学童待機の56.7%は小4〜6年 国が高学年の居場所に2億円要求

学童の待機児童の56.7%が高学年
目次

30秒でわかるまとめ

  • 保育士も働く学童で、高学年向けの新事業が要求されましたこども家庭庁が来年度予算の概算要求に、小学4〜6年生の居場所をつくるモデル事業として2億円を盛り込みました。
  • 学童の待機児童の56.7%は小4〜6年生でした2025年5月時点の待機児童1万6,330人のうち、9,254人が高学年です。登録児童に占める高学年は22.5%にとどまります。
  • 職員は安全確保スタッフ2名以上を置く案です学校がある平日の放課後に、学校施設などを使います。高学年の待機児童が20人以上見込まれる市町村を優先します。
  • 放課後児童支援員の22.7%が保育士の資格を持っています保育士・保育所支援センターで、放課後児童支援員の就職も支援する案が示されました。学童は保育士が働ける職場の1つです。

こども家庭庁は、2027年度(令和9年度)予算の概算要求に、新しい事業として「小学校高学年を対象にした放課後児童対策モデル事業」を盛り込み、2億円を求めている。放課後児童クラブ(学童保育)の待機児童の半分以上を、小学4〜6年生が占めているためだ。日本経済新聞は10月3日、こども家庭庁が学童保育に小学4年生以上を預かる専用の枠の設置を自治体に促すと報じた。学童は、保育士の資格を生かして働ける職場の1つでもある。保育士として働く人、これから職場を選ぶ人に向けて、資料の中身を整理する。

学童の待機児童は高学年が56.7%

放課後児童クラブは、保護者が働いていて昼間家にいない小学生を、授業の終了後に学校や児童館などで預かる事業である。こども家庭庁の調査では、2025年5月1日時点で利用を申し込んでも登録できなかった待機児童は1万6,330人だった。学年別に見ると、いちばん多いのは小学4年生である。

学年2025年2024年増減
小11,966人2,209人−243人
小21,805人2,116人−311人
小33,305人3,879人−574人
小45,589人5,707人−118人
小52,644人2,756人−112人
小61,021人1,019人+2人
合計16,330人17,686人−1,356人

出典:こども家庭庁「令和7年(2025年)放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」(各年5月1日時点)

4〜6年生を合わせると9,254人で、待機児童全体の56.7%になる。前年から減った人数は、1〜3年生の1,128人に対して、4〜6年生は228人にとどまった。一方で、登録している児童157万人のうち4〜6年生は約35万人で、22.5%しかいない。学童に入っている子の多くは低学年で、入れずに待っている子の多くは高学年という形になっている。

2026年5月1日時点の速報値では、登録児童は160万2,037人に増え、待機児童は1万4,713人に減った。ただし速報値には学年別の内訳が無い。学年別の数字を含む確報値は、12月下旬をめどに公表される予定である。

ちはる

待っている子のいちばん多い学年が、4年生なんですね。

熊先生

4〜6年生を合わせると、待機児童の半分を超えているね。

ちはる

低学年は減っているのに、高学年はあまり減っていないです。

新しいモデル事業は2億円

概算要求の資料によると、新しいモデル事業は、高学年の子の居場所を市町村や学校区の単位でつくり、そのやり方をモデルとしてまとめるものである。資料は、既存の放課後児童クラブとは異なる居場所を増やし、待機児童の解消につなげるとしている。

項目内容(案)
対象放課後児童クラブの待機児童を中心とした小学4〜6年生
場所小学校や中学校の施設の利用を念頭に、地域の既存施設を活用
日学校がある平日を想定
職員安全確保スタッフを2名以上配置。子どもの利用時・帰宅時を管理できるシステムの導入を推奨
内容地域の企業・団体、大学・高校などと連携し、運動・表現・学習などのプログラムを実施
実施主体市町村。2027年度当初に高学年の待機児童が20人以上見込まれる市町村を優先
補助補助基準額案は350万円。国と市町村が2分の1ずつ
要求額2億円(新規)

出典:こども家庭庁 成育局成育環境課「令和9年度 放課後児童対策、こども・子育て支援 関連予算概算要求の概要」

実施した市町村は、子どもや保護者の意見を聞いたうえで効果を検証し、報告書にまとめる。資料が職員として挙げているのは「安全確保スタッフ」で、放課後児童支援員という言葉は、この事業の説明には出てこない。

これは概算要求の段階の案で、事業の中身や金額は、これからの予算編成で変わることがある。

高学年は低学年とニーズが違う

資料は、高学年向けに別の事業を設ける理由を次のように説明している。高学年の子の多くは、成長するにつれて放課後の過ごし方を自分で選べるようになる。塾や習い事など、学童以外の放課後の受け皿もある。そのため、低学年の待機児童とはニーズに違いがあるという。

さらに資料は、学童の登録児童が低学年に偏っているため、高学年にとっては居場所としての魅力が乏しいことも考えられるとした。そのうえで、高学年の子も安全・安心に自由に使え、自分から参加できる機会のある居場所を確保することが重要だとしている。

放課後児童支援員の22.7%が保育士

学童の職員には、放課後児童支援員と補助員などがいる。2025年5月1日時点で、放課後児童クラブの職員は21万2,867人、そのうち放課後児童支援員は11万8,562人、補助員は8万8,178人だった。支援員がどんな資格を持っているかを見ると、保育士が2割を超える。

放課後児童支援員の主な資格人数割合
高等学校卒業者等で、2年以上児童福祉事業に従事した者42,989人36.3%
保育士26,902人22.7%
教育職員免許状を有する者25,058人21.1%

出典:こども家庭庁「令和7年(2025年)放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」(割合は放課後児童支援員の総数11万8,562人に占める割合)

保育士の支援員は前年より956人増えた。同じ調査では、18時半を超えて開いているクラブが全体の約62%を占めている。夕方以降まで開いている職場が多い。

ちはる

学童の支援員の、5人に1人くらいが保育士なんですね。

熊先生

2万6,902人で、22.7%だね。

ちはる

でも、新しい高学年の事業は支援員の配置ではないんですよね。

熊先生

資料に書かれている職員は、安全確保スタッフ2名以上だったね。

支援員の就職を保育士の窓口で支援

同じ概算要求では、学童の人材を確保する事業も挙がっている。保育士の就職や復職を支える保育士・保育所支援センターで、放課後児童支援員も人材確保支援の対象にし、そのための費用を加算する案である。支援員として働きたい人がセンターに登録し、求人情報や研修情報を受け取ったり、支援員を募集する事業者とのマッチングを受けたりできるようにする。

学童の職員の処遇改善も続く。放課後児童支援員などの収入を3%程度(月額9,000円)引き上げる措置や、勤続年数や研修の実績に応じた処遇改善、18時30分を超えて開くクラブの職員の処遇改善に、引き続き補助するとしている。

保育施設の空きで小学生を預かる事業も

保育の職場に直接かかわるのが、「企業等の活力を活かした小学生の預かり機能構築モデル事業」である。2025年度の補正予算で始まった事業で、2027年度の要求額は10億円。民間団体や自治体が、企業の力を生かして小学生を預かる場をつくり、その効果を検証する。

実施する場所は、企業主導型保育施設、認可外保育施設、小規模保育施設などの余裕スペースを優先するとされた。資料は理由として、少子化などの影響で保育施設のスペースに余裕が出ていることと、専門的な人材を確保できることを挙げている。対象は共働き世帯などの小学生で、特に低学年を想定している。

熊先生

企業主導型や小規模保育などの、余裕スペースを優先するとされていたね。

ちはる

保育士の仕事の場が、小学生のほうにも広がっていきそうです。

迷ったらここ

学童の求人は働き方を聞く

学童は保育士の資格を生かせる職場の1つですが、勤務時間や処遇は保育所と違うことがあります。学童の求人を見るときは、次の点を聞いておくと比べやすくなります。

  • 常勤か非常勤か、1日の勤務は何時から何時までか
  • 18時30分を超えて開所するか、夏休みなどの長期休みの勤務
  • 放課後児童支援員の認定資格研修を受けられるか
  • 処遇改善の補助を、給料にどう反映しているか
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編集部の見方:受け皿は学童の外にも

ここからは編集部の見方である。今回の資料から読み取れるのは、国が待機児童の対策を学童の定員を増やすことだけに頼らなくなっていることだ。高学年には学童とは別の居場所を、低学年には保育施設の余裕スペースを使った預かりを、それぞれモデル事業として試そうとしている。

保育士にとっては、働く場の選択肢が少しずつ広がる話でもある。学童の支援員の2割強はすでに保育士で、支援員の就職を保育士・保育所支援センターで支える案も出た。一方で、高学年向けの新事業が求める職員は「安全確保スタッフ」で、保育士の資格が条件になるかどうかは、この資料からは分からない。学童の求人が増えるかどうかは、各市町村がこの事業に手を挙げるかにもかかっている。

保育所の待機児童の動きは待機児童が9年ぶりに増えた記事で、こども家庭庁の来年度の要求全体は概算要求の記事で整理している。

出典

一次資料

報道

編集部メモ

  • 学年別の待機児童(56.7%など)は、2025年5月1日時点の確報値です。2026年の速報値には学年別の内訳が無いため、学年別の数字は2025年のものを使っています。
  • 56.7%と22.5%は、こども家庭庁の資料の学年別の人数・割合から編集部が足し合わせました。56.7%は、概算要求の資料に書かれている割合とも一致しています。
  • モデル事業の内容と金額は、概算要求の段階の案です。予算が決まるまでに変わることがあります。
  • 日本経済新聞は「学童保育に『小4以上枠』」「人員要件は緩和」と報じていますが、こども家庭庁の概算要求の資料では、この事業は既存の放課後児童クラブとは異なる居場所づくりとして書かれています。報道は話題になった時期を示すために参照し、事業の中身はすべてこども家庭庁の資料から取りました。報道の有料部分は確認していません。
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この記事を書いた人

医療・福祉・保育の人材紹介の現場で求職者の相談を受けてきた編集者が担当しています。キャリアアドバイザー歴8年、転職相談・紹介の対応実績1,500人以上(自社実績/2026年8月時点)。介護・看護師・保育士・栄養士の4分野を担当。記事の数値には必ず出典と公表時点を添えています。

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