保育園の監査で見られること|都道府県の実地検査は、年度ごとに1回以上です

目次

30秒でわかるまとめ

  • 保育士が働く保育所の基準は、都道府県の条例です児童福祉法第45条が、都道府県は条例で基準を定めなければならないと書いています。
  • 実地の検査は、年度ごとに1回以上と政令にあります児童福祉法施行令第38条が、国以外の者が設置する児童福祉施設を対象にしています。
  • 条件によっては、報告と質問での確認に代えられる形です天災などの事情があるときや、前年度の結果などから実地が必ずしも必要でないときです。
  • 施設には、職員や収支などの帳簿を整える定めがあります避難と消火の訓練は少なくとも毎月1回、と国の府令が参酌すべき基準として書いています。

※保育士の配置の数え方は保育補助にできないこと、小規模保育の基準は小規模保育の仕事内容で扱っています。

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先に整理します:「監査」は法令の言葉ではありません

現場で「監査」と呼ばれているものは、法令の上では都道府県知事による報告の徴収・質問・立入検査と、年度ごとの実地の検査として書かれています。

何が書かれている場所
基準をつくる児童福祉法 第45条(都道府県の条例)
報告・質問・立入検査、改善勧告・改善命令・事業停止児童福祉法 第46条
年度ごとに1回以上の実地の検査児童福祉法施行令 第38条
実地を省ける場合の中身児童福祉法施行規則 第38条の3

出典:児童福祉法(e-Gov法令API 法令ID 322AC0000000164)、児童福祉法施行令(同 323CO0000000074)、児童福祉法施行規則(同 323M40000100011)。整理は編集部

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まず基準:都道府県が条例で定めます

児童福祉法 第45条第1項です。

「都道府県は、児童福祉施設の設備及び運営について、条例で基準を定めなければならない。」

出典:児童福祉法 第45条第1項(前段・原文どおり)

そのうえで第2項が、職員の数や居室の面積などは内閣府令の基準に「従い」、その他の事項は内閣府令の基準を「参酌する」と分けています。そして同条は「児童福祉施設の設置者は、第一項の基準を遵守しなければならない」と定めています。

検査で照らされるのは、この条例の基準です。働いている都道府県の条例が、国の府令と同じとは限りません。

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ここが本題:実地の検査は、年度ごとに1回以上です

児童福祉法施行令 第38条です。

「都道府県知事は、当該職員をして、年度ごとに一回以上、国以外の者の設置する児童福祉施設が法第四十五条第一項の規定に基づき定められた基準を遵守しているかどうかを実地につき検査させなければならない。」

出典:児童福祉法施行令 第38条本文(原文どおり)

  • 頻度は「年度ごとに一回以上」。下限だけが書かれています。
  • 対象は「国以外の者の設置する」児童福祉施設。私立だけでなく、都道府県や市町村が設置する施設も含まれる書き方です。
  • 「検査させなければならない」。都道府県知事の義務として書かれています。

実地に代えられる場合が、2つあります

同じ第38条のただし書は、次のいずれかに当たる場合、実地の検査に代えて、必要な報告を求め、又は関係者に質問させることにより、基準を守っているかを確認させることができるとしています。

号実地に代えられる場合
第1号天災その他やむを得ない事由により、当該年度内に実地の検査を行うことが著しく困難又は不適当と認められる場合
第2号前年度の実地の検査の結果その他内閣府令で定める事項を勘案して、実地の検査が必ずしも必要でないと認められる場合

出典:児童福祉法施行令 第38条第1号・第2号

第2号の「内閣府令で定める事項」は、施行規則 第38条の3が「当該児童福祉施設が所在する都道府県における前年度の……実地の検査の実施状況及び当該児童福祉施設を設置してからの年数」と定めています。

出典:児童福祉法施行規則 第38条の3

前年度の実地の検査の結果に加えて、都道府県の前年度の実施状況と、開設してからの年数が、判断材料として条文に書かれています。どの施設を実地で見るかの判断は、都道府県の側にあります。

検査の権限と、その先にあるもの

児童福祉法 第46条が、都道府県知事の権限を段階で定めています。

項定め
第1項児童福祉施設の設置者、施設の長に対して必要な報告を求め、職員に関係者に対して質問させ、若しくは施設に立ち入り、設備、帳簿書類その他の物件を検査させることができる
第3項設備又は運営が基準に達しないときは、設置者に対し必要な改善を勧告し、勧告に従わず、かつ、児童福祉に有害であると認められるときは必要な改善を命ずることができる
第4項基準に達せず、かつ、児童福祉に著しく有害であると認められるときは、都道府県児童福祉審議会の意見を聴き、事業の停止を命ずることができる

出典:児童福祉法 第46条第1項・第3項・第4項

検査の対象として条文に「帳簿書類」が名指しされています。「準備」という言葉が指すのは、多くの場合この帳簿書類です。

国の府令が書いている、帳簿と訓練

都道府県が条例をつくるもとになる児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(内閣府令)には、次の定めがあります。いずれも同府令 第1条の整理では、都道府県が条例を定めるに当たって参酌すべき基準に当たります。

条定め
第14条児童福祉施設には、職員、財産、収支及び入所している者の処遇の状況を明らかにする帳簿を整備しておかなければならない
第6条第2項避難及び消火に対する訓練は、少なくとも毎月一回は、これを行わなければならない
第36条の2第1項保育所は、自らその行う業務の質の評価を行い、常にその改善を図らなければならない
第36条の2第2項保育所は、定期的に外部の者による評価を受けて、結果を公表し、常にその改善を図るよう努めなければならない

出典:児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(e-Gov法令API 法令ID 323M40000100063)第1条、第6条第2項、第14条、第36条の2

実際に適用されるのは、これを参酌して定めた各都道府県の条例です。条例の側で書き方が変わっている場合があります。

同じ府令の第14条の3は、苦情を受け付けるための窓口の設置等と、運営適正化委員会の調査への協力を施設に求めています。保護者からの苦情の扱いは保育士の保護者対応とクレーム|苦情の窓口を置くことは、国の基準が施設に求めていますで扱っています。

小規模保育などは、市町村の検査です

家庭的保育事業・小規模保育事業などの家庭的保育事業等は、施行令 第35条の4が、市町村長が年度ごとに1回以上、実地につき検査させなければならないと定めています(国及び都道府県以外の者が行うもの)。実地に代えられる場合の書き方も、保育所と同じ形です。

出典:児童福祉法施行令 第35条の4、児童福祉法施行規則 第36条の37の2

この記事が扱っていないこと

  • 検査で使われる具体的な指導監査の着眼点・チェック項目。通知の領域で、本記事は取得していません。
  • 各都道府県の条例の中身。国の府令と違う定めを置いている場合があります。
  • 子ども・子育て支援法に基づく市町村の確認監査。別の法律の手続で、本記事は取得していません。
  • 職員配置の比率。保育補助にできないことで扱っています。

働く側として確認できること

  • 帳簿がどこにあり、誰が整えているか。基準は職員・財産・収支・処遇の状況を明らかにする帳簿を挙げています。
  • 避難・消火訓練を毎月行っているか。府令は少なくとも毎月1回としています。
  • 自己評価と外部評価の扱い。自己評価は義務、外部評価の受審と公表は努力義務です。
  • 働く都道府県の条例。検査で照らされるのは条例の基準です。
  • 小規模保育などなら、検査するのは市町村。施行令 第35条の4です。

よくある質問

Q. 保育園の監査は毎年ありますか。
A. 児童福祉法施行令 第38条は、都道府県知事が年度ごとに1回以上、実地につき検査させなければならないと定めています。ただし、前年度の結果などから実地が必ずしも必要でない場合などは、報告と質問による確認に代えることができます。

Q. 公立の保育園も対象ですか。
A. 第38条の対象は「国以外の者の設置する児童福祉施設」です。都道府県や市町村が設置する施設も、この書き方に含まれます。

Q. 何を見られますか。
A. 児童福祉法 第46条第1項は、立入検査の対象として「設備、帳簿書類その他の物件」を挙げています。照らされる基準は、第45条により都道府県が条例で定めたものです。

Q. 基準に合っていないとどうなりますか。
A. 第46条は、改善の勧告、勧告に従わず児童福祉に有害と認められるときの改善命令、著しく有害と認められるときの事業停止命令(都道府県児童福祉審議会の意見を聴く)を段階で定めています。

Q. 小規模保育園の監査は誰がしますか。
A. 家庭的保育事業等については、施行令 第35条の4が市町村長による年度ごと1回以上の実地の検査を定めています。

迷ったらここ

帳簿と訓練の記録を、誰が持つかを聞く

都道府県の実地の検査は年度ごとに1回以上です。立入検査の対象として、条文は帳簿書類を名指ししています。

  • 帳簿がどこにあり、誰が整えているか
  • 避難・消火訓練を毎月行っているか
  • 働く都道府県の条例の中身
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まとめ

保育所の基準は、児童福祉法 第45条により都道府県が条例で定め、設置者はそれを遵守しなければなりません。

「監査」の中心は、施行令 第38条の年度ごとに1回以上の実地の検査です。天災などの場合や、前年度の実地の検査の結果と開設からの年数などから実地が必ずしも必要でない場合は、報告と質問による確認に代えられます。

第46条は、帳簿書類を含む立入検査から、改善勧告・改善命令・事業停止命令までを定めています。国の府令は帳簿の整備、毎月1回以上の避難・消火訓練、自己評価などを書いていますが、実際に適用されるのは各都道府県の条例です。

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この記事を書いた人

医療・福祉・保育の人材紹介の現場で求職者の相談を受けてきた編集者が担当しています。キャリアアドバイザー歴8年、転職相談・紹介の対応実績1,500人以上(自社実績/2026年8月時点)。介護・看護師・保育士・栄養士の4分野を担当。記事の数値には必ず出典と公表時点を添えています。

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