30秒でわかるまとめ
- 管理栄養士の国家試験に出るのは9科目です栄養士法施行規則第15条が定める9科目で、単位数を合わせると124単位になります
- 9科目の名前は、養成施設のカリキュラムとそのまま一致します別表第四が定める専門基礎分野3つと専門分野6つが、試験科目9つと順番まで完全に同じです
- 基礎分野や実習は、試験科目に入っていません人文科学や外国語などの基礎分野、総合演習、臨地実習は第15条の試験範囲から外れています
- 最重量科目だけ、担当教員に医師を求めています「人体の構造と機能及び疾病の成り立ち」14単位の専任教員は、1人以上が医師でなければなりません
※受験資格の4ルートと直近の合格率・新卒既卒の内訳は管理栄養士になるには|4ルートとも「学校+実務=5年」、新卒79.3%、栄養士側の養成施設の基準は栄養士になるには|試験がありません。決まっているのは学校側の基準ですで扱っています。この記事は合格率を扱いません。試験の範囲そのものを見ます。

先に断ります:この記事は合格率を使いません
「難易度」を調べると合格率が出てきます。ただし合格率は、その年の受験者の顔ぶれで動く数字です。受験資格のルートによって新卒と既卒の割合が変わり、それが全体の率を押し上げたり押し下げたりします。
合格率と新卒・既卒の内訳は管理栄養士になるにはで扱っているので、本記事では繰り返しません。
代わりに見るのは試験の範囲です。何を、どれだけ学んだ人を想定した試験なのか。これは法令に書かれていて、年によって動きません。

法令が定める試験科目は9つです
栄養士法施行規則(昭和23年厚生省令第2号)第15条が、管理栄養士国家試験の科目を定めています。
| 号 | 試験科目 |
|---|---|
| 1 | 社会・環境と健康 |
| 2 | 人体の構造と機能及び疾病の成り立ち |
| 3 | 食べ物と健康 |
| 4 | 基礎栄養学 |
| 5 | 応用栄養学 |
| 6 | 栄養教育論 |
| 7 | 臨床栄養学 |
| 8 | 公衆栄養学 |
| 9 | 給食経営管理論 |
出典:栄養士法施行規則 第15条(e-Gov法令API 法令ID 323M40000100002)。号数は編集部が計数
条文が定めているのは科目名だけです。科目ごとの出題数や配分は、この条文には書かれていません。本記事では出題基準(ガイドライン)を確認していないため、科目別の出題数は示しません。

ここが本題:9科目は養成施設の教育内容と一致します
同じ施行規則の別表第四は、管理栄養士養成施設の教育内容を定めています。そこに並んでいる名前を、試験科目と並べてみてください。
| 別表第四の区分 | 教育内容 | 第15条の試験科目にあるか |
|---|---|---|
| 基礎分野 | 人文科学 | — |
| 社会科学 | — | |
| 自然科学 | — | |
| 外国語 | — | |
| 保健体育 | — | |
| 専門基礎分野 | 社会・環境と健康 | あり |
| 人体の構造と機能及び疾病の成り立ち | あり | |
| 食べ物と健康 | あり | |
| 専門分野 | 基礎栄養学 | あり |
| 応用栄養学 | あり | |
| 栄養教育論 | あり | |
| 臨床栄養学 | あり | |
| 公衆栄養学 | あり | |
| 給食経営管理論 | あり | |
| 総合演習 | — | |
| 臨地実習 | — |
出典:栄養士法施行規則 第15条および別表第四。対応は編集部が突き合わせた
専門基礎分野の3つと専門分野の6つ、合わせて9つが、試験科目9つと完全に一致します。順番まで同じです。
逆に言えば、基礎分野(人文科学・社会科学・自然科学・外国語・保健体育)と、総合演習・臨地実習は試験科目になっていません。実習で身につけるものは、筆記では問われない構造です。
この一致が意味するのは、試験範囲が独立して存在するのではなく、養成施設のカリキュラムがそのまま試験範囲だということです。だから「試験対策」と「授業」が別のものにはなりません。
単位数を足すと124単位です
別表第四は、教育内容ごとに単位数も定めています。
| 区分 | 教育内容と単位数 | 小計 |
|---|---|---|
| 基礎分野 | 人文科学・社会科学・自然科学・外国語・保健体育(講義又は演習で合計) | 42 |
| 専門基礎分野 | 社会・環境と健康6/人体の構造と機能及び疾病の成り立ち14/食べ物と健康8 | 28 |
| 実験又は実習 | 10 | |
| 専門分野 | 基礎栄養学2/応用栄養学6/栄養教育論6/臨床栄養学8/公衆栄養学4/給食経営管理論4/総合演習2 | 32 |
| 実験又は実習 | 8 | |
| 臨地実習 | 4 | |
| 合計 | 124 | |
出典:栄養士法施行規則 別表第四。合計は編集部が算出。条文に合計の記載はありません
単位の数え方も備考に書かれています。1単位の計算方法は大学設置基準 第21条第2項の例によることとし、実験・実習・実技の授業については「おおむね15時間」を「30時間」と読み替えます。実習系の科目は、同じ1単位でも授業時間が倍になる計算です。
比較のために置いておきます。栄養士養成施設の教育内容は、学校教育法 第1条の学校で50単位、それ以外の施設で62単位です(この内訳は栄養士になるにはで扱っています)。管理栄養士養成施設の124単位は、その約2倍にあたります。
いちばん重い科目は14単位です
教育内容ごとの単位数を、多い順に並べます。
| 教育内容 | 単位数 | 区分 |
|---|---|---|
| 人体の構造と機能及び疾病の成り立ち | 14 | 専門基礎分野 |
| 食べ物と健康 | 8 | 専門基礎分野 |
| 臨床栄養学 | 8 | 専門分野 |
| 社会・環境と健康 | 6 | 専門基礎分野 |
| 応用栄養学 | 6 | 専門分野 |
| 栄養教育論 | 6 | 専門分野 |
| 公衆栄養学 | 4 | 専門分野 |
| 給食経営管理論 | 4 | 専門分野 |
| 基礎栄養学 | 2 | 専門分野 |
出典:同 別表第四。多い順に編集部が並べ替えた(実験又は実習・臨地実習の単位はグループ単位で定められているため、この表には含めていません)
「人体の構造と機能及び疾病の成り立ち」の14単位は、専門基礎分野28単位のちょうど半分です。次に多い「食べ物と健康」「臨床栄養学」の8単位と比べても、6単位多い。
そして、この科目には教員側の要件も付いています。同規則 第11条第6号です。
「人体の構造と機能及び疾病の成り立ちを担当する専任の教員のうち一人以上は、医師であること。」
9科目のうち、担当教員に医師を要求しているのはこの科目だけです。解剖・生理・生化学から疾病までを扱う範囲であることが、教員要件の側からも読み取れます。
教える側にも、細かい基準があります
試験の範囲を支えているのは、養成施設の指定基準です。第11条が定めている主なものを挙げます。
| 号 | 基準 |
|---|---|
| 第2号 | 専任教員の数は入学定員に応じ別表第五の数以上。うち専門基礎分野及び専門分野を担当する専任教員は10人以上 |
| 第3号 | 専門基礎分野の担当教員は3人以上が専任で、うち1人以上は人体の構造と機能及び疾病の成り立ちを担当 |
| 第4号 | 基礎栄養学又は応用栄養学のいずれか、並びに栄養教育論・臨床栄養学・公衆栄養学・給食経営管理論はそれぞれ1人以上が専任 |
| 第5号 | 専任の助手は5人以上、うち3人以上は専門分野を担当し、かつ管理栄養士であること |
| 第6号 | 人体の構造と機能及び疾病の成り立ちの専任教員のうち1人以上は医師 |
| 第7号 | 栄養教育論・臨床栄養学・公衆栄養学・給食経営管理論の専任教員のうち、それぞれ1人以上は管理栄養士又は同等の知識及び経験を有する者 |
出典:栄養士法施行規則 第11条第2号〜第7号
別表第五は、入学定員に応じた専任教員数を定めています。
| 入学定員 | 専任教員数 |
|---|---|
| 100人 | 17人 |
| 200人 | 22人 |
| 300人 | 25人 |
出典:同 別表第五。備考により、入学定員が100人未満の場合は100人の場合の数から1人を減じた数、定めを超える場合は超える定員に応じて相当数を加えた数とされています
第8号は施設についても定めており、講義室・研究室・実験室・実習室に加えて、栄養教育実習室・臨床栄養実習室・給食経営管理実習室(実習食堂を備えるものに限る)を持つことを求めています。
受験の前に確認できること
1. 9科目を「範囲」ではなく「単位数」で見る
科目名だけを並べると9つですが、重みは同じではありません。14単位と2単位では、想定されている学習量が7倍違います。時間配分の目安になります。
2. 試験に出ない科目を知っておく
基礎分野(人文科学・社会科学・自然科学・外国語・保健体育)と、総合演習・臨地実習は第15条の試験科目に入っていません。単位としては必要ですが、筆記の対象ではありません。
3. 実習系の単位の重さを見積もる
備考により、実験・実習・実技は1単位あたりの授業時間が講義の倍で計算されます。専門基礎分野10単位+専門分野8単位+臨地実習4単位の合計22単位がこの扱いです。
4. 学校を選ぶときは教員体制を数字で聞く
第11条は専任教員10人以上、専任の助手5人以上(うち3人以上は管理栄養士)を求めています。別表第五の数は入学定員で決まるので、定員と教員数の両方を確認してください。
5. 既卒で受ける場合は、9科目を独学で維持することになる
試験範囲がカリキュラムと一致しているということは、学校を離れたあとは、その範囲を自分で保つ必要があるということです。受験資格のルートごとの違いは管理栄養士になるにはで扱っています。
よくある質問
Q. 科目ごとに何問出ますか。
A. 本記事では示していません。栄養士法施行規則 第15条が定めているのは科目名だけで、出題数の配分は条文にありません。出題基準(ガイドライン)は本記事で確認していないため、科目別の出題数には触れていません。
Q. 合格に必要な点数はいくつですか。
A. 本記事では合格基準を扱っていません。管理栄養士になるにはで扱っているので、そちらを参照してください。
Q. 栄養士の資格を取ってから目指す場合、学ぶ量はどれくらい違いますか。
A. 養成施設の単位数で比べると、管理栄養士養成施設は124単位、栄養士養成施設は50単位または62単位です(施設の種類による)。ただし本記事は単位数を比べているだけで、実務経験ルートで受験する場合に必要な学習量を示したものではありません。受験資格のルートは管理栄養士になるにはで扱っています。
迷ったらここ
対策は科目名の数ではなく、単位数の並びで決める
試験の9科目は養成施設の教育内容とそのまま一致し、合計は124単位。うち人体の構造と機能及び疾病の成り立ちが14単位で、専門基礎分野の半分を占めます。科目を横並びに扱うと配分を誤ります。
- 自分の弱い科目は何単位の科目か(14単位から2単位まで開きがある)
- 基礎分野・総合演習・臨地実習は試験科目に入っていないと整理できているか
- 進学先を選ぶなら、入学定員と専任教員数は基準を満たしているか(別表第五)
まとめ
- 法令が定める試験科目は9つ(栄養士法施行規則 第15条)。科目名だけで、出題数の配分は条文にない
- 9科目は別表第四の専門基礎分野3つ+専門分野6つと完全に一致。順番まで同じ。試験範囲はカリキュラムそのもの
- 基礎分野・総合演習・臨地実習は試験科目になっていない
- 別表第四の単位数を合計すると124単位(基礎分野42/専門基礎分野38/専門分野44)。栄養士養成施設の50単位・62単位の約2倍
- いちばん重いのは人体の構造と機能及び疾病の成り立ちの14単位。専門基礎分野28単位の半分にあたる
- この科目だけ専任教員のうち1人以上が医師であることを求められている(第11条第6号)
- 実験・実習・実技は1単位あたりの授業時間が講義の倍で計算される(別表第四 備考一)
この試験の難しさを1つの数字で表すなら、合格率ではなく124単位です。試験範囲は4年間のカリキュラムと同じ形をしていて、そのうち14単位を1科目が占めています。対策の優先順位を決めるときは、科目名の数ではなく単位数の並びを見てください。

