「看護師を辞めたい」と思ったら|働き続けたい人は62.9%に低下。それでも離職率は横ばいでした

看護師を辞めたい。働き続けたい人は62.9%に低下
目次

30秒でわかるまとめ

  • 看護師の継続意向は、62.9%まで下がりました2021年の67.6%から低下した一方、実際の離職率は11.0%とほぼ横ばいのままです。
  • つらさの相手は、内容によってはっきり別です身体的な攻撃は93.8%が患者・利用者から、個の侵害は64.7%が上司からという結果でした。
  • 続けたい気持ちは、勤務先によって大きく変わります継続意向は訪問看護ステーション78.1%、病院61.5%で、16.6ポイントの開きがあります。
  • 看護師も、つらさを一人で抱える必要はありません労働問題は総合労働相談コーナー、こころの不調はこころの耳という厚生労働省の無料窓口があります。
入院患者と看護師(病棟看護師)

辞めたい人は増え、辞めた人は増えていない

まず、数字から確認します。

日本看護協会が4年に1度実施している調査で、「今後も看護職として働き続けたいか」を尋ねた結果、「とてもそう思う」18.5%、「ややそう思う」44.4%で、合わせて62.9%でした。

問題は、この数字が前回から下がっていることです。

調査年とてもそう思うややそう思う合計(継続意向あり)
2021年(n=5,121)25.4%42.2%67.6%
2025年(n=4,430)18.5%44.4%62.9%

出典:公益社団法人日本看護協会「2025年 看護職員実態調査」2026年3月31日公表

特に「とてもそう思う」が25.4%から18.5%へと、7ポイント近く落ちています。積極的に続けたいと思える人が、明確に減りました。

年齢別に見ると、20〜29歳の継続意向が最も低く53.7%(とてもそう思う10.6%+ややそう思う43.1%)。30〜39歳が58.5%で続きます。日本看護協会自身が「看護職が看護の現場から離れる懸念が高まりつつあります」と述べています。

一方、実際の離職率はどうか。

年度正規雇用看護職員新卒採用者既卒採用者
2021年度11.6%10.3%16.8%
2022年度11.8%10.2%16.6%
2023年度11.3%8.8%16.1%
2024年度11.0%8.4%16.1%

出典:公益社団法人日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」2026年3月31日公表(有効回収数3,502/回収率43.7%)

離職率は11.0%で、むしろ微減しています。つまり——

「辞めたい」と思う人は増えているのに、実際に辞めた人は増えていない。

この差は、多くの看護師が辞めたい気持ちを抱えたまま働き続けていることを意味します。あなたが感じているものは、特別に弱いからでも、続ける根性が足りないからでもありません。同じ気持ちの人が、いま職場に何人もいます。

仕事に悩む男女

同じ病棟で働く看護助手の「きつい」のうち、体の負担については、国の指針が事業者に求めている対策(リフト等の活用、腰痛の健康診断、教育)があります。看護助手がきついとき|国の指針は、人力による人の抱上げを原則として行わせないとしていますで扱っています。

同じ「看護師」でも、離職率は職場で6ポイント以上違う

ここからが実務的な話です。離職率11.0%は全国平均にすぎません。設置主体別に見ると、まったく違う景色になります。

設置主体正規雇用看護職員の離職率新卒採用者既卒採用者
会社7.3%5.5%4.2%
公立8.0%8.1%9.1%
日本赤十字社8.7%5.6%9.5%
国立9.6%7.2%12.1%
厚生連9.6%5.7%10.4%
私立学校法人11.2%8.0%12.8%
済生会11.3%9.9%13.3%
社会福祉法人12.3%11.2%17.0%
公益社団・財団法人13.0%9.6%16.3%
医療法人14.0%10.3%18.1%
医療生協14.4%10.9%18.4%
全体11.0%8.4%16.1%

出典:同「2025年 病院看護実態調査」図表3(回答病院数3,440)

公立の8.0%と医療生協の14.4%では、6.4ポイントの開きがあります。医療法人(14.0%)は回答病院1,875施設と最も数が多く、多くの看護師が働いている領域ですが、離職率は全体平均を3ポイント上回ります。

病床規模でも差が出ます。

病床規模正規雇用看護職員の離職率新卒採用者
99床以下13.1%13.8%
100〜199床12.6%11.3%
200〜299床11.3%8.8%
300〜399床11.1%8.3%
400〜499床10.1%8.2%
500床以上10.0%7.6%

出典:同図表2

さらに勤務先の種類でも、続けたい気持ちは変わります。「看護職として働き続けたい」と答えた割合を勤務先別に見ると、こうなります。

現在の勤務先継続意向あり(とても+やや)
訪問看護ステーション(n=187)78.1%
診療所(n=91)75.9%
介護施設(n=137)70.1%
看護系教育機関(n=95)69.5%
行政(n=88)67.1%
病院(n=3,659)61.5%

出典:同「2025年 看護職員実態調査」図表3

訪問看護ステーションと病院では16.6ポイントの差があります。日本看護協会も、継続意向は「病院勤務者で他と比較して低かった」と明記しています。

ここから言えることは一つです。あなたが限界を感じているのは「看護師という仕事」ではなく、「いまいる場所」かもしれない。そして場所は、変えられます。

悩む看護師

訪問看護ステーションに移る場合は、従業者の数や勤務形態、研修の実施状況が、介護保険法の仕組みで公表される項目になっています。見るべき項目は 訪問看護ステーションの選び方|従業者の数と経験年数は、省令が定める公表項目ですで扱っています。

「人間関係がつらい」の中身を分解すると、打ち手が変わる

この1年間に就業先で暴力・暴言・ハラスメントを受けた経験がある看護職員は、49.3%でした(n=4,430)。ほぼ2人に1人です。

受けた内容の内訳はこうなっています(経験のある2,185名の集計)。

内容受けた割合
精神的な攻撃76.0%
意に反する性的な言動65.4%
身体的な攻撃51.2%
人間関係からの切り離し36.4%
過大な要求35.7%
個の侵害14.6%
過小な要求12.7%

出典:同「2025年 看護職員実態調査」図表17

そしてここが最も重要な部分です。「誰から受けたか」は、内容によってはっきり分かれます。

内容患者・利用者患者の家族上司(看護職)同僚(看護職)医師
身体的な攻撃(n=1,118)93.8%6.4%3.1%1.1%3.9%
意に反する性的な言動(n=1,429)74.2%19.0%25.0%8.7%25.0%
精神的な攻撃(n=1,661)54.6%22.5%34.3%13.0%27.1%
人間関係からの切り離し(n=796)12.9%4.8%41.5%34.3%20.4%
過大な要求(n=779)29.0%20.2%55.3%16.6%21.2%
過小な要求(n=277)22.4%11.6%62.1%17.3%18.4%
個の侵害(n=320)12.8%4.4%64.7%25.6%9.7%

出典:同図表20(複数回答)

読み取れる構造は明快です。

  • 叩かれる・触られるのは、患者・利用者から。身体的な攻撃の93.8%、性的な言動の74.2%が患者・利用者によるものです。
  • 仕事を干される・過剰に押し付けられる・私生活に踏み込まれるのは、上司から。個の侵害の64.7%、過小な要求の62.1%、過大な要求の55.3%、仲間はずれの41.5%が上司(看護職)です。

つまり、あなたが「職場の人間関係がつらい」と感じているとき、その正体は2種類のまったく違う問題である可能性が高い。そして対処法も違います。

  • 患者・利用者からの暴力は、個人で我慢する話ではなく組織の安全管理の問題です。院内の対応体制がどうなっているかが、その病院の質を測る物差しになります。
  • 上司からのハラスメントは、その事業所のマネジメントの問題です。相性の問題なら異動や転職でも起こりうるが、マネジメントの質は職場ごとに違うので、変えられます。

なお患者・利用者からの被害は増えています。2017年の同協会調査では患者・利用者59.5%でしたが、今回は69.3%。約10ポイント上昇しました。これは現場の努力不足ではなく、環境そのものの変化です。

1年目の場合は、研修の体制も確認できる項目に入ります。新人研修が病院等の開設者等の責務として法律に置かれていることは看護師1年目がつらいとき|研修は法律が病院に求めていますで扱っています。

動く前に確認できる5つのポイント

1. 「看護という仕事」が嫌なのか、「この職場」が嫌なのか

紙に書き出してみてください。患者さんと関わる時間そのものが苦痛なのか。それとも、記録の量、シフトの組まれ方、特定の上司の言動、夜勤の回数が苦痛なのか。

後者であれば、職場を変えるだけで解決する範囲です。前章の通り、離職率も継続意向も職場によって大きく違います。

2. いまの職場の設置主体と病床規模を確認する

自分の勤務先が、離職率の高い区分に入っていないか確認してください。医療法人(14.0%)・医療生協(14.4%)・99床以下(13.1%)に該当するなら、あなたの職場のしんどさは「看護師だから」ではなく「その区分の傾向」かもしれません。

3. 病院以外の選択肢を知っているか

継続意向が最も高いのは訪問看護ステーション(78.1%)で、病院(61.5%)とは16.6ポイント違います。診療所も75.9%です。

「看護師を辞める」の前に、「病院を辞める」という選択肢があります。

4. 残業時間と有給取得率を数字で把握する

同調査では、20〜39歳の正規雇用職員(フルタイム、n=1,237)について、超過勤務時間が短い人・有給休暇取得率が高い人ほど継続意向が高いという関係が確認されています。

また、看護職として働き続けるために重要視することは、次の順でした(3つまで回答、n=4,430)。

重要視すること割合
業務や役割、責任に見合った賃金額である53.6%
休みがとりやすい49.6%
職場の人間関係が良い48.5%
希望する働き方ができる38.9%
時間外労働(残業)が少ない25.1%
育児・介護との両立がしやすい17.1%

出典:同「2025年 看護職員実態調査」図表7

賃金・休み・人間関係の3つがほぼ横並びで上位です。給与の相場も確認しておきましょう。2025年度実績で、勤続10年の看護師(非管理職)の平均基本給与額は254,286円、新卒(高卒・3年課程卒)は216,416円、大卒は221,883円でした(出典:同「2025年 病院看護実態調査」)。

5. 一人で抱えていないか

これが最後で、いちばん大事です。

ハラスメントを受けている場合、当事者同士での解決は困難です。公的な相談窓口は無料で使えます。

  • 総合労働相談コーナー(厚生労働省)… 全国の労働局・労働基準監督署内に設置。解雇、いじめ・嫌がらせなど労働問題全般の相談を無料で受け付けています。
  • こころの耳(厚生労働省)… 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト。電話・SNS相談の窓口があります。

なお同調査では、正規雇用看護職員のうち病気で1か月以上の連続休暇を取得した人がいる病院のうち、メンタルヘルス不調者がいた病院は79.5%、1病院あたり平均5.4人でした。心身に不調が出ている場合は、転職を考える前に医療機関の受診を優先してください。

書き出した苦痛が夜勤の回数に寄っているなら、深夜業をする人にだけ用意されている制度があります。割増賃金、年2回の健康診断、自発的健康診断の3つは看護師の夜勤がきついとき|夜勤する人だけに用意された3つの制度で条文から確認できます。

「人間関係」という言葉のままでは制度に届きませんが、法令が使っている「勤務環境」「処遇」「就業」に言い換えると、話を聞く義務が置かれた相手が見つかります。その置き換え方は看護師の人間関係に疲れたとき|法令が使う言葉は3つありますで扱っています。

それでも続けられないと感じたら

上の5つを確認しても状況が変わらない、あるいは確認する余力すら残っていない。そういう状態であれば、離れる判断は正しい判断です。

無理をして働き続けた結果、心身を壊してしまえば、次の職場を選ぶ体力も失われます。

ただし「いまの職場が合わない」ことと「看護から離れたい」ことは別です。たとえば訪問看護は一人で訪問する不安が語られがちですが、制度は「一人で判断する」ことを想定していません。その根拠は訪問看護が一人で不安なあなたへで条文から確認できます。

看護職員の確保のために各病院が導入している働き方は、「日勤のみ」が54.7%で最も多く、次いで「夜勤回数や夜勤時間、曜日が選択できる」44.1%、「短時間勤務」39.3%、「本人の希望の専門領域・部署への配属」38.7%でした(出典:同「2025年 病院看護実態調査」)。条件を変えて働ける場所は、以前より確実に増えています。

在職中に情報収集を始めておけば、収入を途切れさせずに動くことができます。

よくある質問

Q. 1年目で辞めるのは早すぎますか?

A. データ上、新卒が特別に辞めやすいわけではありません。新卒採用者の離職率は8.4%で、正規雇用全体(11.0%)より低い数字です。「1年目で辞めるのは早い」と言われがちですが、根拠のある基準ではありません。なお継続意向は20〜29歳が53.7%と最も低く、若い世代ほど迷いを抱えています。

Q. 面接で退職理由をどう伝えればいいですか?

A. ハラスメント経験者が49.3%にのぼる以上、人間関係を理由に挙げること自体は珍しくありません。ただし前職の批判に聞こえる伝え方は避け、「どういう環境なら力を発揮できるか」に言い換えるのが定石です。上司からの過大な要求や仲間はずれが問題だったなら、「チームで役割分担が明確な職場を希望している」といった表現に変換できます。

Q. 収入を止めずに動くには、どうすればいいですか?

A. 在職中に転職活動を進めるのが基本です。収入を途切れさせないまま次を決められます。心身の不調が出ている場合は、休職制度の利用も選択肢です。なお今後複数の仕事を持つことに興味があると答えた看護職員は36.9%で、「ない」の29.2%を上回っています。いきなり辞めるのではなく、働き方を分散させる道もあります。

迷ったらここ

辞めるかどうかの前に、いまの職場の離職率を設置主体で比べる

離職率は公立8.0%から医療生協14.4%まで6.4ポイント開いています。「看護師だから」ではなく「この職場だから」の部分が、数字にはっきり出ます。

  • 直近1年の離職率を数字で答えられるか(「多くはない」で濁さないか)
  • 中途で入った人に相談役がつくか(つく/つかないを即答できるか)
  • ハラスメントの相談窓口が実際に動いているか(この1年に経験した人は49.3%)
看護師の転職サービスを比較する

まとめ

  • 「看護職として働き続けたい」は62.9%で、2021年の67.6%から低下。辞めたいと感じる人は実際に増えている
  • 一方で離職率は11.0%と横ばい。多くが辞めたい気持ちを抱えたまま働いている
  • 離職率は設置主体で6.4ポイント違う(公立8.0%/医療生協14.4%)。病床規模でも99床以下13.1%、500床以上10.0%と差がある
  • 継続意向は訪問看護ステーション78.1%、病院61.5%。「看護師を辞める」前に「病院を辞める」選択肢がある
  • ハラスメント経験は49.3%。ただし身体的な攻撃は患者から93.8%、個の侵害は上司から64.7%と、内容で相手がはっきり分かれる。切り分ければ打ち手が変わる
  • ハラスメントは一人で抱えず、総合労働相談コーナーなどの公的窓口へ

辞めたい気持ちを抱えたまま働いている人が、いまあなたの職場にも何人もいます。そして数字は、しんどさの原因が「看護師という仕事」ではなく「いまいる場所」にある可能性を示しています。まずはその見極めに、この記事の数字を使ってください。

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この記事を書いた人

医療・福祉・保育の人材紹介の現場で求職者の相談を受けてきた編集者が担当しています。キャリアアドバイザー歴8年、転職相談・紹介の対応実績1,500人以上(自社実績/2026年8月時点)。介護・看護師・保育士・栄養士の4分野を担当。記事の数値には必ず出典と公表時点を添えています。

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