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30秒でわかるまとめ
- 管理栄養士の在宅訪問で、30分未満も評価する案が出ました厚生労働省が10月19日の介護給付費分科会に示しました。いまは30分以上の指導でないと算定できません。
- 算定していない訪問では、40.9%が30分未満でした国の調査研究事業の結果です。算定している訪問では、50分以上60分未満の32.2%が最も多くなっています。
- 算定の対象に、栄養スクリーニングを加える案もあります事業所の職員が栄養の介入は必要ないとした人を測ると、低栄養が11.9%、低栄養のおそれが45.5%でした。
- 管理栄養士の訪問の費用額は、2025年度で8億800万円です2012年度の1億7,200万円から増えましたが、居宅療養管理指導の全体2,145億9,000万円の中ではごく一部です。
厚生労働省は10月19日、社会保障審議会の介護給付費分科会に、2027年度の介護報酬改定に向けた訪問系サービスの論点を示した。このうち居宅療養管理指導の資料には、管理栄養士が利用者の自宅を訪ねて行う栄養の指導について、30分未満でも新たに評価する案と、算定できる対象に栄養スクリーニングを加える案が入った。在宅で働く管理栄養士の仕事にかかわる見直しなので、資料の数字とあわせて整理する。
30分未満の指導も評価する案
居宅療養管理指導は、通院が難しい利用者の自宅を、医師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士などが訪ね、療養上の管理や指導を行う介護保険のサービスである。管理栄養士の場合は、計画的な医学的管理を行っている医師の指示に基づき、栄養管理に係る情報提供及び指導又は助言を30分以上行うことが算定の要件になっている。
資料はこの要件について、管理栄養士による算定件数は「極めて少ない」とし、訪問指導の時間が要件の30分に満たないために算定していないケースが一定数あると指摘した。そのうえで対応案として、「30分未満の栄養管理に係る情報提供及び指導又は助言について、新たに評価を行ってはどうか」と示している。
いまの報酬は、管理栄養士の居宅療養管理指導費(Ⅰ)が、単一建物居住者が1人の場合に545単位、2〜9人の場合に487単位、10人以上の場合に444単位である。(Ⅱ)はそれぞれ525単位、467単位、424単位となっている。算定は月2回が限度で、医師が追加の訪問を判断した場合は月4回が限度である。30分未満の指導を何単位で評価するかは、今回の資料には書かれていない。
30分に届かないと、訪問しても報酬にならないんですか。
いまの居宅療養管理指導は、30分以上が要件になっているね。
短い訪問も評価されれば、訪問の組み方が変わりそうです。
算定なしの訪問は40.9%が30分未満
根拠として資料が示したのは、2022年度の老人保健健康増進等事業「管理栄養士による居宅療養管理指導に関する調査研究事業」の結果である。訪問指導の時間を、居宅療養管理指導を算定した訪問と、算定しなかった訪問に分けて集計している。
| 訪問指導の時間 | 算定あり | 算定なし |
|---|---|---|
| 20分未満 | - | 17.2% |
| 20分以上30分未満 | - | 23.7% |
| 30分以上40分未満 | 29.5% | 24.7% |
| 40分以上50分未満 | 24.0% | 5.4% |
| 50分以上60分未満 | 32.2% | 18.3% |
| 60分以上 | 14.2% | 10.8% |
出典:厚生労働省 第271回社会保障審議会介護給付費分科会 資料5(2022年度老人保健健康増進等事業より老健局作成。算定ありはn=183、算定なしはn=93)
算定しなかった訪問では、「20分未満」が17.2%、「20分以上30分未満」が23.7%で、あわせて40.9%が算定要件の30分に満たなかった。算定した訪問では「50分以上60分未満」が32.2%で最も多い。算定ありの訪問に30分未満の欄が無いのは、30分以上が算定の要件だからである。
同じ調査では、居宅療養管理指導(Ⅰ)または(Ⅱ)を算定している病院と診療所176施設に、居宅療養管理指導で行っている助言・指導の内容(複数回答)も聞いている。「食事の形態」が97.7%で最も多く、「栄養補助食品の紹介・利用方法」が96.6%、「栄養素摂取量」が92.0%と続く。「食欲不振への対応」は89.8%、「とろみ剤の使用方法」は88.1%だった。
表の「算定なし」は、訪問して指導したが居宅療養管理指導を算定しなかったケースである。30分以上の訪問でも算定していないケースがあるが、その理由は資料に書かれていない。
資料には、2025年度の老人保健健康増進等事業「居宅療養管理指導等に係る在宅医療・介護連携の調査研究事業」の結果も載っている。管理栄養士による居宅療養管理指導の訪問に、他の職種が同行したことが「有」と答えたのは50.0%(n=20)だった。同行した職種(複数回答)は「医師」と「介護支援専門員」がそれぞれ50.0%で最も多かった。ただし、この設問はn=20と少ない。
対象に栄養スクリーニングを加える案
もう1つの対応案は、算定できる対象者の見直しである。いまの管理栄養士の居宅療養管理指導の算定対象は、特別食を提供する必要がある者又は低栄養状態にある者とされている。資料は、在宅の要支援者・要介護者には「低栄養のおそれあり」や「低栄養」の人が一定数いるのに、医療の専門職につながらないことで、栄養の介入は必要ないと判断されることがあると指摘した。
そのうえで、「管理栄養士の居宅療養管理指導の算定対象として、医師の指示に基づく栄養スクリーニングの実施を追加してはどうか」という対応案を示した。低栄養の人を見つけるところから、管理栄養士がかかわれるようにする案である。
介入不要とされた人の11.9%が低栄養
根拠の1つは、2025年度の老人保健健康増進等事業「在宅における栄養管理・口腔管理の充実に関する調査研究事業」である。通所介護、グループホーム、有料老人ホーム、短期入所生活介護の利用者269人について、事業所の職員が栄養の介入の必要性を判断したところ、「無」が86.1%だった。
このうち実測に協力した101人を、管理栄養士が簡易栄養状態評価表(MNA-SF)で調べると、「低栄養」が11.9%、「低栄養のおそれ」が45.5%だった。「栄養状態良好」は42.6%である。職員の目では必要ないと見えても、測ってみると低栄養やそのおそれがある人がいた、という結果である。
資料はまた、2022年度の老人保健健康増進等事業「ICT等を活用した在宅高齢者の栄養・食生活支援に関する調査研究事業」で、通所サービスや居宅サービスを利用する65歳以上の343人を調べた結果として、「低栄養のおそれあり」と「低栄養」の人の割合は要支援者で50%以上、要介護者で70%以上だったとしている。
職員が「必要ない」と見た人の中にも、低栄養の人がいたんですね。
実測した101人のうち、低栄養が11.9%、おそれが45.5%だったね。
だからスクリーニングを算定の対象に加える案が出ているんだ。
見つける段階から管理栄養士がかかわれると、在宅の仕事の幅が広がりますね。
費用額は8億800万円
資料の参考資料には、居宅療養管理指導の費用額の推移も載っている。介護給付費等実態統計の各年10月審査分を12倍したもので、介護予防は含まない。管理栄養士の分は2012年度の1億7,200万円から、2025年度には8億800万円になった。
ただ、居宅療養管理指導の全体は2012年度の534億3,900万円から、2025年度は2,145億9,000万円に増えている。医師、歯科医師、薬剤師、歯科衛生士の分を含めた全体の中で、管理栄養士の分はごく一部にとどまる。
委員からは教育の在り方も
資料には、これまでの分科会で出た委員の意見も事務局の責任で整理して載っている。栄養管理については、低栄養やそのおそれがある人を適切に把握し、管理栄養士や多職種による栄養スクリーニングを通じて医師による迅速な指示につなげられるよう、タスクシフト・タスクシェアの観点を踏まえた制度設計や、管理栄養士に求められる能力を身につけるための教育の在り方を検討すべきだという意見があった。
居宅療養管理指導の資料には、薬剤師の算定回数の上限や算定間隔の見直し、サービス付き高齢者向け住宅などの住まいの形態に合わせた報酬の在り方も論点として並んでいる。住まいの形態については、高齢者住まいへのサービス提供を扱う回で説明と議論をする予定とされている。
短い訪問とスクリーニングが評価されたら、訪問の仕事は増えるんでしょうか。
まずは応募先が在宅の訪問をしているか、確かめてみます。
迷ったらここ
在宅訪問の有無を聞く
管理栄養士が在宅の訪問にどこまでかかわれるかは、勤め先が居宅療養管理指導などの訪問をしているかで大きく変わります。応募先では次の点を聞いておくと比べやすくなります。
- 管理栄養士が利用者の自宅を訪問しているか
- 訪問は月に何件くらいで、1回に何分くらいか
- 医師やケアマネジャーとどう連携しているか
- 訪問の移動や記録の時間が勤務時間に入っているか
編集部の見方:在宅の栄養は入口から
ここからは編集部の見方である。今回の2つの対応案は、どちらも管理栄養士が在宅の利用者にかかわる入口を広げる方向のものだ。30分未満の指導が評価されれば、これまで報酬にならなかった短い訪問が算定の対象になりうる。栄養スクリーニングが対象に加われば、低栄養の人を見つける段階から管理栄養士が動けるようになる。
ただし、いずれも分科会に示された案の段階で、何単位で評価するかもまだ示されていない。管理栄養士の分の費用額は8億800万円と、居宅療養管理指導全体の中ではまだ小さい。報酬の額や要件が固まるのは、これからの議論である。病院の管理栄養士が退院後の自宅を訪ねる診療報酬の指導料は訪問栄養指導の記事で、デイサービスの栄養の加算の算定状況はデイの栄養の加算の記事で整理している。
出典
一次資料
- 厚生労働省「第271回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料」(2026年10月19日、2026年10月19日参照)。議事次第、資料5「居宅療養管理指導」
編集部メモ
- 2つの対応案は、分科会の資料に示された案です。この記事は当日朝に公表された資料をもとにしており、分科会での議論の中身は反映していません。
- 30分未満の指導を何単位で評価するか、栄養スクリーニングをどの単位で評価するかは、資料に書かれていません。
- 訪問指導の時間と助言・指導の内容は2022年度、同行職種と栄養介入の必要性の調査は2025年度の、いずれも老人保健健康増進等事業の結果です。同行職種の設問はn=20です。
- 費用額は各年10月審査分を12倍した値で、介護予防は含みません。資料のグラフでは百万円単位です(管理栄養士は2012年度172百万円、2025年度808百万円)。
- 訪問指導の時間・同行職種・低栄養の状況・費用額のグラフは、6月29日の分科会(第259回)や9月3日の分科会(第264回)の資料を今回の資料に再び載せたものです。
- 居宅療養管理指導費の(Ⅰ)と(Ⅱ)の違いは今回の資料に書かれていないため、本文では扱っていません。

