訪問看護の緊急訪問、月の初回も夜間の加算へ 570事業所で算定できず

夜間の緊急訪問、月の初回も加算の対象に

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目次

30秒でわかるまとめ

  • 訪問看護の夜間の緊急訪問で、月の初回も加算できる案が出ました厚生労働省が10月19日の介護給付費分科会に示しました。いまは月の初回の緊急訪問では、夜間などの加算を算定できません。
  • 初回の夜間訪問で加算を取れなかったのは570事業所でした夜間に緊急訪問をした913事業所のうちの数です。訪問看護の団体が2025年12月〜2026年2月の3か月を調べました。
  • 看護職員だけで訪問する事業所の収支差率は5.7%です理学療法士なども訪問する事業所は11.1%でした。2024年度決算で、訪問看護の全体は10.3%です。
  • オンライン診療の補助に、報酬の評価を新設する案もあります看護師がそばにつき医師がオンラインで診る形です。補助そのものは平均9.7分、前後の対応も含めると35.9分でした。

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厚生労働省は10月19日、社会保障審議会の介護給付費分科会に、2027年度の介護報酬改定に向けた訪問看護の論点と対応案を示した。その1つが、夜間や深夜に緊急で訪問したときの加算の扱いである。いまのルールでは、月の初回の緊急訪問は夜間などの加算の対象にならない。資料には、看護職員だけで訪問する事業所の収支が厳しいことを示す数字も載った。訪問看護で働く看護師に向けて整理する。

月の初回の緊急訪問も加算の対象に

介護保険の訪問看護では、夜間または早朝に訪問すると1回につき所定単位数の100分の25、深夜に訪問すると100分の50が加算される。ただし、利用者や家族の求めに24時間対応する体制をとって緊急時訪問看護加算を算定している事業所では、時間外の緊急訪問が月の初回だと、早朝・夜間や深夜の加算は算定できない。2回目以降の緊急訪問なら算定できる。

資料は、医療ニーズのある利用者が増えるなかで時間外の緊急訪問をしている実態がある一方、その訪問が月の初回である場合には加算を算定できなかった利用者もいると指摘した。そのうえで対応案として、「夜間の訪問看護を提供した際の月初回の訪問時に、緊急時訪問看護加算を算定している場合も「早朝・夜間加算」及び「深夜加算」を算定可能としてはどうか」と示した。看護小規模多機能型居宅介護についても同様に評価してはどうかとしている。

ちはる

夜中に呼ばれて訪問しても、その月の最初だと加算がつかないんですか。

熊先生

緊急時訪問看護加算を算定していると、いまはそういうルールなんだ。

ちはる

夜の対応が報酬に映る方向なら、オンコールの見え方も変わりそうです。

夜間の初回で570事業所が算定できず

根拠として資料が載せたのは、全国訪問看護事業協会と日本訪問看護財団が介護報酬改定の要望書をつくるために行ったアンケート調査である。回答した1,791事業所のうち、緊急時訪問看護加算を算定する利用者がいる事業所は81.0%(1,450事業所)だった。このうち実際に緊急訪問をした事業所は87.0%(1,261事業所)である。

時間帯訪問あり算定できず人数
夜間913事業所570事業所1.2人
深夜618事業所334事業所0.8人
早朝534事業所304事業所0.6人

出典:厚生労働省 第271回社会保障審議会介護給付費分科会 資料3(全国訪問看護事業協会・日本訪問看護財団のアンケート調査。2025年12月〜2026年2月の3か月間)

時間帯は、夜間が午後6〜10時、深夜が午後10時〜午前6時、早朝が午前6〜8時である。「訪問あり」は緊急訪問をした事業所、「算定できず」は緊急訪問が月の初回だったために加算を算定できなかった利用者がいた事業所の数で、「人数」はそうした利用者の1事業所あたりの3か月間の人数である。夜間に緊急訪問をした913事業所のうち570事業所で、初回のため加算を算定できなかった利用者がいた。深夜は618事業所のうち334事業所だった。

この調査は訪問看護の団体が要望書をつくるために行ったもので、国の統計ではない。介護給付費分科会の資料に、厚生労働省がそのまま載せている。

緊急時の加算は88%の事業所が算定

緊急時訪問看護加算そのものは広がっている。介護DBの各年4月審査分で、算定事業所数は2016年4月の7,771か所から、2025年4月には14,827か所に増えた。事業所の算定割合は77%から88%になっている。2024年度改定で新設された(Ⅰ)が8,692か所、それまでの加算にあたる(Ⅱ)が6,135か所である。報酬は訪問看護ステーションの場合、(Ⅰ)が月600単位、(Ⅱ)が月574単位となっている。

看護職員だけの事業所は収支差率5.7%

資料は、訪問看護の経営の数字も示した。2025年度介護事業経営概況調査によると、訪問看護の収支差率は10.3%(2024年度決算、物価高騰対策関連の補助金を含まない)で、金額では月35.8万円である。全サービスの平均は4.7%だった。

ところが、訪問の担い手で分けると差が大きい。訪問看護の一環として理学療法士などの訪問も行う事業所の収支差率は11.1%、看護職員のみの訪問を行う事業所は5.7%だった。理学療法士などの職員割合が50%超100%以下の事業所は14.1%である。

訪問の担い手収支差率有効回答
看護職員のみ5.7%79
理学療法士などの訪問もある11.1%165
うち理学療法士などが50%超14.1%24

出典:厚生労働省 第271回社会保障審議会介護給付費分科会 資料3(2025年度介護事業経営概況調査と介護DBのデータより老健局作成。2024年度決算)

ちはる

看護師だけで回している事業所のほうが、収支は厳しいんですね。

熊先生

看護職員のみの事業所は5.7%、理学療法士なども訪問する事業所は11.1%だったね。

熊先生

ただ、看護職員のみの事業所の有効回答は79と少ないよ。

ちはる

夜間の加算の見直しは、看護師が支える事業所にとって意味が大きそうです。

理学療法士などの訪問は評価を見直す案

訪問看護の訪問回数に占める理学療法士などの訪問の割合は増えており、資料によると介護予防訪問看護では約63%、訪問看護では約53%を占める。2018年度と比べて、訪問看護ステーションの理学療法士などによる訪問看護の算定件数は約1.7倍になった。

これまでの分科会では、リハビリテーションの提供が主体の事業所もあり、訪問看護の役割を踏まえた見直しが必要だという意見や、看護師による訪問看護を適切に評価するべきだという意見が出ていた。対応案は、訪問看護ステーションの理学療法士などによる訪問看護について、訪問看護の役割を踏まえ、サービスの提供体制や実績などを踏まえた評価の見直しをどう考えるか、とした。どう見直すかの具体的な形は示されていない。

オンライン診療の補助に評価を新設

利用者のそばに訪問看護の看護師がつき、医師がオンラインで診療する形は「D to P with N」と呼ばれ、2026年度の診療報酬改定で評価された。介護保険では次の改定までの間、事務連絡で扱いを示している。対応案は、訪問看護事業所の看護師等がD to P with Nによるオンライン診療の補助を行った場合に評価を新設し、地域の医療機関などとICTで情報連携した場合の評価も設ける、とした。

2025年度の老人保健健康増進等事業の調査では、オンライン診療のうち「医師の診察・診療の補助」そのものにかかった時間は平均9.7分で、診察前の準備や診察後の対応を含めた合計は平均35.9分だった。このほかの対応案では、利用者の家で残薬を確認し医師や薬剤師に報告することを運営基準の要件にすること、認知症の利用者への支援などを担う専門性の高い看護師について専門管理加算の対象を広げることも挙がった。

ちはる

夜の対応や新しい役割が、どこまで評価されるか気になります。

ちはる

まずは応募先のオンコールの回数と手当を確かめてみます。

迷ったらここ

オンコールの中身を聞く

訪問看護の働きやすさは、夜間や休日の緊急対応をどう分担しているかで大きく変わります。応募先では次の点を聞いておくと比べやすくなります。

  • オンコール当番は月に何回くらいか
  • 実際に呼び出される回数はどのくらいか
  • 待機手当と、出動したときの手当はいくらか
  • 看護職員と理学療法士などの人数の割合
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編集部の見方:夜の対応を報酬に映す

ここからは編集部の見方である。訪問看護の夜間・深夜の緊急訪問は、看護師がオンコールで支えている仕事だ。月の初回の緊急訪問にも加算を認める案は、その時間外の対応を報酬に映す方向の見直しといえる。看護職員だけで訪問する事業所の収支差率が5.7%と低いことを考えると、夜間の加算の扱いは小さな話ではない。

ただし、いずれも分科会に示された案の段階で、理学療法士などの訪問の評価の見直しも含め、具体的な単位数はまだ分からない。報酬が加算されても、それが看護師の手当にどう配られるかは事業所しだいである。訪問看護の利用者の伸びは訪問看護の利用者の記事で、看護師が運営する療養通所介護の現状は療養通所介護の記事で整理している。

出典

一次資料

編集部メモ

  • 夜間の加算、理学療法士などの訪問の評価、オンライン診療の補助の評価は、いずれも分科会の資料に示された対応案です。単位数は資料に書かれていません。分科会での議論の中身は、この記事に反映していません。
  • 緊急訪問で加算を算定できなかった事業所の数は、全国訪問看護事業協会と日本訪問看護財団のアンケート調査(要望書作成のための調査)によるものです。
  • 収支差率は2025年度介護事業経営概況調査(2024年度決算)と介護DBのデータを組み合わせて老健局が作成したものです。看護職員のみの事業所の有効回答は79、理学療法士などの職員割合が50%超の事業所は24です。
  • 緊急時訪問看護加算の算定状況のグラフは、6月29日の分科会(第259回)の資料を今回の資料に再び載せたものです。2024年度からは(Ⅰ)と(Ⅱ)を合算しています。
  • 理学療法士などの訪問回数の割合(約63%・約53%)と算定件数の伸び(約1.7倍)は、資料の表現をそのまま使っています。
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この記事を書いた人

医療・福祉・保育の人材紹介の現場で求職者の相談を受けてきた編集者が担当しています。キャリアアドバイザー歴8年、転職相談・紹介の対応実績1,500人以上(自社実績/2026年8月時点)。介護・看護師・保育士・栄養士の4分野を担当。記事の数値には必ず出典と公表時点を添えています。

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