30秒でわかるまとめ
- 調理師の免許は、養成施設か実務と試験のどちらかで取りますどちらの道かを示す書類と戸籍の謄本などを申請書に添え、住所地の都道府県知事に出します。
- 実務に数えられる場所は、省令第4条の施設と営業です寄宿舎・学校・病院等の給食施設と、飲食店営業など食品衛生法施行令の4つの営業です。喫茶店営業は除かれます。
- パートの勤務は週4日以上かつ1日6時間以上が原則とされます国の通知の問答です。学生(夜間・通信を除く)、ウェイター、栄養士や看護婦として働いた期間も認めない、としています。
- 試験は60問以上で、6科目の割合は告示のとおりです調理理論30%、食品衛生学25%、公衆衛生学と栄養学が15%ずつなどで、試験時間は120分以上です。
※調理師という資格そのものの定義や、免許を得る2つの道が書かれた法律の条文は調理師と調理員の違いで扱っています。

まず整理:法律の先は、政令・省令・告示・通知に書かれています
調理師法の本則は、免許を得る道が2つあることなどの骨組みを定めています(本則の条文は冒頭のリンク先で扱っています)。どこで働いた期間が数えられるか、何を添えて申請するか、試験は何問かは、その下の決まりに書かれています。
| 決まり | 本記事で読む中身 |
|---|---|
| 調理師法施行令 | 免許の申請先、名簿の登録事項 |
| 調理師法施行規則 | 実務に数えられる施設・営業、添付書類、養成施設の基準、技術審査 |
| 調理師試験基準(告示) | 問題数、科目ごとの割合、試験時間 |
| 厚生省の通知2本(昭和51年・平成4年) | 給食施設の範囲、数えられない業務、パートの扱い |
出典:各資料から編集部が整理(告示・通知は厚生労働省 法令等データベースで取得)

ここが本題:実務に数えられる施設・営業は、省令第4条です
実務の道で「2年以上調理の業務に従事」する場所は、調理師法施行規則 第4条が定めています。第1号は給食施設です。
「寄宿舎、学校、病院等の施設であつて飲食物を調理して供与するもの」
出典:調理師法施行規則(e-Gov法令API 法令ID 333M50000100046)第4条第1号(原文どおり)
第2号は営業で、食品衛生法施行令 第35条第1号、第4号、第25号又は第26号に掲げる営業(喫茶店営業を除く。)としています。番号だけでは中身がわからないので、食品衛生法施行令を取得して突き合わせました。
| 食品衛生法施行令 第35条 | 営業の名前 |
|---|---|
| 第1号 | 飲食店営業 |
| 第4号 | 魚介類販売業 |
| 第25号 | そうざい製造業 |
| 第26号 | 複合型そうざい製造業 |
出典:調理師法施行規則 第4条第2号、食品衛生法施行令(e-Gov法令API 法令ID 328CO0000000229)第35条第1号・第4号・第25号・第26号
除かれる喫茶店営業は、第4条第2号の括弧書きが「喫茶店、サロンその他設備を設けて酒類以外の飲物又は茶菓を客に飲食させる営業」と定義しています。

給食施設は「1回20食以上又は1日50食以上」
第1号の「寄宿舎、学校、病院等」の「等」について、昭和51年の厚生省公衆衛生局長通知が範囲を示しています。
「第一号に掲げる施設には寄宿舎、学校、病院のほか事業所、社会福祉施設、きょう正施設、自衛隊、給食センター等の施設であって飲食物を調理して供与する給食施設を含むものであること。」
出典:調理師試験の実施について(昭和51年9月14日 衛発第736号)Ⅰの1(原文どおり)
同じ項は続けて、第1号の施設は継続して1回20食以上又は1日50食以上を調理して供与するものである、としています。
出典:同 Ⅰの1
この項の見出しは「調理業務従事証明書発行施設について」です。実務の道で受験するときに出す調理業務従事証明書は、第4条第1号・第2号の施設又は営業が発行できるもの、という位置づけで書かれています。
数えられない業務:通知の問答
同じ昭和51年の通知は、業務の中身についても書いています。
「専ら調理品の運搬、配達、食器洗浄等に従事している者は、調理の業務に従事したとは認められないものであること。」
出典:調理師試験の実施について Ⅰの2(原文どおり)
平成4年の厚生省保健医療局健康増進栄養課長通知は、都道府県に対し、調理業務従事の認定に当たって次の質疑応答を参考にすることとしています。
| 問 | 答の要旨 |
|---|---|
| 問1 学生又は生徒 | 調理の業務に従事しているものとは認められない。ただし夜間又は通信教育に係る学生又は生徒を除く |
| 問2 ウェイター又はウェイトレス | 認められない。喫茶店営業での削り氷、清涼飲料水や茶菓・コーヒーを供与する行為を調理と認めがたいとする昭和35年の通知の内容も、受験資格の認定に当てはまる |
| 問3 栄養士、看護婦、保母等の職種として従事 | 認められない |
| 問4 パート又はアルバイト | 下の原文のとおり |
出典:調理師試験の受験資格に係る調理業務従事の認定について(平成4年3月30日 健医健発第20号)記の2
「原則として、週四日以上かつ一日六時間以上勤務している場合を除き、調理の業務に従事しているものとは認められない。」
出典:同 記の2(問4)の答(原文どおり)
パートやアルバイトの期間は、週4日以上かつ1日6時間以上の勤務でなければ、原則として数えられない、という扱いです。同じ職場にいても、栄養士や看護の職種として働いた期間は、調理の業務には入りません。
この通知は、虚偽の調理業務従事証明書による不正受験が発覚したことを受けたもので、証明印の扱い(個人が証明する場合は印鑑登録証明書を添付)にも触れています。
養成施設の道:省令が定める教育内容は6つ
もう1つの道である調理師養成施設は、都道府県知事の指定を受けた施設です。指定の基準は施行規則 第6条にあり、教育の内容は別表第一に定めるもの以上とされています。
| 教育内容 | 授業時間数 |
|---|---|
| 食生活と健康 | 90時間 |
| 食品と栄養の特性 | 150時間 |
| 食品の安全と衛生 | 150時間(実習30時間以上を含む。) |
| 調理理論と食文化概論 | 180時間 |
| 調理実習 | 300時間 |
| 総合調理実習 | 90時間 |
出典:調理師法施行規則 別表第一(第6条関係)
6つを足すと、90+150+150+180+300+90=960時間です(編集部試算)。調理実習と総合調理実習を合わせると、実習が390時間です。
第6条はほかに、次のような基準を置いています。
- 教員の数は別表第二の算式(生徒の総定員×一学級の週当たり平均授業時間数を、40×12で割る)で出した人数以上、ただし5人未満なら5人。教員数の3分の1以上が専任(第3号)
- 同時に授業を行う生徒の数は40人以下。講義で教育効果を十分に上げられると認められる場合は、この限りでない(第7号)
- 調理実習室と総合調理実習室を備え、実習施設として適当な飲食店等を利用できること(第8号・第12号)
出典:調理師法施行規則 第6条第3号・第7号・第8号・第12号、別表第二
試験の道:問題数は60問以上、試験時間は120分以上
調理師試験の基準は、平成9年5月12日の厚生省告示第119号「調理師試験基準」です。平成11年4月1日から適用され、平成26年の厚生労働省告示第195号で改正されています。
「調理師試験(以下「試験」という。)の問題数は六十問以上とし、次の各号に掲げる科目ごとにおおむね当該各号に定める割合によるものとする。」
出典:調理師試験基準(平成9年厚生省告示第119号)1(原文どおり。厚生労働省 法令等データベースで取得)
| 科目 | 問題数に占める割合 |
|---|---|
| 公衆衛生学 | 15% |
| 食品学 | 10% |
| 栄養学 | 15% |
| 食品衛生学 | 25% |
| 調理理論 | 30% |
| 食文化概論 | 5% |
出典:調理師試験基準 1第1号〜第6号(原文は「問題数の十五パーセント」などの表記)
最も大きいのは調理理論の30%、次が食品衛生学の25%で、この2つで半分を超えます。
告示の2は試験時間を120分以上とし、3は、出題方法等は別に定めるところによるとしています。
申請に必要なもの:申請書と、2種類の書類
どちらの道でも、最後は免許の申請です。調理師法施行令 第1条です。
「調理師の免許を受けようとする者は、申請書に厚生労働省令で定める書類を添え、これを住所地の都道府県知事に提出しなければならない。」
出典:調理師法施行令(e-Gov法令API 法令ID 333CO0000000303)第1条(原文どおり)
申請書は様式第一によります(施行規則 第1条第1項)。添える書類は、第1条第2項が2つ挙げています。
| 号 | 添える書類 |
|---|---|
| 第1号 | 次のいずれかに該当することを証する書類。 イ 調理師養成施設において一年以上調理、栄養及び衛生に関して調理師たるに必要な知識及び技能を修得した者 ロ 第4条の施設又は営業において二年以上調理の業務に従事した後、調理師試験に合格した者 |
| 第2号 | 戸籍の謄本若しくは抄本又は住民票の写し(住民票は国籍等を記載したもの)。一部の外国籍の人は旅券その他の身分を証する書類の写し |
出典:調理師法施行規則 第1条第1項・第2項第1号・第2号
免許の後の手続は施行令にあります。名簿には「免許取得資格の種別」も登録され(第10条第3号)、どちらの道で取ったかが記録に残ります。本籍地都道府県名・氏名などが変わったときは30日以内に名簿の訂正を申請します(第11条第1項)。
出典:調理師法施行令 第10条・第11条
免許の先:技術審査の受験資格は、道によって違います
免許を取った後には、国の技術審査があります。毎年少なくとも一回、学科試験と実技試験で行います(施行規則 第15条)。
| 項目 | 定め |
|---|---|
| 学科試験の科目 | 調理一般、調理法、材料、食品衛生及び公衆衛生、食品及び栄養、関係法規、安全衛生の7科目(第16条第1項) |
| 実技試験の科目 | 日本料理、西洋料理、麺料理、中国料理、すし料理、給食用特殊料理の6つから1つを選ぶ(第16条第2項) |
| 受験資格(第1号) | 実務期間が8年以上の調理師で、うち免許を有していた期間が3年以上 |
| 受験資格(第2号) | 指定養成施設を卒業し、実務期間が6年以上の調理師で、うち免許を有していた期間が3年以上 |
| 合格後の名称 | 選んだ実技の科目に応じ「日本料理専門調理師」などの名称を称することができる(第22条) |
出典:調理師法施行規則 第15条、第16条、第17条第1号・第2号、第22条
養成施設を卒業した人は、必要な実務期間が8年以上ではなく6年以上です。この実務期間も、第4条の施設又は営業で数えます。第18条は、養成施設で行われた技術考査に合格した卒業者などに、学科試験の全部の免除を認めています。
この記事が扱っていないこと
- 調理師試験の日程・受験手数料の金額・合格率。都道府県ごとに違い、国の資料では取得していません。都道府県や試験を行う団体の案内ページも使っていません。
- 免許申請の手数料の金額。本記事が取得した施行令・施行規則には、金額の定めは見当たりませんでした。都道府県の定めは取得していません。
- 「2年以上」の月数の数え方や、複数の職場の合算。取得した通知には、勤務日数・時間の条件以外は書かれていませんでした。
- 養成施設の指導要領など、別表第一より細かい教育の基準。省令の範囲だけを扱い、通知は取得していません。
調理師免許をめざす人が確認できること
- いまの職場が第4条の施設・営業に当たるか。給食施設なら1回20食以上又は1日50食以上か、営業なら喫茶店営業ではないかが目安になります。
- パート・アルバイトなら、週4日以上かつ1日6時間以上になっているか。通知の問答では、これを下回ると原則として数えられません。
- 担当が調理そのものか。専ら運搬・配達・食器洗浄の担当や、ウェイター・ウェイトレスの期間は、調理の業務と認められないとされています。
- 調理業務従事証明書を書いてもらえるか。施設・営業の側が証明する書類で、証明印の扱いにも通知があります。
よくある質問
Q. アルバイトの期間も、実務の2年に数えられますか。
A. 平成4年の通知の問答は「原則として、週四日以上かつ一日六時間以上勤務している場合を除き、調理の業務に従事しているものとは認められない」としています。この勤務の条件を満たすかどうかが目安になります。
Q. 喫茶店やカフェで働いた期間は数えられますか。
A. 施行規則 第4条第2号は、数えられる営業から喫茶店営業(酒類以外の飲物又は茶菓を客に飲食させる営業)を除いています。店の営業の種類によって扱いが変わるため、勤務先の営業の種類を確かめることになります。
Q. 病院で栄養士として働いた期間は、実務に入りますか。
A. 平成4年の通知の問答は、栄養士、看護婦、保母等の職種として従事している場合は、調理の業務に従事しているものとは認められないとしています。
Q. 免許の申請には何が要りますか。
A. 様式第一の申請書に、養成施設の修得か試験の合格かを証する書類と、戸籍の謄本・抄本又は住民票の写しなどを添え、住所地の都道府県知事に出します(施行令 第1条、施行規則 第1条)。
迷ったらここ
実務2年の勤務条件を確かめる
国の通知の問答は、パート・アルバイトの調理業務を週4日以上かつ1日6時間以上の勤務でなければ原則として認めないとしています。数えられる施設・営業は調理師法施行規則 第4条にあり、喫茶店営業は除かれます。
- 勤務先が省令第4条の給食施設・営業に当たるか(喫茶店営業は対象外)
- パート・アルバイトなら週4日以上かつ1日6時間以上の勤務になるか
- 担当が調理そのものか、調理業務従事証明書を出してもらえるか
まとめ
調理師免許の2つの道のうち、実務の道で数えられる場所は調理師法施行規則 第4条が決めています。給食施設と、飲食店営業・魚介類販売業・そうざい製造業・複合型そうざい製造業で、喫茶店営業は除かれます。
国の通知は、給食施設を1回20食以上又は1日50食以上とし、パート・アルバイトは週4日以上かつ1日6時間以上でなければ原則として数えないとしています。運搬・配達・食器洗浄だけの担当や、栄養士・看護の職種としての期間も入りません。
養成施設の道では、省令の別表第一が6つの教育内容を定め、合計は960時間です(編集部試算)。試験の道では、告示が60問以上・6科目・120分以上を定めています。どちらの道でも、申請書に証明の書類を添えて住所地の都道府県知事に出します。

