30秒でわかるまとめ
- ケアマネジャーの更新研修の受講料に、国の相場はありません受講料は研修実施機関が都道府県知事への申請書に書く事項で、変更にも知事の承認が要ります。
- 実務経験者の初回は、専門研修Ⅰ・Ⅱと同じ88時間以上です2回目以降は専門研修課程Ⅱと同じ内容で、合計32時間以上とする、と国の通知が示しています。
- 実務に就いていない人は、別の54時間の課程を受けます有効期間中に実務の経験がない人の更新研修は、再研修と同じ科目で合計54時間以上です。
- 有効期間中に専門研修を修了していれば、同じ科目は免除できます通知は、専門研修で履修した科目と同内容の科目を免除することができる、としています。
※介護支援専門員証の有効期間と更新の手続は介護福祉士とケアマネの違い、主任ケアマネの研修は主任ケアマネの要件で扱っています。

先に断ります:受講料の金額と相場は書きません
ケアマネ(介護支援専門員)の更新研修の受講料は、研修を行う都道府県や、都道府県知事が指定した研修実施機関ごとに決まります。国の法令や通知に、受講料の相場を示した資料はありません。
本記事は都道府県や民間のページを使わず、金額の相場も作りません。そのかわり、受講料が決まる仕組み(法令)、何時間・何を受けるか(厚生労働大臣の告示と厚生労働省の通知)、受講料のほかに誰が何を負担するか(同じ通知)を、国の資料で示します。

更新研修は、省令で目的と中身が決まっている研修です
介護支援専門員証の有効期間が5年であることと、更新には更新研修が要るという法律の条文(介護保険法 第69条の7・第69条の8)は、介護福祉士とケアマネの違いで扱っています。ここでは、更新研修の中身を定めた省令から読みます。
「法第六十九条の八第二項本文に規定する更新研修(以下「更新研修」という。)は、介護支援専門員として、必要な専門的知識及び技術を維持し、介護支援専門員としての知識及び技術の確認並びに資質の向上を図ることを目的として行われるものとする。」
出典:介護保険法施行規則(e-Gov法令API 法令ID 411M50000100036)第113条の18第1項(原文どおり)
同条第2項は、居宅サービス計画、施設サービス計画及び介護予防サービス計画に関する専門的知識及び技術の修得を主たる内容とし、第3項は「厚生労働大臣が定める基準を満たす課程」により行うとしています。
時間数と科目は、この「基準」に書かれています。平成18年厚生労働省告示第218号「厚生労働大臣が定める介護支援専門員等に係る研修の基準」です。

受講料は、研修実施機関が都道府県知事に出す事項です
「都道府県知事は、その指定する者(以下「指定研修実施機関」という。)に、介護支援専門員実務研修及び更新研修の実施に関する事務(以下「研修事務」という。)を行わせることができる。」
出典:介護保険法(e-Gov法令API 法令ID 409AC0000000123)第69条の33第1項(原文どおり)
指定は、介護保険法施行令 第35条の16第1項により都道府県の区域ごとに、申請を受けて当該都道府県知事が行います。その申請書の記載事項に、受講料が並んでいます。
| 号 | 申請書又は書類に記載する事項(抜粋) |
|---|---|
| 第1項第2号 | 介護支援専門員実務研修及び更新研修の名称 |
| 第1項第6号 | 受講料その他研修の受講者から受領する金額 |
| 第1項第7号 | 研修の課程並びに講師の氏名、履歴及び担当科目 |
出典:介護保険法施行規則 第113条の38第1項
同条第2項は「令第三十五条の十六第一項第二号イの厚生労働省令で定める事項は、前項第六号及び第七号に掲げる事項とする。」としています(原文どおり)。その施行令の第35条の16第1項第2号イは、次のとおりです。
「厚生労働省令で定める事項を変更するとき、又は当該事業を廃止するときは、あらかじめ、当該変更に係る内容及び時期又は当該廃止の時期並びに理由を記載した書面を添えて、都道府県知事の承認を受けること。」
出典:介護保険法施行令(e-Gov法令API 法令ID 410CO0000000412)第35条の16第1項第2号イ(原文どおり)
受講料は、研修実施機関が知事に申請書で示し、変えるときも知事の承認を受ける事項です。国が一律の金額を決める作りにはなっていません。通知も、研修実施機関が受講者に示す規程に「受講料等」を明らかにすること、としています(「介護支援専門員資質向上事業の実施について」別紙 6(2)②)。
ここが本題:実務経験の有無で、受ける課程が分かれています
| 告示の号 | 対象 | 合計 |
|---|---|---|
| 第2号 | 介護支援専門員証の交付を受けてから、その有効期間が満了するまでに介護支援専門員として実務に従事した経験を有しない者(再研修と同じ表) | 54時間 |
| 第3号 | 介護支援専門員証の有効期間中に、介護支援専門員の業務に従事しているか又は従事していた経験を有する者 | 初回88時間/2回目以降32時間 |
出典:厚生労働大臣が定める介護支援専門員等に係る研修の基準(平成18年厚生労働省告示第218号)第2号・第3号。合計は表の時間数を編集部が足したもので、通知の数字と一致します
通知の「介護支援専門員更新研修実施要綱」は、対象者と時間数をこう書いています。
「研修対象者は、次のいずれかに該当するものであって、介護支援専門員証の有効期間がおおむね1年以内に満了する者とする。」
出典:「介護支援専門員資質向上事業の実施について」(平成26年7月4日老発0704第2号、最終改正 令和5年4月17日老発0417第2号)別添4 2(原文どおり)
「なお、実務経験者として初めての更新研修は、専門研修課程Ⅰ及び専門研修課程Ⅱと同内容であり、合計88時間以上とする。また、実務経験者としての更新研修が2回目以降の者に対する更新研修は、専門研修課程Ⅱと同内容であり、合計32時間以上とする。」
出典:同 別添4 3(3)(原文どおり)
実務未経験者は、再研修の研修内容と同様で合計54時間以上です(同 別添4 3(2))。この版は、改正後の告示(令和5年厚生労働省告示第35号)とあわせて令和6年4月1日から適用されたものです(老発0417第2号)。
実務経験者の88時間:講義の科目と時間数
告示第218号 第3号の表のうち、事例を扱う科目以外です。右端は、2回目以降の受講で免除される科目(同号の表 注1)かどうかです。
| 科目 | 時間数 | 2回目以降 |
|---|---|---|
| 介護保険制度及び地域包括ケアシステムの現状 | 3 | 免除 |
| 介護保険制度及び地域包括ケアシステムの今後の展開 | 3 | 受ける |
| 対人個別援助技術(ソーシャルケースワーク)及び地域援助技術(コミュニティソーシャルワーク) | 3 | 免除 |
| ケアマネジメントの実践における倫理(1) | 3 | 免除 |
| ケアマネジメントの実践における倫理(2) | 2 | 受ける |
| 生活の継続を支えるための医療との連携及び多職種協働の実践 | 4 | 免除 |
| リハビリテーション及び福祉用具等の活用に関する理解(1) | 2 | 免除 |
| リハビリテーション及び福祉用具等の活用に関する理解(2) | 2 | 受ける |
| 個人での学習及び介護支援専門員相互間の学習 | 3 | 免除 |
| ケアマネジメントにおける実践の振り返り及び課題の設定 | 8 | 免除 |
| 研修全体を振り返っての意見交換、講評及びネットワーク作り | 2 | 免除 |
出典:告示第218号 第3号の表・注1(時間数は漢数字を算用数字にした)
この表だけで35時間です。残りの53時間は、次の節の事例の演習と研究です。
残りは8つの事例:初回は演習と研究、2回目以降は研究だけ
| 事例のテーマ | ケアマネジメントの演習(2回目以降は免除) | 実践事例の研究及び発表(毎回) |
|---|---|---|
| 生活の継続及び家族等を支える基本的なケアマネジメント | 4 | 2 |
| 脳血管疾患のある方のケアマネジメント | 3 | 3 |
| 認知症のある方及び家族等を支えるケアマネジメント | 4 | 4 |
| 大腿骨頸部骨折のある方のケアマネジメント | 3 | 3 |
| 心疾患のある方のケアマネジメント | 4 | 3 |
| 誤嚥性肺炎の予防のケアマネジメント | 3 | 3 |
| 看取り等における看護サービスの活用に関する事例 | 3 | 3 |
| 家族への支援の視点や社会資源の活用に向けた関係機関との連携が必要な事例のケアマネジメント | 4 | 4 |
| 計 | 28 | 25 |
出典:告示第218号 第3号の表・注1。計は編集部
- 初回:35時間+28時間(演習)+25時間(研究及び発表)=88時間(編集部試算)
- 2回目以降:免除されない3科目の7時間(今後の展開3・倫理(2)2・リハビリテーション(2)2)+25時間=32時間(編集部試算)
2回目以降に残るのは、事例の「研究及び発表」が中心です。通知は、研究及び発表では「基本的に各受講者が担当している事例を持ち寄ることとする」としています(別添2 4(2))。担当する事例をまとめる準備は、表の時間数とは別に必要になります。
実務に就いていない人の54時間
有効期間中に実務の経験がない人は、告示第218号 第2号の表で更新研修を受けます。同じ表は、再研修にも使われます。
| 科目 | 時間数 |
|---|---|
| 介護保険制度の理念・現状及びケアマネジメント | 3 |
| ケアマネジメントに係る法令等の理解 | 2 |
| 地域共生社会の実現に向けた地域包括ケアシステムの深化及び地域の社会資源 | 3 |
| 生活の継続を支えるための医療との連携及び多職種協働の意義 | 3 |
| 人格の尊重及び権利擁護並びに介護支援専門員の倫理 | 3 |
| 自立支援のためのケアマネジメントの基本 | 5 |
| 介護支援専門員に求められるマネジメント(チームマネジメント) | 2 |
| ケアマネジメントの展開(1)〜(9):高齢者に多い疾患等の留意点の理解2、基本的なケアマネジメント3、脳血管疾患4、認知症4、大腿骨頸部骨折3、心疾患3、誤嚥性肺炎の予防3、看取り4、他法他制度の活用3 | 29 |
| アセスメント及び居宅サービス計画等作成の総合演習 | 4 |
出典:告示第218号 第2号の表。ケアマネジメントの展開(1)〜(9)は科目名を編集部が短くし、時間数をまとめた。合計54時間(編集部試算)
実務経験者の課程とは組み立てが違います。実践の振り返りや事例研究ではなく、制度の理念や自立支援の基本から学び直す作りです。
免除:有効期間中に専門研修を修了していれば
「介護支援専門員証の有効期間中に、別添2「介護支援専門員専門研修実施要綱」に基づく研修を修了している者については、法第69条の8第2項ただし書きの規定に基づき、実務経験者に対する更新研修のうち、介護支援専門員専門研修で履修した科目と同内容の科目を免除することができる。」
出典:「介護支援専門員資質向上事業の実施について」別添4 5(1)(原文どおり)
専門研修の対象者は、課程Ⅰが原則として実務に従事している就業後6か月以上の者、課程Ⅱが専門研修課程Ⅰを修了している就業後3年以上の者です(同 別添2 2)。
免除の根拠になる研修の課程について、施行規則は知事が指定するときの条件を置いています。
「都道府県知事は、次の各号のいずれにも該当するものでなければ法第六十九条の八第二項ただし書の研修として指定してはならない。」
出典:介護保険法施行規則 第113条の19(原文どおり)
- 第1号:当該研修を行うのに必要かつ適切な組織及び能力を有すると都道府県知事が認める者が実施するものであること。
- 第2号:正当な理由なく受講を制限するものでないこと。
通知の書き方は「免除することができる」です。どの科目を同内容として扱うかは、受講する都道府県の運用を確かめる必要があります。
受講料のほかにかかるもの:通知の「研修の費用」
「本事業は、地域医療介護総合確保基金を充てて実施する事業のうち、介護従事者の確保に関する事業として実施することが可能である。ただし、本研修に使用する教材等に係る実費相当分、研修会場までの受講者の旅費及び宿泊費については、受講者が負担するものとする。」
出典:「介護支援専門員資質向上事業の実施について」別紙 5(原文どおり)
厚生労働省のガイドラインも、この基金について次のように書いています。
「本基金を活用することにより、研修受講者の研修にかかる費用負担を軽減することは、介護支援専門員の負担軽減や研修を受講しやすい環境を整備する観点から有効である。」
出典:厚生労働省「介護支援専門員資質向上事業ガイドライン」(令和5年4月)24ページ「(3) 研修の費用」(原文どおり)
- 基金は「充てて実施することが可能」という書き方です。どの都道府県がどれだけ充てているかは、本記事は取得していません。
- 教材等の実費、会場までの旅費と宿泊費は、受講者の負担と明記されています。
- 講義は通信学習にできます。通知は「受講者の負担や各都道府県の実情に応じて、各研修における講義の一部又は全部を通信学習とすることができるものとする。」としています(別紙 4(3))。
受講する場所は、原則として介護支援専門員の登録を行っている都道府県です(別添4 5(2))。受講料を確かめる先も、登録している都道府県の研修実施機関になります。
この記事が扱っていないこと
- 受講料の金額と、その相場・平均。国の資料に相場はなく、都道府県・研修実施機関のページは取得していません。
- 都道府県ごとの日程、申込方法、通信学習の範囲。取得していません。
- 地域医療介護総合確保基金を、各都道府県が研修にどう充てているか。取得していません。
- 勤務先が受講料や研修日の勤務をどう扱うか。職場ごとの扱いで、本記事は取得していません。
- 主任ケアマネの研修と、その更新。主任ケアマネの要件で扱っています。
更新を控えたケアマネが確認できること
- 介護支援専門員証の有効期間が満了する日。更新研修の対象は、有効期間がおおむね1年以内に満了する者です。
- 実務経験者か、実務未経験者か。何回目の更新か。初回88時間以上、2回目以降32時間以上、実務未経験者54時間以上に分かれます。
- 有効期間中に専門研修課程Ⅰ・Ⅱを修了しているか。同内容の科目は免除することができる、とされています。
- 登録している都道府県の研修実施機関の規程。受講料等を明らかにすることになっている規程です。教材等の実費や旅費・宿泊費も見込んでおく必要があります。
よくある質問
Q. ケアマネの更新研修の受講料はいくらですか。
A. 国の資料に相場はありません。受講料は、研修実施機関が都道府県知事への申請書に「受講料その他研修の受講者から受領する金額」として書く事項で(介護保険法施行規則 第113条の38第1項第6号)、変更には知事の承認が要ります。登録している都道府県の研修実施機関で確認してください。
Q. 更新研修は何時間ですか。
A. 実務経験者は、初回が合計88時間以上、2回目以降が合計32時間以上です。有効期間中に実務の経験がない人は合計54時間以上です(「介護支援専門員資質向上事業の実施について」別添4 3)。
Q. 専門研修を受けていれば、更新研修は受けなくてよいですか。
A. 通知は、有効期間中に専門研修を修了している者について、実務経験者に対する更新研修のうち「介護支援専門員専門研修で履修した科目と同内容の科目を免除することができる」としています。扱いは受講する都道府県で確かめる必要があります。
Q. 受講料に公的な補助はありますか。
A. 通知は、この研修事業を地域医療介護総合確保基金を充てて実施することが可能としています。一方で、教材等に係る実費相当分、研修会場までの旅費及び宿泊費は受講者が負担するとしています。各都道府県が基金をどう使っているかは、本記事は取得していません。
迷ったらここ
更新研修は時間数と免除で見比べる
ケアマネの更新研修は、実務経験者の初回が合計88時間以上、2回目以降は合計32時間以上と国の通知が示しています。受講料は研修実施機関ごとに決まり、国の資料に相場はありません。
- 介護支援専門員証の有効期間が満了する日(対象はおおむね1年以内に満了する人)
- 有効期間中に専門研修課程Ⅰ・Ⅱを修了しているか(同内容の科目は免除することができる)
- 研修の受講料や研修日の勤務を、勤務先がどう扱っているか
まとめ
ケアマネの更新研修の受講料は、研修実施機関が都道府県知事に申請書で示す事項で(介護保険法施行規則 第113条の38)、変えるときも知事の承認を受けます(同法施行令 第35条の16)。国の資料に受講料の相場はありません。
国が定めているのは中身です。告示第218号と通知により、実務経験者の初回は88時間以上、2回目以降は32時間以上、実務未経験者は54時間以上です。2回目以降に残るのは、8つの事例の「研究及び発表」が中心です。
有効期間中に専門研修を修了していれば、同内容の科目は免除することができるとされています。受講料のほかに、教材等の実費と会場までの旅費・宿泊費は受講者の負担です。

