30秒でわかるまとめ
- 医療・福祉の大卒の39.1%が、3年以内に辞めています厚生労働省が10月23日に公表した、2023年3月卒業者の数字です。前年から1.7ポイント下がりました。
- 高卒では49.4%で、産業別で3番目に高い水準です上位は宿泊業,飲食サービス業の61.6%、生活関連サービス業,娯楽業の61.1%でした。前年から0.2ポイント上がっています。
- 全産業の3年以内離職率は大卒31.2%、高卒36.9%です医療・福祉はどちらも全産業より高い水準です。大卒では、産業別で4番目に高くなっています。
- 大卒で医療・福祉に就職したのは69,844人でしたこのうち3年目までに辞めたのは27,301人、1年目までに辞めたのは9,066人です。雇用保険の加入記録から集計しています。
厚生労働省は10月23日、2023年3月に学校を卒業して就職した人の離職状況を公表した。就職後3年以内の離職率は、大卒が31.2%、高卒が36.9%だった。産業別では、医療・福祉に就職した大卒の39.1%、高卒の49.4%が3年以内に辞めていた。看護・介護・保育・栄養士の職場を含む医療・福祉で、新卒の定着がどうなっているかを整理する。
大卒は39.1%、前年から1.7ポイント低下
公表資料は、3年以内の離職率が高い上位5つの産業を学歴別に挙げている(「その他」を除く)。大卒の医療、福祉は39.1%で4番目だった。前年と比べると1.7ポイント下がった。
| 大卒の産業 | 3年以内離職率 | 前年差 |
|---|---|---|
| 宿泊業,飲食サービス業 | 49.9% | ▲5.5P |
| 生活関連サービス業,娯楽業 | 49.8% | ▲4.9P |
| 教育、学習支援業 | 42.3% | ▲1.9P |
| 医療、福祉 | 39.1% | ▲1.7P |
| 小売業 | 38.1% | ▲2.3P |
出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和5年3月卒業者)」報道発表資料(2023年3月卒業者。「その他」を除く上位5産業)
上位5つの産業は、いずれも前年より離職率が下がっている。大卒全体の31.2%も前年から2.6ポイント低下した。
医療・福祉は辞める人が一番多い業界だと思っていました。
大卒の医療、福祉は39.1%で、上位5産業の4番目だったね。
高い方ではあるけれど、一番ではないんですね。
高卒は49.4%、産業別で3番目
高卒では、医療、福祉の3年以内離職率は49.4%で、上位5産業の3番目だった。前年から0.2ポイント上がっている。
| 高卒の産業 | 3年以内離職率 | 前年差 |
|---|---|---|
| 宿泊業,飲食サービス業 | 61.6% | ▲3.1P |
| 生活関連サービス業,娯楽業 | 61.1% | ▲0.4P |
| 医療、福祉 | 49.4% | +0.2P |
| 教育、学習支援業 | 49.3% | ▲4.3P |
| 小売業 | 48.5% | +0.2P |
出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和5年3月卒業者)」報道発表資料(2023年3月卒業者。「その他」を除く上位5産業)
高卒の上位5産業のうち、前年より離職率が上がったのは医療、福祉と小売業の2つだけだった。高卒全体は36.9%で、前年から1.0ポイント下がっている。
小さな事業所ほど離職率は高い
学歴別にみた3年以内離職率は、中学54.5%、高校36.9%、短大等43.1%、大学31.2%だった。事業所の規模別では、規模が小さいほど離職率が高い。大卒では、従業員5人未満の事業所が58.2%、5〜29人が50.6%で、1,000人以上は24.2%だった。高卒では5人未満が61.3%、1,000人以上が24.4%である。
医療、福祉の離職率を事業所の規模別に分けた数字は、公表資料にはない。小規模な介護事業所や保育所、クリニックで働く人の離職率がどうかは、この資料からは分からない。
1年目までに辞めた大卒は9,066人
厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況」のページには、産業別の人数の表も載っている。2023年3月に大学を卒業して医療、福祉に就職した人は69,844人(2026年6月集計値)で、このうち3年目までに辞めたのは27,301人、2年目までは19,552人、1年目までは9,066人だった。
高卒では、医療、福祉に就職した9,051人のうち、3年目までに辞めたのは4,467人、2年目までは3,496人、1年目までは2,078人である。
辞めた人の多くは、1年目より後に辞めているんですね。
大卒で3年目までに辞めた27,301人のうち、1年目までは9,066人だったよ。
高卒は9,051人が就職して、3年目までに4,467人が辞めていた。
1年目を乗り越えても、2年目、3年目に壁があるのかもしれません。
短大等卒の医療・福祉は47,409人
保育士や栄養士には短大・専門学校の卒業者も多い。公表資料は短大等卒の上位5産業を示していないが、人数の表によると、2023年3月に短大等を卒業して医療、福祉に就職した人は47,409人で、3年目までに辞めたのは17,820人、1年目までは6,308人だった。
この人数から編集部で割り算すると、短大等卒の医療、福祉の3年以内離職率は約37.6%になる。同じ方法で短大等卒全体を計算すると43.1%で、公表値と一致する。ただし、短大等卒の産業別の率は公表資料に載っていないため、この37.6%は編集部の試算である。
この統計の学歴は、卒業した学校の届出ではなく、生年月日と雇用保険の加入時期から推定している。たとえば短大等は、生年月日が2001年4月2日から2003年4月1日までの人である。どの養成校の卒業者がどこに入るかは、この資料からは確かめられない。
雇用保険の記録で数えている
この離職率は、事業所がハローワークに出した雇用保険の加入届から、生年月日や加入日などで新卒と推定される人を数え、その離職日から計算している。たとえば大卒は、生年月日が2001年4月1日以前で、2023年3月1日から6月30日までに新卒として雇用保険に加入した人を対象に、2026年3月31日までに辞めた人を数えた。
就職した事業所を辞めれば、離職の理由や辞めたあとの就業の状態にかかわらず離職者に数える。同じ業界のほかの職場へ転職した人も、離職者に入っている。
辞めた人の中には、別の病院や施設に移った人もいるんですね。
就職先を選ぶときは、新人が何年くらい続いているかも聞いてみます。
迷ったらここ
新人の定着を聞く
同じ業界でも、新人が続くかどうかは職場の育て方や人の配置で変わります。応募先では次の点を聞いておくと比べやすくなります。
- 昨年の新人のうち、いま何人が残っているか
- 新人教育やプリセプターの仕組みがあるか
- 夜勤や一人で担当する業務は何か月目からか
- 困ったときに相談できる先輩や窓口があるか
編集部の見方:3年は長い
ここからは編集部の見方である。医療、福祉に就職した大卒の4割近く、高卒の約半数が3年以内に最初の職場を離れている。大卒では前年より下がったが、高卒では上がり、上位5産業の中で上がったのは医療、福祉と小売業だけだった。新卒が職場に定着するかどうかは、医療・福祉の人手不足を考えるうえで避けて通れない。
ただし、この数字は最初の事業所を離れた人の割合で、資格を生かして別の病院や施設に移った人も含む。辞めること自体が悪いとは限らない。就職先を選ぶ側にできるのは、応募先で新人がどれくらい続いているかを具体的に聞くことだ。人材紹介で就職した人の半年以内の離職率は人材紹介と離職率の記事で整理している。
出典
一次資料
- 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和5年3月卒業者)を公表します」(2026年10月23日、2026年10月26日参照)。報道発表資料、資料出所及び離職率の集計の考え方
- 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」(2026年10月26日参照)。新規大学卒・新規高卒・新規短大等卒就職者の産業別離職状況(人数の表)
編集部メモ
- 「医療、福祉」は日本標準産業分類の大分類で、職種別の数字はありません。看護・介護・保育・栄養士を分けた離職率は出せません。
- 離職率の順位は、報道発表資料の「離職率の高い上位5産業」(「その他」を除く)によります。6位以下の産業の率は、この記事では扱っていません。
- 就職者数は2026年6月の集計値です。3年目・2年目・1年目までの離職者数は、それぞれの時点までに辞めた人の累計です。
- 短大等卒の医療、福祉の離職率(約37.6%)は、人数の表から編集部が計算した試算で、公表値ではありません。同じ計算で短大等卒全体が公表値の43.1%と一致することは確かめています。
- 前年差は報道発表資料に書かれたものをそのまま使っています。

