生法 第69条第1項は努力義務です。指針は第70条の2第1項に基づいて公表されたもので、実施方法を示すものです。

Q. 看護師も指針に出てきますか。
A. 指針が用語の定義で挙げているのは「事業場内の保健師等」です。条文の上で看護師がどこに出てくるかは産業看護師の仕事内容で扱っています。

Q. 産業保健総合支援センターとは何ですか。
A. 指針が事業場外資源の1つとして挙げている機関です。本記事はその設置根拠までは確認していないため、名称の引用にとどめています。

Q. 給与はどれくらいですか。
A. 本記事は給与を扱っていません。保健師の年収をご覧ください。

Q. 行政の保健師と何が違いますか。
A. 根拠になる法律が違います。行政側は地域保健法と母子保健法で、保健師の仕事内容で扱っています。

迷ったらここ

「いまどこまでやっているか」を聞く

根拠の条文は努力義務で、指針も「可能なものから実施する」と書いています。だから取組の幅は事業場ごとに大きく違います。

  • 健康保持増進の取組が、いまどこまで進んでいるか
  • 自分の役割が定められているか(指針は役割を定めたうえで体制を組むとしている)
  • 産業保健総合支援センターなど、外部のどこと組んでいるか
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まとめ

産業看護師のやりがいを測った統計は見つかりませんでした。だからこの記事は数字を出していません。

代わりに読めるのが、労働安全衛生法 第70条の2第1項に基づいて公表された事業場における労働者の健康保持増進のための指針です。

指針は「事業場内の保健師等」を、産業医等・衛生管理者等と並ぶ事業場内産業保健スタッフとして定義しています。そして「各担当における役割を定めたうえで」体制を構築するとしています。

外部の資源も7つ挙げられ、スポーツクラブや医療保険者まで含まれます。

根拠になる第69条第1項は努力義務です。だから取組の幅は事業場ごとに大きく違います。指針自身が「可能なものから実施する」と書いているとおりです。

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この記事を書いた人

医療・福祉・保育の人材紹介の現場で求職者の相談を受けてきた編集者が担当しています。キャリアアドバイザー歴8年、転職相談・紹介の対応実績1,500人以上(自社実績/2026年8月時点)。介護・看護師・保育士・栄養士の4分野を担当。記事の数値には必ず出典と公表時点を添えています。

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