訪問看護のオンコール手当|国に相場はなく、報酬は「負担軽減の取組」の有無で2区分です

目次

30秒でわかるまとめ

  • 訪問看護師のオンコール手当に、国の相場はありません手当の額は事業所が決めます。本記事が引用する告示・通知には「オンコール」という言葉も出てきません。
  • 24時間対応体制加算は6,800円と6,520円の2区分です看護業務の負担軽減の取組を行っている場合が6,800円、それ以外が6,520円で、月1回に限り加算されます。
  • 取組は6項目で、夜間対応の翌日の勤務間隔などが並びます翌日の勤務間隔の確保か、夜間対応の連続回数を2回までにすることのどちらかを含めて、2項目以上が必要です。
  • 介護保険の緊急時訪問看護加算も、2つに分かれています負担軽減の体制がある(Ⅰ)は訪問看護ステーションで600単位、(Ⅱ)は574単位で、どちらも1月につきの単位数です。

※給与の統計の数字は訪問看護師の年収、利用者ごとにどちらの保険が使われるかは訪問看護の医療保険と介護保険で扱っています。

在宅医療(訪問看護師)

先に断ります:オンコール手当の相場は、国の資料にありません

国の統計・資料にオンコール手当の相場はありません。手当をいくら払うかは、それぞれの事業所が決めることです。本記事は「月いくら」「1回いくら」という相場を作らず、民間の調査の数字も使いません。

また、本記事が引用する訪問看護の報酬の告示・通知には、「オンコール」という言葉が1回も出てきません。制度の言葉は「24時間の対応体制」「24時間連絡できる体制」「夜間対応」です。

この記事が書くのは、事業所が夜間・休日の連絡と緊急の訪問に備える体制をとると、報酬の側でどう評価されるかです。令和6年度の改定で、そこに「看護業務の負担軽減の取組」という条件が入りました。

受付案内する看護師

病棟の夜勤手当も、国の統計に相場はありません。国の制度で額が条文に書かれている例(深夜の全部を含む勤務1回につき7,300円)は看護師の夜勤手当の相場|国の統計にはなく、国家公務員は勤務1回7,300円と規則で定めていますで扱っています。

まず告示:医療保険の24時間対応体制加算は、2つの区分です

医療保険の訪問看護では、訪問看護管理療養費の注2に24時間対応体制加算があります。

「別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た訪問看護ステーションが、利用者又はその家族等に対して当該基準に規定する24時間の対応体制にある場合(指定訪問看護を受けようとする者の同意を得た場合に限る。)には、24時間対応体制加算として、次に掲げる区分に従い、月1回に限り、いずれかを所定額に加算する。」

出典:訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法(平成20年厚生労働省告示第67号。令和8年厚生労働省告示第74号による改正後、令和8年6月1日適用)別表 02 注2(第1文。原文どおり)

区分額
イ 24時間対応体制における看護業務の負担軽減の取組を行っている場合6,800円
ロ イ以外の場合6,520円

出典:同 注2 イ・ロ

「注2に規定する24時間対応体制加算は、必要時の緊急時訪問看護に加えて、営業時間外における利用者や家族等との電話連絡及び利用者又はその家族等への指導等による日々の状況の適切な管理といった対応やその体制整備を評価するものである。」

出典:訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保発0305第19号)第5の2(1)(第1文。原文どおり)

評価されているのは、夜中に訪問した回数だけではなく、営業時間外の電話に応じる「体制」です。算定は、体制にある旨を説明して同意を得た場合に、月1回に限り、1人の利用者に対し、1つの訪問看護ステーションにおいてのみとされています(第5の2(1)ア・ウ)。

在宅医療の聴診器

令和6年度改定で、「負担軽減の取組」が区分の分かれ目になりました

2つの区分ができたのは、令和6年度の診療報酬改定です。厚生労働省の「個別改定項目について」(令和6年2月14日)は、考え方をこう書いています。

「訪問看護ステーションにおける看護師等の働き方改革及び持続可能な24時間対応体制の確保を推進する観点から、24時間対応体制加算について、看護業務の負担軽減のための取組を行った場合を考慮した評価体系に見直す。」

出典:令和6年度診療報酬改定 個別改定項目について(令和6年2月14日)Ⅰ-5⑤ 第1 基本的な考え方(第1文。原文どおり)

同じ資料の「現行」の欄では、この加算は月1回に限り6,400円の1区分でした。そこに「負担軽減のための取組を行った場合の評価を新設する」とされ(第2の1)、令和8年度改定後の告示でもイ6,800円・ロ6,520円です。

編集部の計算では、イとロの差は6,800円-6,520円=280円です。改定前の6,400円と比べると、イは400円、ロは120円上がっています。いずれも利用者について月1回の加算の額で、働く人の手当の額ではありません。

ここが本題:負担軽減の取組は6項目。ア又はイを含む2項目以上です

「(1)の「24時間対応体制における看護業務の負担軽減の取組」とは、次のア又はイを含む2項目以上を行っている場合に満たすものであること。」

出典:令和8年3月5日 保発0305第19号 第5の2(5)(柱書き。原文どおり)

記号項目(原文どおり)
ア夜間対応した翌日の勤務間隔の確保
イ夜間対応に係る勤務の連続回数が2連続(2回)まで
ウ夜間対応後の暦日の休日確保
エ夜間勤務のニーズを踏まえた勤務体制の工夫
オICT、AI、IoT等の活用による業務負担軽減
カ電話等による連絡及び相談を担当する者に対する支援体制の確保

出典:同 第5の2(5)ア〜カ

アかイのどちらかを含むことが条件です。どちらも夜間に動いた人が、その後に休めるかに関わる項目です。ウ〜カだけを2つ満たしても、この条件には当たりません。

「夜間対応」と「連続回数」の数え方も、通知に書かれています

言葉通知の定め(要約)
夜間対応営業時間外に、必要時の緊急時訪問看護をした場合や、電話連絡を受けて指導を行った場合。勤務時間割表で割り振られていただけで、夜間対応がなかった場合は該当しない
翌日営業時間外の対応の終了時刻を含む日
連続回数夜間対応の開始から終了までの一連の対応を1回と数える。専ら夜間対応に従事する者は含まないものとする
オのICT等例は看護記録の音声入力など。単に電子カルテを用いていること等は該当しない

出典:令和8年3月5日 保発0305第19号 第5の2(6)

表で割り振られただけでは夜間対応に数えず、電子カルテを入れているだけではオに当たらない書き方です。通知が見ているのは、実際に夜間に動いた後の勤務と休みです。

介護保険では、緊急時訪問看護加算(Ⅰ)(Ⅱ)です

介護保険の訪問看護では、同じ役割の加算を緊急時訪問看護加算と呼びます。

区分指定訪問看護ステーションの場合病院又は診療所の場合
緊急時訪問看護加算(Ⅰ)600単位325単位
緊急時訪問看護加算(Ⅱ)574単位315単位

出典:指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)別表 3 訪問看護費 注12(1月につき)

この2区分も令和6年度の改定でできました。令和6年厚生労働省告示第86号の新旧対照表では、改定前は訪問看護ステーションの場合1月につき574単位の1区分で、(Ⅰ)(Ⅱ)は「(新設)」です。編集部の計算では、差は600単位-574単位=26単位です。

(Ⅱ)は電話等に常時対応できる体制だけで足り、(Ⅰ)はさらに次の基準を満たす必要があります。

「緊急時訪問における看護業務の負担の軽減に資する十分な業務管理等の体制の整備が行われていること。」

出典:厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第七号イ(2)(原文どおり)

「緊急時訪問看護加算(Ⅰ)を算定する場合は、次に掲げる項目のうち、次のア又はイを含むいずれか2項目以上を満たす必要があること。」

出典:平成12年3月1日 老企第36号 第二の4⒅⑨(令和6年度改正の新旧対照表の新の欄。第2文。原文どおり)

並ぶ項目は、医療保険の通知のア〜カと同じ6項目です。令和8年度の改正の新旧対照表では、老企第36号の訪問看護費は⑴〜(30)が「(略)」で、この部分は変わっていません。なお、介護保険で緊急時訪問看護加算を請求した月は、同じ月に医療保険の訪問看護の24時間対応体制加算は算定できないと⒅②にあります。

夜間の電話を受けるのは、原則として保健師又は看護師です

「24時間対応体制に係る連絡相談を担当する者は、原則として、当該訪問看護ステーションの保健師又は看護師とし、勤務体制等を明確にすること。」

出典:令和8年3月5日 保発0305第19号 第5の2(2)(第1文。原文どおり)

例外として、次のような条件のいずれにも当たれば、保健師又は看護師以外の職員が電話を受けてもよいとされています(同(2)ア〜カ)。

  • 電話等に対応する際のマニュアルが整備されていること
  • 緊急の訪問看護の必要性の判断を保健師又は看護師が速やかに行える連絡体制があること
  • 受けた職員は保健師又は看護師へ報告し、報告を受けた側が訪問看護記録書に記録すること

介護保険の老企第36号には、次の一文もあります(同趣旨の例外も⑦にあります)。

「24時間連絡できる体制としては、当該訪問看護事業所以外の事業所又は従事者を経由するような連絡相談体制をとることや、訪問看護事業所以外の者が所有する電話を連絡先とすることは認められない。」

出典:老企第36号 第二の4⒅⑥(令和6年度改正の新旧対照表の新の欄。第1文。原文どおり)

誰が電話を受けても、訪問が要るかを判断するのは保健師又は看護師という組み立てです。6項目のカ「支援体制」は、電話を受ける人を支える仕組みを指しています。

求人の「オンコールあり」は、3つの問いで読めます

1. 加算を届け出ているか。イ(Ⅰ)か、ロ(Ⅱ)か。どちらの加算も、届け出た事業所が算定するものです。イや(Ⅰ)なら、負担軽減の取組を2項目以上行っている前提の区分です。

2. 6項目のうち、どれを満たしているか。アなら「夜間対応した翌日の勤務はどうなるか」、イなら「夜間対応が何回続くことがあるか」と、通知の言葉で聞けます。

3. 手当は、何に対して払われるか。加算は、利用者について事業所が受け取る報酬です。本記事が引用した加算の規定には、働く人に手当として配分する額を定めた部分はありません。待機した日か、実際に対応したときか。月の回数と1回あたりの扱いを数字で確認してください。

この記事が扱っていないこと

  • オンコール手当の金額や相場。国の統計・資料に相場はなく、民間の調査は使っていません。
  • オンコールの待機が労働時間に当たるかどうか。本記事の対象外です。判例や行政の解釈にも踏み込んでいません。
  • 届出の様式や、届け出た事業所の一覧。本記事は取得していません。
  • 単位数を円に換算した額。介護報酬は地域区分で1単位の単価が変わるため、円には直していません。

訪問看護師が確認できること

  • 加算の届出の有無と区分。イ(Ⅰ)かロ(Ⅱ)か。
  • 負担軽減の6項目のうち、満たしているもの。アとイのどちらが入っているか。
  • 夜間の電話を受ける人。保健師又は看護師以外が受ける場合、判断の連絡体制はどうか。
  • 手当の払い方。待機ごとか、対応ごとか、月の回数はどのくらいか。

よくある質問

Q. 訪問看護のオンコール手当の相場はいくらですか。
A. 国の統計・資料にオンコール手当の相場はありません。手当の額は事業所が決めるものです。応募先に、待機1回あたりか月額かを数字で確認してください。

Q. 24時間対応体制加算は、看護師の手当になりますか。
A. 加算は、同意を得た利用者について事業所が月1回に限り算定する報酬です。本記事が引用した加算の規定には、手当の額を定めた部分はありません。

Q. 「負担軽減の取組」とは何ですか。
A. 通知が挙げる6項目です。夜間対応した翌日の勤務間隔の確保、夜間対応に係る勤務の連続回数が2連続(2回)までなど。ア又はイを含む2項目以上を行っていると、医療保険では6,800円の区分になります。

Q. 介護保険の利用者の場合も同じですか。
A. 介護保険では緊急時訪問看護加算で、訪問看護ステーションの場合(Ⅰ)が600単位、(Ⅱ)が574単位です。(Ⅰ)の項目は医療保険と同じ6項目です。

迷ったらここ

オンコールは加算の区分を聞く

国の統計・資料にオンコール手当の相場はありません。医療保険の24時間対応体制加算は、看護業務の負担軽減の取組を行っていれば6,800円、それ以外は6,520円の2区分です。

  • 24時間対応体制加算(介護保険は緊急時訪問看護加算)をイ・(Ⅰ)とロ・(Ⅱ)のどちらで届け出ているか
  • 負担軽減の6項目のうち、夜間対応した翌日の勤務間隔の確保や連続回数2回までを満たしているか
  • オンコール手当が待機ごとか対応ごとか、月の回数と1回あたりの扱い
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まとめ

訪問看護のオンコール手当に、国の統計・資料の相場はありません。手当の額は事業所が決めます。

報酬の側では、医療保険の24時間対応体制加算が、負担軽減の取組を行っている場合の6,800円とそれ以外の6,520円に、介護保険の緊急時訪問看護加算が(Ⅰ)600単位・(Ⅱ)574単位に分かれています。どちらも令和6年度の改定で分かれました。

取組は6項目で、夜間対応した翌日の勤務間隔の確保か連続回数を2回までのどちらかを含む2項目以上が条件です。求人の「オンコールあり」を見たら、区分と項目と手当の払い方を聞いてください。

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この記事を書いた人

医療・福祉・保育の人材紹介の現場で求職者の相談を受けてきた編集者が担当しています。キャリアアドバイザー歴8年、転職相談・紹介の対応実績1,500人以上(自社実績/2026年8月時点)。介護・看護師・保育士・栄養士の4分野を担当。記事の数値には必ず出典と公表時点を添えています。

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