30秒でわかるまとめ
- 機能訓練指導員に、決まった資格はありません省令が書いているのは、訓練を行う能力を有する者という一文だけです。資格名は1つも挙がっていません。
- 働く場所で、求められる訓練が変わります通所介護は減退を防止する訓練、介護老人福祉施設は改善する訓練も含む書き方になっています。
- 配置の下限は1以上。兼務も認められています他の職務との兼務が省令で認められています。そのため専任の募集ばかりとは限りません。
- 施設側だけ「認められる者」という書き方です通所介護は能力を有する者、施設は有すると認められる者。判断が入るかどうかが違います。
※通所介護の他の職種は生活相談員の年収、施設の栄養士は介護施設の栄養士の仕事内容で扱っています。介護の資格全般は介護福祉士になるにはをご覧ください。

同じ事業所に置かれる生活相談員は、これとは書き方が違います。特別養護老人ホームの省令にだけ資格要件の条があることは生活相談員の資格要件|書いてある省令と、書いていない省令で扱っています。
先に確認:省令に資格の一覧はありません
「機能訓練指導員になれるのは、決まったいくつかの資格を持つ人だけ」という説明をよく見ます。ところが省令の条文には、資格の名前が1つも書かれていません。
編集部が指定居宅サービス等基準と指定介護老人福祉施設基準の全文を機械的に検索しましたが、どちらにも、機能訓練指導員に就ける資格を挙げた列挙はありません。
書かれているのは、能力についての一文だけです。
| 制度 | 条文が書いていること | 根拠 |
|---|---|---|
| 通所介護(デイサービス) | 日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する者とし | 指定居宅サービス等基準 第93条第5項 |
| 介護老人福祉施設(特養) | 日常生活を営むのに必要な機能を改善し、又はその減退を防止するための訓練を行う能力を有すると認められる者でなければならない | 指定介護老人福祉施設基準 第2条第7項 |
出典:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第93条第5項、指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)第2条第7項(e-Gov法令API)
資格の具体的な一覧は、省令ではなく通知に置かれています。本記事は通知の原本を確認していないため、資格名は書きません。

ここが本題:通所介護と施設で、条文が違います
2つの条文を並べると、違いがはっきりします。
| 比べる点 | 通所介護(第93条第5項) | 介護老人福祉施設(第2条第7項) |
|---|---|---|
| 訓練の目的 | 機能の減退を防止するための訓練 | 機能を改善し、又はその減退を防止するための訓練 |
| 能力の書き方 | 能力を有する者とし | 能力を有すると認められる者でなければならない |
| 他の職務との兼務 | 従事することができる(同項) | 従事することができる(第2条第8項) |
出典:本文中に挙げた各条文。比較の整理は編集部
1つめの違いは「改善」です。施設側の条文には機能を改善するための訓練が入っていますが、通所介護の条文は減退の防止だけを書いています。
2つめは「認められる」の有無です。施設側は「有すると認められる者」で、判断がひとつ挟まる書き方になっています。
働く場所によって、条文が想定している役割の幅が違うということです。

人数は「1以上」です
配置の数はどちらも同じ書き方です。
| 制度 | 置くべき従業者と員数 | 根拠 |
|---|---|---|
| 通所介護 | 生活相談員/看護職員/介護職員/機能訓練指導員 一以上 | 指定居宅サービス等基準 第93条第1項第1号〜第4号 |
| 介護老人福祉施設 | 医師/生活相談員/介護職員又は看護職員/栄養士又は管理栄養士/機能訓練指導員 一以上/介護支援専門員 | 指定介護老人福祉施設基準 第2条第1項第1号〜第6号 |
出典:同各条
常勤の定めはありません。通所介護では生活相談員又は介護職員のうち1人以上が常勤とされ(第93条第6項)、施設では生活相談員が常勤、看護職員のうち1人以上が常勤とされていますが(第2条第5項・第6項)、機能訓練指導員についてはそうした定めが置かれていません。
兼務ができることが、求人の形を決めます
どちらの省令も、機能訓練指導員が他の職務に従事できることを明記しています。
| 条文 | 書かれていること |
|---|---|
| 指定居宅サービス等基準 第93条第5項 | 当該指定通所介護事業所の他の職務に従事することができる |
| 指定介護老人福祉施設基準 第2条第8項 | 当該指定介護老人福祉施設の他の職務に従事することができる |
出典:同各条
だから「看護職員が機能訓練指導員を兼ねる」という配置が、条文の上で成り立ちます。求人が専任のものばかりではないのは、この規定があるからです。
逆にいえば、求人票の「機能訓練指導員」が専任なのか兼務なのかは、条文からは分かりません。そこは事業所ごとに確認することになります。
専任か兼務かと同じく、給与も月給・常勤か時給・非常勤かで形が分かれます。理学療法士等を含む区分で、月給・常勤は月362,800円、時給・非常勤は基本給の時給1,600円でした。働き方ごとの数字は機能訓練指導員の年収を月額で読む|月給・常勤は362,800円、時給の非常勤は1,600円ですで扱っています。
「機能訓練指導員」は資格ではなく、配置上の職名です
ここまでを整理します。
| 問い | 省令の答え |
|---|---|
| 機能訓練指導員という資格はあるか | 無い。省令が定めているのは配置すべき職の名前 |
| どんな人が就けるか | 訓練を行う能力を有する(と認められる)者。資格名の列挙は省令に無い |
| 何人置くか | 1以上 |
| 常勤である必要はあるか | そう定めた規定は無い |
| 他の仕事と兼ねられるか | できる(明文の規定あり) |
出典:指定居宅サービス等基準 第93条、指定介護老人福祉施設基準 第2条
資格の名前で募集されるのではなく、配置の枠として募集される職です。これが求人の読み方に効いてきます。
一方、介護報酬の加算の告示は、理学療法士や看護職員など8つの資格を「理学療法士等」として挙げています。その定義と加算の要件は個別機能訓練加算とは|通所介護は1日56単位と76単位、月20単位の3区分ですで扱っています。
通所介護の基本方針が、仕事の向きを決めます
何のための訓練なのかは、事業そのものの基本方針に書かれています。
指定居宅サービス等基準 第92条は、通所介護の事業をこう定めています。
「要介護状態となった場合においても、その利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう生活機能の維持又は向上を目指し、必要な日常生活上の世話及び機能訓練を行うことにより、利用者の社会的孤立感の解消及び心身の機能の維持並びに利用者の家族の身体的及び精神的負担の軽減を図るものでなければならない。」
ここに置かれている目的は3つです。
| # | 条文が挙げる目的 |
|---|---|
| 1 | 利用者の社会的孤立感の解消 |
| 2 | 心身の機能の維持 |
| 3 | 利用者の家族の身体的及び精神的負担の軽減 |
出典:指定居宅サービス等基準 第92条。番号は編集部が計数
3つめに家族が入っているのが特徴です。利用者本人だけでなく、家族の負担の軽減が事業の目的として書かれています。
求人を見るときに確認できること
1. 通所介護か、施設かを先に見る
条文の書き方が違います。施設側には「改善」が入り、通所介護は「減退の防止」だけです。求められる訓練の幅が変わります。
2. 専任か兼務かを聞く
省令は兼務を認めています。専任なのか、看護職員などとの兼務なのかで、1日の使い方がまったく変わります。
3. 自分の資格でどう扱われるかを事業所に確認する
省令に資格の一覧はなく、具体的な範囲は通知で定められています。手元の資格で機能訓練指導員として配置されるかどうかは、事業所に確認するのが確実です。
4. 常勤かどうかは求人票で見る
機能訓練指導員について常勤を求める規定はありません。常勤・非常勤は事業所の決め方です。
5. 何人体制かを聞く
省令の下限は1以上です。1人だけなのか、複数いるのかは条文からは分かりません。
よくある質問
Q. 機能訓練指導員になるには、どの資格が必要ですか。
A. 省令には資格名が書かれていません。具体的な範囲は通知で定められています。本記事は通知の原本を確認していないため、資格名を挙げていません。事業所または自治体にご確認ください。
Q. 通所介護と特別養護老人ホームで、仕事は違いますか。
A. 条文の書き方が違います。施設側は「機能を改善し、又はその減退を防止するための訓練」で、通所介護は「機能の減退を防止するための訓練」です。
Q. 看護師が兼務できますか。
A. 省令は機能訓練指導員が他の職務に従事できることを認めています。誰が兼ねられるかは、資格の範囲を定めた通知と事業所の体制によります。
Q. 1事業所に何人必要ですか。
A. 通所介護・介護老人福祉施設とも「一以上」です。
Q. 常勤でなければいけませんか。
A. 機能訓練指導員について常勤を求める規定は、いずれの省令にもありません。
Q. 個別機能訓練加算とは違うのですか。
A. 加算は介護報酬の話で、根拠が別です。本記事は人員基準の条文だけを扱っています。
迷ったらここ
求人票が専任か兼務かを、先に聞く
省令は他の職務との兼務を明文で認めています。だから「機能訓練指導員」という募集でも、専任とは限りません。配置の下限は1以上です。
- 専任か、看護職員などとの兼務か
- 通所介護か施設か(条文の訓練の書き方が違う)
- 手元の資格で機能訓練指導員として配置されるか(範囲は通知で決まる)
まとめ
機能訓練指導員は資格の名前ではありません。省令が定めている配置上の職名です。
条文が書いているのは能力についての一文だけで、資格名は1つも挙がっていません。具体的な範囲は通知に置かれています。
そして通所介護と介護老人福祉施設で、条文が違います。施設側には「改善」が入り、「有すると認められる者」という判断も挟まります。
人数はどちらも1以上。常勤の定めはなく、他の職務との兼務が明文で認められています。
求人を読むときは、専任か兼務かと、通所か施設かの2点から見ると輪郭がつかめます。

