30秒でわかるまとめ
- 介護施設の栄養士の平均給与額は月32万3,810円です厚生労働省の令和6年度介護従事者処遇状況等調査で、常勤の基本給・手当・一時金を合計した金額です
- 基本給は介護職員より高いのに、総額では逆転して低くなります基本給は21,760円上回るのに手当が43,290円少なく、差し引き総額は14,390円低くなっています
- この金額は年収ではなく、あくまで月額の数字です一時金は4〜9月支給分の1/6のみを計上しており、10月〜3月の支給分は含まれていません
- 非常勤は常勤より5万9,230円安く、労働時間も短いです非常勤の平均給与額は264,580円。ただし実労働時間も158.8時間と122.1時間で36.7時間違います
※賃金構造基本統計調査による栄養士全体の分布(中位数・四分位)は栄養士の年収は中位数25万9,400円|経験10年で2,400円しか動きません、介護施設の栄養士の業務内容は介護施設の栄養士の仕事内容|週3回のミールラウンドが業務の形を決めますで扱っています。この記事は、介護報酬の調査に出てくる金額だけを扱います。

先に前提:この金額はどの調査の、どの範囲の数字か
使うのは厚生労働省の令和6年度介護従事者処遇状況等調査です。介護報酬改定の基礎資料を得るための調査で、賃金構造基本統計調査とは目的も対象も違います。読む前に、範囲を4つ確認してください。
| 項目 | この調査の定義 |
|---|---|
| 対象の事業所 | 介護職員等処遇改善加算Ⅰ〜Ⅴを取得(届出)している事業所に限られる |
| 対象の人 | 令和5年9月30日と令和6年9月30日の両方に在籍している者を比較している |
| 平均給与額の中身 | 基本給(月額)+手当+一時金。一時金は4〜9月に支給された金額の1/6 |
| 職種の区分 | 「管理栄養士・栄養士」でひとまとまり。管理栄養士だけの数字は出ていない |
出典:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」統計表第70表の注記
2つ、先に断っておきます。
1つめ。これは月額であって、年収ではありません。一時金として計上されているのは4〜9月に支給された分の1/6だけで、10月〜3月の支給分は入っていません。12を掛けても年収にはならない構造です。本記事では年収の試算をしません。
2つめ。管理栄養士と栄養士が分かれていません。免許の種類による差はこの調査からは読めません。

管理栄養士・栄養士の数字を、そのまま並べます
統計表第70表から、管理栄養士・栄養士の行を書き出します。
| 項目 | 月給・常勤 | 月給・非常勤 |
|---|---|---|
| 集計人数 | 2,422人 | 40人 |
| 平均年齢 | 41.4歳 | 38.7歳 |
| 平均勤続年数 | 10.4年 | 10.5年 |
| 平均実労働時間数 | 158.8時間 | 122.1時間 |
| 平均給与額(令和6年9月) | 323,810円 | 264,580円 |
| うち平均基本給額 | 214,420円 | 176,520円 |
| うち平均手当額 | 54,690円 | 43,680円 |
| うち平均一時金額 | 54,700円 | 44,380円 |
| 平均給与額(令和5年9月) | 311,810円 | 253,120円 |
出典:同調査 統計表第70表(介護職員等処遇改善加算を取得している事業所)。内訳の合計は平均給与額と一致する(214,420+54,690+54,700=323,810)
常勤と非常勤の差は59,230円です。ただし実労働時間が158.8時間と122.1時間で36.7時間違うので、時間あたりで見れば差は縮みます。この調査は時間あたりの金額を出していないため、本記事でも計算しません。
前年からの伸びは12,000円(311,810円→323,810円)。8つの職種の中では、金額の伸びとしては中位です。

保育所で働く栄養士については、こども家庭庁の調査に私立・公立別の給与月額(賞与込み)があり、保育園栄養士の年収|私立の常勤は賞与込み月額338,336円、12か月分で406.0万円ですで扱っています。
ここが本題:基本給と手当で、順位が入れ替わります
総額の323,810円だけを見ると、この職種は介護職員(338,200円)より低い位置にあります。ところが内訳に分けると、そう単純ではありません。
| 内訳 | 管理栄養士・栄養士 | 介護職員 | 差 |
|---|---|---|---|
| 平均基本給額 | 214,420円 | 192,660円 | +21,760円(栄養士が高い) |
| 平均手当額 | 54,690円 | 97,980円 | −43,290円(栄養士が低い) |
| 平均一時金額 | 54,700円 | 47,560円 | +7,140円(栄養士が高い) |
| 平均給与額 | 323,810円 | 338,200円 | −14,390円(栄養士が低い) |
出典:同調査 統計表第70表(月給・常勤の者)。差は編集部が算出
足し算を確かめてください。+21,760 −43,290 +7,140 = −14,390。基本給と一時金では上回っているのに、手当ひとつで逆転されています。
手当の比率で見るとさらにはっきりします。
- 管理栄養士・栄養士の手当54,690円は、介護職員の97,980円の約56%
- 平均給与額に占める基本給の割合は、管理栄養士・栄養士が約66%、介護職員が約57%
出典:同調査より編集部が算出(54,690÷97,980/214,420÷323,810/192,660÷338,200)
この職種の給与は基本給の比重が高く、手当で積み上がる部分が小さい。調査資料にその理由は書かれていないため、本記事では推測しません。読み取れるのは、求人票を見るときに基本給と手当を分けて確認する必要がある、という形だけです。
なお、この調査の手当には処遇改善手当のほか、時間外手当(早朝・深夜・休日手当等)も含まれます。夜勤や交代制のある職種で手当が大きくなる構造です。
調理の職種については、別の調査に区分があります。賃金構造基本統計調査で読むときの区分名と、年齢による山の位置は調理師の年収379.1万円|統計の区分は「飲食物調理従事者」ですで扱っています。
8職種の中での位置
同じ調査は8職種を同じ条件で並べています。総額での並びは生活相談員の年収で扱っているので、本記事では年齢と勤続年数で並べます。
| 職種 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 集計人数 |
|---|---|---|---|
| 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士又は機能訓練指導員 | 40.5歳 | 8.8年 | 4,075人 |
| 管理栄養士・栄養士 | 41.4歳 | 10.4年 | 2,422人 |
| 介護職員 | 45.7歳 | 9.5年 | 22,319人 |
| 生活相談員・支援相談員 | 46.5歳 | 11.5年 | 3,555人 |
| 調理員 | 48.3歳 | 9.8年 | 2,214人 |
| 事務職員 | 48.4歳 | 11.4年 | 3,171人 |
| 介護支援専門員 | 50.9歳 | 12.9年 | 3,080人 |
| 看護職員 | 51.8歳 | 10.5年 | 5,867人 |
出典:同調査 統計表第70表(月給・常勤の者)。年齢の若い順に編集部が並べ替えた
管理栄養士・栄養士は8職種で2番目に若く、勤続年数は10.4年で4番目です。年齢が若いのに勤続年数が短くないという組み合わせで、この職種の平均像は「若いうちに入って続けている人」に近い形になります。
集計人数2,422人は、介護職員22,319人の約11分の1。施設の中では少数職種です。1人職場かどうかは施設ごとに違うので、応募時に人数を確認する価値があります。
性別の内訳は、看護職員とほぼ同じです
同じ調査の統計表第104表は、職種別の性別を出しています。
| 職種 | 介護従事者数 | 男 | 女 |
|---|---|---|---|
| 管理栄養士・栄養士 | 3,080人 | 6.6% | 93.3% |
| 看護職員 | 9,311人 | 6.5% | 93.3% |
| 調理員 | 4,781人 | 17.2% | 82.3% |
| 事務職員 | 4,260人 | 21.0% | 78.9% |
| 介護職員 | 33,993人 | 26.6% | 73.3% |
| 介護支援専門員 | 3,747人 | 33.8% | 66.0% |
| 生活相談員・支援相談員 | 4,222人 | 35.6% | 64.3% |
| 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士又は機能訓練指導員 | 5,307人 | 48.8% | 51.0% |
出典:同調査 統計表第104表。男女の割合を足しても100%にならないのは、原表に不詳が含まれるため。男の割合が低い順に編集部が並べ替えた
男6.6%・女93.3%は、8職種の中で看護職員と並んで最も女性に偏った構成です。この調査は職種別の男女別給与額を公表していないため、男女で金額に差があるかどうかは本記事では確認できません。
なお、第104表の人数(3,080人)と第70表の人数(月給・常勤2,422人)が違うのは、第104表が勤務形態を問わない集計だからです。同じ人数として扱わないでください。
この数字を求人選びにどう使うか
1. 提示額を「基本給」と「手当」に分けて聞く
この職種は基本給の比重が高く、手当が小さいという形が統計に出ています。総額だけを比べると、手当の大きい職種・職場と混同します。基本給214,420円という水準を物差しにしてください。
2. 加算を取得している事業所かどうかを確認する
この調査の対象は介護職員等処遇改善加算Ⅰ〜Ⅴを取得している事業所です。取得していない事業所の数字は、この調査には入っていません。応募先が加算を取得しているかは、聞けば分かることです。
3. 一時金の実績を年数分たずねる
調査の一時金54,700円は4〜9月支給分の1/6です。10月〜3月の支給分は含まれていません。年間で何か月分が支給されているかは、この調査からは読めません。
4. 栄養士が何人いるかを数字で聞く
集計人数は介護職員の約11分の1です。配置人数は施設の種類と定員で決まります。その根拠は介護施設の栄養士の仕事内容で扱っています。
5. 賃金構造基本統計調査の数字と混ぜない
2つの調査は定義が違います。賃金構造基本統計調査の「所定内給与額」は手当の一部と賞与を含みませんが、この調査の「平均給与額」は手当と一時金を含みます。金額を直接引き算しないでください。栄養士全体の分布は栄養士の年収は中位数25万9,400円で扱っています。
よくある質問
Q. 介護施設の栄養士の平均年収はいくらですか。
A. 本記事では年収を示していません。この調査の平均給与額は月額で、一時金として計上されているのは4〜9月支給分の1/6のみです。10月〜3月の支給分が入っていないため、12を掛けても年収になりません。調査自体もその計算をしていません。年収を知りたい場合は、応募先に一時金の年間支給実績を確認する必要があります。
Q. 管理栄養士のほうが給与は高いですか。
A. この調査では分かりません。統計表第70表の職種区分は「管理栄養士・栄養士」でひとまとまりになっており、免許の種類で分かれていないためです。本記事では免許による差を示していません。
Q. なぜ手当が少ないのですか。
A. 調査資料に理由の記載がないため、本記事では書きません。読み取れるのは、この調査の手当に時間外手当(早朝・深夜・休日手当等)が含まれること、そして管理栄養士・栄養士の平均実労働時間が158.8時間であることまでです。夜勤の有無などとの関係は、この調査からは切り分けられません。
迷ったらここ
求人票は総額ではなく、基本給と手当に分けて見る
介護施設の管理栄養士・栄養士は基本給214,420円で介護職員より21,760円高いのに、手当が介護職員の約56%にとどまり、総額では14,390円低くなります。総額だけで比べると、この構造が見えません。
- 提示額のうち基本給はいくらか(統計の水準は214,420円)
- 手当に何が含まれるか(統計の手当54,690円には時間外手当も入る)
- 処遇改善加算を取得している事業所か(この統計は取得事業所だけが対象)
まとめ
- 介護施設で働く栄養士の給与は介護従事者処遇状況等調査に出ている。管理栄養士・栄養士(月給・常勤)の平均給与額は月323,810円、前年比+12,000円
- 内訳は基本給214,420円+手当54,690円+一時金54,700円。合計は総額と一致する
- 基本給では介護職員より21,760円高い。ところが手当は介護職員の約56%で、差し引き14,390円低い
- 非常勤は264,580円で常勤との差59,230円。ただし実労働時間が36.7時間違う
- 平均年齢41.4歳は8職種で2番目に若く、勤続年数は10.4年。集計人数は介護職員の約11分の1
- 性別は男6.6%・女93.3%で、看護職員と並んで最も女性に偏っている(統計表第104表)
- この金額は月額であって年収ではない。一時金は4〜9月支給分の1/6しか入っていない
覚えておく数字を1つに絞るなら、総額の323,810円ではなく基本給214,420円にしてください。この職種は手当で積み上がりにくいぶん、基本給がそのまま生活の土台になります。求人票を見るときは、総額の内訳を必ず分けて確認してください。

