30秒でわかるまとめ
- 保育士が支援で使う個別支援計画は、省令では名前が違います省令の名前は児童発達支援計画と放課後等デイサービス計画で、作成は児童発達支援管理責任者の業務です。
- 何を書くかは、省令の第27条第4項が並べています意向、総合的な支援目標と達成時期、課題、領域との関連性とインクルージョンの観点を踏まえた具体的内容などです。
- 5領域は、5つの欄に分けて書く必要はありませんただし各領域との関連性は必ず記載し、本人支援の全体で5領域すべてが関連付けられるようにします。
- 家族支援と移行支援も、記載が求められる項目です本人支援・家族支援・移行支援は必ず記載し、地域支援・地域連携は必要に応じて記載するとガイドラインにあります。
※計画に基づいて支援が組まれる仕組みは放課後等デイの仕事内容と1日、事業の全体像は児童発達支援とはで扱っています。

先に断ります:「個別支援計画」は省令の言葉ではありません
根拠になる省令は、児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号。以下「通所支援基準」)です。この省令に「個別支援計画」という語は出てきません。
- 省令の名前:児童発達支援計画(第27条第1項)、放課後等デイサービス計画(第71条による読み替え)
- ガイドラインの呼び方:別添1「個別支援計画の記載のポイント」、参考様式の表題「個別支援計画書」
出典:通所支援基準(e-Gov法令API 法令ID 424M60000100015)第27条第1項、第71条/こども家庭庁「児童発達支援ガイドライン」「放課後等デイサービスガイドライン」(令和6年7月)別添1
第27条第1項は、計画の作成に関する業務を児童発達支援管理責任者に担当させるとしています。要件は児童発達支援管理責任者の要件で扱っています。
なお、保育所の指導案は保育所保育指針に基づく別の計画で、保育士の指導案の書き方で扱っています。

まず条文:原案に書く事項は、第27条第4項が並べています
「児童発達支援管理責任者は、アセスメント及び支援内容の検討結果に基づき、通所給付決定保護者及び障害児の生活に対する意向、障害児に対する総合的な支援目標及びその達成時期、生活全般の質を向上させるための課題、第二十六条第四項に規定する領域との関連性及びインクルージョンの観点を踏まえた指定児童発達支援の具体的内容、指定児童発達支援を提供する上での留意事項その他必要な事項を記載した児童発達支援計画の原案を作成しなければならない。」
出典:通所支援基準 第27条第4項 前段(原文どおり)
| # | 原案に記載する事項 |
|---|---|
| 1 | 通所給付決定保護者及び障害児の生活に対する意向 |
| 2 | 障害児に対する総合的な支援目標及びその達成時期 |
| 3 | 生活全般の質を向上させるための課題 |
| 4 | 第二十六条第四項に規定する領域との関連性及びインクルージョンの観点を踏まえた具体的内容 |
| 5 | 提供する上での留意事項 |
| 6 | その他必要な事項 |
出典:通所支援基準 第27条第4項(番号は編集部)
同じ項の後段は、障害児の家族に対する援助と、ほかの保健医療サービス又は福祉サービスとの連携も含めて原案に位置付けるよう努めなければならないとしています。
面接・会議・同意・見直しといった作成の手順は同じ第27条の他の項にあり、放課後等デイの仕事内容と1日で扱っています。

「領域」は第26条第4項にあり、ガイドラインが5つに分けています
第27条第4項が指している第26条第4項は、提供に当たって「心身の健康等に関する領域を含む総合的な支援を行わなければならない」としています。
省令の条文には、5つの領域の名前は書かれていません。名前と中身を示しているのはガイドラインです。
| 領域 | ガイドラインの説明 |
|---|---|
| 健康・生活 | 心身の健康や生活に関する領域 |
| 運動・感覚 | 運動や感覚に関する領域 |
| 認知・行動 | 認知と行動に関する領域 |
| 言語・コミュニケーション | 言語・コミュニケーションの獲得に関する領域 |
| 人間関係・社会性 | 人との関わりに関する領域 |
出典:児童発達支援ガイドライン 第3章2(1)/放課後等デイサービスガイドライン 第3章2(1)
似た言葉に、第26条の2の支援プログラムがあります。「領域との関連性を明確にした」計画を事業所ごとに策定し、公表するもので、一人ひとりの計画とは別のものです。
第26条第4項と第26条の2は、令和6年4月の運営基準の改正で新しく置かれた規定です。支援プログラムを公表していない事業所は、令和7年4月から所定単位数の100分の85で算定されます。改正の全体は放課後等デイの報酬改定の影響|報酬は計画に定めた支援時間で3区分に。支援プログラムの公表も義務になりましたで扱っています。
書く前に:アセスメントは5領域の視点で行います
ガイドラインは、児童発達支援管理責任者がこどもや家族への面談等により、本人支援の5領域の視点等を踏まえたアセスメントを実施するとしています。
- 市町村が支給決定の際に行う「5領域20項目の調査」の結果を保護者に確認し、アセスメントを含め支援の場面にも活用していくことが重要とされています。
- 保護者のニーズとこども本人のニーズは必ずしも一致しないため、まずはこどものニーズを明確化していくことが求められています。
出典:児童発達支援ガイドライン 第4章2(1)/放課後等デイサービスガイドライン 第4章2(1)
集めた情報は、課題整理表等を用いて整理しながらニーズを具体化し、計画にします(同 第4章2(2))。
ここが本題:参考様式の欄は、上から順につながっています
ガイドラインの別添1は、全体の留意点としてこう書いています。
「それぞれの記載項目について、こどもと家族の意向とアセスメントを踏まえて、つながりを持って作成していくことが必要である。「利用児及び家族の生活に対する意向」も踏まえて「総合的な支援の方針」を設定し、それを受けた「長期目標」「短期目標」、それを達成するための「支援目標及び具体的な支援内容等」を設定すること。」
出典:児童発達支援ガイドライン 別添1「個別支援計画の記載のポイント」(原文どおり)
| 欄 | ガイドラインが示す書き方 |
|---|---|
| 利用児及び家族の生活に対する意向 | こども本人や家族の意向を聴いた上で、発達段階や特性等を踏まえて整理して記載 |
| 総合的な支援の方針 | 1年間を目途に(それ以上の期間も可)、事業所としての見立てとどのように支援をしていくのかという方針 |
| 長期目標 | 概ね1年程度で目指す目標 |
| 短期目標 | 概ね6か月程度で目指す目標 |
| 支援の標準的な提供時間等 | 利用曜日・提供時間等 |
| 支援目標及び具体的な支援内容等 | 項目/支援目標/支援内容/達成時期/担当者・提供機関/留意事項/優先順位 |
出典:児童発達支援ガイドライン 別添1(放課後等デイサービスガイドライン 別添1も同じ項目)
方針から目標、目標から支援内容へと、上の欄を受けて下の欄を書く作りです。欄の増減等のアレンジは、こどもの利用頻度や発達の程度に応じて適宜行うこととして差し支えない、とされています。
本人支援:5つの欄は要らず、全部の領域との関連は必ず書きます
「5領域との関連性については、5つの領域全てが関連付けられるよう記載すること。相互に関連する部分、重なる部分もあると考えられるため、5つの欄を設けて、個々に異なる目標を設定する必要はないが、各領域との関連性についての記載は必ず行うこと。」
出典:児童発達支援ガイドライン 別添1「本人支援」(原文どおり)
- 当てはめで終わらせない。別添1は「単に5領域に対応する課題や支援への当てはめを行うだけのアセスメント・計画作成にならないよう留意すること」としています。
- 関連する領域は全部書く。支援内容と関連する5領域が複数にまたがる場合には、関連する領域を全て記載します。
- 頻度が低い支援も書く。計画期間内の実施頻度が低いと見込まれる支援内容でも、5領域全てとの関連において必要な支援内容を記載するとされています(第4章2(2))。
- 特定の領域に重点を置く場合も書く。総合的な支援に加えて行う場合も、計画に記載することが必要とされています(同)。
出典:児童発達支援ガイドライン 別添1、第4章2(2)
放課後等デイサービスでは、ガイドラインが「4つの基本活動をベースとした具体的な支援内容を設定する」としています。4つは「自立支援と日常生活の充実のための活動」「多様な遊びや体験活動」「地域交流の活動」「こどもが主体的に参画できる活動」です(放課後等デイサービスガイドライン 第3章2、第4章2(2))。
別添1は、支援目標や支援内容がそれぞれのこどもについて同一のものとなることや、記載が長期にわたり同一であることは想定されないとしています。
家族支援・移行支援・地域支援・地域連携の書き方
| 項目 | 記載 | 5領域との関連性 | ガイドラインが挙げる例(抜粋) |
|---|---|---|---|
| 本人支援 | 必ず記載 | 記載する | (前の節) |
| 家族支援 | 必ず記載 | 記載は不要 | 特性の理解に向けた相談援助、ペアレントトレーニング、きょうだいへの相談援助等の支援 |
| 移行支援 | 必ず記載 | 記載は不要 | 移行先との調整、併行利用先や学校等との情報共有、地域の保育所等や子育て支援サークル、地域住民との交流 |
| 地域支援・地域連携 | 必要に応じて記載(積極的に取り組むことが望ましい) | 記載は不要 | こどもを担当する保健師や、こどもが通う医療機関等との情報連携や調整等 |
出典:児童発達支援ガイドライン 別添1
移行支援は、必ずしも保育所等への具体的な移行だけを念頭に置くものではないとされています。入園・入学等のライフステージの切り替えを見据えた準備も含まれます。放課後等デイサービスガイドラインでは、併行利用や移行の先として放課後児童クラブ等が挙がっています(第4章2(2))。
支援目標・達成時期・担当者・留意事項の書き方
| 欄 | ガイドラインが示す書き方 |
|---|---|
| 支援目標 | モニタリング時に到達できているであろう状況を具体的な到達目標として記載。主語はこども本人や家族を基本とする(移行支援・地域支援・地域連携は事業所等が主語にもなりうる) |
| 支援内容 | 事業所がどのような支援、工夫、配慮を行うのかを具体的に記載。「いつ」「どこで」「誰が」「どのように」「どのくらい」を明確に |
| 達成時期 | 最長6か月後まで。1〜3か月で達成する目標も積極的に検討 |
| 担当者・提供機関 | 担当者の氏名や職種等。関係機関と連携する場合は機関名等 |
| 留意事項 | 算定を想定している加算や頻度等、家族の役割、支援の進め方等 |
| 優先順位 | 本人支援の各支援内容に設定。番号のほか二重丸や丸等でも可。家族支援・移行支援・地域支援・地域連携は不要 |
出典:児童発達支援ガイドライン 別添1、第4章2(2)
達成時期の上限が6か月なのは、別添1が「6か月に1回以上の見直しが求められているため」と説明しているからです。
ガイドラインの項目に沿った架空の記入イメージ
ここまでの項目を並べた架空の記入イメージです。実在のこどもや事業所の計画ではなく、国が示した記載例でもありません。
| 欄・項目 | 架空の記入イメージ(児童発達支援、保育所と併行利用している年長児) |
|---|---|
| 利用児及び家族の生活に対する意向 | 本人:友だちと一緒に遊びたい。家族:小学校で困ったときに先生に伝えられるようになってほしい |
| 総合的な支援の方針 | 保育所との役割分担を踏まえ、気持ちを伝える手段を増やし、就学に向けて保育所・家庭と支援方法をそろえる |
| 短期目標 | 決まった合図やカードを使って「手伝って」を伝えられる |
| 本人支援 | 支援目標:集団遊びの中で、カードを使って順番や手伝いを求める。支援内容:遊びの前に手順を絵で示し、伝えられたらすぐ応じる。関連する領域:言語・コミュニケーション、人間関係・社会性(健康・生活、運動・感覚、認知・行動との関連は、ほかの本人支援の行に書く) |
| 家族支援 | 家庭でも同じカードを使えるよう、使い方を面談で共有する |
| 移行支援 | 保育所と、声掛けのタイミングやカードの使い方を擦り合わせる。就学先への引継ぎに向け、家族の意向を聴く |
出典:欄・項目の名前は本文中の各箇所。記入イメージは編集部が作成した架空の例
確かめたいのは、意向→方針→目標→支援内容がつながっているかと、本人支援の全体で5領域すべてとの関連が書かれているかです。
この記事が扱っていないこと
- 5領域それぞれのねらいと支援内容の細目。ガイドライン第3章2(1)の(ア)〜(オ)にありますが、本記事では扱っていません。
- 計画作成の手順を定めた条文。放課後等デイの仕事内容と1日で扱っています。
- 加算の単位数や算定要件。告示・通知の領域で、本記事は取得していません。
- 第27条第4項がいつの改正で今の文言になったか。改正の新旧対照は取得していません。本記事は現行の条文だけを読んでいます。
- 「5領域20項目の調査」の調査票や、市町村・事業所が独自に使っている様式。取得していません。
個別支援計画に関わる職場で確認できること
- 計画の様式に5領域との関連性を書く欄があるか。第27条第4項とガイドライン別添1が求めている部分です。
- 家族支援と移行支援が毎回書かれているか。別添1は必ず記載する項目としています。
- 支援プログラムが公表されているか。第26条の2により事業所ごとに公表するもので、応募前に読めます。
よくある質問
Q. 個別支援計画は誰が書きますか。
A. 通所支援基準 第27条第1項は、計画の作成に関する業務を児童発達支援管理責任者に担当させるとしています。会議には支援に関わる職員を積極的に関与させることが必要とガイドラインにあります。
Q. 5領域ごとに5つの目標を立てる必要がありますか。
A. ありません。別添1は5つの欄を設けて個々に異なる目標を設定する必要はないとしています。ただし各領域との関連性の記載は必ず行います。
Q. 家族支援や移行支援は、書くことがなければ空欄でもよいですか。
A. 別添1は、本人支援・家族支援・移行支援について「必ず記載すること」としています。必要に応じて記載とされているのは地域支援・地域連携です。
Q. 保育所の指導案と同じ書き方でよいですか。
A. 根拠が別です。個別支援計画は通所支援基準とこども家庭庁のガイドライン、保育所の指導案は保育所保育指針に基づきます。指導案は保育士の指導案の書き方で扱っています。
迷ったらここ
個別支援計画の様式を見比べる
個別支援計画に書く事項は通所支援基準 第27条第4項が並べています。ガイドラインは5つの欄に分けなくてよい一方で、5領域すべてとの関連を書くよう求めています。
- 計画の様式に、5領域との関連性を書く欄があるか
- 家族支援と移行支援の欄が、毎回書かれているか
- 事業所の支援プログラムが公表されているか
まとめ
「個別支援計画」は省令の言葉ではなく、通所支援基準では児童発達支援計画・放課後等デイサービス計画です。原案に書く事項は第27条第4項が並べ、具体的内容は領域との関連性及びインクルージョンの観点を踏まえたものとされています。
領域の名前と書き方はガイドラインが示しています。健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性の5領域は、5つの欄に分けなくてよい一方、すべての領域との関連性を必ず記載します。
項目は本人支援・家族支援・移行支援を必ず記載し、地域支援・地域連携は必要に応じて記載します。達成時期は最長6か月後までです。

