30秒でわかるまとめ
- 管理栄養士の個別指導とは別に、国が食事ガイドを作ります厚生労働省のWGが9月30日、作成方針の案を示しました。病気ごとの食事療法は扱わず、食事で病気のリスクを下げるためのガイドです。
- 対象は健康な成人と、保健指導レベルの人です生活習慣病の危険因子があっても、おおむね自立して暮らしている人までを含めます。対象の病気は、おおむね生活習慣病の範囲です。
- 日本人の死亡の15.6%が不健康な食事と関連するとされます国の資料が引く海外の推計です。食事のバランスだけでなく、病気のリスクに目を向けた内容にします。
- 指導者向けの資料もあわせて作る予定ですスケジュール案では、ガイドのあとにライフステージ別や指導者向けのコンテンツを作るとしています。
厚生労働省は9月30日、「日本人のための食事ガイド(仮称)」を検討するワーキンググループ(WG)の第2回をオンラインで開き、ガイドの作成方針(案)を示した。毎日の食事を通じて生活習慣病などの病気になるリスクを下げるための、国民向けのガイドである。日本食糧新聞は同日、厚生労働省が疾病予防に向けた食事ガイドの作成に入ったと報じた。管理栄養士・栄養士として働く人、特に保健指導や栄養指導に関わる人に向けて、案の中身を整理する。
国が新しい食事ガイドを作る
WGは厚生労働省の健康・生活衛生局長が開くもので、事務局は同局健康課の栄養指導室が務める。第1回は7月23日に開かれ、今回が2回目になる。構成員には大学や研究機関の研究者のほか、日本栄養士会の常務理事や日本医師会の常任理事も入っている。
開催要綱によると、国の健康づくりはこれまで「食生活指針」に代表されるように、健康な人に向けた取り組みが中心だった。一方で、食生活は生活習慣病の発症との関連が深いのに、病気のリスクを下げる取り組みは十分とはいえず、国民の理解(リテラシー)を高めることが求められているとしている。WGの検討課題には、ガイドの中身に加えて、国民への具体的な普及啓発の方法も挙がっている。
食事の指針なら、もうあるのかと思っていました。
これまでのものは、食事のバランスが中心だったんだ。
今度のガイドは、病気との関係を見るんですね。
バランス中心から病気のリスクへ
第1回の資料は、これまでの対策について、食生活指針や食事バランスガイドなどを使い、主に食事のバランスに焦点を当ててきたと整理している。新しいガイドでは、WHOのガイドラインや、6つのナショナルセンター(6NC)による提言などを参照しながら、病気のリスクを下げる観点から、注意したい食事のポイントと実践の方法を示すとしている。
作成方針(案)では、根拠となる主な情報源を3つ挙げた。「健康日本21(第三次)」、「日本人の食事摂取基準」、そして6NCの「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」である。これに構成員が持ち寄る文献を加えて精査する。海外の文献を使うときは、日本人の一般的な摂取量との違いを確かめる必要がある、という留意点も書かれている。
対象は健康な成人と保健指導レベル
ガイドが扱うのは、食事と病気の一次予防(病気になる前の予防)の関係である。対象者は原則として健康な成人とし、生活習慣病などの危険因子を持っていても、おおむね自立した生活を送っている人、つまり保健指導レベルにある人までを含める。対象となる病気は、日本人に多い死因や、かかる人が多い病気で、おおむね生活習慣病の範囲を想定している。
一方で、医師や管理栄養士による個別の栄養管理が必要な人に向けた、病気ごとの食事療法は扱わないと明記した。治療中の人の食事は、これまでどおり医療の現場で個別に対応する、という線引きである。
「保健指導レベル」は、健診で生活習慣病のリスクが見つかり、生活習慣の見直しを支援する段階の人を指す。特定保健指導などで管理栄養士が関わる層と重なる。
保健指導を受ける人も、このガイドの対象なんですか。
そうだね。自立して暮らしている人までは入るんだ。
病気ごとの食事療法は、ガイドの外に置かれているよ。
保健指導の現場で使う場面が、いちばん多そうですね。
死亡の15.6%が不健康な食事と関連
第1回の資料は、ガイドを作る理由の一つとして、海外の研究による推計を示している。2017年の推計で、日本人の死亡のうち15.6%、障害を抱えて過ごす年数も含めた健康の損失(DALYs)のうち9.5%が、不健康な食事と関連しているとされる。日本を含むアジア・太平洋の高所得国では、食塩の摂取量の影響が大きいという。
資料はまた、日本の健康寿命の伸びが近年停滞していることにも触れている。政府は「攻めの予防医療」を掲げており、食事ガイドはその栄養・食生活の分野の取り組みに位置づけられている。
食べてはいけない食品はないと示す
第1回の資料には、ガイドの基本的なポイントの例が挙がっている。「完璧な食品、食べてはいけない食品はない」こと、特定の食品に偏らず多様な食品を組み合わせること、主食・主菜・副菜をそろえた食事が効果的であること、そして1食・1日単位ではなく、数日・週単位の少し長めの期間で調整してもよいことである。
作成方針(案)では、まず健康的な食事の総論を整理し、そのうえで、生活習慣病の予防に向けて多くとりすぎに注意したい食品と、十分にとるよう心がけたい食品を整理する順番にした。ガイドの冒頭のイメージには、食事の改善で必ず病気を予防できるわけではないものの、リスクを減らすために日々の食事を見直すことが大切だ、という文が置かれている。特定の食品について伝えられることがあれば、根拠と限界を含めてコラムの形で書くことも想定している。
指導者向けの資料も作る予定
今年度のスケジュール案では、WGは4回程度開く。第3回でWGの報告書の骨子案、第4回で報告書案と参考資料の作り方の方向性を議論する。そのあと厚生労働省がガイドを作り、続けて参考資料としてライフステージ別のコンテンツや指導者向けのコンテンツを作る流れになっている。
医療介護CBnewsは7月21日、厚生労働省が疾病リスクの低減に向けた食事ガイドを年度内に公表すると報じていた。ただし、今回の資料の文章には公表の時期は書かれていない。
指導する人向けの資料も、別に作られるんですね。
中身は、第3回の骨子案から少しずつ見えてくるよ。
迷ったらここ
保健指導の割合を聞く
新しいガイドは、健康な人と保健指導レベルの人に向けたものです。保健指導や栄養相談の多い職場ほど、国のガイドを使う場面は増えそうです。応募する前に、仕事の中身を確かめておくと比べやすくなります。
- 保健指導・栄養相談と、給食管理の仕事の割合
- 特定保健指導を担当しているか、何件くらいか
- 指導で使っている資料や教材は何か
- 研修や学会への参加の支援があるか
編集部の見方:指導の道具が増える
ここからは編集部の見方である。新しいガイドは国民向けだが、対象に保健指導レベルの人を含め、指導者向けのコンテンツも作るとしている。健診のあとの保健指導や栄養相談で、管理栄養士・栄養士が使う道具の一つになる可能性が高い。
一方で、病気ごとの食事療法は扱わないと線を引いた。病院やクリニックで治療中の患者に向き合う管理栄養士の仕事は、このガイドとは別の領域として残る。同じ栄養士の仕事でも、予防の場か、治療の場かで、このガイドとの関わり方は違ってくる。
中身はまだ方針の段階で、具体的にどの食品をどう書くかは第3回以降の議論になる。保健指導の仕事に関心がある人は、骨子案が出たときに一度目を通しておくとよい。管理栄養士が病院の外で指導する場面が広がっている話は訪問栄養指導の記事で整理している。
出典
一次資料
- 厚生労働省「第2回日本人のための食事ガイド(仮称)ワーキンググループ」資料(2026年9月30日、2026年10月2日参照)。資料2「作成方針(案)」、参考資料1「開催要綱」、参考資料2「作成スケジュール(案)」
- 同「第1回日本人のための食事ガイド(仮称)ワーキンググループ」資料2「日本人のための食事ガイド(仮称)の作成について」(2026年7月23日、2026年10月2日参照)
報道
- 日本食糧新聞「【速報】厚労省、食事ガイド作成へ 疾病予防向けに」2026年9月30日(2026年10月2日参照)
- 医療介護CBnews「疾病リスク低減へ 「食事ガイド」年度内に公表」2026年7月21日(2026年10月2日参照)
編集部メモ
- 今回の資料は「案」で、WGでの議論を経て変わることがあります。ガイドの具体的な中身(どの食品をどう書くか)は、まだ示されていません。
- 「死亡の15.6%」「DALYsの9.5%」は、厚生労働省の資料が引く海外の研究(2017年の推計)の数字です。編集部で元の研究を計算し直したものではありません。
- スケジュールは図で示されたイメージで、月ごとの日程は読み取れません。本文では順番だけを書きました。
- 「年度内に公表」は医療介護CBnewsの報道による表現です。今回の厚生労働省の資料の文章には、公表の時期は書かれていません。
- 「保健指導レベル」と特定保健指導の関係は、編集部による説明です。
- 日本食糧新聞の報道は、この会議が報じられた日を示すために参照しました。案の中身はすべて厚生労働省の資料から取っています。

