看護師の転職は、求人を見つけること自体はそれほど難しくありません。問題はその先です。転職して入職した人(既卒採用者)の離職率は16.1%で、新卒採用者の8.4%のおよそ2倍——これが公的な調査から見える、看護師の転職の実像です。
30秒でわかるまとめ
- 看護師の有効求人倍率は2.12倍で、全職業平均を上回ります厚生労働省の調査で有効求人100,567件に対し有効求職者47,503人、全職業平均は1.10倍でした
- 就業する看護師は増え、准看護師の数は減っています令和6年末時点で就業看護師は1,363,142人(+3.9%)、准看護師は233,022人(−8.4%)でした
- 転職して入った看護師の離職率は、新卒のおよそ2倍です日本看護協会の調査で既卒採用者の離職率は16.1%、新卒採用者は8.4%という差でした
- 看護職員確保のため日勤のみを導入する病院が過半数です日本看護協会の調査で、正職員確保のため日勤のみを導入している病院は54.7%でした
「求人はあると言われても、また同じことになるんじゃないか」——転職を一度考えたことがある方から、いちばんよく聞く言葉です。
その不安には数字の裏付けがあります。まずそこを確かめるところから始めましょう。
このページでは、厚生労働省と日本看護協会が公表しているデータをもとに、看護業界の現状と、転職で失敗しないために何を確認すべきかを整理します。数値はすべて出典と時点を明記しました。
このページの要点
- 保健師・助産師・看護師の有効求人倍率は2.12倍。全職業平均(1.10倍)の約1.9倍で、求人は十分にある
- 就業看護師は1,363,142人で前回比+3.9%。一方で准看護師は8.4%減と、資格の構成が変わりつつある
- 既卒採用者の離職率は16.1%で、新卒の8.4%の約2倍。転職者ほど早く辞めている
- 基本給は上がっているが、夜勤手当は2010年以降ほぼ横ばい。夜勤で稼ぐ構造は弱まっている
- 看護職員を確保するため、病院の54.7%が「日勤のみ」の働き方を導入している
数字で見る看護業界の現状
1. 求人は求職者の約2倍ある
有効求人倍率の比較(令和8年3月・常用/パート含む・全国計)
- 職業計(全職業)……1.10倍
- 保健師・助産師・看護師……2.12倍
- 医療技術者……3.19倍
- その他の保健医療従事者……1.72倍
看護師の有効求人は100,567件、有効求職者は47,503人でした。
出典: 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年3月分及び令和7年度分)」参考統計表(令和8年4月28日公表)。ハローワークが扱った求人・求職に基づく数字で、民間の求人サイトや人材紹介会社が扱う求人は含まれていません。
令和7年度の全職業平均の有効求人倍率は1.20倍で、前年度の1.25倍から低下しました。採用市場全体が緩むなかでも、看護は倍率を保っています。求人が見つからないという状況ではありません。
2. 看護師は増え、准看護師は減っている
就業者数(令和6年末現在)
- 就業看護師……1,363,142人(男118,068人/女1,245,074人)。前回比 +51,455人・+3.9%
- 就業准看護師……233,022人(男17,691人/女215,331人)。前回比 −21,307人・−8.4%
出典: 厚生労働省「令和6年 衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」(令和7年7月29日公表)。この調査は隔年(西暦偶数年の年末時点)で実施されています。
看護師が増える一方で、准看護師は8.4%減りました。養成課程の縮小や、看護師への移行が進んでいることが背景にあります。准看護師として働いている方にとっては、今後の求人構成が変わっていく可能性を前提に、キャリアを考える必要があるということです。
なお就業看護師のうち男性は118,068人で、全体の約8.7%です。女性が圧倒的に多い職場であることは、統計上もはっきりしています。
3. 転職者ほど早く辞めている
この記事でいちばん重要な数字です。
2024年度の離職率
- 正規雇用看護職員……11.0%(前年度比 −0.3ポイント)
- 新卒採用者……8.4%(前年度比 −0.4ポイント)
- 既卒採用者……16.1%
出典: 公益社団法人日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」(令和8年=2026年3月31日公表)。調査期間は2025年10月1日〜11月17日、全国の病院8,022施設を対象に有効回収3,502件(有効回収率43.7%)。
既卒採用者、つまり転職して入ってきた人の離職率は16.1%で、新卒の8.4%のほぼ2倍です。経験があるはずの人のほうが辞めている、という逆転が起きています。
ここは読み飛ばさないでください。16.1%と8.4%の差は、能力の差ではありません。迎え入れる側の体制の差です。
だから転職先を見るときは、給与より先に「中途で入った人に何をしてくれるのか」を聞いてください。この記事の後半は、その聞き方に使います。
理由は想像に難くありません。新卒は研修制度に乗り、同期がいて、育てる前提で迎えられます。一方、既卒は「経験者だから分かるだろう」と扱われ、前の職場とのやり方の違いに一人で対応することになりがちです。看護師の転職の難しさは、入ることではなく、入った後にあります。
だからこそ、転職先を選ぶときは給与や勤務地だけでなく、中途入職者に対する教育体制があるかを必ず確認すべきです。具体的な確認方法は後半で扱います。
4. 基本給は上がったが、夜勤手当は15年以上横ばい
看護師の平均基本給与額(2025年度実績)
- 新卒(高卒・3年課程卒)……216,416円(前年からの引き上げ率 3.2%)
- 新卒(大卒)……221,883円(同 2.9%)
- 勤続10年・非管理職……254,286円(同 1.6%)
出典: 日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」。同調査は、定額の夜勤手当を支給している病院の手当額について「2010年からほぼ変化がなく、横ばいが続いている」としています。
上の「基本給与額」に夜勤手当は入っていません。夜勤手当は別に加算されます。求人票の「月給◯円」は夜勤◯回分を含んだ額であることが多いので、基本給と夜勤手当を分けて聞かないと前職と比べられません。
注目したいのは、基本給は上がっているのに夜勤手当は2010年以降ほぼ動いていないという点です。物価の上昇を考えれば、実質的には目減りしています。
これは転職の判断に直接効きます。かつては「夜勤を多く入れて稼ぐ」が成立しやすい構造でしたが、夜勤1回あたりの割に合う度合いは下がっているということです。夜勤の回数で年収を作る前提で職場を選ぶと、体力を削った割に手取りが伸びない、ということが起こり得ます。
また、引き上げ率が新卒3.2%に対して勤続10年は1.6%と、経験者のほうが伸びが小さい点も見ておくべきです。同じ病院に長くいることが必ずしも収入増につながらない構造がうかがえます。
5. 「日勤のみ」は、もう例外ではない
看護職員(正職員)確保のために導入している働き方
- 日勤のみ……54.7%
- 夜勤回数や夜勤時間、曜日が選択できる……44.1%
- 短時間勤務……39.3%
- 本人の希望の専門領域・部署への配属……38.7%
一般病棟でひと月の夜勤時間が0時間の看護職員は6.7%、1〜16時間未満は9.0%でした。
出典: 日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」。
病院の半数以上が、正職員を確保する手段として日勤のみの働き方を用意しています。「夜勤なしは非正規かパートだけ」という前提は、すでに実態と合っていません。
ただし夜勤手当がなくなる分、年収は下がります。前掲のとおり夜勤手当自体が横ばいであることを踏まえると、「夜勤を減らして失う額」と「体調と生活で得るもの」を、以前より冷静に比べられる状況になっているとも言えます。
転職サイト・転職エージェントを使うメリット
中途入職者への教育体制を確認してもらえる
既卒採用者の離職率が16.1%である以上、ここが看護師の転職で最も重要な確認事項です。求人票に「教育制度充実」と書いてあっても、それが新人向けなのか中途向けなのかは分かりません。
「中途で入った人にプリセプターは付くか」「独り立ちまでの期間はどれくらいか」「直近1年で中途採用は何人入って何人残っているか」。担当者を通せば、こうした立ち入った質問も聞いてもらえます。
病棟単位の情報が得られる
看護師の働きやすさは、病院単位ではなく病棟単位で決まります。同じ病院でも、急性期の病棟と療養病棟では忙しさも人間関係もまったく違います。求人票は病院単位で書かれるため、この差は見えません。
配属先がどこになるか、そこの師長がどういう人か、夜勤の人数は何人か。ここまで踏み込んだ情報は、個人で調べるのは困難です。
公開されていない求人にアクセスできる
「欠員が出たことを公にしたくない」「応募が集中すると選考しきれない」といった理由で、一般公開せず人材紹介会社にだけ依頼している求人があります。とくに条件のよい病棟や、クリニック・企業看護師などの募集枠は非公開になりやすい傾向があります。
夜勤条件の交渉を任せられる
「夜勤は月3回まで」「二交代がいい」といった条件は、本人からは切り出しにくいものです。とくに面接の場で自分から言うと、意欲を疑われるのではと不安になります。担当者経由なら、条件として事前に提示できます。
求職者は無料で使える
有料職業紹介事業者が求職者から手数料を受け取ることは、職業安定法で原則として禁止されています。転職サイト・エージェントは、採用が決まった際に医療機関側から報酬を受け取る仕組みで運営されています。
根拠: 職業安定法第32条の3第2項・職業安定法施行規則第20条。求職者から手数料を取れるのは、芸能家・家政婦(夫)・配ぜん人・調理士・モデル・マネキン(受付手数料のみ/1件690円・免税事業者は660円・同一求職者につき月3件まで)と、経営管理者・科学技術者・熟練技能者(紹介された職業の年収が700万円を超える場合に限る)に限られます。看護師はいずれにも該当しないため、求職者が手数料を請求されることはありません。もし請求された場合は、都道府県労働局の需給調整事業部門にご相談ください。
転職サイトのデメリットと、その対処法
連絡が多く、急かされることがある
看護師は紹介手数料の水準が高い職種であるため、事業者側の営業も積極的になりがちです。登録直後に電話が集中したり、決断を急かされたりすることがあります。
対処法:登録時に連絡手段と時間帯を指定してください。「日勤明けは対応できない」といった事情も先に伝えておくと配慮されます。急かされて決めた転職は、前掲の既卒離職率16.1%を自分で再現することになります。納得できないなら断って構いません。
担当者が看護の現場を知らないことがある
急性期と慢性期の違い、二交代と三交代の負荷の差、病棟と外来の働き方。こうした前提を共有できない担当者だと、こちらが毎回説明する羽目になります。
対処法:最初の面談で「二交代と三交代のどちらを勧めますか、その理由は」と聞いてみてください。答えの具体性で、現場を分かっているかがおおよそ判断できます。合わなければ担当者の変更を申し出ます。
地域によって求人量に差がある
「全国対応」とあっても、実際の求人は都市部に集中していることがあります。地方では、そもそも通勤圏内の医療機関の数が限られます。
対処法:登録前に通勤圏で絞り込んで件数を確認してください。あわせて、各都道府県のナースセンター(都道府県看護協会が運営)も併用すると、地域の求人を取りこぼしにくくなります。無料で、営業色もありません。
転職を成功させるための7つのポイント
1. 「何が嫌なのか」を分解する
夜勤がつらいのか、人間関係がつらいのか、業務量がつらいのか、診療科が合わないのか。これを分けないまま転職すると、同じ問題を別の病院で繰り返します。
たとえば「夜勤がつらい」の中身が実は「三交代の生活リズム」なら、二交代の病院に移るだけで解決することがあります。病院を変えるより先に、働き方の形を変えるほうが効く場合があるということです。
2. 中途入職者の教育体制を必ず聞く
繰り返しますが、既卒採用者の離職率は16.1%です。「経験者だから大丈夫」という前提で受け入れる職場は危険です。中途向けのオリエンテーション、独り立ちまでの期間、相談相手が決まっているか。この3点は最低限確認してください。
3. 病棟まで指定して話を進める
「病院に採用されたが、希望と違う病棟に配属された」は、看護師の転職で頻出する失敗です。配属先が確約できるのか、できないならどういう可能性があるのかを、内定前に確認してください。
4. 年収は夜勤手当を分けて計算する
基本給、夜勤手当(1回あたりの額×月の回数)、その他の手当、賞与。この4つに分けてから前職と比べます。夜勤手当が横ばいで推移していることを踏まえると、夜勤の回数に依存した年収設計はリスクが高くなっています。
5. 見学して、夜勤帯の人数を聞く
日中の見学だけでは分からないのが夜勤の実態です。「夜勤は何人体制か」「患者何人を何人で見るか」「仮眠は実際に取れているか」を確認してください。ここが薄い病棟は、日中がどれだけ良く見えても続きません。
6. 複数のサービスを併用する
非公開求人はサービスごとに違います。2〜3社に登録して、求人の幅と担当者の質を比べてください。あわせてナースセンターも見ておくと、地域の求人を拾えます。
7. 急かされても、決断は自分の速度で
「この求人はすぐ埋まります」と言われても、納得していないなら見送って構いません。看護師の求人は継続的に出ます。急いで決めた結果が既卒離職率16.1%の一部になっているという可能性を、常に頭に置いてください。
よくある失敗と、防ぎ方
失敗しやすい5つのパターン
- 希望と違う病棟に配属された/病院採用で配属は入職後に決まった
- 中途だからと教育がなかった/経験者扱いでいきなり独り立ち
- 夜勤の回数が聞いていた話と違う/「月4回程度」が6回になる
- 年収が下がった/基本給は上がったが夜勤手当と賞与で逆転
- 電子カルテや手順の違いに苦しんだ/同じ看護でも進め方は病院ごとに違う
希望と違う病棟に配属された
看護師の採用は病院単位で行われることが多く、配属は入職直前や入職後に決まる場合があります。「小児科を希望して入ったのに療養病棟だった」というずれは、ここで生じます。
防ぎ方:内定を受ける前に「配属先は確約されるか」を確認します。確約できないと言われた場合は、可能性のある配属先をすべて挙げてもらい、そのどれになっても受け入れられるかを判断してください。
中途だからと教育がなかった
既卒離職率16.1%の主因はここにあると考えられます。経験10年の看護師でも、初めての病院では物品の場所も記録の書式も分かりません。それを「聞けば分かるでしょう」で済ませる職場では、確認を怠れないぶん精神的な負荷が非常に高くなります。
防ぎ方:「中途入職者に付く相談役は決まっているか」「独り立ちまで何日か」を数字で確認します。答えられない職場は、制度として存在していないと考えたほうが安全です。
夜勤の回数が聞いていた話と違う
「月4回程度」の「程度」に幅があり、欠員が出れば増えます。夜勤は収入にも生活にも直結するため、ここのずれは影響が大きい部分です。
防ぎ方:月あたりの上限を数字で確認し、労働条件通知書に記載してもらってください。あわせて「欠員が出たときはどうなるか」まで聞きます。
年収が下がった
看護師の給与は夜勤手当の比重が大きいため、基本給が上がっても夜勤が減れば年収は下がります。賞与の月数が前職より少ないケースもあります。
防ぎ方:源泉徴収票を手元に置き、年収同士で比較してください。夜勤手当は「1回あたりの額」と「想定回数」の両方を確認します。賞与は「実績か確約か」を必ず聞きます。
電子カルテや手順の違いに苦しんだ
見落とされがちですが、実務上のつまずきとしては大きい部分です。電子カルテのメーカーが違えば操作は変わりますし、同じ処置でも手順書は病院ごとに異なります。経験者ほど「前の職場のやり方」との差に戸惑います。
防ぎ方:面接時に電子カルテのシステム名と、入職時に操作研修があるかを確認してください。小さなことに見えますが、最初の1か月の負荷がまったく変わります。
転職の流れ
- 登録/看護に特化したサービスを2〜3社+ナースセンター
- 面談・ヒアリング/「何が嫌なのか」を分解して伝える
- 求人紹介/病棟単位まで踏み込んで確認する
- 応募・書類準備/経験した診療科と看護技術を具体的に書く
- 見学・面接/夜勤帯の体制と中途教育を必ず質問する
- 内定・条件交渉・退職手続き/配属先と夜勤回数を書面で確認する
STEP1 登録する
看護に特化したサービスを2〜3社。あわせて、お住まいの都道府県のナースセンター(都道府県看護協会が運営する無料の職業紹介)にも登録しておくと、地域密着の求人を拾えます。営業を受けたくない時期はこちらだけ使う、という選択もできます。
登録時には、連絡手段と時間帯の希望を必ず書いてください。夜勤のあるシフト勤務では、これを伝えないと着信が積み上がります。
STEP2 面談・ヒアリングを受ける
経験した診療科、看護技術、保有資格、そして「今の職場の何が問題か」を伝えます。ここで前述の分解——夜勤なのか、人間関係なのか、業務量なのか、診療科なのか——を言語化できていると、出てくる求人の精度がまったく変わります。
退職理由を取り繕う必要はありません。事実を伝えたほうが、同じ問題のある職場を避けてもらえます。
STEP3 求人を紹介してもらう
紹介を受けたら、病院ではなく病棟の話まで踏み込んでください。「どの病棟の欠員か」「夜勤は何人体制か」「中途は直近何人入ったか」。ここに答えられる担当者は、実際に医療機関とやり取りをしています。
断るときは理由を添えます。「急性期は避けたい」「三交代は体が持たない」と具体的に返すほど、次の精度が上がります。
STEP4 応募して書類を準備する
看護師の職務経歴書では、勤務した病棟の種別・病床数・受け持ち人数・経験した看護技術を具体的に書くと伝わります。「病棟看護師として勤務」だけでは、何ができる人なのか判断できません。
認定看護師・専門看護師などの資格や、院内での役割(プリセプター、委員会活動など)があれば記載してください。
STEP5 見学・面接を受ける
面接では志望動機や経験のほか、夜勤への対応可否が聞かれます。同時に、こちらからも質問してください。夜勤帯の人数、受け持ち人数、中途入職者の教育、直近1年の中途採用者の定着状況、電子カルテのシステム。
見学は必ず入れます。可能なら、日勤帯の忙しい時間に見せてもらってください。
STEP6 内定・条件交渉・退職手続き
給与、配属病棟、夜勤の回数と形態、入職日を詰めます。とくに配属先と夜勤回数は、口頭で終わらせず労働条件通知書に記載してもらってください。この2つが看護師の転職で最も揉める部分です。
退職の申し出は就業規則に沿って行います。看護師は補充に時間がかかることが多く、また年度単位でシフトが組まれる職場もあるため、余裕をもって伝えるほうが円満に進みます。内定を得てから退職を申し出るのが基本です。
よくある質問
ブランクがあっても復職できますか
できます。都道府県のナースセンターが復職支援研修を実施しており、技術の再確認や最新の医療機器に触れる機会があります。ブランクの長さそのものより、受け入れ側に教育体制があるかどうかが実務上の分かれ目です。
夜勤なしで働けますか
働けます。前掲のとおり病院の54.7%が正職員確保のために「日勤のみ」を導入しています。加えて、クリニック、健診センター、訪問看護(オンコールの有無は要確認)、企業の産業保健、保育園や施設の看護師など、夜勤のない職場は複数あります。ただし夜勤手当がなくなるため年収は下がります。
准看護師でも転職できますか
できます。ただし就業准看護師は令和6年末で233,022人と、前回から8.4%減少しています。求人の構成も長期的には変化していく可能性があります。看護師資格の取得を視野に入れる場合は、働きながら通える2年課程の養成所があるか、勤務先に支援制度があるかを確認しておくとよいでしょう。
二交代と三交代はどちらがよいですか
一概には言えません。二交代は夜勤1回が長い代わりに出勤日数が減り、まとまった休みを取りやすくなります。三交代は1回の拘束が短い代わりに、勤務間隔が短くなる組み合わせ(日勤→深夜など)が生活リズムに影響します。「夜勤がつらい」の中身がどちらに起因しているかを見極めてから選んでください。
年収を上げる方法はありますか
主に、①夜勤回数の多い職場を選ぶ、②認定看護師・専門看護師などの資格を取る、③管理職(主任・師長)を目指す、④手当の厚い法人へ移る、の4つです。ただし①は、夜勤手当が2010年以降横ばいであることを踏まえると、以前ほど効率のよい方法ではなくなっています。
40代・50代でも転職できますか
できます。ただし急性期病棟は体力面から敬遠される場合があるため、療養病棟、クリニック、訪問看護、施設看護など、経験が評価されやすい領域を含めて検討すると選択肢が広がります。
病院以外にどんな職場がありますか
クリニック、訪問看護ステーション、介護施設、健診センター、企業の医務室・産業保健、保育園、学校、コールセンター、治験コーディネーターなどがあります。夜勤の有無、オンコールの有無、求められる判断の範囲がそれぞれ違うため、「病院を辞めたい」が「看護を辞めたい」とは限りません。
メンタル面が不安ですが、相談していいですか
同調査では、正規雇用看護職員のうち病気で1か月以上の連続休暇を取得した人にメンタルヘルス不調者がいた病院は79.5%、1病院あたり平均5.4人でした。珍しいことではありません。復帰や働き方の調整については、まず産業医や職場の相談窓口へ、転職を含めて考えるなら担当者にも状況を伝えたうえで求人を絞ってもらってください。
転職しやすい時期はいつですか
年度替わりに向けた1〜3月と、賞与支給後の7月・12月ごろに求人が動きやすくなります。ただし看護師の求人は通年で出るため、時期を待つより条件が整ったときに動くほうが結果的に早いことが多いです。
今の職場に知られずに活動できますか
できます。担当者にその旨を伝えれば、見学や面接の日程を配慮してもらえます。ただし看護は地域内の医療機関同士のつながりが強いため、応募先を選ぶ段階でも「現職に伝わる可能性があるか」を確認しておくと安心です。
すぐ転職するつもりがなくても登録できますか
できます。「情報収集の段階である」と最初に伝えてください。連絡の頻度が調整されますし、条件のよい求人が出たときにすぐ動けます。
迷ったらここ
給与の話より先に、「中途で入った人の1か月目」を聞く
既卒採用者の離職率は16.1%で、新卒の約2倍。分かれ目は入れるかどうかではなく、入った後に一人にされないかです。担当者にも面接でも、同じ質問をぶつけてください。
- 中途入職者にプリセプターや相談役はつくか(つく/つかないを即答できるか)
- 電子カルテと手順の研修は何日あるか(「慣れてもらう」で濁さないか)
- 希望の病棟に配属されるのか(配属は入職後に決める、ではないか)
まとめ
看護師の求人は、有効求人倍率2.12倍と全職業平均の約1.9倍あり、就業看護師数も前回比+3.9%と増えています。転職先が見つからないという心配は、統計上ほとんど不要です。
本当の課題は、その先にあります。既卒採用者の離職率16.1%は、新卒の8.4%の約2倍です。経験があるからこそ「教えてもらえない」まま放り込まれ、前の職場との違いに一人で対応することになる——これが数字の背景にあると考えられます。
だからこの記事では、給与や勤務地よりも先に中途入職者への教育体制と、配属される病棟を確認することを繰り返しお勧めしました。急かされて決めないこと。ここを守るだけで、転職の成否はかなり変わります。
職種別のサービス比較は 看護師の転職 のページにまとめています。
この記事を書いた人
編集部
医療・福祉・保育の人材紹介の現場で、求職者の相談を受けてきた編集者が担当しています。求人票に書かれていることと、実際に働いてみて分かることのあいだにある差を、いちばん近くで見てきました。
- キャリアアドバイザー歴 8年
- 転職相談・紹介の対応実績 1,500人以上(自社実績/2026年8月時点)
- 介護・看護師・保育士・栄養士の4分野を担当
記事の数値には必ず出典と公表時点を添えています。確認できない情報は書きません。
このページで使用したデータの出典
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年3月分及び令和7年度分)」参考統計表(令和8年4月28日公表)/有効求人倍率・求人数・求職者数
- 厚生労働省「令和6年 衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」(令和7年7月29日公表/令和6年末現在)/就業看護師数・就業准看護師数・男女別内訳
- 公益社団法人日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」(2026年3月31日公表/調査期間 2025年10月1日〜11月17日/全国の病院8,022施設対象・有効回収3,502件)/離職率・平均基本給与額・夜勤手当の推移・導入している働き方・休職状況
本記事は編集部が公表資料をもとに作成しています。数値は上記の公表時点のものであり、最新の状況とは異なる場合があります。
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