30秒でわかるまとめ
- 福祉用具専門相談員になる道は9通りあります介護保険法施行令が定める9つのうち8つは、看護師や介護福祉士など既存の資格でそのまま該当します
- この職種は「助言をする人」と定義されています厚生労働省令で、福祉用具の選び方や使い方について助言する者と位置づけられています
- 1人だけでは、この事業所を開けません指定基準は常勤換算方法で2以上の配置を求めており、1人体制の事業所は認められません
- 相談員の実務は、計画作りとモニタリングです目標とモニタリング時期を決めた計画を作り、6月以内に1回以上確認してケアマネに報告します
※同じ介護保険のサービスでも、訪問介護の入口(3つの方法)はホームヘルパーとは|正式名称は「訪問介護員」。なる方法は3つ、そのうち最短は4か月ですで扱っています。この記事は福祉用具の側だけを扱います。

まず条文:この職種は「助言する人」です
介護保険法 第8条第12項は、福祉用具貸与をこう定義しています。
「この法律において『福祉用具貸与』とは、居宅要介護者について福祉用具(中略)のうち厚生労働大臣が定めるものの政令で定めるところにより行われる貸与をいう。」
ここでいう「政令で定めるところ」が、介護保険法施行令 第4条第1項です。
「(前略)居宅要介護者又は居宅要支援者が福祉用具を選定するに当たり、次の各号のいずれかに該当する者(以下『福祉用具専門相談員』という。)から、福祉用具に関する専門的知識に基づく助言を受けて行われる貸与又は販売とする。」
読み方に注意が要ります。条文は「福祉用具専門相談員がいる事業所で貸すこと」と書いているのではありません。「専門的知識に基づく助言を受けて行われる貸与でなければ、制度上の福祉用具貸与ではない」と書いています。
つまりこの職種は、介護保険の福祉用具貸与という制度そのものに組み込まれています。助言する人がいなければ、そのサービスは成立しません。

なれる道は9通り。うち8つは別の資格です
施行令 第4条第1項が挙げているのは、次の9つです。
| 号 | 該当する者 | 種別 |
|---|---|---|
| 第1号 | 保健師 | 別の資格 |
| 第2号 | 看護師 | 別の資格 |
| 第3号 | 准看護師 | 別の資格 |
| 第4号 | 理学療法士 | 別の資格 |
| 第5号 | 作業療法士 | 別の資格 |
| 第6号 | 社会福祉士 | 別の資格 |
| 第7号 | 介護福祉士 | 別の資格 |
| 第8号 | 義肢装具士 | 別の資格 |
| 第9号 | 福祉用具専門相談員指定講習の課程を修了し、指定講習事業者から修了証明書の交付を受けた者 | 専用の入口 |
出典:介護保険法施行令(平成10年政令第412号)第4条第1項第1号〜第9号
ここが、この職種の性格を決めています。
1つめ。「福祉用具専門相談員」という国家資格があるわけではありません。条文が定めているのは「この9つのどれかに当たる者」という範囲です。第1号から第8号までの人は、講習を受けなくても最初から該当します。
2つめ。並んでいる8つの資格には共通点があります。身体の状態を見る資格(保健師・看護師・准看護師)、動きを見る資格(理学療法士・作業療法士)、装具を作る資格(義肢装具士)、生活と制度を見る資格(社会福祉士・介護福祉士)。福祉用具を選ぶ場面で必要になる知識が、そのまま並んでいます。
3つめ。介護支援専門員(ケアマネジャー)はこの9つに入っていません。ケアマネジャーは居宅サービス計画を作る側で、福祉用具貸与計画を作る側ではありません。両者の関係は後述します。資格そのものの違いは介護福祉士とケアマネの違いは「名称独占」と「必置資格」|年収差53.3万円を年齢別に分解しましたで扱っています。

9番目の入口:指定講習を出すのは都道府県知事です
第9号の講習は、誰でも開けるわけではありません。
施行令 第4条第2項は、講習を行う事業者の指定を「都道府県の区域ごとに、その指定を受けようとする者の申請により」都道府県知事が行うと定めています。
講習そのものの中身も省令にあります。介護保険法施行規則 第22条の31第1項は、講習の目的をこう書いています。
「福祉用具の選定の援助、機能等の点検、使用方法の指導等に必要な知識及び技術を有する者の養成を図ることを目的として行われるものとする。」
同条第2項は方法を定めています。
「講習は、講義及び演習により行うものとし、その実施に当たっては、講習において修得することが求められている知識及び技術の修得がなされていることにつき確認する等適切な方法により行われなければならない。」
そして指定の基準が、同規則 第22条の33に4つ置かれています。
| 号 | 基準 |
|---|---|
| 第1号 | 講習は、年に1回以上開催されること |
| 第2号 | 講習の内容は、厚生労働大臣が定める内容以上であること |
| 第3号 | 前号の内容を教授するのに必要な数の講師を有すること |
| 第4号 | 講師は、講習の課程を教授するのに適当な者であること |
出典:介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)第22条の31、第22条の33
時間数は省令に書かれていません。第2号が「厚生労働大臣が定める内容以上」としており、具体的な時間数や科目は厚生労働大臣の定め(告示)に委ねられています。本記事ではその告示を確認していないため、時間数は示しません。受講を検討する場合は、都道府県が公表している指定講習事業者の案内で確認してください。
「専用の資格試験に受かる」形ではなく、「指定された講習を修了して証明書の交付を受ける」形である点は、押さえておく価値があります。合格率という指標が存在しない入口です。
常勤換算は、勤務延時間数を常勤の従業者が勤務すべき時間数で割って出す数です。割る時間数の下限や計算例は介護の常勤換算とは|割る時間数は「32時間を下回る場合は32時間」が基本ですで扱っています。
配置は常勤換算2以上。1人では開けません
事業所側の基準も見ておきます。
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 第194条第1項
「指定福祉用具貸与の事業を行う者が当該事業を行う事業所ごとに置くべき福祉用具専門相談員(中略)の員数は、常勤換算方法で、二以上とする。」
他の介護サービスと並べると、この「2以上」の意味が見えます。
| サービス | 中心となる職種の配置基準 | 根拠 |
|---|---|---|
| 指定福祉用具貸与 | 福祉用具専門相談員 常勤換算2以上 | 第194条第1項 |
| 指定訪問介護 | 訪問介護員等 常勤換算2.5以上 | 第5条第1項 |
| 指定通所介護 | 生活相談員は提供時間帯に1以上 | 第93条第1項第1号 |
出典:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)。訪問介護の基準はホームヘルパーとはで扱っています
1人では指定を受けられません。求人を見るときは、事業所に何人いるかを数字で確認する価値があります。
なお、同一の事業所で特定福祉用具販売や介護予防福祉用具貸与の指定を併せて受け、一体的に運営している場合は、それぞれの基準を満たすことで足りるとされています(同条第2項)。実務上、貸与と販売は同じ人が担当することが多い構造になっています。
この職種が働く「福祉用具貸与」という事業そのものにも、省令の定めがあります。貸与と販売の分かれ目や、回収した用具を消毒して区分保管する定めは福祉用具貸与とは|借りたものが戻ってくる前提で、省令は書かれていますで扱っています。
「相談員」の実務は、計画を作ってモニタリングすること
名前は「相談員」ですが、条文が具体的に定めている仕事は福祉用具貸与計画です。同基準 第199条の2が8つの項にわたって手順を決めています。
| 項 | 定められていること |
|---|---|
| 第1項 | 利用者の希望・心身の状況・置かれている環境を踏まえ、目標、目標達成のための具体的なサービスの内容、モニタリングを行う時期等を記載した計画を作成する。販売の利用があるときは特定福祉用具販売計画と一体のものとして作成する |
| 第2項 | 居宅サービス計画が作成されている場合は、その内容に沿って作成する |
| 第3項 | 内容を利用者又は家族に説明し、利用者の同意を得る |
| 第4項 | 作成した計画を利用者と介護支援専門員に交付する |
| 第5項 | 作成後はモニタリングを行う。対象福祉用具については提供の開始時から6月以内に少なくとも1回モニタリングを行い、継続の必要性を検討する |
| 第6項 | モニタリングの結果を記録し、居宅介護支援事業者に報告する |
| 第7項 | 結果を踏まえ、必要に応じて計画を変更する |
| 第8項 | 第1項から第4項までの規定は、計画の変更について準用する |
出典:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 第199条の2
この条文から読み取れることが3つあります。
1つめ。計画を作る職種です。ケアマネジャーが作る居宅サービス計画に沿って、福祉用具の部分を具体化する立場にあります。「渡して終わり」ではなく、目標とモニタリング時期を先に決める仕事です。
2つめ。ケアマネジャーへの交付と報告が条文に入っています。第4項の交付と第6項の報告。事業所の外との連絡が、業務としてはっきり決まっています。記録と報告が仕事の土台になる点は介護事務と共通で、そちらの構造は介護事務の仕事内容|6種類の記録を2年保存することが請求の土台ですで扱っています。
3つめ。訪問が前提の仕事です。第5項のモニタリングは、用具が実際に使われている場所で見なければ成り立ちません。「6月以内に少なくとも1回」は下限であって、上限ではありません。
事業所はどれだけあるか
働く場の数も確認しておきます。
| サービス | 事業所数 |
|---|---|
| 福祉用具貸与 | 7,736事業所 |
| 特定福祉用具販売 | 7,605事業所 |
| 介護予防福祉用具貸与 | 7,612事業所 |
| 特定介護予防福祉用具販売 | 7,568事業所 |
| (参考)訪問介護 | 37,264事業所 |
| (参考)通所介護 | 24,585事業所 |
出典:厚生労働省「令和6年介護サービス施設・事業所調査の概況」(令和6年10月1日現在)。注記のとおり、複数のサービスを提供している事業所は各々に計上されています
4つの数字が近いのは、同じ事業所が複数の指定を受けているためと考えられます。ただしこの調査は事業所単位の重複を排除した数を示していないため、実際に何か所あるかは本記事では特定できません。
訪問介護(37,264事業所)と比べると、福祉用具の事業所は5分の1程度の規模感です。1事業所あたり常勤換算2以上という基準と合わせると、求人の総数は多くない職種だと分かります。
福祉用具の事業所には、住宅改修も扱うところがあります。介護保険の住宅改修で、施工者と理由書の作成者に何が求められているかは住宅改修に資格は必要か|省令が求めているのは、施工者の資格ではなく理由書ですで扱っています。
就職・転職前に確認できること
1. 自分がどの号に当たるかを先に確定させる
すでに保健師・看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士・社会福祉士・介護福祉士・義肢装具士のいずれかを持っているなら、講習を受けなくても第1号から第8号のどれかに該当します。持っていない場合は第9号の指定講習が入口です。
2. 指定講習は都道府県ごとに指定されている
指定するのは都道府県知事で、区域ごとの指定です(施行令 第4条第2項)。受講を考える都道府県が公表している指定講習事業者の一覧を確認してください。開催は年1回以上とされていますが、日程と回数は事業者によって違います。
3. 事業所の人数を数字で聞く
基準は常勤換算2以上です。常勤が何人で非常勤が何人かを確認すると、1人あたりの担当件数の見当がつきます。
4. 貸与と販売の両方を扱うかを聞く
第194条第2項が一体的な運営を想定しており、第199条の2第1項は販売の利用があるときに計画を一体のものとして作成することを求めています。担当範囲がどこまでかで、書類の量が変わります。
5. モニタリングの頻度を聞く
条文は「6月以内に少なくとも1回」です。これは下限なので、事業所の方針で回数は増えます。訪問の件数と移動時間は、この頻度で決まります。
よくある質問
Q. 福祉用具専門相談員は国家資格ですか。
A. 国家資格という形ではありません。介護保険法施行令 第4条第1項が「次の各号のいずれかに該当する者」として9つの範囲を定めているもので、第9号だけが専用の入口(指定講習の修了と証明書の交付)です。試験に合格して免許を受ける仕組みではないため、合格率という指標もありません。
Q. 講習は何時間ですか。
A. 本記事では確認していないため、時間数は示しません。介護保険法施行規則 第22条の33第2号は「厚生労働大臣が定める内容以上であること」としており、具体的な内容は告示に委ねられています。受講する都道府県の指定講習事業者の案内で確認してください。
Q. ケアマネジャーの資格があればなれますか。
A. 介護支援専門員は施行令 第4条第1項の9つに挙げられていません。ただし介護支援専門員の受験資格は一定の国家資格や実務経験を前提にしているため、その人が別に持っている資格(介護福祉士、看護師など)で該当する場合はあります。ご自身が第1号から第8号のどれかに当たるかを確認してください。
迷ったらここ
まず「自分が第何号で該当するか」を確定させる
施行令 第4条第1項の9つのうち8つは別の資格です。すでに介護福祉士・看護師・社会福祉士などを持っているなら、講習を受けなくても該当します。持っていない場合だけ、第9号の指定講習が入口になります。
- 手持ちの資格が第1号〜第8号のどれかに当たるか(保健師・看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士・社会福祉士・介護福祉士・義肢装具士)
- 事業所に福祉用具専門相談員は何人いるか(基準は常勤換算2以上)
- モニタリングの頻度はどれくらいか(条文の「6月以内に少なくとも1回」は下限)
まとめ
- なれる道は9通り(介護保険法施行令 第4条第1項)。第1号から第8号までは別の資格で、専用の入口は第9号の指定講習だけ
- 条文上の位置づけは「専門的知識に基づく助言をする人」。助言を受けて行われる貸与でなければ、制度上の福祉用具貸与にならない
- 指定講習を指定するのは都道府県知事。指定の基準は4つで、年1回以上の開催と厚生労働大臣が定める内容以上が中心。時間数は省令にない
- 配置は常勤換算2以上(第194条第1項)。1人では事業所を開けない
- 実務の中心は福祉用具貸与計画。作成・同意・交付・モニタリング(6月以内に少なくとも1回)・報告・変更まで条文が決めている
- 事業所数は福祉用具貸与7,736。訪問介護37,264の5分の1程度
「相談員」という名前から窓口業務を想像すると、実際とずれます。この職種の仕事は、計画を作り、期限を決めて見に行き、結果をケアマネジャーに返すことです。条文はそこまで具体的に書いています。

