住宅改修に資格は必要か|省令が求めているのは、施工者の資格ではなく理由書です

目次

30秒でわかるまとめ

  • 介護保険の住宅改修は、施工者の資格を条文に書いていません施工者について申請書に書く事項は、氏名又は名称と省令に定められています。
  • 必要な理由を書く書類の作成者は、ケアマネなどです介護支援専門員その他の専門的知識及び経験を有する者が作成する、と第75条にあります。
  • 申請は工事の前と、完了した後の2回に分かれています着工前に見積りや理由書を出し、完了後に領収証や完了後の状態がわかる書類を出します。
  • 支給されるのは費用の9割で、上限額は大臣が定めます一定以上の所得がある人は8割や7割になる読み替えが、別の条に置かれています。

※同じ介護保険で用具を借りる仕組みは福祉用具貸与とは、理由書を書く側の資格はケアマネの受験資格で扱っています。

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まず条文:住宅改修は、介護保険の給付の1つです

介護保険法 第45条第1項です。

「市町村は、居宅要介護被保険者が、手すりの取付けその他の厚生労働大臣が定める種類の住宅の改修(以下「住宅改修」という。)を行ったときは、当該居宅要介護被保険者に対し、居宅介護住宅改修費を支給する。」

出典:介護保険法(e-Gov法令API 法令ID 409AC0000000123)第45条第1項(原文どおり)

条文の主語は市町村で、支給を受けるのは改修を行った本人です。工事をする業者の側について、この条は何も書いていません。

条文が名指ししている種類は「手すりの取付け」だけで、ほかは厚生労働大臣が定める種類に委ねられています。

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ここが本題:申請書に書く施工者の事項は、氏名又は名称です

申請の手続は、介護保険法施行規則 第75条第1項が定めています。着工前に第1号〜第4号、完了後に第5号〜第7号を出す組み立てです。

時期号提出するもの
着工前(あらかじめ)第1号住宅改修の内容、箇所及び規模並びに当該住宅改修を施工する者の氏名又は名称
第2号住宅改修に要する費用の見積り及びその着工予定の年月日
第3号介護支援専門員その他居宅要介護被保険者からの住宅改修についての相談に関する専門的知識及び経験を有する者が作成する書類であって、住宅改修について必要と認められる理由が記載されているもの
第4号住宅改修の予定の状態が確認できるもの
完了後第5号住宅改修に要した費用並びにその着工及び完成の年月日
第6号住宅改修に要した費用に係る領収証
第7号住宅改修の完了後の状態を確認できる書類等

出典:介護保険法施行規則(e-Gov法令API 法令ID 411M50000100036)第75条第1項第1号〜第7号

施工する者について書くことになっているのは「氏名又は名称」です。本記事が取得した介護保険法・同法施行令・同法施行規則のどこにも、住宅改修の施工者に特定の資格を求める条文は見当たりませんでした。

そのかわり、資格や経験が書き込まれているのは第3号の「理由」を書く人のほうです。

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理由を書くのは「介護支援専門員その他」の人です

第3号は、理由を記載した書類の作成者を「介護支援専門員その他居宅要介護被保険者からの住宅改修についての相談に関する専門的知識及び経験を有する者」としています。

  • 名指しされている職種は介護支援専門員です。
  • 「その他……専門的知識及び経験を有する者」という書き方で、介護支援専門員に限っていません。
  • 書くのは「必要と認められる理由」です。工事の図面や仕様ではありません。

住宅改修の制度は、工事の腕ではなく「なぜこの改修が必要か」を、相談の専門家に書かせる作りになっています。

工事の前に出すのが原則。例外と、持ち家でない場合

項定め
第75条第1項住宅改修を行おうとするときには、あらかじめ第1号〜第4号を提出し、完了した後に第5号〜第7号を提出しなければならない
第75条第2項やむを得ない事情がある場合には、住宅改修が完了した後に第1号及び第3号の事項を記載した申請書又は書類を提出することができる
第75条第3項住宅の所有者が本人でない場合には、所有者が住宅改修について承諾したことが確認できる書類を添付しなければならない

出典:介護保険法施行規則 第75条第1項〜第3項

工事を先に済ませてから申請するのは、条文の上では「やむを得ない事情がある場合」の例外です。施工する側から見ても、着工の前に見積りと理由書がそろっている必要がある、という順番になります。

支給は、市町村が必要と認める場合に限られます

介護保険法 第45条第2項は「市町村が必要と認める場合に限り、支給する」とし、施行規則 第74条がその中身を定めています。

「居宅介護住宅改修費は、当該住宅改修が当該居宅要介護被保険者が現に居住する住宅について行われたものであり、かつ、当該居宅要介護被保険者の心身の状況、住宅の状況等を勘案して必要と認められる場合に限り支給するものとする。」

出典:介護保険法施行規則 第74条(原文どおり)

「現に居住する住宅」が条件です。これから住む予定の家は、この書き方には当たりません。

支給されるのは費用の9割。上限額は大臣が定めます

項定め
第45条第3項居宅介護住宅改修費の額は、住宅改修に要した費用の額の百分の九十に相当する額
第45条第4項一の種類の住宅改修につき支給する額の総額は、居宅介護住宅改修費支給限度基準額を基礎として算定した額の百分の九十を超えることができない
第45条第5項支給限度基準額は、住宅改修の種類ごとに、通常要する費用を勘案して厚生労働大臣が定める額
第45条第6項市町村は、条例で、支給限度基準額に代えてその額を超える額を定めることができる

出典:介護保険法 第45条第3項〜第6項

さらに第49条の2が、一定以上の所得を有する要介護被保険者について、居宅介護住宅改修費の「百分の九十」を「百分の八十」、さらに所得が高い人は「百分の七十」と読み替えると定めています。

出典:介護保険法 第49条の2第1項第8号・第2項

限度額の金額そのものは、法律ではなく厚生労働大臣が定める額です。本記事は告示を取得していないため、金額は書いていません。

工事をした側にも、市町村の調査が及びます

第45条第8項は、市町村長が支給に関して必要があると認めるときは、住宅改修を行う者若しくは住宅改修を行った者に対し、報告や帳簿書類の提出・提示を命じ、質問させ、事業所に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査させることができると定めています。

出典:介護保険法 第45条第8項

資格は求められていなくても、工事をした業者は市町村の調査の対象になります。見積りや領収証、施工の記録を残しておくことが、施工する側の実務になります。

この記事が扱っていないこと

  • 厚生労働大臣が定める住宅改修の種類の一覧。告示の領域で、本記事は取得していません。条文が名指ししているのは「手すりの取付け」だけです。
  • 支給限度基準額の金額。同じく告示の領域です。
  • 市町村が独自に設けている施工業者の登録制度や、受領委任払いの仕組み。市町村ごとの運用で、本記事は取得していません。
  • 民間団体が認定する資格。法令上の要件ではないため扱っていません。
  • 建築に関する他の法令が施工者に求める許可等。介護保険の法令の外にあるため、本記事は取得していません。

住宅改修の仕事に関わるときに確認できること

  • 理由書を誰が書くか。第75条第1項第3号は、介護支援専門員その他の専門的知識及び経験を有する者としています。
  • 着工前に申請がそろっているか。完了後の申請は、やむを得ない事情がある場合の例外です。
  • 住宅の所有者は誰か。本人でなければ、所有者の承諾を確認できる書類が要ります。
  • 領収証と完了後の写真等を渡せるか。第6号・第7号の書類は、施工する側が用意するものです。
  • 市町村独自の手続があるか。施工業者の登録などは、市町村ごとに確認が要ります。

よくある質問

Q. 住宅改修の工事をするのに資格は要りますか。
A. 介護保険法施行規則 第75条第1項第1号が申請書に書かせているのは「当該住宅改修を施工する者の氏名又は名称」です。本記事が取得した介護保険の法令には、施工者に資格を求める条文はありませんでした。建築関係の他の法令や市町村の運用は、別途確認が必要です。

Q. 理由書は誰が書きますか。
A. 第75条第1項第3号は「介護支援専門員その他居宅要介護被保険者からの住宅改修についての相談に関する専門的知識及び経験を有する者」としています。

Q. 工事が終わってから申請できますか。
A. 原則は着工前の申請です。第75条第2項により、やむを得ない事情がある場合には、完了した後に申請書又は書類を提出することができます。

Q. 賃貸住宅でも使えますか。
A. 第74条は「現に居住する住宅」としています。所有者が本人でない場合は、第75条第3項により所有者の承諾が確認できる書類が要ります。

Q. いくらまで支給されますか。
A. 費用の9割(所得により8割・7割)で、上限は厚生労働大臣が定める支給限度基準額を基礎に算定されます。金額は告示で定められており、本記事では取得していません。

迷ったらここ

理由書を、誰が書くかを先に決める

介護保険の住宅改修で、省令が作成者を名指ししているのは必要な理由を書く書類です。介護支援専門員その他の専門的知識及び経験を有する者が作成します。

  • 理由書を書くのは誰か
  • 着工前に見積りと理由書がそろっているか
  • 市町村独自の手続があるか
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まとめ

介護保険の住宅改修は、介護保険法 第45条が定める給付です。申請書に書く施工者の事項は「氏名又は名称」で(施行規則 第75条第1項第1号)、本記事が取得した介護保険の法令に、施工者の資格を求める条文はありませんでした。

資格・経験が書き込まれているのは、必要と認められる理由を書く書類の作成者のほうで、介護支援専門員その他の専門的知識及び経験を有する者とされています(同第3号)。

申請は着工前(見積り・理由書など)と完了後(領収証・完了後の状態がわかる書類など)の2段階で、完了後の申請は例外です。支給は費用の9割(所得により8割・7割)で、上限額は厚生労働大臣が定める額です。

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この記事を書いた人

医療・福祉・保育の人材紹介の現場で求職者の相談を受けてきた編集者が担当しています。キャリアアドバイザー歴8年、転職相談・紹介の対応実績1,500人以上(自社実績/2026年8月時点)。介護・看護師・保育士・栄養士の4分野を担当。記事の数値には必ず出典と公表時点を添えています。

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