看護師数の基準を満たす病院は99.3% 2年続けて0.1ポイント低下

看護師数の基準を満たす病院は99.3% 2年続けて0.1ポイント低下
目次

30秒でわかるまとめ

  • 看護師数の基準を満たす病院は99.3%でした厚生労働省が、2024年度に病院へ行われた立入検査の結果を公表しました。前年度の99.4%から0.1ポイント下がりました。
  • 看護師数の適合率は2年続けて下がりました2022年度の99.5%から、2023年度は99.4%、2024年度は99.3%です。医師と薬剤師は前年度と同じでした。
  • 関東は98.6%で、0.4ポイント下がりました地域別では関東がいちばん低く、北陸甲信越も0.4ポイント下がりました。中国と九州は99.8%でした。
  • 20〜49床の小さな病院は98.3%です病床の規模別では、いちばん小さい区分の割合がいちばん低くなりました。500床以上の病院は100%でした。

厚生労働省は9月18日、医療法にもとづいて2024年度(令和6年度)に行われた病院への立入検査の結果を公表した。医療法が定める人数(標準数)を満たしている病院の割合は、看護師・准看護師で99.3%と、前年度から0.1ポイント下がった。GemMedは9月22日、医師と薬剤師の割合が前年度と変わらない中で、看護師等は99.3%に下がったと報じた。数字は99%を超えているが、地域や病院の規模で見ると差がある。看護師として働く人、転職先の病院を探している人に向けて、結果を整理する。

立入検査は7,620病院で実施

この立入検査は、医療法第25条第1項にもとづき、都道府県や保健所を置く市、東京23区が病院に立ち入って行う。病院が法令で決められた人員や構造設備を持ち、適正に管理しているかを確かめるのが目的である。検査の項目は、医療従事者数の充足状況、安全管理体制、院内感染対策、診療録の管理などである。

2024年度は、全国8,073病院のうち7,620病院に検査が行われ、実施率は94.4%だった。前年度は8,138病院のうち7,587病院で、93.2%だった。

看護師数の適合率は99.3%

看護師・准看護師の人数が標準数を満たしていた病院(適合した病院)は、7,620病院のうち7,570病院で、適合率は99.3%だった。適合しなかった病院は50病院で、前年度の44病院から6病院増えた。ここでいう「看護師」には、主に看護業務を行う保健師と助産師も含まれる。

年度検査した病院適合率
2018年度7,80399.0%
2019年度7,74999.3%
2020年度2,60999.4%
2021年度5,51599.4%
2022年度7,14699.5%
2023年度7,58799.4%
2024年度7,62099.3%

出典:厚生労働省「医療法第25条に基づく病院に対する立入検査結果(令和6年度)」

2022年度の99.5%をピークに、2年続けて0.1ポイントずつ下がっている。2018年度の99.0%からは上がった水準にあり、大きく崩れたわけではないが、下がる向きが続いている。2020年度と2021年度は検査した病院の数がほかの年より少ないので、並べて比べるときは注意がいる。

同じ年度の医師数の適合率は97.9%、薬剤師数は97.7%で、どちらも前年度と同じだった。3つの職種のなかで看護師・准看護師の適合率はいちばん高いが、前年度より下がったのは看護師・准看護師だけである。

ちはる

99.3%なら、ほとんどの病院は足りているんですね。

熊先生

法律が決めた人数は満たしている、という意味だね。

ちはる

それでも、2年続けて下がっているのは気になります。

関東は0.4ポイント下がった

地域別に見ると、下がり方に差がある。

地域2024年度前年度比
北海道・東北99.6%▲0.1
関東98.6%▲0.4
北陸・甲信越99.1%▲0.4
東海99.1%▲0.3
近畿99.5%0.2
中国99.8%0.1
四国99.3%0.5
九州99.8%▲0.1
全国99.3%▲0.1

出典:同上。単位はポイント。「東海」は岐阜県・静岡県・愛知県・三重県、「近畿」は三重県を除く近畿、「九州」は沖縄県を含む

関東は98.6%で、全国平均より0.7ポイント低く、地域のなかでいちばん低い。北陸・甲信越と東海も下がった。資料の区分でいう東日本は99.0%(0.3ポイント低下)、西日本は99.7%(0.2ポイント上昇)で、東で下がり、西で上がった形になっている。

20〜49床の病院は98.3%

病床の規模別に見ると、いちばん小さい20〜49床の病院が98.3%でもっとも低かった。500床以上の病院は100%だった。

病床の規模2024年度2023年度
20〜49床98.3%98.1%
50〜99床99.1%99.0%
100〜149床99.6%99.6%
150〜199床99.3%99.8%
200〜299床99.8%99.8%
300〜399床99.8%100%
400〜499床99.4%100%
500床以上100%100%

出典:同上。病院全体(一般病院・精神科病院・その他病院)の値

小さな病院は前年度より少し上がった一方で、150〜199床、300〜399床、400〜499床では下がった。400〜499床は前年度の100%から99.4%になった。「大きい病院なら必ず人数がそろっている」とは言えなくなっている。

標準数に届かない病院の中身

資料には、標準数に対して実際に何%の看護師・准看護師がいるか(充足率)で病院を分けた表もある。充足率が100%に届かない病院は、2024年度に67病院あった。

充足率2024年度2023年度
90%以上100%未満3645
80%以上90%未満1514
70%以上80%未満36
60%以上70%未満71
50%以上60%未満31
50%未満34
100%未満の合計6771

出典:同上。単位は病院数。合計は編集部が計算

100%に届かない病院の数は71から67に減った。一方で、充足率が90%に届かない病院は26から31に増えた。90〜100%のわずかに足りない病院が減り、大きく足りない病院が増えた形である。67病院のうち、一般病院は48、精神科病院は19だった。

医師と看護師の両方で見ると、医師は標準数を満たしているのに、看護師・准看護師が足りない病院が57あった。両方とも足りない病院は9で、前年度の5から増えた。

ちはる

充足率が50%に届かない病院もあるんですね。

熊先生

3病院だけだけど、決められた人数の半分もいないということだね。

熊先生

90%に届かない病院は、前の年より5つ増えたよ。

ちはる

数は少なくても、そこで働く人の負担は大きそうです。

職員の健康管理は94.1%

人員以外の項目も見ておく。病院全体で適合率が低かった項目の3番目は「職員の健康管理」で、7,596病院のうち7,146病院が適合し、94.1%だった。前年度の92.1%からは上がったが、およそ17病院に1病院が適合していない計算になる。

適合率がもっとも低かったのは「医療法許可事項の変更」の92.7%、次が「サイバーセキュリティの確保」の92.8%だった。大項目で見ると、「医療従事者」の適合率は98.3%で前年度と同じだった。

ちはる

職員の健康管理にも、検査の項目があるんですね。

熊先生

働く人を守る仕組みがあるかも、職場選びで見ておきたいね。

迷ったらここ

病棟の看護師数を面接で聞く

ほとんどの病院は法律が決めた人数を満たしていますが、地域や規模で差があります。人数の決まりを満たしていても、忙しさは病棟ごとに違います。応募する前に、働く病棟の体制を聞いておくと安心です。

  • 配属予定の病棟の看護師数と病床数
  • 夜勤1回あたりの看護師の人数
  • 欠員が出たときの応援や補充の仕組み
  • 職員の健康診断やメンタルヘルスの相談先
看護師の転職サービスを比較する

編集部の見方:病棟単位で確かめる

99.3%という数字だけを見れば、看護師が足りない病院はごく一部である。ただ、この検査が見ているのは医療法が決めた病院全体としての人数で、病棟ごとの忙しさや夜勤の人数までは分からない。適合していても人手が足りないと感じる職場はありうるし、逆もありうる。

それでも、この結果から読み取れることはある。適合率は2年続けて下がり、関東では0.4ポイント下がった。90%に届かない病院は26から31に増えた。人数がそろわない病院は少ないが、そのなかで不足の大きい病院が増えている。

転職先を探す人が確かめたいのは、病院全体の数字よりも自分が配属される病棟の体制である。病床数と看護師数、夜勤の人数、欠員が出たときの補充のしかたは、面接で聞いてよい。特に関東や小規模の病院を検討しているなら、具体的な数字で答えてもらうとよい。

診療報酬の側で看護師の配置の決まりが緩和された話は看護師が1割少ない病棟でも算定可になる記事で、看護師の勤務表の工夫は勤務表の記事で整理している。

出典

一次資料

報道

編集部メモ

  • 数値はすべて厚生労働省の公表資料から直接取りました。適合率は、適合した病院数を検査した病院数で割り戻して原本と一致することを確かめています。充足率別の病院数は、区分を足すと合計の病院数に一致することを確かめました。
  • ⚠ 標準数に届かない病院の数は、資料の表によって少しずつ違います。適合しなかった病院は7,620−7,570=50ですが、充足率が100%未満の病院は、病院種別の表では67、医師数と組み合わせた表では66です。資料には違いの説明がないため、本文では適合率を主に使い、充足率の表は分布を見るために使いました。
  • 「職員の健康管理」の7,596病院は、この項目を検査した病院の数です。「およそ17病院に1病院」は、適合しなかった450病院から編集部が計算しました。
  • 2020年度と2021年度は、検査した病院の数がほかの年度より大幅に少なくなっています。資料に理由は書かれていないため、本文では「比べるときは注意がいる」とだけ書きました。
  • この検査が見ているのは医療法の標準数で、診療報酬の入院基本料で求められる看護配置とは別のものです。
  • GemMedの報道は、結果が報じられた時期を示すために参照しました。数値はすべて厚生労働省の資料から取っています。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

医療・福祉・保育の人材紹介の現場で求職者の相談を受けてきた編集者が担当しています。キャリアアドバイザー歴8年、転職相談・紹介の対応実績1,500人以上(自社実績/2026年8月時点)。介護・看護師・保育士・栄養士の4分野を担当。記事の数値には必ず出典と公表時点を添えています。

目次