保育園の食物アレルギー対応|原則は完全除去、量は減らしません

目次

30秒でわかるまとめ

  • 保育園の栄養士が守る原則は、完全除去です提供するか、しないかで考えるとガイドラインが示しています。量を減らす対応は原則としません。
  • 初めて食べる食品は、家庭での確認が先になります子どもが初めて食べる食品は、家庭で安全に食べられることを確認してから提供します。
  • 対応の起点は、医師が書く生活管理指導表です医師と保護者と保育所をつなぐ書類で、これに基づく対応が必須とされています。
  • 基本原則は4つ。どれも組織で動くことが前提です全職員の共通理解、医師の指示、関係機関との連携、安全・安心の優先が並んでいます。

※保育所に栄養士を置く規定がないことは保育園栄養士の仕事内容と1日、委託給食の場合の義務は給食委託の栄養士の仕事内容、学校給食は学校給食の衛生管理基準で扱っています。

保育園の給食(保育園栄養士)

まず根拠:ガイドラインが対応の基本を示しています

保育所の食物アレルギー対応は、保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版)が基本を示しています。2019年4月に厚生労働省が公表したものです。

冒頭に、こう書かれています。

「保育所は、アレルギー疾患を有する子どもに対して、その子どもの最善の利益を考慮し、教育的及び福祉的な配慮を十分に行うよう努める責務があり、その保育に当たっては、医師の診断及び指示に基づいて行う必要があります。」

「医師の診断及び指示に基づいて」が入っています。園の判断で始めるものではない、という書き方です。

高齢者の食事をチェックする栄養士

小学校以降の学校給食については、文部科学省が別の指針を出しており、原因食物を提供するかしないかの二者択一を大原則の1つにしています。学校給食のアレルギー事故防止|指針は、調理指示書を普通食と対応食で1枚にするとしていますで扱っています。

ここが本題:基本原則は4つです

ガイドラインは【保育所におけるアレルギー対応の基本原則】として4つを挙げています。

#基本原則具体として挙がっていること
1全職員を含めた関係者の共通理解の下で、組織的に対応するアレルギー対応委員会等の設置/マニュアルの作成と役割分担/記録に基づく取組と、緊急時・災害時等を想定した対策
2医師の診断指示に基づき、保護者と連携し、適切に対応する生活管理指導表に基づく対応が必須
3地域の専門的な支援、関係機関との連携の下で対応の充実を図る自治体支援の下、地域のアレルギー専門医や医療機関、消防機関等との連携
4食物アレルギー対応においては安全・安心の確保を優先する完全除去対応(提供するか、しないか)/家庭で食べたことのない食物は、基本的に保育所では提供しない

出典:保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版)「(2)保育所における基本的なアレルギー対応」の「基本原則」。番号は編集部が計数

4つめが、給食の現場に直接効きます。

エプロン姿の栄養士

新しい食品を初めて与えるときの進め方は、授乳・離乳の支援ガイドにも書かれています。1さじずつ始めて種類を増やす順番は離乳食の献立の作り方|国のガイドが示す食品の順番と固さで扱っています。

「完全除去」とは、量を減らさないという意味です

ガイドラインは「完全除去対応(提供するか、しないか)」と書いています。括弧の中が定義です。

食物アレルギーへの対応の章にも、原則が3つ置かれています。

#食事の提供に当たっての原則
1給食提供を前提とした上で、生活管理指導表を活用し、組織的に対応することが重要
2食物アレルギー対応における原因食品の除去は、完全除去を行うことが基本
3子どもが初めて食べる食品は、家庭で安全に食べられることを確認してから保育所での提供を行うことが重要

出典:同ガイドライン「3.食物アレルギーへの対応(1)保育所における食事の提供に当たっての原則(除去食の考え方等)」。番号は編集部が計数

「少しなら大丈夫」という段階を設けない、という考え方です。調理・配膳・確認の手順が単純になるほど、取り違えが起きにくくなります。

これは「保育所内でのアレルギー発症を防ぐ」ことを第一の目標に置いた設計です。

起点になるのは「生活管理指導表」です

ガイドラインは、生活管理指導表をこう位置づけています。

「『生活管理指導表』は、保育所におけるアレルギー対応に関する、子どもを中心に据えた、医師と保護者、保育所の重要な“コミュニケーションツール”。」

そして基本原則の2つめで、これに基づく対応が「必須」とされています。

関わる人役割
医師診断と指示を書く
保護者医師に記入を依頼し、保育所に提出する
保育所これに基づいて対応する

出典:同ガイドラインの記述をもとに編集部が整理

3者が同じ1枚を見る仕組みです。口頭の申し出だけで対応を決める形にはなっていません。

除去を解除するときの様式として、「除去解除申請書」も参考様式に置かれています。

2019年の改訂で加わったもの

2019年改訂版は、何を変えたのかを冒頭で述べています。

改訂で行われたこと
「生活管理指導表」の位置付けの明確化等、基本原則を明示した
保育所の各職員や医療関係者それぞれの役割の記載を具体化した
新たに「関係機関との連携」に係る項目を設けた
「食物アレルギー・アナフィラキシー」を各疾患の最初に位置付けた
緊急時の対応、記録の重要性、災害への備え、食育活動の記載を充実した

出典:同ガイドライン「はじめに」

食物アレルギーが疾患の先頭に移されています。扱いの重さが変わったことが、構成そのものに表れています。

扱っている疾患は5つです

ガイドラインが「主な疾患の特徴と保育所における対応の基本」として並べているのは5つです。

#疾患
1食物アレルギー・アナフィラキシー
2気管支ぜん息
3アトピー性皮膚炎
4アレルギー性結膜炎
5アレルギー性鼻炎

出典:同ガイドライン 目次「主な疾患の特徴と保育所における対応の基本」。番号は目次どおりの並び

給食に直接関わるのは1つめですが、生活管理指導表は5つの疾患を対象にしています。

職員に求められているのは「習熟」です

基本原則を示したあと、ガイドラインはこう続けます。

「こうした原則に基づいた対応を行うため、保育所の職員は、その内容に習熟することが求められます。そのために、職員はその責務と役割に応じて、施設内外の研修に定期的に参加し、個々の知識と技術を高めることが重要です。」

そして施設長・設置者については、アレルギー疾患対策基本法をはじめとする関係法令等を遵守することが求められています。

個人の注意深さに委ねる書き方をしていません。研修と組織的な体制が前提に置かれています。

働くときに確認できること

1. 生活管理指導表が実際に運用されているかを見る

ガイドラインは「これに基づく対応が必須」としています。提出・更新の流れが決まっているかは、入職前でも聞けます。

2. 除去の考え方を確認する

原則は完全除去です。量を減らす段階を設けている場合、その根拠がどこにあるのかを確認できます。

3. 初めて食べる食品の扱いを聞く

家庭で安全に食べられることを確認してから、が原則です。献立に新しい食材を入れるときの手順が決まっているかを見ておくと、実務の負荷が見えます。

4. 委員会とマニュアルがあるかを聞く

基本原則の1つめに、アレルギー対応委員会等の設置とマニュアルの作成が挙がっています。あるかどうかで、栄養士一人にかかる重さが変わります。

5. 研修の機会があるかを確認する

ガイドラインは施設内外の研修への定期的な参加を求めています。園がその機会を用意しているかは、体制の目安になります。

よくある質問

Q. 少量なら食べられる子にも、完全に除去するのですか。
A. ガイドラインは「完全除去対応(提供するか、しないか)」を原則としています。個別の判断は医師の診断及び指示に基づいて行う必要があります。

Q. 保護者からの口頭の申し出だけで対応できますか。
A. ガイドラインは生活管理指導表に基づく対応を必須としています。

Q. 除去をやめるときはどうしますか。
A. 参考様式に「除去解除申請書」が置かれています。手順は園と医師の指示によります。

Q. アレルギー対応は栄養士だけの仕事ですか。
A. 基本原則の1つめが「全職員を含めた関係者の共通理解の下で、組織的に対応する」です。委員会の設置と役割分担が挙げられています。

Q. 保育所に栄養士を置く義務はありますか。
A. 省令の職員規定には栄養士が挙がっていません。保育園栄養士の仕事内容と1日で扱っています。

Q. 具体的な献立の作り方を知りたいです。
A. 本記事はガイドラインが示す原則の範囲で書いています。個別の調理手順には踏み込んでいません。

迷ったらここ

対応の体制を、応募前に確かめる

ガイドラインの基本原則は、全職員を含めた関係者の共通理解の下で、組織的に対応することです。個人の工夫ではなく体制の話として聞けます。

  • 生活管理指導表を起点にした対応が行われているか
  • アレルギー対応委員会など、組織で決める場があるか
  • 完全除去を原則とした運用になっているか
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まとめ

保育所の食物アレルギー対応は、保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版)が基本を示しています。

基本原則は4つ。全職員での組織的な対応、医師の診断指示に基づく対応、関係機関との連携、そして安全・安心の確保の優先です。

給食の現場に直接効くのは4つめで、そこにこう書かれています。「完全除去対応(提供するか、しないか)」と「家庭で食べたことのない食物は、基本的に保育所では提供しない」。

量を減らす段階を設けないことが、原則として置かれています。

そして起点は生活管理指導表。医師と保護者と保育所をつなぐ1枚で、これに基づく対応が必須とされています。

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この記事を書いた人

医療・福祉・保育の人材紹介の現場で求職者の相談を受けてきた編集者が担当しています。キャリアアドバイザー歴8年、転職相談・紹介の対応実績1,500人以上(自社実績/2026年8月時点)。介護・看護師・保育士・栄養士の4分野を担当。記事の数値には必ず出典と公表時点を添えています。

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