30秒でわかるまとめ
- ベビーシッターという語は、児童福祉法にありません法律が書いているのは、子どもの居宅で保育を行う「居宅訪問型保育事業」という事業です。
- 認可を受けずに行うなら、都道府県知事への届出が要ります事業を始めた日から1か月以内に届け出る、と児童福祉法第59条の2が定めています。
- 届出の中身に、資格ではなく研修の受講状況があります施行規則第49条の3第7号が、設置者と職員に対する研修の受講状況を届出事項に挙げています。
- 認可の居宅訪問型では、1人が保育するのは1人です家庭的保育事業等の基準第39条が、家庭的保育者1人が保育できる乳幼児の数を1人と定めています。
※保育士の資格の取り方は保育士試験の仕組み、資格がない人が名乗れない名称は保育補助にできないことで扱っています。

先に確かめる:法令に「ベビーシッター」という語はありません
この仕事に関わる3つの法令を、e-Gov法令APIから取得して全文を数えました。
| 法令 | 「ベビーシッター」の出現回数 |
|---|---|
| 児童福祉法 | 0回 |
| 児童福祉法施行規則 | 0回 |
| 家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準 | 0回 |
出典:各法令をe-Gov法令APIから取得し、全文をスクリプトで計数
法令の側の言葉は「居宅訪問型保育事業」です。そこから読み始めます。

法律が書いている事業:居宅訪問型保育事業
児童福祉法 第6条の3第11項です。
「この法律で、居宅訪問型保育事業とは、次に掲げる事業をいう。
一 保育を必要とする乳児・幼児であつて満三歳未満のものについて、当該保育を必要とする乳児・幼児の居宅において家庭的保育者による保育を行う事業」
出典:児童福祉法(e-Gov法令API 法令ID 322AC0000000164)第6条の3第11項第1号(原文どおり。第2号は満3歳以上の児童についての同様の事業)
「居宅において」保育を行う事業として書かれています。子どもの家に行って保育をする、という形がこれに当たります。

ここが本題:認可を受けていなければ、届出が必要です
児童福祉法 第59条の2第1項は、第6条の3第9項から第12項までに規定する業務(家庭的保育・小規模保育・居宅訪問型保育・事業所内保育)又は保育所と同じ業務を目的とするもので、認可を受けていないものについて、次のように定めています。
「その施設の設置者は、その事業の開始の日……から一月以内に、次に掲げる事項を都道府県知事に届け出なければならない。」
出典:児童福祉法 第59条の2第1項(一部を省略)
そのうえで、届出の対象から外れるものは「少数の乳児又は幼児を対象とするものその他の内閣府令で定めるもの」とされ、内閣府令(施行規則)に委ねられています。
居宅訪問型保育の業務は、認可を受けていなくても、届出の対象として条文に名前が入っています。届出をした認可外の施設という位置づけは、企業主導型保育と同じ系統です(企業主導型保育のメリットとデメリット)。
届出とは別に、シッターとして受け取るお金が給与か業務委託の報酬かで、所得税の区分と申告の要否が変わります。その条文はベビーシッターの確定申告|「20万円以下なら申告不要」は、給与を受ける人の条文ですで扱っています。
届け出なくてよい場合は、施行規則に並んでいます
児童福祉法施行規則 第49条の2が、届出の対象から除くものを定めています。
| 号 | 届出の対象から除かれるもの |
|---|---|
| 第1号イ | 店舗等で商品の販売又は役務の提供を行う事業者が、その間に限り、顧客の監護する乳幼児を保育する施設 |
| 第1号ロ | 設置者の四親等内の親族である乳幼児のみを保育する施設 |
| 第1号ハ | 設置者の親族又はこれに準ずる密接な人的関係を有する者の監護する乳幼児のみを保育する施設 |
| 第2号 | 半年を限度として臨時に設置される施設 |
| 第3号 | 認定こども園法第3条第3項に規定する連携施設を構成する保育機能施設 |
出典:児童福祉法施行規則(e-Gov法令API 法令ID 323M40000100011)第49条の2。第1号は、その旨が約款その他の書類により明らかであるものに限る。仕事・子育て両立支援事業に係るものは除外の対象にならない
「預かる子どもが1人だから届出は要らない」という号は、この並びにありません。除かれるのは、親族や密接な関係のある人の子どもだけを預かる場合などです。
届出の中身に「研修の受講状況」があります
第59条の2第1項第6号の「その他内閣府令で定める事項」を、施行規則 第49条の3が並べています。主なものは次のとおりです。
| 号 | 届出事項 |
|---|---|
| 第1号 | 開所している時間 |
| 第2号 | 提供するサービスの内容及び利用者が支払うべき額に関する事項 |
| 第5号 | 保育に従事している保育士その他の職員の配置数及び勤務の体制 |
| 第7号 | 法第6条の3第11項に規定する業務を目的とする施設の設置者又は一日に保育する乳幼児の数が5人以下である施設の設置者にあっては、当該設置者及び職員に対する研修の受講状況 |
| 第8号 | 保育する乳幼児に関して契約している保険の種類、保険事故及び保険金額 |
| 第9号 | 提携している医療機関の名称、所在地及び提携内容 |
出典:児童福祉法施行規則 第49条の3(抜粋)
第7号は、居宅訪問型保育の業務を名指しして「研修の受講状況」を届け出させています。「保育士であること」を届出の条件にする書き方ではありません。第5号も、保育士「その他の職員」の配置数を書かせる形です。
つまり法令の組み立ては、資格を持っている人だけに許すのではなく、研修を受けたか、保険に入っているかを届け出させて見えるようにする形です。
届け出たあとにも、義務が続きます
| 条 | 定め |
|---|---|
| 第59条の2第2項 | 届け出た事項のうち内閣府令で定めるものに変更を生じたとき、事業を廃止し又は休止したときは、一月以内に届け出る |
| 第59条の2の2 | 設置者の氏名等を見やすい場所に掲示し、インターネットで公衆の閲覧に供する(施行規則 第49条の5により独立行政法人福祉医療機構のウェブサイトへの掲載で行う) |
| 第59条の2の3 | 利用の申込みがあったときは、契約の内容等を説明するように努めなければならない |
| 第59条の2の4 | 契約が成立したときは、遅滞なく、書面を交付しなければならない |
| 第59条の2の5 | 毎年、運営の状況を都道府県知事に報告しなければならない |
出典:児童福祉法 第59条の2第2項、第59条の2の2〜第59条の2の5、同法施行規則 第49条の5
届出制は、一度出して終わりではありません。公開・書面交付・毎年の報告までがつながっています。
認可の居宅訪問型保育事業は、別の基準です
市町村の認可を受けて行う居宅訪問型保育事業には、家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準がかかります。
| 条 | 定め |
|---|---|
| 第37条 | 提供する保育を5つの号で定める(障害・疾病等で集団保育が著しく困難な乳幼児、保護者の夜間・深夜勤務等で市町村が必要性が高いと認める乳幼児、離島等での保育など) |
| 第39条 | 家庭的保育者一人が保育することができる乳幼児の数は、一人とする |
出典:家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準(e-Gov法令API 法令ID 426M60000100061)第37条、第39条
認可の側で保育をするのは家庭的保育者で、市町村長が行う研修を修了した保育士又は保育士と同等以上の知識及び経験を有すると市町村長が認める者とされています。家庭的保育者の定義と、小規模保育での扱いは小規模保育の仕事内容で扱っています。
「保育士」と名乗るには、資格が要ります
ベビーシッターとして働くこと自体に資格の条件は書かれていませんが、「保育士」を名乗ることは別の話です。児童福祉法は保育士でない者が保育士又はこれに紛らわしい名称を使用することを禁じています。その条文と罰則は保育補助にできないことで扱っています。
この記事が扱っていないこと
- 認可外保育施設に対する指導監督の基準(通知)。研修の中身や職員の要件を具体的に定めている部分は通知の領域で、本記事は取得していません。
- 民間団体が認定する資格。法令上の資格ではないため扱っていません。
- 報酬・時給。本記事は統計を取得していません。
- マッチングサイト等を通じて個人で請け負う場合の、届出の要否の個別判断。条文の読み方は示しましたが、個々のケースは都道府県に確認が必要です。
働き始める前に確認できること
- 働く先が認可の居宅訪問型保育事業か、認可外か。認可なら家庭的保育者としての研修修了が求められ、1人が保育するのは1人です。
- 認可外なら、届出がされているか。届出をした施設の情報は、福祉医療機構のウェブサイトで公開されます。
- 研修の受講状況をどう届け出ているか。第49条の3第7号で、設置者と職員の研修の受講状況が届出事項です。
- 保険に入っているか。保険の種類・保険事故・保険金額が届出事項です(第8号)。
- 契約時に書面が交付される運用か。第59条の2の4が、契約成立時の書面交付を義務づけています。
よくある質問
Q. ベビーシッターになるのに資格は必要ですか。
A. 児童福祉法と同法施行規則は、認可を受けていない居宅訪問型保育の業務について、資格ではなく都道府県知事への届出を求めています。届出事項に「研修の受講状況」が含まれます(施行規則 第49条の3第7号)。
Q. 子どもを1人だけ預かる場合も届出が要りますか。
A. 施行規則 第49条の2が届出の対象から除くのは、四親等内の親族の子どもだけを保育する場合、親族等密接な関係のある人の子どもだけを保育する場合、店舗の顧客の子どもをその間だけ保育する場合、半年を限度とする臨時の施設などです。人数が1人であることを理由に除く号はありません。個別の判断は都道府県に確認してください。
Q. 届出はいつまでにしますか。
A. 児童福祉法 第59条の2第1項は、事業の開始の日から一月以内と定めています。
Q. 保育士の資格があると何が違いますか。
A. 認可の居宅訪問型保育事業で保育をする家庭的保育者は、市町村長が行う研修を修了した保育士又は保育士と同等以上と市町村長が認める者です。また「保育士」を名乗れるのは保育士だけです。
Q. 1人のシッターが何人まで見られますか。
A. 認可の居宅訪問型保育事業では、家庭的保育事業等の基準 第39条により、家庭的保育者1人が保育できる乳幼児は1人です。認可外の場合の人数は、本記事が取得した法令には書かれていませんでした。
迷ったらここ
働く先が、届出をしているかを見る
認可を受けずに居宅訪問型の保育を行う場合は、都道府県知事への届出が必要です。届出事項には研修の受講状況と保険が並んでいます。
- 認可の居宅訪問型保育事業か、認可外か
- 認可外なら届出がされているか
- 保険の種類と保険金額
まとめ
「ベビーシッター」という語は、児童福祉法・同法施行規則・家庭的保育事業等の基準のいずれにも0回です。法律の言葉は居宅訪問型保育事業(第6条の3第11項)です。
認可を受けずにこの業務を行う場合は、事業の開始の日から一月以内に都道府県知事へ届出が必要です(第59条の2)。届出から除かれるのは親族の子どもだけを預かる場合などで、人数が少ないことを理由に除く号はありません。
届出事項には、資格ではなく研修の受講状況と保険が並んでいます(施行規則 第49条の3第7号・第8号)。届け出た後も、掲示とインターネットでの公開、契約時の書面交付、毎年の報告が続きます。
市町村の認可を受けた居宅訪問型保育事業では、家庭的保育者1人が保育できるのは1人です(基準 第39条)。

