30秒でわかるまとめ
- 保育補助という職名は、法令にありません児童福祉法にも児童福祉施設の基準にも出てこない呼び方です。園が決めている職名で、法令上の資格ではありません。
- 法令が禁じているのは「名乗ること」です保育士でない人が保育士やこれに紛らわしい名称を使うと、30万円以下の罰金と定められています。
- 職員配置の基準の人数には数えられません基準が数えているのは「保育士の数」です。保育補助を何人置いても、この人数は満たせません。
- 保育の仕事そのものを禁じる条文はありません保育士の資格は名称独占で、業務独占ではないからです。何を任せるかは園の決め方によります。
※保育補助の給与は保育補助の年収は、国の統計に存在しません、保育士資格そのものは保育士を辞めたいときで扱っています。小規模保育や認定こども園の配置は小規模保育の仕事内容、認定こども園と保育園の違いをご覧ください。

先に確認:「保育補助」は法令の言葉ではありません
児童福祉法と、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の全文を機械的に検索しました。「保育補助」という語は1か所も出てきません。
つまり「保育補助はこれをしてはいけない」と直接書いた条文は存在しません。園ごとに置かれている職名であって、法令上の身分ではないからです。
では何を見ればよいのか。法令が「保育士」に何を与えているかを見ます。保育士に与えられているものの裏返しが、資格を持たない人にできないことになります。

名乗れるようになる道は、児童福祉法に3つ書かれています。そのうち試験に合格する道の中身は保育士試験の仕組み|筆記8科目と、科目ごとの合格が残る3年度で扱っています。
ここが本題:禁じられているのは名乗ることです
児童福祉法 第18条の23は、こう定めています。
「保育士でない者は、保育士又はこれに紛らわしい名称を使用してはならない。」
これが1つめです。「保育士」と名乗ること、および紛らわしい名称を使うことが禁じられています。
罰則もあります。第62条第2項第2号が、この規定に違反した者を30万円以下の罰金に処すると定めています。
| 条 | 内容 |
|---|---|
| 第18条の4 | 保育士とは、保育士登録を受け、保育士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者 |
| 第18条の23 | 保育士でない者は、保育士又はこれに紛らわしい名称を使用してはならない |
| 第62条第2項第2号 | 第18条の23に違反した者は30万円以下の罰金 |
出典:児童福祉法(昭和22年法律第164号)第18条の4、第18条の23、第62条第2項第2号(e-Gov法令API 法令ID 322AC0000000164)
「紛らわしい名称」の具体的な線は条文に書かれていません。本記事では例示をしません。園の職名の付け方については、園にご確認ください。

同じ児童福祉の分野でも、職種によって資格の書き方は違います。児童指導員が試験ではなく号の要件で定められていることは児童指導員の任用資格とは|省令の見出しは「児童指導員の資格」ですで扱っています。
2つめ:配置基準の人数に数えられません
児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第33条第2項は、保育所に置く職員の数をこう定めています。
| 子どもの区分 | 基準 |
|---|---|
| 乳児 | おおむね3人につき1人以上 |
| 満1歳以上満3歳に満たない幼児 | おおむね6人につき1人以上 |
| 満3歳以上満4歳に満たない幼児 | おおむね15人につき1人以上 |
| 満4歳以上の幼児 | おおむね25人につき1人以上 |
| 下限 | 保育所1につき2人を下ることはできない |
出典:児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号)第33条第2項(e-Gov法令API 法令ID 323M40000100063)
条文の主語は「保育士の数は」です。数えているのは保育士であって、職員全体ではありません。
だから保育補助を何人置いても、この人数は満たせません。これが2つめの「できないこと」です。
同条第1項は、保育所に置かなければならない職員として保育士・嘱託医・調理員を挙げています。ここにも保育補助はありません。
子どもの家に行って保育をする形は、法律上は居宅訪問型保育事業と呼ばれます。認可を受けずに行う場合の届出と、届出事項に並ぶ研修の受講状況はベビーシッターに資格は必要か|法律が求めているのは、資格ではなく届出ですで扱っています。
逆に、禁じられていないこと
ここが誤解されやすいところです。児童福祉法は、保育という行為そのものを保育士に独占させていません。
第18条の4の定義をもう一度読みます。「保育士の名称を用いて」という条件が入っています。
| 独占の種類 | 意味 | 保育士は |
|---|---|---|
| 名称独占 | 資格が無いと、その名称を使えない | あてはまる(第18条の23) |
| 業務独占 | 資格が無いと、その業務そのものができない | そう定めた条文は無い |
出典:児童福祉法 第18条の4、第18条の23。区分の整理は編集部
だから保育補助が子どもと関わること自体を禁じた条文はありません。実際に何をどこまで任せるかは、園の判断と、園が定めた業務分担によります。
「保育補助は◯◯をしてはいけない」と書かれた法令上の一覧は存在しません。園の説明が法令に基づくものか、園独自の運用かは、分けて聞くほうが確実です。
秘密を守る義務は、条文の上では保育士のものです
もうひとつ、条文の名宛人が「保育士」に限られているものがあります。
第18条の22は、こう定めています。
「保育士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。保育士でなくなつた後においても、同様とする。」
違反すると第61条の2で1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金。しかも同条第2項により告訴がなければ公訴を提起することができないとされています。
| 義務 | 名宛人 | 罰則 |
|---|---|---|
| 秘密保持義務(第18条の22) | 保育士 | 1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金(第61条の2・親告罪) |
| 名称の使用制限(第18条の23) | 保育士でない者 | 30万円以下の罰金(第62条第2項第2号) |
出典:児童福祉法 第18条の22、第61条の2、第18条の23、第62条第2項第2号
秘密保持義務のほうは、条文上は保育士に向けられています。資格を持たない職員がこの条文の罰則を直接受けるわけではありません。
ただしだから守らなくてよい、という意味ではありません。実際には雇用契約や就業規則で守秘義務が課されるのが通常です。根拠が法令か契約かが違うだけです。
施設の側にも、基準に達しないときの処分が段階で定められています。都道府県の実地の検査と、改善勧告から事業停止までの流れは保育園の監査で見られること|都道府県の実地検査は、年度ごとに1回以上ですで扱っています。
名称の使用停止という処分もあります
資格を持っている側にも制限がかかることがあります。第18条の19第2項により保育士の名称の使用の停止を命じられた人が、その期間中に保育士の名称を使って保育や保育に関する指導の業務に従事した場合、第62条第2項第1号で30万円以下の罰金と定められています。
「資格を持っているかどうか」だけでなく、「いま名称を使える状態か」も条文の対象になっています。
保育所以外では、配置の数え方そのものが変わります。放課後等デイサービスが「児童指導員又は保育士」で数えていることと、その半数以上という歯止めは放課後等デイの仕事内容と1日|時刻ではなく計画で決まりますで扱っています。
働くときに確認できること
1. 名刺・名札・保護者への紹介のされ方を確認する
法令が明確に禁じているのは名称です。自分がどう呼ばれ、どう紹介されるのかは、入職時に確認しておく価値があります。
2. 「配置に入るかどうか」を聞く
基準が数えるのは保育士の数です。自分が配置基準の人数に含まれるのかどうかで、担う責任の重さが変わります。含まれないなら、それは基準どおりの運用です。
3. 業務分担が法令によるものか、園の決め方かを分けて聞く
「保育補助はこれができない」と説明されたとき、それが法令によるものか園の運用かで、話の性質が変わります。法令上、保育の行為そのものを禁じる条文はありません。
4. 守秘義務の根拠を確認する
条文上の秘密保持義務は保育士に向けられています。資格を持たない立場では、雇用契約や就業規則が根拠になります。何をどこまで外で話してはいけないのかは、書面で確認できます。
5. 資格取得を考えるなら、配置に入れるかどうかが最も大きく変わる
保育士登録を受ければ、名称を使えるようになり、配置基準の人数にも数えられます。この2点が、条文の上でいちばんはっきりした違いです。
よくある質問
Q. 保育補助は子どもを抱っこしたり、おむつを替えたりしてはいけないのですか。
A. それを禁じた条文はありません。児童福祉法が保育士に与えているのは名称独占で、業務独占ではないためです。実際の分担は園が決めています。
Q. 「保育士さん」と保護者に呼ばれたらどうなりますか。
A. 条文が禁じているのは、保育士でない者が保育士やこれに紛らわしい名称を「使用」することです。呼ばれ方そのものについては条文に定めがありません。園の運用を確認してください。
Q. 保育補助だけで園を回せますか。
A. 基準が数えるのは「保育士の数」です。保育補助を何人置いても、第33条第2項の人数は満たせません。
Q. 「保育教諭」とは違うのですか。
A. 別のものです。保育教諭は幼保連携型認定こども園に置かれる職で、幼稚園教諭免許と保育士登録の両方が必要です。認定こども園と保育園の違いで扱っています。
Q. 無資格でも働けるのに、なぜ給与が違うのですか。
A. 本記事は給与を扱っていません。統計上の位置づけは保育補助の年収で扱っています。
Q. 保育士資格を取れば何が変わりますか。
A. 条文の上では2つです。保育士の名称を使えるようになることと、配置基準の「保育士の数」に数えられるようになることです。
迷ったらここ
配置基準の人数に入るかどうかを聞く
法令がはっきり定めているのは名称と配置の2つです。基準が数えているのは「保育士の数」なので、そこに入るかどうかで担う責任が変わります。
- 自分は配置基準の人数に含まれるのか(含まれないなら基準どおりの運用)
- 名札や保護者への紹介で、どう呼ばれるのか
- 業務分担の説明が法令によるものか、園の決め方か
まとめ
「保育補助」は法令の言葉ではありません。児童福祉法にも児童福祉施設の基準にも出てきません。
そのうえで、資格を持たない立場に法令がはっきり定めているのは2つです。
1つは保育士やこれに紛らわしい名称を使えないこと(第18条の23/罰則は30万円以下の罰金)。もう1つは配置基準の「保育士の数」に数えられないこと(第33条第2項)。
逆に保育という行為そのものを禁じた条文はありません。保育士の資格は名称独占であって、業務独占ではないからです。
だから「できないこと」を説明されたときは、それが法令なのか園の決め方なのかを分けて聞いてください。この2つは、意味がまったく違います。

