最低賃金1,177円に確定 介護の時給が上がる日は県で違う

チェックリストと電卓。令和8年度の地域別最低賃金は全国加重平均1,177円で答申された
目次

30秒でわかるまとめ

  • 介護のパート時給は10月から順次上がります令和8年度の地域別最低賃金が答申され、全国加重平均は1,177円になりました。前年度から56円の引上げです。
  • 上がる日は都道府県で最大2か月違います発効は令和8年10月1日から12月2日まで順次です。10月1日ちょうどは15都道府県でした。
  • 答申は目安の1,176円を1円上回りました介護給付費分科会の8月28日の資料は「目安どおりに改定された場合」1,176円としていました。
  • 地域差は203円から195円に縮みました最高は東京の1,280円、最低は宮崎の1,085円です。前年度は1,226円と1,023円でした。

厚生労働省は2026年9月3日、全ての都道府県で令和8年度の地域別最低賃金の改定額が答申されたと公表した。全国加重平均は1,177円である。介護の現場では、パート・非常勤として時間給で働く人が多く、最低賃金はその人たちの賃金に直接効く。ここでは原典だけを読み、介護で働く人から見て何が起きるのかを整理する。

全国の最低賃金は1,177円になる

全国加重平均は1,177円。改定前の1,121円から56円の引上げである。引上げ額は都道府県によって54円から65円まで幅がある。

引上げ額都道府県の数
65円1県
64円1県
63円2県
62円2県
61円4県
60円4県
59円5県
58円4府県
57円7県
56円11道県
55円3県
54円3都府県

出典:厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金額答申について」(令和8年9月3日)

いちばん大きく上がるのは佐賀県の65円(1,030円→1,095円)だった。

最低賃金は雇用の形にかかわらず適用される。パート・アルバイト・派遣も対象になる。

ちはる

最低賃金の話は、正社員には関係のない話だと思っていました。

熊先生

直接効くのは時間給の人だね。ただ下限が上がると、その上の水準も動きやすくなる。

ちはる

私の県がいくらになるかは、どこを見れば分かりますか。

目安の1,176円を1円上回った

最低賃金は、まず国の審議会が引上げ額の目安を示し、それを踏まえて各都道府県の審議会が答申する仕組みになっている。今回の目安は、ランクAの6都府県が54円、ランクBとランクCが56円だった。ランクAは埼玉・千葉・東京・神奈川・愛知・大阪である。ランクBとランクCは区分が分かれていても、目安額はどちらも56円で同じだった。

ここに、2つの資料を並べると見えるものがある。

時点資料全国加重平均
2026年8月28日社会保障審議会介護給付費分科会 資料11,176円(目安どおりに改定された場合)
2026年9月3日厚生労働省 答申状況1,177円

出典:上記2資料から編集部が作成

介護報酬を議論する分科会に8月28日に出された資料は、最低賃金を「中央最低賃金審議会が示した目安どおりに改定された場合」1,176円としていた。9月3日の答申は1,177円。答申状況の表にある「目安差額」の欄も、全国加重平均で+1と書かれている。

都道府県ごとに見ると、目安を上回った県が33、目安どおりが14都府県で、目安を下回った都道府県は1つもなかった。上回り幅が最も大きかったのは佐賀県の9円である。

目安は上限ではない。各都道府県の審議会が地域の事情を踏まえて上乗せできる仕組みになっている。

上がる日は都道府県で最大2か月違う

意外に見落とされるのがここである。改定額は同じ年度でも、実際に効力が生じる日は都道府県ごとに違う。

発効の時期都道府県の数
令和8年10月1日ちょうど15
10月2日〜10月31日22
11月7
12月3

出典:同資料から編集部が集計

いちばん早いのが令和8年10月1日、いちばん遅いのが令和8年12月2日(沖縄県)。12月にずれ込むのは岩手・熊本・沖縄の3県で、岩手と熊本は12月1日である。同じ引上げでも、実際に時給が変わる日は最大で2か月ずれる。年内に3か月近く、隣の県と下限が違う期間ができることになる。

ただし原本には注記がある。「発効日は、答申公示後の異議の申出の状況等により変更となる可能性有」。この日付はまだ予定である。

ちはる

同じ日に全国いっせいに上がるものだと思い込んでいました。

熊先生

都道府県ごとに決まるからね。10月1日の県もあれば、12月の県もある。

ちはる

……ということは、県をまたいで働くと差が出る時期があるのですね。

熊先生

うん。しかも県ごとの金額そのものにも、まだ差が残っている。

地域差は203円から195円に縮んだ

最高額と最低額の開きは次のとおり。

今回の答申改定前
最高額東京 1,280円1,226円
最低額宮崎 1,085円1,023円
差195円203円
最低額 ÷ 最高額84.8%83.4%

出典:同資料。改定前の額は答申状況の表に併記されているもの

差は203円から195円へ8円縮んだ。比率でも83.4%から84.8%へ上がっている。ランクCの県が目安の56円を上回って引き上げたことが効いている。

それでも195円の開きは残る。フルタイムに近い働き方で月160時間なら、時給195円の差は月3万1,200円にあたる(編集部が試算)。

なぜ縮んだのか。答申状況の表を引上げ額の大きい順に並べると、はっきりする。

県引上げ額目安との差改定後
佐賀65円+9円1,095円
鹿児島64円+8円1,090円
沖縄63円+7円1,086円
高知63円+7円1,086円

出典:同資料

上位4県はすべてランクC、つまり目安がいちばん低い区分の県である。一方、目安どおりに収めた14都府県には東京・神奈川・大阪が並ぶ。上乗せしたのは地方の県で、都市部は目安のままだった。これが差の縮小につながっている。

ただし水準そのものの偏りは大きい。改定後に1,200円以上になるのは東京・神奈川・大阪の3都府県だけで、1,100円未満の県は18ある。8円縮んだといっても、この構図は変わっていない。

改定前に最低額の1,023円だったのは、宮崎・沖縄・高知の3県である。宮崎だけが低かったわけではない。

47都道府県の改定額と発効日

答申された額を、原典の並び(都道府県コード順)のまま載せる。自分の県の行だけ見れば足りる。

都道府県改定後
(円)
改定前
(円)
引上げ
(円)
発効日
(予定)
北海道1,1311,0755610/1
青森1,0901,0296110/29
岩手1,0901,0315912/1
宮城1,0981,0386010/1
秋田1,0901,0315910/14
山形1,0921,0326010/30
福島1,0941,0336110/16
茨城1,1361,0746210/18
栃木1,1251,0685710/1
群馬1,1201,0635710/3
埼玉1,1961,1415510/1
千葉1,1951,1405510/1
東京1,2801,2265410/1
神奈川1,2791,2255410/1
新潟1,1081,0505810/1
富山1,1191,0625710/1
石川1,1131,0545910/3
福井1,1121,0535910/4
山梨1,1131,0526111/1
長野1,1171,0615610/2
岐阜1,1211,0655610/1
静岡1,1541,0975710/15
愛知1,1951,1405510/1
三重1,1431,0875610/1
滋賀1,1361,0805610/3
京都1,1801,1225811/16
大阪1,2311,1775410/1
兵庫1,1721,1165610/1
奈良1,1071,0515610/4
和歌山1,1011,0455610/3
鳥取1,0901,0306010/3
島根1,0921,0335910/10
岡山1,1041,0475710/2
広島1,1411,0855610/11
山口1,1011,0435810/8
徳島1,1031,0465711/1
香川1,0921,0365610/1
愛媛1,0931,0336011/1
高知1,0861,0236310/29
福岡1,1141,0575710/4
佐賀1,0951,0306511/15
長崎1,0871,0315611/2
熊本1,0921,0345812/1
大分1,0961,0356111/1
宮崎1,0851,0236210/24
鹿児島1,0901,0266410/25
沖縄1,0861,0236312/2

出典:厚生労働省「令和8年度 地域別最低賃金 答申状況」。発効日はすべて令和8年(2026年)で、「10/1」は10月1日を指す。太字は最高額と最低額

発効日は予定である。原典に「答申公示後の異議の申出の状況等により変更となる可能性有」と注記がある。

編集部の見方:時給で働く人に直接効く

ここからは編集部の見方である。ここまでは資料に書かれている事実で、以下は解釈にあたる。

最低賃金のニュースは「全国平均がいくら」で報じられる。だが働く側にとって意味があるのは、平均ではなく自分の県の額と、その額がいつから効くかである。この2つは、同じ資料の同じ表に並んで載っている。

介護の現場は時間給で働く人の割合が高い。訪問介護、夜勤専従、扶養の範囲で働くパート。最低賃金はその人たちの賃金の下限を、法律として動かす。介護報酬の改定を待たずに、10月から12月にかけて順に効いていく。

動く周期が違うことも押さえておきたい。介護報酬は数年に一度しか動かない。2026年は例外的に6月の期中改定があり、次は令和9年度の改定が控えている。それに対して最低賃金は毎年動く。2026年は、6月に介護報酬、10月以降に最低賃金と、1年のうちに2度、賃金の前提が変わることになる。

額の水準も見ておきたい。改定後に1,100円に届かない県が18ある。宮崎・高知・沖縄・長崎・青森・岩手・秋田・鳥取・鹿児島・山形・島根・香川・熊本・愛媛・福島・佐賀・大分・宮城である。地方で介護の仕事を探す人にとって、この額が求人票の時給を考えるときの出発点になる。

そのうえで、この資料から言えないことも書いておく。介護の事業所が実際に時給をいくらにするかは、この資料には載っていない。最低賃金はあくまで下限で、それより上をどう設定するかは事業所が決める。求人票の時給が最低賃金の何円上かも、この資料からは分からない。

言えるのは、確かめる先が1つ増えたということである。自分の都道府県の改定額と発効日は、厚生労働省が県ごとに公表している。求人票の時給がそれを下回っていれば、法律上そのままにはできない。

ちはる

全国平均の数字だけ見て、自分に関係ないと思っていました。

熊先生

見るのは自分の県の額と発効日だけでいいよ。求人票と見比べてみるといい。

迷ったらここ

求人票の時給を、自分の県の改定額と見比べる

全国加重平均は1,177円ですが、最高の東京は1,280円、最低の宮崎は1,085円で195円の開きがあります。発効日も10月1日から12月2日まで都道府県ごとに違います。平均ではなく、自分の県の額と日付を見てください。

  • 自分の都道府県の改定額はいくらか(最低額は1,085円、最高額は1,280円)
  • その額はいつから効くか(10月1日の県も、12月の県もある)
  • 求人票の時給は、その額から何円上か
介護の転職サービスを比較する

出典

編集部メモ

  • 記事に載せた数値は、すべて厚生労働省の公表資料から直接取り、編集部で計算し直して確かめています。47都道府県すべてについて「改定額 − 改定前 = 引上げ額」と「引上げ額 − 目安額 = 目安差額」の2つが成り立つことを確認しました。引上げ額の分布も、報道発表の本文に書かれている県数と一致しています。
  • 「目安の1,176円を1円上回った」は、2つの資料を並べて初めて見えるものです。8月28日の介護給付費分科会の資料が「目安どおりに改定された場合」として1,176円を示し、9月3日の答申が1,177円でした。答申状況の表にある「目安差額」の欄にも、全国加重平均で+1と書かれています。
  • ⚠ 発効日はまだ予定です。原本に「発効日は、答申公示後の異議の申出の状況等により変更となる可能性有」と注記があります。本文にもこの注記を書きました。
  • 改定前に最低額だったのは宮崎だけではありません。宮崎・沖縄・高知の3県が同じ1,023円でした。本文では「宮崎の改定前」として書いています。
  • 「月3万1,200円」は編集部の試算です。時給195円の差に月160時間を掛けたもので、原本に記載はありません。実際の労働時間は人によって違います。
  • ランクの違いは、そのまま目安額の違いではありません。ランクAは54円ですが、ランクBとランクCはどちらも56円で同じでした。
  • 介護の事業所が実際に時給をいくらに設定するかは、この資料では分かりません。最低賃金は下限を定めるもので、求人票の時給がそこから何円上かは書かれていません。本記事では扱っていません。
  • 最低賃金は介護だけでなく、看護・保育・栄養の現場で時間給で働く人にも同じように適用されます。本記事は介護の文脈で書いていますが、額と発効日はすべての職種に共通です。
  • 報道各社の記事は参照していません。数値も記述も、すべて原典から取っています。
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この記事を書いた人

医療・福祉・保育の人材紹介の現場で求職者の相談を受けてきた編集者が担当しています。キャリアアドバイザー歴8年、転職相談・紹介の対応実績1,500人以上(自社実績/2026年8月時点)。介護・看護師・保育士・栄養士の4分野を担当。記事の数値には必ず出典と公表時点を添えています。

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