30秒でわかるまとめ
- 保育士の性犯罪前科の確認が12月25日から始まりますこども性暴力防止法の施行で、認可保育所や認定こども園は、保育士の前科を確認することが義務になります。
- いま働いている保育士は3年以内に手続きをします施行時に働いている人は2029年12月24日までに確認を受けます。手続きの時期は職場から伝えられます。
- 12月25日以降に内定した保育士は勤務開始までです新しい職場で働き始めるまでに確認が必要です。確認には日本国籍で2週間から1か月程度かかるとされています。
- 保育士の求人票や誓約書にも確認の話が書かれます国が示した求人票の例には、犯罪事実確認が必要なことや、選考で誓約書などにより確認することが書かれています。
こども家庭庁が所管する「こども性暴力防止法」が、2026年12月25日に施行される。こどもに接する仕事に就く人の性犯罪前科を事業者が確認する仕組みで、「日本版DBS」とも呼ばれる。朝日新聞は9月16日、施行まで100日となり、学校や保育施設で周知が急ピッチで進んでいると報じた。保育士として働いている人、これから保育の職場に移る人にとって、自分が何をすることになるのかをこども家庭庁の資料から整理する。
12月25日から保育所に義務
この法律は2024年6月に成立し、2026年12月25日に施行される。対象の事業は2つに分かれている。
- 義務の対象 学校、認可保育所、認定こども園、児童福祉施設など。公立・私立を問わない
- 認定の対象 認可外保育施設、放課後児童クラブ、学習塾、スポーツクラブなど。国の認定を受けた事業者が対象になる
出典:こども家庭庁「こども性暴力防止法による対応が始まります(従事者の皆さまへ)」
義務の対象になる保育所では、前科の確認だけでなく、職員向けの研修、こどもが相談できる窓口、性暴力が疑われたときの報告・対応のルールづくりも義務になる。施行後は年に1回、こども家庭庁への定期報告もある。
学校の先生の話だと思っていました。保育園も入るんですね。
認可保育所と認定こども園は、はじめから義務の対象だよ。
働いている側は、何をすることになるのでしょう。
保育士は一律で確認の対象
こども家庭庁の概要資料は、「教員、保育士等、こどもと常に接する職種は一律対象」と書いている。正職員かパートか、雇用契約があるかどうかは関係なく、短期間の労働者やボランティアも対象になる。
事務職員や送迎バスの運転手のように、こどもと接するかどうかが業務によって違う職種は、職場が実態を見て対象にするかを決める。国が示した就業規則の参考例(保育所の場合)には、保育士や保育補助のほか、看護師、管理栄養士・栄養士、調理員も並んでいる。ただし栄養士や調理員などは「業務を通して児童等と接する機会のない者を除く」とされている。
保育所で働く栄養士や調理員が対象になるかは、こどもと接する業務があるかどうかで職場が判断する。
確認されるのは性犯罪の前科
確認されるのは、不同意性交等、不同意わいせつ、痴漢、盗撮、児童買春、児童ポルノ所持などの性犯罪の前科で、成人に対する性犯罪も含む。確認される期間は刑の種類で違う。
| 刑の種類 | 確認の対象になる期間 |
|---|---|
| 拘禁刑 | 刑の執行が終わってから20年 |
| 執行猶予 | 判決が確定してから10年 |
| 罰金刑 | 刑の執行が終わってから10年 |
出典:こども家庭庁「こども性暴力防止法について(概要)」
前科があると確認された場合は、性暴力のおそれがあるとの判断の下、こどもに接する業務に就けなくなる。
手続きは本人もオンラインで行う
確認は、職場がこども家庭庁に申請し、戸籍情報は働く本人がこども家庭庁に提出する形で進む。こども家庭庁が法務省に照会し、結果を記した犯罪事実確認書が職場に交付される。手続きはプライバシー保護のためオンラインで行い、専用の「こまもろうシステム」を使う。こども家庭庁は職場に向けた資料で、働く人にマイナンバーカードを準備してもらうよう求めている。
前科が「あり」となった場合は、職場に確認書が届く前に本人へ内容が通知され、本人は訂正を求めることができる。この期間中に内定を辞退すれば、確認書は職場に交付されない。訂正を求めずに2週間が過ぎると交付される。確認にかかる時間は、日本国籍で2週間から1か月程度、外国籍で1か月から2か月程度とされている。
リーフレットは、戸籍などを出さずに期限までに確認ができない場合も、こどもに接する業務に就けないと書いている。手続きをしないことは選べない。
期限は内定の日で分かれる
いつまでに確認を受けるかは、その職場での内定・内示がいつ出たかで分かれる。
| 区分 | 確認の期限 |
|---|---|
| 12月24日以前に内定・内示が出た人(いま働いている人を含む) | 施行から3年以内(2029年12月24日まで) |
| 12月25日以降に内定・内示が出た人 | 働き始めるまで |
| 急な欠員などでやむを得ず間に合わない場合 | 働き始めてから3か月以内(合併・新設などは6か月以内) |
| 一度確認を受けた人 | 5年ごとに再確認 |
出典:同上
いま働いている人の確認はおよそ280万人にのぼるため、国は申請の時期を分散させる。保育所などの施設は都道府県ごとに27か月に割り振られ、2027年4月以降、職場ごとに手続きの時期が伝えられる。分散申請のQ&Aによれば、本人には申請の月の4か月前に伝えられる。
急な欠員の特例を使う場合、確認が済むまでは原則としてこどもと1対1にしないなどの措置が必要になる。
来年の春に転職するつもりの人は、どうなるのでしょうか。
新しい職場の内定が12月25日以降なら、働き始める前に確認だね。
確認に2週間から1か月ほどかかる。内定から入職までの日程に響くよ。
前の職場で確認を受けていても、やり直しになるんですか。
分散申請のQ&Aは、公立学校と保育所の間の異動のように事業者が異なる場合は「施行時現職者とはならない」とし、異動先で新たに従事する人として確認するよう書いている。職場が変われば、新しい職場で確認を受けると考えておくのがよい。
求人票と誓約書にも書かれる
こども家庭庁は、保育所向けの募集要項・求人票の参考例を公表している。特記事項の欄に、次の3つを書く例になっている。
- 働くに当たって、特定性犯罪の前科の有無を確認する犯罪事実確認が必要になること
- 採用条件の一つとして、特定性犯罪の前科がないことを求めること
- 選考の過程で、誓約書や履歴書などにより前科の有無を確認すること
出典:こども家庭庁「【別紙3】募集要項・求人票参考例」
内定通知書の参考例には、内定取消しの事由として、経歴の詐称に加えて「犯罪事実確認に必要な手続等に対応しないとき」を書く例が示されている。これから保育の職場を探す人は、求人票や内定通知書でこうした文言を目にすることになる。
研修も変わる。9月に改訂されたガイドラインは研修を受ける時期を明確にし、施行の前後どちらに内定した人も、こどもと接する業務に就く前に研修を受けることになった。
働く側のルールも変わるのでしょうか。
職場ごとに「不適切な行為」を決めて、就業規則にも書くことになる。
国の準備ガイドは「不適切な行為」の例として、こどもとSNSで私的にやり取りする、私物の端末でこどもの写真を業務外の目的で撮る、こどもと二人きりで私的に会う、特定のこどもばかり理由なく担当しようとする、などを挙げている。ただし、どれが不適切かは事業の内容や現場の状況で変わり、全ての事業者で一律に不適切と判断されるものではないとも書いている。
迷ったらここ
確認の手続きと日程を先に聞く
12月25日以降に内定が出ると、働き始めるまでに前科の確認が必要です。確認には2週間から1か月程度かかります。入職日を決める前に、職場の段取りを聞いておくと安心です。
- 犯罪事実確認の手続きは、いつ、どのように案内されるか
- 入職前の研修はいつ、どの形で受けるか
- 職場の「不適切な行為」のルールは決まっているか
- こどもや保護者が相談できる窓口は、どこに置かれているか
編集部の見方:日程に組み込んでおく
この制度は、ほとんどの保育士にとって「手続きが1つ増える」話である。いま働いている人は、2027年4月以降に職場から時期を伝えられてから動けばよい。気をつけたいのは、年末から来年にかけて職場を変えようとしている人である。
12月25日以降に新しい職場から内定が出た場合、確認は働き始めるまでに終える必要がある。確認には2週間から1か月程度かかり、そのために本人が戸籍情報をオンラインで出す。内定から入職までの間に、この手続きと研修の時間が入ると考えて、入職日を決めておきたい。マイナンバーカードが手元にあるかも、早めに確かめておくとよい。
もう1つは、職場の備えの差である。この法律で保育所には、研修、相談窓口、報告・対応のルール、不適切な行為の範囲づくりが求められる。面接で「こども性暴力防止法への対応はどこまで進んでいますか」と聞けば、その職場の準備の度合いが分かる。職員を守るルールがあいまいなままの職場は、何かあったときに働く人が一人で判断を迫られることにもなる。
保育士の処遇に関わる研修の見直しについては保育士等キャリアアップ研修の記事で整理している。施行後の運用や、こまもろうシステムのマニュアル公表などの動きも追っていく。
出典
一次資料
- こども家庭庁「こども性暴力防止法(学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律)」2026年9月17日参照。成立・公布・施行日はここにある
- 同「こども性暴力防止法について(概要)」(PDF)。対象職種、確認される期間、手続きの流れ、確認の期限はここにある
- 同「こども性暴力防止法による対応が始まります(従事者の皆さまへ)」(PDF)。義務対象・認定対象の事業と、働く人が行うことはここにある
- 同「【別紙3】募集要項・求人票参考例」(Word)、「【別紙4】誓約書・内定通知書参考例」(Word)
- 同「施行時現職者の分散申請に関するQ&A」(PDF)。本人への伝達時期と、事業者をまたぐ異動の扱いはここにある
- 同「ガイドライン改訂(令和8年9月)の概要」(PDF)。研修を受ける時期の明確化はここにある
- 同「第15回 子ども・子育て支援等分科会」参考資料15「こども性暴力防止法の施行に向けた取組」(2026年8月19日)。準備事項、不適切な行為の例、就業規則の参考例、マイナンバーカードの準備はここにある
報道
- 朝日新聞「犯歴確認義務、周知急ピッチ 「こども性暴力防止法」施行まで100日 学校や保育施設」2026年9月16日(2026年9月17日参照)
編集部メモ
- 制度の中身は、すべてこども家庭庁の資料から直接取り、言い回しを原文と突き合わせて確かめています。施行から3年以内の期限が2029年12月24日になること、9月16日から施行日まで100日であることも、日付から計算して確認しました。
- ⚠ 確認の期限は、内定・内示が出た日で分かれます。12月24日以前に内定が出た人は現職者扱いで3年以内、12月25日以降に内定が出た人は働き始めるまでです。「転職する人は勤務前」と一括りにはできないため、本文では表で分けて書きました。
- ⚠ 事業者をまたぐ異動の扱いは、Q&Aの公立学校と保育所の例から読み取ったものです。民間の保育所どうしの転職を名指しした記述ではありません。本文では「考えておくのがよい」という書き方にとどめています。
- 「不適切な行為」の例は、国が示した例です。資料自身が、全ての事業者で一律に不適切と判断されるものではないと書いており、本文にもそう書きました。
- 栄養士や調理員が対象になるかは、職場の判断です。就業規則の参考例に名前が挙がっていますが、こどもと接する機会のない人は除くとされています。
- 準備事項の一部は、8月19日の子ども・子育て支援等分科会の資料(準備ガイド Ver.1.0)から取りました。こども家庭庁のページには9月2日付で Ver.1.1 が掲載されています。本文で使った事項は、改訂概要で変更の対象として挙がっていないものです。
- 朝日新聞の報道は、施行まで100日となり周知が進んでいる時期を示すために参照しました。制度の中身と数値はすべてこども家庭庁の資料から取っています。
- 確認の対象になる罪の範囲は、法律と政令で細かく定められています。本文ではリーフレットに挙がっている主な罪だけを書きました。
- こまもろうシステムの操作マニュアルなど、施行に向けた今後の公表を改めて取り上げる予定です。

