30秒でわかるまとめ
- 保育士になる道は、児童福祉法に3つ書かれています養成施設の卒業、試験の合格、そして地域限定保育士からの移行の3つです。
- 筆記は8科目で、実技は筆記の全合格者が対象です科目名は児童福祉法施行規則に並んでいて、保育原理から順に書かれています。
- 合格した科目は、翌々年度まで免除が申請できます一定の勤務経験がある場合は、この期間をさらに延ばす特例も置かれています。
- 試験を行うのは都道府県知事で、毎年一回以上です内閣総理大臣の定める基準により行う、と児童福祉法の条文に書かれています。
※資格を持たずに働く場合にできないことは保育補助にできないこと、幼稚園教諭側の免許は幼稚園教諭になるにはで扱っています。

先に断ります:この記事は合格率と勉強法を扱いません
合格率も、参考書の選び方も、法令には書かれていません。本記事は一次資料として児童福祉法と同法施行規則だけを取り直したため、数字での難易度も、勉強の進め方も書きません。
代わりに、独学で組み立てるときに前提になる制度の形——科目の数、合格が残る期間、誰が試験を行うか——を条文で確かめます。

まず入口:保育士になる道は3つです
児童福祉法 第18条の6です。
「次の各号のいずれかに該当する者は、保育士となる資格を有する。」
| 号 | 該当する者 |
|---|---|
| 1 | 都道府県知事の指定する保育士を養成する学校その他の施設(指定保育士養成施設)を卒業した者(専門職大学の前期課程を修了した者を含む) |
| 2 | 保育士試験に合格した者 |
| 3 | 地域限定保育士登録を受けた日から起算して3年を経過し、かつ、内閣府令で定める期間以上の期間、第18条の28第2項に規定する業務に従事した者 |
出典:児童福祉法(e-Gov法令API 法令ID 322AC0000000164)第18条の6
学校に通わずに資格を得る道は、第2号の試験です。この記事はここから先を読みます。

受験資格は、規則に4つの号で書かれています
児童福祉法施行規則 第6条の9が「保育士試験を受けようとする者は、次の各号のいずれかに該当する者でなければならない」と定めています。
| 号 | 受けられる者 |
|---|---|
| 1 | 大学に2年以上在学して62単位以上修得した者、高等専門学校を卒業した者、その他これらに準ずるものとしてこども家庭庁長官の定める者 |
| 2 | 高等学校若しくは中等教育学校を卒業した者等であって、児童福祉施設において2年以上児童の保護に従事した者 |
| 3 | 児童福祉施設において5年以上児童の保護に従事した者 |
| 4 | 前各号のほか、こども家庭庁長官の定める基準に従い、都道府県知事において適当な資格を有すると認めた者 |
出典:児童福祉法施行規則(e-Gov法令API 法令ID 323M40000100011)第6条の9
第1号は「卒業」ではなく「2年以上在学して62単位以上修得」という書き方です。また第3号は学歴を問わず、児童福祉施設での5年以上の従事だけで立っています。
ここが本題:筆記は8科目、実技は筆記の全合格者に行われます
第6条の10です。
「保育士試験は、筆記試験及び実技試験によつて行い、実技試験は、筆記試験の全てに合格した者について行う。」
そのうえで、筆記試験の科目が8つ並びます。
| # | 筆記試験の科目(第6条の10第2項) |
|---|---|
| 1 | 保育原理 |
| 2 | 教育原理及び社会的養護 |
| 3 | 子ども家庭福祉 |
| 4 | 社会福祉 |
| 5 | 保育の心理学 |
| 6 | 子どもの保健 |
| 7 | 子どもの食と栄養 |
| 8 | 保育実習理論 |
実技試験は、保育実習実技について行います(第3項)。
出典:児童福祉法施行規則 第6条の10。番号は編集部が付した
第2号の「教育原理及び社会的養護」は、1つの号の中に2つの名前が入っています。条文上は1科目として書かれている形です。
そして実技試験は「筆記試験の全てに合格した者について行う」とあります。筆記が1科目でも残っていれば、実技には進まない順序です。
合格した科目は、翌々年度まで残ります
第6条の11第1項です。
「都道府県知事は、前条第二項各号に規定する科目のうち、既に合格した科目(中略)のある者に対しては、その申請により、当該科目に合格した日の属する年度の翌々年度までに限り当該科目の受験を免除することができる。」
出典:児童福祉法施行規則 第6条の11第1項
読み方は3つあります。
- 自動ではなく「申請により」。条文にはっきりそう書かれています。
- 期間は「合格した日の属する年度の翌々年度まで」。合格した年度を含めて3年度です。
- 「免除することができる」。都道府県知事の側の書き方です。
さらに、ただし書に表が付いていて、期間を延ばせる場合が定められています。
| 延長できる者 | 延長できる期間 |
|---|---|
| 翌々年度までの間に、保育所、幼稚園、認定こども園その他の場所において、児童の保育又は満3歳以上の幼児に対する教育に直接従事する職員として1年以上かつ1,440時間以上勤務した経験を有する者 | 1年間 |
| 合格した日の属する年度から起算して3年度を経過した年度までの間に、同じ場所において同じ職員として2年以上かつ2,880時間以上勤務した経験を有する者 | 2年間 |
出典:児童福祉法施行規則 第6条の11第1項ただし書の表
年数と時間数の両方を満たす必要がある書き方です。「1年以上かつ1,440時間以上」「2年以上かつ2,880時間以上」と、どちらも「かつ」でつながれています。
ほかにも、免除の道が2つ置かれています
| 項 | 免除される場合 |
|---|---|
| 第6条の11第2項 | こども家庭庁長官の指定する学校その他の施設において、その指定する科目を専修した者は、申請によりその科目の受験を免除できる |
| 第6条の11第3項 | 社会福祉士、介護福祉士又は精神保健福祉士である者は、申請により「教育原理及び社会的養護」のうち社会的養護、子ども家庭福祉、社会福祉の受験を免除できる |
出典:児童福祉法施行規則 第6条の11第2項・第3項
どちらも第4項により、該当することを証する書類を添えて都道府県知事に申請することになっています。
第3項の対象は3資格に限られていて、免除される科目も条文で指定されています。「社会的養護に限る」と書かれているため、同じ号にある教育原理は免除の対象から外れます。
試験を行うのは、都道府県知事です
児童福祉法 第18条の8です。
「保育士試験は、内閣総理大臣の定める基準により、保育士として必要な知識及び技能について行う。」
「保育士試験は、毎年一回以上、都道府県知事が行う。」
出典:児童福祉法 第18条の8第1項・第2項(原文どおり)
| 誰が何をするか | 条 |
|---|---|
| 内閣総理大臣が基準を定める | 第18条の8第1項 |
| 都道府県知事が毎年一回以上行う | 第18条の8第2項 |
| 判定の事務のため、都道府県に保育士試験委員を置く | 第18条の8第3項 |
| 一般社団法人又は一般財団法人を指定試験機関として、試験事務の全部又は一部を行わせることができる | 第18条の9第1項 |
出典:児童福祉法 第18条の8、第18条の9
「毎年一回以上」なので、回数の下限だけが定められています。上限は条文にありません。また第18条の9第2項により、指定試験機関に行わせたときは都道府県知事のほうが試験事務を行わないことになります。
合格した場合は、都道府県知事が通知しなければならないと第6条の13が定めています。科目の一部に合格した場合も、通知の対象です。
不正があった場合の定めもあります
第6条の14は、不正の方法によって受けようとした者などについて、受験を停止し、又はその合格を無効とすると定めています。さらに第2項で、3年以内において期間を定め、保育士試験を受けさせないことができるとしています。
出典:児童福祉法施行規則 第6条の14
この記事が扱っていないこと
- 合格率、受験者数、合格基準点。条文にありません。本記事は統計を取得していないため書いていません。
- 試験日程、会場、手数料の額。都道府県ごとの実施に関わる部分で、条文には書かれていません。
- 実技試験の分野の選び方。規則が書いているのは「保育実習実技」までです。
- 参考書・通信講座などの勉強法。法令の領域ではありません。
- 登録の手続。資格を得たあとの登録については保育補助にできないことで扱っています。
独学で進めるときに、条文から確認できること
- 自分がどの号で受験資格を満たすか。第6条の9の4つの号は、学歴だけでなく従事年数でも立ちます。
- 免除の申請をしているか。第6条の11は「その申請により」と書いています。合格しただけでは動きません。
- 免除が切れる年度。合格した日の属する年度の翌々年度までです。
- 勤務経験で延長できるか。年数と時間数の両方を満たすかを確かめられます。
- 社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士を持っているか。第6条の11第3項で、免除される科目が条文に書かれています。
- 受ける都道府県。試験を行うのは都道府県知事で、指定試験機関に行わせている場合もあります。
よくある質問
Q. 保育士試験は独学で受けられますか。
A. 児童福祉法施行規則 第6条の9は受験資格を4つの号で定めていますが、そこに養成施設への在学や講座の受講は含まれていません。学習の方法について定めた条文はありません。
Q. 筆記は何科目ですか。
A. 第6条の10第2項に8科目が並んでいます。保育原理、教育原理及び社会的養護、子ども家庭福祉、社会福祉、保育の心理学、子どもの保健、子どもの食と栄養、保育実習理論です。
Q. 一度合格した科目は、いつまで有効ですか。
A. 第6条の11第1項は「合格した日の属する年度の翌々年度まで」と定めています。申請が必要です。勤務経験による延長の特例も同項のただし書にあります。
Q. 実技だけ先に受けられますか。
A. 第6条の10第1項は「実技試験は、筆記試験の全てに合格した者について行う」と定めています。
Q. 試験は年に何回ありますか。
A. 児童福祉法 第18条の8第2項は「毎年一回以上」と定めています。回数の上限は条文にありません。
Q. 高校を出ていなくても受けられますか。
A. 第6条の9第3号は、児童福祉施設において5年以上児童の保護に従事した者を挙げています。第4号には、こども家庭庁長官の定める基準に従い都道府県知事が認めた者という道もあります。
迷ったらここ
免除が切れる年度を、先に数える
合格した科目の免除は申請により、合格した年度の翌々年度までです。勤務経験があれば、期間を延ばす特例も置かれています。
- 自分がどの号で受験資格を満たすか
- 免除の申請を出しているか(自動ではない)
- 延長の要件を年数と時間数の両方で満たすか
まとめ
保育士になる資格は、児童福祉法 第18条の6が3つ挙げています。指定保育士養成施設の卒業、保育士試験の合格、そして地域限定保育士登録からの移行です。
受験資格は施行規則 第6条の9に4つの号。大学で2年以上在学し62単位以上、高校等の卒業+児童福祉施設で2年以上、児童福祉施設で5年以上、そして都道府県知事が認めた者です。
試験は筆記8科目と実技で、実技は筆記の全てに合格した者について行われます(第6条の10)。合格した科目は申請により、合格した日の属する年度の翌々年度まで免除でき、一定の勤務経験があれば1年間または2年間延ばせます(第6条の11)。
試験を行うのは都道府県知事で、内閣総理大臣の定める基準により、毎年一回以上です(第18条の8)。指定試験機関に行わせることもできます(第18条の9)。

